旭化成
ASAHI KASEI CORPORATION
最終更新日: 2026年4月7日
昨日まで世界になかったものを。
世界の人びとの「いのち」と「くらし」に貢献する。
この会社ってなに?
住宅の「ヘーベルハウス」やキッチンの「サランラップ」は旭化成を代表する身近な製品です。スマートフォンのリチウムイオン電池に使われるセパレータ(安全に充放電するための薄膜フィルム)は旭化成が世界トップクラスのシェアを持っています。さらに、人工透析や救急医療の機器、医薬品まで、日常生活のさまざまな場面で旭化成の技術が活躍しています。
旭化成はマテリアル・住宅・ヘルスケアの3つの領域を柱とする総合化学メーカーです。FY2025/3期は売上高約3兆373億円(前期比+9.1%)、営業利益2,119億円(同+50.6%)と大幅回復を果たし、純利益は1,350億円と前期比3倍超に急伸しました。FY2026/3期は売上高3兆1,170億円、営業利益2,150億円を計画。2026年2月にはドイツの製薬企業アイキュリスを約1,431億円で買収すると発表し、ヘルスケア事業の拡大を加速させています。中期経営計画2027「Trailblaze Together」では営業利益3,000億円・ROE10%以上を最終目標に掲げ、「脱石化」と高付加価値事業への転換を推進中です。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 日比谷三井タワー
- 公式
- www.asahi-kasei.com
社長プロフィール

旭化成は「昨日まで世界になかったものを。」というスローガンのもと、マテリアル・住宅・ヘルスケアの3領域で社会課題の解決に取り組んでいます。多様な事業を持つ複合企業だからこそ、分野を超えた融合で新しい価値を生み出せる。中計2027ではヘルスケアの重点成長とデジタルトランスフォーメーションを推進し、次の100年に向けて世界中の人々の「いのちと暮らし」に貢献し続けます。
この会社のストーリー
宮崎県延岡市で「旭絹織」として創業。繊維事業からスタートし、化学の力で日本の近代化に挑みました。
軽量気泡コンクリート(ALC)技術を活かした「ヘーベルハウス」を発売。住宅事業への本格参入で多角化の礎を築きました。
米国のクリティカルケア企業ゾルメディカル社を約2,200億円で買収。救急医療分野でグローバル展開を加速しました。
名誉フェロー吉野彰氏がリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞。旭化成の技術力が世界に認められた歴史的瞬間でした。
中期経営計画2027「Trailblaze Together」を始動。ヘルスケアの拡大と脱石油化学への構造転換で、次の成長ステージを切り拓いています。
注目ポイント
ノーベル化学賞受賞の吉野彰氏が所属する旭化成。電池の安全を守るセパレータで世界トップシェアを誇り、EV革命を根底から支えています。
「60年以上住み続けられる家」を目指すヘーベルハウスは、耐火・耐震性能の高さで都市部を中心に圧倒的な支持。安定収益の柱です。
アイキュリス買収で重症感染症領域を強化。医薬・クリティカルケアを核に営業利益率10%超のヘルスケア事業をさらに拡大しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 20円 | 30.4% |
| FY2017/3 | 24円 | 29.1% |
| FY2018/3 | 34円 | 27.9% |
| FY2019/3 | 34円 | 32.2% |
| FY2020/3 | 34円 | 45.4% |
| FY2021/3 | 34円 | 59.1% |
| FY2022/3 | 34円 | 29.1% |
| FY2023/3 | 36円 | 0.7% |
| FY2024/3 | 36円 | 113.9% |
| FY2025/3 | 38円 | 38.8% |
なし
4期連続増配中で、FY2026/3期は年間40円(前期比2円増)を予想。配当性向30-40%を目標に掲げ、利益成長に連動した増配を続ける方針です。FY2023/3期は最終赤字にもかかわらず36円を維持しており、減配リスクが低い安定配当の姿勢がうかがえます。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2022/3期は売上高2.4兆円超・営業利益2,026億円と好調でしたが、FY2023/3期にポリポア社ののれん減損約2,000億円を計上し最終赤字913億円に転落。FY2025/3期には売上高3兆円を突破し、営業利益2,119億円(前期比+50.6%)と大幅に回復しました。FY2026/3期は売上高3兆1,170億円、営業利益2,150億円を計画し、営業利益率6.9%への着実な改善を見込んでいます。純利益はアイキュリス買収関連費用もあり1,250億円(前期比-7.4%)の見通しです。
事業ごとの売上・利益
環境ソリューション、モビリティ&インダストリアル、ライフイノベーションの3事業。石化市況改善と半導体関連需要の回復で+448億円増益
ヘーベルハウスを軸とした住宅事業と建材事業。建築請負単価上昇とコストダウンにより+130億円増益
医薬・クリティカルケア・ライフサイエンスの3事業。医薬品の販売量増加とクリティカルケア堅調で+155億円増益
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 8.8% | 2.7% | - |
| FY2022/3 | 6.7% | 4.8% | - |
| FY2023/3 | -31.5% | -2.7% | - |
| FY2024/3 | 30.1% | 1.2% | 5.1% |
| FY2025/3 | 6.2% | 3.4% | 7.0% |
FY2022/3期にROE9.4%と資本効率が高まりましたが、FY2023/3期は減損損失によりROEがマイナス5.4%に転落。FY2025/3期にはROE7.1%まで回復し、中計最終目標のROE9.0%以上に向けた改善が続いています。営業利益率もFY2023/3の4.7%からFY2025/3の7.0%へ回復基調。高付加価値事業へのポートフォリオ転換が進めば更なる改善が期待されます。
財務は安全?
総資産はFY2025/3期に約4.0兆円と前期比約3,525億円増加。Calliditas・ODCの新規連結に伴うのれん増加が主因です。有利子負債は約1兆1,575億円に拡大しD/Eレシオは0.62倍に上昇しましたが、自己資本比率は46.3%を維持し健全水準です。BPS 1,369円に対しPBR約1.1倍と純資産対比でほぼ適正な評価水準にあります。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 2,537億円 | -1,578億円 | -959億円 | 959億円 |
| FY2022/3 | 1,833億円 | -2,210億円 | 423億円 | -377億円 |
| FY2023/3 | 908億円 | -2,136億円 | 1,118億円 | -1,228億円 |
| FY2024/3 | 2,953億円 | -1,426億円 | -943億円 | 1,527億円 |
| FY2025/3 | 3,015億円 | -3,812億円 | 1,446億円 | -797億円 |
営業CFは年間約3,000億円と安定的に創出。FY2025/3期はEBITDA改善により3,015億円と高水準です。一方、投資CFはCalliditas・ODC買収のM&A関連支出約1,995億円を含む3,811億円に急増。FCFは-797億円ですが、これはヘルスケア事業への成長投資の先行期であり、借入で資金を手当てしている状況です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,780億円 | 983億円 | 55.2% |
| FY2022/3 | 2,121億円 | 502億円 | 23.7% |
| FY2023/3 | 1,209億円 | 2,128億円 | 176.1% |
| FY2024/3 | 901億円 | 463億円 | 51.4% |
| FY2025/3 | 1,935億円 | 585億円 | 30.2% |
FY2023/3期はポリポアのれん減損により繰延税金資産の取り崩しなどで実効税率が175%と異常値を記録。FY2025/3期には利益回復に伴い30.2%と標準的な水準に戻りました。FY2026/3期は税引前利益2,150億円に対し法人税等900億円を見込み、実効税率は約42%の見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 800万円 | 50,352人 | - |
平均年収800万円は化学業界の中でも高水準。連結従業員約50,400名を擁するグローバル企業で、平均年齢41.8歳、平均勤続年数14.8年と長期雇用が根付いた安定的な組織です。マテリアル・住宅・ヘルスケアの多角的事業により、景気変動に強い雇用基盤を確保しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
機関投資家中心の安定構成。従業員持株会2.8%を安定株主に加算済み。外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな評価が反映されやすい銘柄です。
典型的な機関投資家中心の安定株主構成。信託銀行2社で約23%を保有し、日本生命・住友生命・明治安田生命など生命保険会社が上位に入る大型株らしい構造です。特定の支配株主は存在せず経営の独立性が高いのが特徴。旭化成グループ従業員持株会(2.83%)が上位に入っており、社員のエンゲージメントの高さがうかがえます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| マテリアル | 約1兆3,688億円 | 874億円 | 6.4% |
| 住宅 | 約1兆359億円 | 959億円 | 9.3% |
| ヘルスケア | 約6,159億円 | 640億円 | 10.4% |
3領域のうちヘルスケアの営業利益率が10.4%と最も高く、重点成長事業として位置づけられています。マテリアルは売上規模最大ですが、石化事業を含むため利益率は6.4%。中計では「重点成長」事業(医薬・クリティカルケア・海外住宅・エレクトロニクス)の利益構成比を2021年度の28%から2027年度に約50%へ引き上げる計画です。
この会社のガバナンスは?
取締役14名中女性3名(比率21.4%)でダイバーシティの取り組みが進んでいます。連結子会社309社を擁するグローバルな経営体制で、設備投資額は1,242億円と成長投資に積極的。監査報酬5億300万円は大型複合企業として妥当な水準です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 2,300億円 | 2,000億円以上 | 1,283億円 | -36.3% |
| FY2024 | 1,700億円 | — | 1,407億円 | -17.2% |
| FY2025 | 2,000億円 | — | 2,119億円 | +5.9% |
| FY2026 | 2,150億円 | 2,150億円 | — | 進行中 |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
前中計「Be a Trailblazer」では営業利益目標2,700億円に対し最終実績1,407億円と大幅未達でした。一方、現中計「Trailblaze Together」初年度のFY2025/3は営業利益2,119億円(目標3,000億円に対し進捗71%)と好スタート。FY2026/3予想2,150億円に加え、アイキュリス買収でFY2028/3に医薬事業売上3,000億円を目指す成長戦略を明確化しています。
株の売買状況と今後の予定
化学セクター平均PER15.8倍に対し、旭化成は17.2倍とやや割高な評価を受けています。これはヘルスケア事業の成長期待やアイキュリス買収による製薬事業拡大のプレミアムが織り込まれたもの。PBR1.14倍は純資産を上回る水準で、信用倍率4.12倍はやや買い長の需給環境です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
脱石油化学の事業転換やアイキュリス買収が評価され、5営業日連続で上場来高値を更新。市場からの期待が高まっています。
ドイツの医薬品開発企業アイキュリスを約1,431億円で買収すると発表。重症感染症領域を強化し「スペシャリティファーマ」を目指す。
FY2026/3期3Q累計で経常利益前年同期比+17.7%の1,796億円。通期見通しを上方修正し、7期ぶりの経常最高益更新を視野に。
FY2025/3期の営業利益2,119億円(前期比+50.6%)と大幅回復。純利益は前期比3倍超の1,350億円に急伸。増配も発表。
中期経営計画2027「Trailblaze Together」を発表。2027年度営業利益3,000億円、ROIC6.0%、ROE9.0%を目指す。
最新ニュース
旭化成 まとめ
ひとめ診断
「マテリアル・住宅・ヘルスケアの三本柱で暮らしと社会を支える総合化学メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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