コーセーHD
KOSE Holdings Corporation
最終更新日: 2026年3月22日
19年ぶりの社長交代で「脱・自前」の成長戦略へ。DECORTEを武器に世界へ挑む美の老舗
2030年に向けて「Lifelong Beauty Partner」として、世界中の人々の一生涯にわたる美と健康に貢献するグローバルビューティーカンパニーとなること。
この会社ってなに?
コーセーは「DECORTE(コスメデコルテ)」「雪肌精」「JILL STUART」「ADDICTION」など、百貨店やドラッグストアで見かける化粧品ブランドを展開する会社です。スキンケアからメイクアップ、ヘアケアまで幅広く手がけており、あなたの日常の美容を支えています。
2025年12月期は売上高3,302億円(前期比+2.3%)、営業利益185億円(同+6.3%)と増収増益を達成。2026年1月に持株会社体制へ移行し、創業家以外から初の社長となる澁澤宏一氏が就任した。中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner」のもと、東南アジア・インド市場でのM&Aを積極化し、海外売上比率35%の拡大を目指す。2026年12月期は売上高3,500億円、営業利益200億円を計画。配当は年150円(前期比+10円)への増配を予想し、株主優待制度も充実している。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都中央区日本橋3-6-2
- 公式
- koseholdings.co.jp
社長プロフィール
コーセーグループは、化粧品の力で世界中の人々に美しさと自信を届けることを使命としています。持株会社体制への移行を機に、グループの総合力を最大限に発揮し、M&Aやパートナーシップを通じた『脱・自前』の成長により、グローバルビューティーカンパニーへの飛躍を目指します。
この会社のストーリー
戦後間もない東京で化粧品の製造販売を開始。「知恵と工夫で美しさを届ける」という創業精神が現在まで受け継がれる。
百貨店向けプレステージブランドとして誕生し、のちにコーセーの看板ブランドへ成長。高級スキンケアの代名詞となる。
創業から53年を経て東証一部への上場を果たし、企業としての信頼性と成長基盤を大きく強化。
米国の人気コスメブランド「tarte」を買収し、北米市場への本格参入を実現。グローバル戦略の転換点となる。
中国のゼロコロナ政策解除後も消費回復が鈍く、営業利益率が低下。構造改革の必要性が明確に。
創業家以外から初の社長として澁澤宏一氏が就任。「脱・自前」のM&A戦略でASEAN・インド市場の開拓を加速。
中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner」の達成年。営業利益率15%以上、海外売上比率50%超を目指す。
注目ポイント
百貨店チャネルでトップクラスの人気を誇るプレステージブランド群を擁し、特にDECORTEはアジア圏で高い支持を獲得しています。
米国tarte社、インドFoxtale社への出資など、「脱・自前」で世界の美容市場を開拓。海外売上比率50%超を目指しています。
100株保有で5,000円相当、3年以上の長期保有で最大9,000円相当の自社グループ化粧品が届く、化粧品好きにはたまらない優待制度です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 94円 | 28.7% |
| FY2017/3 | 110円 | 29.0% |
| FY2018/3 | 148円 | 27.6% |
| FY2019/3 | 180円 | 27.7% |
| FY2020/3 | 190円 | 40.6% |
| FY2021/3 | 120円 | 51.3% |
| FY2022/3 | 140円 | 42.5% |
| FY2023/3 | 140円 | 68.5% |
| FY2024/3 | 140円 | 106.4% |
| FY2025/3 | 140円 | 52.9% |
| 必要株数 | 100株以上(約59万円) |
| 金額相当 | 約5,000円相当 |
| 権利確定月 | 12月 |
| 長期特典 | 3年以上継続保有で7,000~9,000円相当にグレードアップ |
FY2024/12は純利益75億円に対し配当総額は約85億円と配当性向106.4%で赤字配当ではないものの実質的に利益を超える還元を実施しました。FY2025/12は純利益の回復により配当性向52.9%と健全化し、FY2026/12は年150円への10円増配を予想しています。株主優待は自社化粧品の贈呈で、100株保有で5,000円相当、3年以上の長期保有で最大9,000円相当にグレードアップする手厚い制度です。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2025/12は売上高3,302億円、営業利益185億円と増収増益を達成しました。FY2024/12には純利益が75億円に落ち込みましたが、これは一時的な税負担増(実効税率65.3%)が主因で、FY2025/12には純利益151億円へとV字回復しています。FY2026/12は売上高3,500億円、営業利益200億円と過去最高水準の更新を計画しており、持株会社体制移行による経営効率化とグローバル展開の加速が成長ドライバーです。
事業ごとの売上・利益
DECORTE、雪肌精、JILL STUART、ADDICTION等の高級化粧品。プレステージ領域に強み
ファシオ、ヴィセ、クリアターン等のセルフ化粧品。ドラッグストア・量販店向け
アメニティ用品、不動産賃貸等のグループ事業
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 9.9% | 4.2% | - |
| FY2022/3 | 11.0% | 5.2% | - |
| FY2023/3 | 4.1% | 3.1% | - |
| FY2024/3 | -0.4% | 1.9% | 5.4% |
| FY2025/3 | 9.4% | 3.8% | 5.6% |
FY2022/12をピークに収益性が低下しましたが、FY2025/12にはROE5.0%、営業利益率5.6%と回復基調にあります。中長期ビジョンでは営業利益率15%以上を目標に掲げており、高付加価値のプレステージ化粧品の拡大とコスメタリー事業の構造改革による収益性改善が期待されます。同業の資生堂(営業利益率約5%)と同水準ですが、花王(約10%)には及ばない水準です。
財務は安全?
自己資本比率は71〜75%と極めて高く、実質無借金経営に近い堅牢な財務体質を維持しています。FY2024/12に若干の有利子負債が発生しましたが831百万円と極めて少額です。BPSは毎期着実に上昇しており、株価5,881円に対しBPS4,979円(PBR1.18倍)と、資産価値に裏付けられた株価水準です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 178億円 | -47.2億円 | -143億円 | 131億円 |
| FY2022/3 | 203億円 | -63.1億円 | -73.1億円 | 140億円 |
| FY2023/3 | 304億円 | -112億円 | -96.8億円 | 192億円 |
| FY2024/3 | 184億円 | -89.3億円 | -86.8億円 | 94.5億円 |
| FY2025/3 | 111億円 | -177億円 | -100億円 | -66.1億円 |
FY2025/12は投資CFが-177億円と大幅に拡大し、FCFが-66億円と初のマイナスに転じました。これは東南アジアやインドでのM&A・ブランド投資を積極化した結果であり、中長期的な成長に向けた戦略投資と捉えるべきです。営業CFは111億円と前期比で減少しましたが、本業のキャッシュ創出力は維持されています。FY2023/12の営業CF304億円がピークで、今後は事業規模の拡大に伴う回復が見込まれます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 224億円 | 90.3億円 | 40.4% |
| FY2022/3 | 284億円 | 96.2億円 | 33.9% |
| FY2023/3 | 203億円 | 85.9億円 | 42.4% |
| FY2024/3 | 216億円 | 141億円 | 65.3% |
| FY2025/3 | 215億円 | 63.5億円 | 29.6% |
FY2024/12は実効税率が65.3%と異常値を示しましたが、これは海外子会社の税務調整や繰延税金の影響による一時的なものです。FY2025/12には29.6%と正常化し、FY2026/12予想は39.5%と標準的な水準を見込んでいます。税負担の一時的な増加がFY2024/12の純利益を大幅に押し下げた主因であり、本業の収益力は堅調に推移しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 747万円 | 8,566人 | - |
平均年収は約716万円で、化粧品業界では標準的な水準です。連結子会社38社を擁するグループ全体の従業員数は約1万4,000名規模に達します。平均年齢40.5歳、平均勤続年数13年と、安定した雇用環境が維持されています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。
株主構成は創業家関連の一般社団法人3社(コーセーマネジメント、ウッド、MYMラボラトリーズ)が合計約29.4%を保有しており、創業家による安定的な経営基盤が確保されています。一方、日本マスタートラスト信託銀行やJP Morgan等の機関投資家も上位に入っており、市場からの評価も反映された株主構成となっています。浮動株比率は51%で、流動性と安定性のバランスが取れています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 化粧品事業 | 約2,600億円 | 約155億円 | 約6.0% |
| コスメタリー事業 | 約660億円 | 約66億円 | 約10.0% |
| その他事業 | 約40億円 | 約17億円 | 約43% |
研究開発費
役員報酬は取締役9名に対して総額5億5,200万円を支給しています。事業は化粧品事業(売上の約79%)とコスメタリー事業(約20%)の二本柱で構成されており、化粧品事業はDECORTEを中心としたプレステージブランドに強みがあります。コスメタリー事業は営業利益率10%と化粧品事業より収益性が高く、安定的な収益源となっています。研究開発費は約100億円(売上比3.0%)で、スキンケア分野の基礎研究に注力しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率37.5%は化粧品業界のリーディングカンパニーとして高い水準です。化粧品という女性消費者が中心の市場において、多様な視点を経営に反映する体制が整っています。連結子会社38社のグループ経営にあたり、持株会社体制への移行によりガバナンスの一層の強化を図っています。設備投資額216.8億円は研究施設やアジアの生産拠点拡充に充てられています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 3,360億円 | — | 3,302億円 | -1.7% |
| 2024年12月期 | 3,120億円 | — | 3,228億円 | +3.4% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 200億円 | — | 185億円 | -7.7% |
| 2024年12月期 | 200億円 | — | 174億円 | -13.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner」では、2030年をマイルストーンに売上高5,000億円以上、営業利益率15%以上を掲げています。Phase I(構造改革の完遂と基盤再構築)からPhase II(確実な成長スパイラルへの転換)へと進む計画で、東南アジアやインドでのM&Aによるブランド獲得と、国内のプレステージブランド強化が成長の両輪となります。業績予想の精度は直近でやや未達傾向ですが、保守的な計画策定の裏返しとも言えます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
コーセーHDの5年間TSR(株主総利回り)は39.5%と、TOPIX(200.0%)を大きくアンダーパフォームしています。FY2022/12のピークから中国市場減速の影響で株価が下落し続けたことが主因です。ただし、持株会社体制への移行と新社長就任による経営改革が進めば、業績回復とともにTSRの改善が期待されます。配当と株主優待によるインカムゲインがTSRの下支えとなっている点は注目です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021/12 | 178.6万円 | +78.6万円 | 78.6% |
| FY2022/12 | 166.3万円 | +66.3万円 | 66.3% |
| FY2023/12 | 173.7万円 | +73.7万円 | 73.7% |
| FY2024/12 | 155.5万円 | +55.5万円 | 55.5% |
| FY2025/12 | 139.5万円 | +39.5万円 | 39.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は3.53倍と買い長で、個人投資家の先高期待が見て取れます。PERは27.7倍とセクター平均を上回りますが、PBRは1.18倍と資産価値に対してはやや割安です。化粧品業界で時価総額2位の位置づけながら、資生堂(約2.5兆円)との差は大きく、M&Aによる規模拡大が株価評価向上の鍵となります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
2025年12月期の通期決算を発表。売上高3,302億円、純利益151億円と増収増益を達成し、FY2026/12は売上高3,500億円、営業利益200億円を計画。
持株会社体制に移行し、商号をコーセーホールディングスに変更。創業家以外から初の社長として澁澤宏一氏が就任。
持株会社体制への移行と経営陣の刷新を取締役会で決議。19年ぶりの社長交代を発表。
インドの美容D2Cブランド「Foxtale」に出資し、グローバルサウス市場への足がかりを構築。脱・自前の成長戦略を加速。
最新ニュース
コーセーHD まとめ
ひとめ診断
化粧品大手コーセーが持株会社制へ移行。19年ぶり社長交代で脱・創業家経営に踏み出し、M&Aによるグローバル成長を加速
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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