第一稀元素化学工業
DAIICHI KIGENSO KAGAKU-KOGYO CO.,LTD
最終更新日: 2026年3月27日
ジルコニウムで世界を支える、未来材料のトップランナー
ジルコニウム化合物の可能性を最大限に引き出し、地球環境の保全と人々の豊かな暮らしを両立させる未来社会の創造に貢献します。
この会社ってなに?
あなたが毎日乗っているかもしれないガソリン車。そのマフラーの中には、排気ガスをきれいにするための部品が入っています。第一稀元素化学工業は、その部品に欠かせない『ジルコニウム』という素材で世界トップシェアを誇る会社です。実はジルコニウムは、スマホの電子部品や、歯の治療で使う白い詰め物(セラミック)、さらには燃料電池など、身の回りの意外なところでも大活躍しています。普段は目に見えないけれど、私たちのクリーンな環境と便利な暮らしを支えている、まさに『縁の下の力持ち』のような企業なんです。
ジルコニウム化合物の世界トップメーカー。FY2025決算では売上高336.4億円、営業利益22.82億円と減収減益を記録しました。主力の自動車排ガス浄化触媒事業が市場環境の変化に直面する一方、レアアース代替材料の開発やベトナム新工場の本格稼働など、次世代の収益源確保に向けた動きを加速させています。非常に高いPERは、これらの新事業への強い期待感を反映していると言えるでしょう。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪市中央区北浜4丁目4番9号
- 公式
- www.dkkk.co.jp
社長プロフィール
当社はジルコニウム化合物のパイオニアとして、その可能性を追求し、社会に貢献することを使命としています。これからも技術革新を続け、グローバルな視点でお客様や社会の期待を超える価値を創造し、持続可能な未来の実現を目指してまいります。
この会社のストーリー
大阪府にて第一稀元素化学工業株式会社を設立。ジルコニウム化合物の研究開発と製造を開始し、新たな素材の可能性に挑む歩みを始めた。
社会的な信用と認知度を高め、さらなる事業拡大に向けた経営基盤を強化。公募価格3,600円に対し、初値は5,110円と市場の高い期待を集めた。
世界的な自動車排ガス規制の強化を背景に、主力の触媒材料の需要が拡大。生産能力の増強を図り、グローバルな環境問題への貢献を加速させた。
ジルコニウム化合物の原料であるオキシ塩化ジルコニウムを製造する新工場がベトナムで稼働開始。グローバルでの安定供給体制を一層強化した。
供給リスクのあるレアアースを使わず、調達が容易なカルシアで安定させたジルコニア材料を開発。地政学リスクに対応し、持続可能な製品供給への道を開いた。
原子力機構発のスタートアップとEV電池リサイクル・レアメタル資源循環促進で協業を開始。オープンイノベーションにより、次世代の技術開発に取り組む。
中期経営計画の一環として、グループ全体の経営基盤の可視化とサプライチェーンマネジメントの高度化を推進。さらなる成長に向けた盤石な体制を構築している。
注目ポイント
自動車の排ガス浄化触媒などに使われるジルコニウム化合物で世界シェア約40%を誇るニッチトップ企業。私たちの生活と地球環境を陰で支えています。
地政学リスクが懸念されるレアアースを使わない新材料を開発。資源の安定供給に貢献する技術力は、企業の持続的な成長ポテンシャルを示しています。
EV電池のリサイクル技術を持つスタートアップと協業するなど、既存事業に留まらず未来の成長分野へ積極的に投資。変化をチャンスに変える姿勢が魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 9円 | 7.8% |
| FY2017/3 | 60円 | 38.9% |
| FY2018/3 | 16円 | 13.0% |
| FY2019/3 | 19円 | 14.9% |
| FY2020/3 | 20円 | 20.6% |
| FY2021/3 | 18円 | 35.4% |
| FY2022/3 | 23円 | 30.2% |
| FY2023/3 | 34円 | 20.6% |
| FY2024/3 | 26円 | 55.5% |
| FY2025/3 | 26円 | 79.7% |
現在、株主優待制度は廃止されており、実施されていません。
配当方針として安定的な利益還元を重視しており、持続的な成長のための投資とのバランスを図っています。近年の業績低下に伴い配当性向が上昇傾向にありますが、長期的な視点での安定配当を基本姿勢として維持しています。今後も収益基盤の回復に合わせて、株主への適切な還元を継続する方針です。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高はFY2023/3に約357億円まで拡大しましたが、以降は自動車排ガス浄化触媒の需要調整等の影響を受け、FY2025/3には約336億円まで緩やかに減少しました。利益面ではFY2023/3に営業利益約54億円を計上してピークを迎えましたが、その後の市況変動による稼働率の低下や先行投資負担が重なり、直近では減益傾向にあります。FY2026/3予想では回復基調を目指しているものの、利益水準は依然として厳しい見通しです。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.3% | 2.2% | - |
| FY2022/3 | 4.1% | 3.2% | - |
| FY2023/3 | 12.1% | 6.1% | - |
| FY2024/3 | 9.6% | 1.7% | 6.9% |
| FY2025/3 | 6.4% | 1.2% | 6.8% |
収益性はFY2023/3を境に大きく変化しており、ピーク時の営業利益率は15.1%という高い水準を記録しました。しかし、FY2024/3以降は原料調達コストや製造コストの変動に加え、主力の自動車関連製品の需要減速が響き、営業利益率は6%台まで低下しています。ROEも同様の傾向を辿っており、資本効率の改善が今後の持続的な成長に向けた重要な課題となっています。
財務は安全?
自己資本比率はFY2025/3時点で58.6%と高い財務健全性を維持しています。FY2024/3から有利子負債を計上していますが、強固な資産基盤を背景に安定した経営を続けており、BPSも緩やかながら増加傾向にあります。無駄な負債を抱えず、効率的な資本活用を行うことで、市況低迷期でも長期的な経営の安定性は十分に確保されています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 56.6億円 | -64.5億円 | 24.9億円 | -7.9億円 |
| FY2022/3 | 32.3億円 | -42.2億円 | -800万円 | -9.9億円 |
| FY2023/3 | 38.9億円 | -44.2億円 | 24.5億円 | -5.3億円 |
| FY2024/3 | 53.1億円 | -34.5億円 | -24.4億円 | 18.6億円 |
| FY2025/3 | 35.0億円 | -5.5億円 | -35.3億円 | 29.5億円 |
営業キャッシュフローは、ジルコニウム化合物の安定した需要を背景に年間30億から50億円規模の獲得を継続しています。投資活動に関しては、生産体制の強化やベトナム拠点への設備投資を優先してきたため、以前はフリーキャッシュフローがマイナスとなる期間が続きました。直近では設備投資のピークアウトによりフリーキャッシュフローが大幅なプラスに転じ、財務体質の改善や配当等への原資を十分に確保できる体制へ移行しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 21.3億円 | 9.0億円 | 42.0% |
| FY2022/3 | 60.0億円 | 41.5億円 | 69.2% |
| FY2023/3 | 59.7億円 | 19.5億円 | 32.7% |
| FY2024/3 | 29.4億円 | 18.0億円 | 61.3% |
| FY2025/3 | 6.3億円 | 0円 | 0.0% |
法人税等の支払額は、業績の変動に伴い年度間で大きな振れ幅が生じています。利益水準が高い時期には実効税率が上昇する傾向があり、特に一時的な税務処理や損益構造の変化が影響を与えています。直近のFY2025/3のように利益が大幅に減少した期には、税負担が軽減される一方で、今後の利益回復に伴い再び適正水準への調整が求められます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 683万円 | 698人 | - |
従業員平均年収は683万円であり、製造業の平均水準と比較しても安定した給与体系です。ジルコニウム化合物において世界トップシェアを誇る独自の技術力により、利益が社員へ適切に還元されている良好な雇用環境が構築されています。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。 主な安定株主は第一稀元素化学工業従業員持株会・岩谷産業。
株主構成は、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託口が上位を占めており、機関投資家の影響力が強い構造です。一方で、従業員持株会や創業関係者と見られる個人名も上位に名を連ねており、安定株主の存在感と創業時の経営姿勢が現在も色濃く反映されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
自動車排ガス浄化触媒を中心とした無機化学品の製造販売が主要事業であり、連結子会社5社を通じてグローバル展開しています。主な事業リスクとして、為替変動や原材料調達の安定性、さらには世界的な自動車業界の動向が業績に直結する点が挙げられます。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は22.2%と、上場企業の平均と比較して高い水準を維持しており、多様性への取り組みが進んでいます。監査報酬3,400万円を投じて外部監査体制を整えるなど、企業規模に見合った透明性の高いガバナンス体制を構築しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 380億円 | — | 336億円 | -11.5% |
| FY2024 | 400億円 | — | 352億円 | -11.9% |
| FY2023 | 345億円 | — | 358億円 | +3.6% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 30億円 | — | 23億円 | -23.9% |
| FY2024 | 30億円 | — | 24億円 | -19.3% |
| FY2023 | 48億円 | — | 54億円 | +12.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
同社は具体的な中期経営計画を大々的に公表していませんが、期初の会社予想が実質的な目標となります。過去2期(FY2024, FY2025)は売上・利益ともに期初予想を10%以上下回る大幅な未達となっており、計画精度に課題を残しています。一方で、進行中のFY2026予想では営業利益10億円と非常に保守的な目標を設定しており、第3四半期時点での為替差益などから既に上方修正を発表。これは過年度の未達を踏まえた現実的な目標設定への転換と見られますが、投資家からの信頼回復が急務です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)を見ると、FY2021はTOPIXを上回ったものの、FY2022以降は4年連続でTOPIXをアンダーパフォームしています。これは、株価が特定のテーマ(レアアース代替など)で一時的に急騰するものの、持続的な成長期待につながる業績の伸びが見られず、結果として市場平均を下回るリターンに留まっていることを示しています。安定した株主還元と持続的な業績成長を実現し、TSRを改善していくことが経営課題と言えるでしょう。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 176.0万円 | +76.0万円 | 76.0% |
| FY2022 | 140.0万円 | +40.0万円 | 40.0% |
| FY2023 | 145.0万円 | +45.0万円 | 45.0% |
| FY2024 | 141.0万円 | +41.0万円 | 41.0% |
| FY2025 | 109.0万円 | +9.0万円 | 9.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PERは396.6倍と化学セクター平均を大幅に上回っており、業績対比で株価は割高な水準にあります。これは脱レアアースという将来のテーマ性への期待が株価に織り込まれていることを示唆しています。信用倍率は3.09倍とやや買い残が多い状況ですが、過熱感があるレベルではありません。今後の決算で、市場の高い期待に応える成長を示せるかが焦点となります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
エマルションフローテクノロジーズとリサイクル技術開発に向けた基本合意契約を締結。
レアアース不使用材料への期待から株価が急上昇し、年初来高値4,400円を記録。
為替差益の計上などにより、第3四半期累計の連結経常利益を上方修正し増収増益を達成。
最新ニュース
第一稀元素化学工業 まとめ
ひとめ診断
「地味な化学メーカーと思いきや、実はEVや半導体にも欠かせないジルコニウムの世界覇者」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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