クレハ
KUREHA CORPORATION
最終更新日: 2026年3月27日
暮らしのそばから、未来の技術まで。独自素材で世界を変える化学メーカー
『環境・エネルギー』、『ライフ』、『情報通信』の3分野で、独創的な技術と製品を提供し、持続可能な社会の実現に貢献する未来を創造します。
この会社ってなに?
あなたが料理をするときに使う食品用ラップ「NEWクレラップ」、実はクレハの製品です。箱の刃が特徴的で、スパッと切れるあの使い心地を支えています。また、普段あなたが使っているスマートフォンや、今後ますます普及する電気自動車(EV)にも、クレハの技術が隠されています。これらの製品に欠かせない高性能バッテリーの重要な部品(バインダー)を製造しており、目に見えないところで現代社会の最先端技術を支えている会社なのです。
クレハは、家庭用ラップ「NEWクレラップ」で知られる一方、リチウムイオン電池向けフッ化ビニリデン(PVDF)など高機能化学製品を主力とする企業です。直近のFY2025決算では売上高1620.2億円、営業利益94.28億円と、中国の景気減速などの影響で前年比減収減益となりました。しかし、2030年度に営業利益350億円以上を目指す長期計画を掲げ、EV市場の拡大を追い風にPVDFへの設備投資を継続しています。近年は大幅な増配や大規模な自己株取得など、株主還元への積極姿勢も市場から注目されています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋浜町3丁目3番2号
- 公式
- www.kureha.co.jp
社長プロフィール

当社は『どこにもまねできないものをクレハから』をスローガンに、独自性の高い技術で社会に貢献するとともに、資本収益性を重視した経営を推進しています。中長期経営計画ではPBR1倍以上をKPIに設定し、持続的な成長と企業価値向上を通じて、株主の皆様のご期待に応えてまいります。
この会社のストーリー
カセイソーダの国産化を目指し、福島県いわき市に設立。日本の化学産業の発展と共に歩みを始める。
設立からわずか5年で上場を果たし、事業拡大に向けた基盤を固める。
日本初の家庭用食品包装ラップを発売。お茶の間の定番商品となり、クレハの名前を全国に広める。
世界で初めてピッチ系炭素繊維の工業化に成功。高機能素材メーカーとしての地位を確立する。
慢性腎不全用剤「クレメジン」を発売し、医薬品事業へ本格進出。事業の多角化を推進する。
主力工場であるいわき事業所が被災するも、全社一丸となって復旧に取り組む。サプライチェーンの強靭さを示す。
大幅な増配計画と発行済み株式数の1割を超える大規模な自社株買いを発表。資本効率と株主価値向上への強い意志を示す。
中期経営計画に基づき、EV向けリチウムイオン電池材料(PVDF)への大型投資を推進。環境・エネルギー分野で世界のトップ企業を目指す。
注目ポイント
リチウムイオン電池の性能を左右するバインダー(PVDF)で世界トップクラスのシェアを誇ります。EV市場の拡大に伴い、中核事業として更なる成長が期待されています。
2024年に大規模な自社株買いと大幅な増配計画を発表。PBR1倍以上を目標に掲げ、資本効率を意識した経営で株主への利益還元に積極的に取り組んでいます。
家庭用品の「クレラップ」で有名ですが、医薬品や農薬、最先端の炭素製品まで手掛けています。安定した収益基盤と高い技術力で景気変動に強い事業構造を構築しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 11円 | 25.7% |
| FY2018/3 | 46.9円 | 24.6% |
| FY2019/3 | 61.9円 | 24.3% |
| FY2020/3 | 63.8円 | 24.5% |
| FY2021/3 | 63.8円 | 24.6% |
| FY2022/3 | 78.8円 | 28.9% |
| FY2023/3 | 101.3円 | 31.2% |
| FY2025/3 | 86.7円 | 57.9% |
株主優待制度は設けておりません。
配当方針として持続的な利益還元と資本効率の向上を掲げており、業績に応じた適正な分配を重視しています。直近では利益水準の変動に伴い配当額を見直していますが、中長期的には株主還元を強化する姿勢を堅持しています。今後は資本収益性の指標を意識した経営により、配当水準の安定的かつ前向きな維持を目指します。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
クレハの業績は、高機能素材分野におけるPVDF樹脂などの好調や原材料価格の安定により、2023年3月期まで順調に売上高・利益ともに拡大してきました。しかし、2024年3月期以降は、世界的な需要調整や原材料市況の変動影響を受け、当期純利益はFY2023/3の約169億円からFY2025/3には約78億円まで減益傾向にあります。2026年3月期は、製品ミックスの改善とコスト削減策の徹底により、純利益約100億円への回復を見込んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 10.0% | 6.9% | - |
| FY2022/3 | 7.3% | 7.2% | - |
| FY2023/3 | 7.7% | 7.8% | - |
| FY2024/3 | 6.3% | 4.2% | 13.3% |
| FY2025/3 | 4.4% | 3.0% | 10.9% |
収益性は、FY2023/3まで営業利益率が11%台後半と安定して推移していましたが、直近では需要減退に伴う稼働率低下が響き、営業利益率は5.8%まで低下しています。ROE(自己資本利益率)についても、利益水準の低下によりFY2023/3の7.8%からFY2025/3には3.7%まで縮小しました。今後は高付加価値製品へのシフトを通じ、資本効率と収益力の両面での再強化が経営の重要課題となっています。
財務は安全?
財務健全性は、自己資本比率が60%を超えており、強固な基盤を維持しています。FY2024/3以降、戦略的投資に伴い有利子負債が増加し、FY2025/3には約849億円の借入がありますが、総資産に対する財務余力は依然として十分です。今後も成長投資と手元流動性のバランスを図りながら、PBR1倍超に向けた資本政策を推進する方針です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 116億円 | -343億円 | 121億円 | -227億円 |
| FY2025/3 | 295億円 | -394億円 | 84.4億円 | -99.1億円 |
営業キャッシュフローは安定して創出されていますが、成長分野への積極的な設備投資を継続しているため、フリーキャッシュフローは直近でマイナス圏で推移しています。FY2024/3以降は投資支出が拡大しており、これらを賄うために調達活動も実施されました。将来的な収益拡大を目指し、足元ではキャッシュの流出を伴う投資を優先する戦略をとっています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 98.5億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 138億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 140億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 137億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 64.1億円 | 0円 | 0.0% |
法人税等の支払いは税引前利益の変動に連動しています。FY2025/3は利益の減少により税額が一時的に低下し、実効税率も低水準となりました。次期以降は業績回復に伴い、標準的な税率水準へ戻る見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 749万円 | 4,017人 | - |
従業員平均年収は749万円となっており、化学業界の平均と比較しても高水準に位置しています。これは高機能素材や医薬品といった高付加価値製品を安定的に提供し、高い営業利益率を維持できている収益構造が従業員への適正な還元を支えているためです。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はレノ・明治安田生命保険相互会社・エスグラントコーポレーション。
クレハの株主構成は、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの信託口が大半を占め、機関投資家による保有割合が高いのが特徴です。また、アクティビストとして知られる株式会社レノやエスグラントコーポレーションも上位株主として名を連ねており、経営陣に対する資本効率改善への圧力が高まりやすい環境にあります。
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報によると、売上高は「機能製品」「化学製品」の2本柱で安定しており、特にリチウムイオン電池向けPVDF樹脂などの高機能素材が成長を牽引しています。事業リスクには原材料価格の変動や為替リスクが挙げられますが、多角的なポートフォリオにより安定した経営基盤を構築しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は11.1%であり、更なる登用が求められる段階です。監査体制については7,400万円の報酬を支払うなど強固な監督機能を維持しており、中長期経営計画ではPBR1倍超を目標に掲げるなど、資本効率を意識した経営ガバナンスに注力しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,700億円 | — | 1,620億円 | -4.7% |
| FY2024 | 1,900億円 | — | 1,780億円 | -6.3% |
| FY2023 | 1,800億円 | — | 1,913億円 | +6.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 140億円 | — | 94億円 | -32.7% |
| FY2024 | 220億円 | — | 128億円 | -41.8% |
| FY2023 | 220億円 | — | 224億円 | +1.6% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
クレハは2030年度に営業利益350億円以上という長期目標を掲げ、EV向け電池材料(PVDF)への集中投資を進めています。短期的な業績は、中国市場の減速や市況の悪化によりFY2024、FY2025と期初予想を大幅に下回る結果となりました。しかし、株価を意識した経営にシフトしており、PBR1倍超えを前倒しで達成するなど、資本効率改善への取り組みが見られます。足元の業績は厳しいものの、将来の成長に向けた布石を着実に打っている段階と評価できます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、FY2021からFY2023にかけてTOPIXを大きく上回るパフォーマンスを示しました。これは、EV向けリチウムイオン電池材料の需要拡大期待を背景とした株価上昇と、安定した配当が要因です。しかし、FY2024には市況悪化による業績下方修正が響き、TSRはTOPIXを下回りました。FY2025には大幅な増配と自社株買いが発表され、再びTOPIXをアウトパフォームしており、株主還元強化策がTSR向上に直結していることがわかります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 177.3万円 | +77.3万円 | 77.3% |
| FY2022 | 231.3万円 | +131.3万円 | 131.3% |
| FY2023 | 206.6万円 | +106.6万円 | 106.6% |
| FY2024 | 205.7万円 | +105.7万円 | 105.7% |
| FY2025 | 214.4万円 | +114.4万円 | 114.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER・PBRともに化学業界の平均とほぼ同水準にあり、市場からは標準的な評価を受けていると言えます。一方、信用倍率は1倍を切り売り残が買い残を上回る「売り長」の状態が続いており、将来的な株価下落を見込む投資家が多いことを示唆しています。これは短期的な業績懸念を反映している可能性がありますが、逆に株価上昇時には買い戻し(ショートカバー)による急騰要因ともなり得ます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
前期経常利益の一転黒字・最高益への上方修正および上限11.26%の大規模自社株買いを発表しました。
家庭用品ブランド「パチック」および「ダストマン」のブランドリニューアルを実施しました。
クレハサービスを存続会社とするクレハ分析センターとの吸収合併を予定しています。
最新ニュース
クレハ まとめ
ひとめ診断
「『クレラップ』の会社が、実はEV電池のキープレイヤーという二刀流経営」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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