荒川化学工業
ARAKAWA CHEMICAL INDUSTRIES,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
松やにから未来を創る、創業150年の技術力で世界を支える化学メーカー
化学の力で、人と地球の未来に貢献する。
この会社ってなに?
あなたが毎日読む新聞や雑誌の紙、その強度や印刷のしやすさを高めているのが荒川化学の薬品です。お店で手にする商品のパッケージ、その鮮やかな印刷を支えているのも同社のインキ用樹脂が使われています。また、宅配便の段ボールを閉じる粘着テープや、スマートフォンの内部で部品を固定する接着剤など、実は身の回りの様々な「くっつく」場面で同社の技術が活躍しています。普段は目に見えないけれど、私たちの暮らしを陰で支える化学素材メーカーなのです。
FY2025に売上高802.4億円、営業利益10.57億円で2期ぶりの黒字転換を達成。続くFY2026は売上高850.0億円、営業利益28.00億円と大幅なV字回復を見込んでいます。主力の製紙・インキ向け樹脂事業の市況回復に加え、M&Aで取得したサプリメント販売や微細藻類といった新規事業の育成を急いでいます。PBRは0.45倍と低迷しており、事業ポートフォリオ改革による収益力と成長性の向上が市場からの再評価を得るための鍵となります。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪市中央区平野町1丁目3番7号
- 公式
- www.arakawachem.co.jp
社長プロフィール

当社は創業以来、天然樹脂ロジン(松やに)を起点に歴史を歩み、2026年には創業150周年を迎えます。現在は第5次中期5ヵ年経営実行計画を推進し、事業ポートフォリオ改革を通じてエレクトロニクスやライフサイエンスといった成長市場への展開を加速させています。これからも化学の力で社会課題の解決に貢献し、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
この会社のストーリー
創業者・荒川政七が大阪市で薬種商「荒川政七商店」を創業。これが荒川化学グループの始まりとなる。
株式会社荒川政七商店として法人化。天然樹脂「ロジン(松やに)」の研究開発を本格化させ、化学メーカーとしての基盤を築く。
製紙用サイズ剤(紙のにじみ止め薬品)を開発・販売し、国内トップクラスのシェアを獲得。事業の大きな柱へと成長させる。
株式を上場し、さらなる事業拡大と経営基盤の強化に向けた新たなステージへと歩みを進める。
主力工場の一つである富士工場で火災が発生。生産体制に大きな影響を受け、安全管理体制の再構築という厳しい課題に直面する。
事業ポートフォリオの変革を掲げ、エレクトロニクス材料や機能性コーティングなどの成長分野への注力を明確にする。
筑波大学発スタートアップから微細藻類事業を譲受。さらにサプリメントや化粧品分野へもM&Aで進出し、ライフサイエンス領域への展開を加速。
注目ポイント
創業以来、天然樹脂「ロジン(松やに)」の可能性を追求。製紙用薬品や印刷インキ用樹脂で国内トップシェアを誇り、環境に優しい素材で社会を支えています。
伝統的な化学事業に加え、M&Aやスタートアップとの提携を加速。微細藻類やサプリメントなど、ライフサイエンスや環境分野で新たな成長の柱を育成中です。
PBRは1倍を大きく下回る水準で、株価には割安感があります。安定的な配当を継続しており、株主還元への意識も高い企業です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 30円 | 26.5% |
| FY2017/3 | 38円 | 22.9% |
| FY2018/3 | 38円 | 25.2% |
| FY2019/3 | 42円 | 22.3% |
| FY2020/3 | 44円 | 51.6% |
| FY2021/3 | 46円 | 42.1% |
| FY2022/3 | 48円 | 63.4% |
| FY2023/3 | 48円 | 0.5% |
| FY2024/3 | 48円 | 0.5% |
| FY2025/3 | 49円 | 36.8% |
株主優待制度は実施していません。
当社は安定的・継続的な配当の維持を基本方針として掲げています。赤字期においても配当を維持する姿勢から、株主還元を重視する経営方針が読み取れます。今後は業績連動性を高めつつ、配当性向を意識した適正な還元水準を目指しています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高は800億円規模を維持していますが、FY2023/3およびFY2024/3には原材料価格の高騰や海外事業の採算悪化により営業赤字を計上しました。しかし、構造改革の推進や製品価格の改定が奏功し、FY2025/3には黒字転換を果たしています。今期はさらなる収益性向上を目指し、850億円の売上高と営業黒字の維持を見込んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 4.1% | 2.1% | - |
| FY2022/3 | 4.5% | 1.3% | - |
| FY2023/3 | -12.1% | -4.2% | - |
| FY2024/3 | -1.6% | -0.8% | -3.6% |
| FY2025/3 | 1.3% | 2.2% | 1.3% |
過去の業績低迷期には、営業利益率がマイナス圏に沈み、ROEも一時-8.7%まで低下するなど収益性が大きく悪化しました。しかし、経営資源の最適化やポートフォリオ改革を進めたことで、FY2025/3にはROEが4.6%まで回復し収益性は改善基調にあります。今後も高付加価値製品へのシフトを通じて、さらなる利益率の向上と資本効率の改善が期待されています。
財務は安全?
総資産は1,200億円前後で推移していますが、過去の赤字計上により自己資本が一時的に減少しました。FY2024/3以降は有利子負債が約700〜800億円規模まで増加していますが、これは事業成長に向けた投資や運転資金の確保を目的とした積極的な資金調達によるものです。現在の自己資本比率は約47.8%であり、一定の財務規律を保ちながら再成長を図る段階にあります。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 36.9億円 | -73.0億円 | 13.5億円 | -36.1億円 |
| FY2022/3 | 39.9億円 | -74.0億円 | 49.3億円 | -34.1億円 |
| FY2023/3 | -5.8億円 | -60.5億円 | 66.7億円 | -66.2億円 |
| FY2024/3 | 11.6億円 | -71.4億円 | 54.8億円 | -59.8億円 |
| FY2025/3 | 51.2億円 | -32.4億円 | -47.0億円 | 18.8億円 |
長らく投資CFの支出が大きくフリーキャッシュフロー(FCF)はマイナスで推移してきましたが、FY2025/3には営業CFの改善により18.8億円のプラスへ転換しました。これは生産体制の見直しによるキャッシュ創出力の向上を反映したものです。財務CFは借入による調達が中心でしたが、今後は営業CFから得たキャッシュで負債を償還し、財務バランスの最適化を進める方針です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 36.5億円 | 14.8億円 | 40.6% |
| FY2022/3 | 35.7億円 | 20.6億円 | 57.9% |
| FY2023/3 | -26.9億円 | 0円 | - |
| FY2024/3 | -24.1億円 | 0円 | - |
| FY2025/3 | 8.5億円 | 0円 | 0.0% |
過去の赤字計上により法人税等の納税額は抑えられてきました。直近のFY2025/3においても利益水準が限定的であり、税負担は発生していません。今後は業績回復に伴い、実効税率に基づいた適正な納税が行われる見込みです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 698万円 | 1,667人 | - |
従業員平均年収は約698万円であり、化学セクターの平均水準と比較しても堅実かつ安定的な報酬水準を維持しています。長年培った天然樹脂ロジン(松やに)を核とした安定的な事業基盤が、従業員の長期勤続を支える土壌となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。 主な安定株主は荒川化学従業員持株会・三菱UFJ銀行。
上位株主には日本マスタートラスト信託銀行などの信託口が並び、機関投資家の影響力が大きい一方、従業員持株会や創業家関連の安定株主による一定の保有が継続している点が特徴です。金融機関の保有も一定程度残っており、長期的に安定した資本政策が維持されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業は、製紙用薬品、印刷インキ用樹脂、粘着・接着剤用樹脂、電子材料の4セグメントで構成されるBtoB企業です。特に光硬化型樹脂などの先端材料分野での成長を掲げていますが、原材料価格の変動や為替、海外拠点(特に中国)の経済状況が主な事業リスク要因となっています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は10.0%であり、今後の多様性向上が課題です。監査体制としては社外取締役比率を高めて経営の透明性を確保しており、連結子会社15社を擁する中堅化学メーカーとして適正な統治体制が構築されています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 820億円 | — | 802億円 | -2.1% |
| FY2024 | 830億円 | — | 722億円 | -13.0% |
| FY2023 | 900億円 | — | 794億円 | -11.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 20億円 | — | 11億円 | -47.2% |
| FY2024 | -18億円 | — | -26億円 | -45.4% |
| FY2023 | 16億円 | — | -29億円 | 大幅未達 |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
FY2026を最終年度とする「第5次中期5ヵ年経営実行計画」は、売上高1,000億円、営業利益50億円を掲げています。しかし、直近のFY2025実績は売上高802.4億円、営業利益10.57億円と、目標に対して大幅なビハインドとなっています。特に過去数年の業績予想は期初計画から大きく下振れする傾向が顕著で、外部環境の変化に対する耐性が課題です。計画達成には、既存事業の収益性改善とM&Aで取得した新規事業の早期収益化が不可欠です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、継続して市場平均であるTOPIXをアンダーパフォームしています。これは、FY2023、FY2024における大幅な赤字計上など、業績の低迷が株価に直接的に反映されたことが主な要因です。配当は維持・微増傾向にあるものの、株価下落の影響が大きく、投資リターンという観点では厳しい結果が続いています。今後は業績のV字回復を実現し、株価を上昇軌道に乗せることがTSR向上の必須条件となります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 113.5万円 | +13.5万円 | 13.5% |
| FY2022 | 96.6万円 | -3.4万円 | -3.4% |
| FY2023 | 94.7万円 | -5.3万円 | -5.3% |
| FY2024 | 112.6万円 | +12.6万円 | 12.6% |
| FY2025 | 111.4万円 | +11.4万円 | 11.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRが0.45倍と化学セクター平均の半分以下であり、市場から極めて割安に評価されている点が最大の特徴です。一方でPERは業界平均並み、配当利回りは3.73%と業界平均を上回る高水準にあります。信用倍率は11.37倍と買い残が多く、将来の株価上昇を見込む個人投資家が多いものの、需給面では上値が重くなる可能性があります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
サプリ・化粧品販売のナチュラルウェーブ株式会社を子会社化し、ヘルスケア事業の拡大を推進。
筑波大学発スタートアップSoProsから微細藻類事業を譲受し、新規事業の成長を加速。
松葉抽出物の神経保護作用を確認し、機能性素材としての付加価値を向上。
最新ニュース
荒川化学工業 まとめ
ひとめ診断
「創業150年の『松やに』化学メーカーが、M&Aでバイオ・ヘルスケア分野へ急旋回中」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
同じ業種の企業
「化学」に分類される他の企業
『びっくりするほど良い商品』を武器に高収益を誇ったD2Cの雄が、成長の壁をM&Aで乗り越えようと模索している
美容室をコンサルで囲い込み、高付加価値シャンプーで稼ぐ『髪の毛のキーエンス』
半導体製造の縁の下を支える『樹脂バルブ』のグローバルニッチトップ企業
過去最大赤字からのV字回復途上――農薬・半導体材料を軸に成長軌道への回帰を図る総合化学メーカー
ガラスの名門が不採算事業を大胆に整理し、EV・半導体向け化学品で再起を図る構造改革の真っ最中
ナイロン・ポリイミドの化学専業メーカーが、LANXESS買収で欧州展開を加速――新中計でEBITDA 1,000億円を目指す
産業ガス国内2位、M&Aで事業多角化を推進してきたが不適切会計の発覚で信頼回復が最大課題
世界中の赤ちゃんの快適さを支える『魔法の粉』、紙おむつ用高吸水性樹脂で世界をリードする化学メーカー