高砂香料工業
TAKASAGO INTERNATIONAL CORPORATION
最終更新日: 2026年3月28日
香りで世界を豊かにする、100年企業の実力とやさしさ
人にやさしく、環境にやさしく。技術と創造で豊かな社会に貢献し続ける。
この会社ってなに?
あなたがコンビニで手に取るジュースやお菓子、その「いちご味」や「レモン風味」の香りは、もしかしたら高砂香料が作っているかもしれません。同社は食べ物や飲み物をおいしくする「フレーバー」の専門家です。また、あなたが使っているシャンプーや香水、部屋の芳香剤から漂う「いい匂い」も、同社が手掛ける「フレグランス」という香料がもとになっています。このように、高砂香料は私たちの生活のあらゆる場面に存在する「香り」を創造し、日々の暮らしを豊かに彩る縁の下の力持ちなのです。
香料で国内首位の高砂香料工業は、FY2025に劇的なV字回復を遂げました。売上高は前期比17.0%増の2,292.1億円、営業利益は同562.4%増の153.41億円と急拡大し、過去の収益停滞から完全に脱却。この好業績を背景に、年間配当を前期の70円から240円へと3.4倍に引き上げるという異例の大幅増配を発表。資本コストや株価を意識した経営への転換を鮮明にし、投資家の注目を集めています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都大田区蒲田5丁目37番1号 ニッセイアロマスクエア17F
- 公式
- www.takasago.com
社長プロフィール

私たちは『人にやさしく、環境にやさしく』をスローガンに、香りの技術と創造性で豊かな社会の実現に貢献します。長期ビジョン『Vision 2040』の実現に向け、中期経営計画『NGP-2』を着実に実行し、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
この会社のストーリー
東京・蒲田に合成香料の研究開発を目的として会社を設立。日本の香料産業の黎明期を切り拓く一歩を踏み出した。
創業から40年以上を経て、企業としての基盤を固め、社会的な信用を得て東京証券取引所市場第二部に上場を果たした。
後にノーベル化学賞を受賞する野依良治教授との共同研究を開始。不斉合成技術によるl-メントールの工業的合成法を世界で初めて確立し、技術力を世界に示した。
欧米やアジアに積極的に拠点を拡大。世界中の顧客ニーズに応えるため、現地生産・現地開発体制を強化し、グローバル企業としての地位を確立した。
米国のCentre Ingredient Technology社を買収し、天然香料素材のラインナップを強化。グローバル市場での競争力をさらに高めた。
創業から一世紀。長年の研究開発と顧客との信頼関係を礎に、香料業界のリーディングカンパニーとして新たな100年へ向けて歩み始めた。
長期ビジョン「Vision 2040」の実現に向け、新たな3ヵ年の中期経営計画を始動。持続可能な社会への貢献と企業価値の向上を目指す。
注目ポイント
国内香料業界でトップシェアを誇り、世界でも5本の指に入るグローバルカンパニーです。私たちの身近な食品や化粧品など、多くの製品に同社の香りが使われています。
後にノーベル化学賞を受賞した野依良治氏との共同研究で開発した「不斉合成技術」が強み。この技術を応用し、高品質な香料や医薬品中間体を安定的に生産しています。
安定的かつ継続的な配当を基本方針とし、業績に応じた増配も実施。2025年3月期には大幅な増配を発表するなど、株主への利益還元に積極的な姿勢を見せています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2017/3 | 50円 | 15.6% |
| FY2018/3 | 55円 | 15.5% |
| FY2019/3 | 50円 | 20.7% |
| FY2020/3 | 65円 | 37.5% |
| FY2021/3 | 55円 | 15.1% |
| FY2022/3 | 70円 | 15.4% |
| FY2023/3 | 70円 | 18.6% |
| FY2024/3 | 70円 | 50.5% |
| FY2025/3 | 240円 | 35.1% |
現在、株主優待制度は実施していません。
同社は資本コストや株価を意識した経営を重視しており、利益成長を背景に配当額を大幅に引き上げる方針へと転換しています。特にFY2025/3期には増配を通じて株主還元を強化しました。今後も中長期的な企業価値向上を目指しながら、持続的かつ安定的な利益配分を行うことを基本方針としています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上高はFY2021/3期の約1,504億円からFY2025/3期の約2,292億円へと右肩上がりに成長しており、グローバルな香料需要の拡大が着実な増収に寄与しています。特にFY2025/3期は営業利益が約153億円と過去最高水準を記録し、利益率の大幅な改善を実現しました。一方でFY2026/3期は、原材料コストの変動や医薬品中間体需要の正常化を見込み、売上・利益ともに高止まりを予想する慎重な見通しを維持しています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 4.1% | 3.9% | - |
| FY2022/3 | 7.6% | 4.5% | - |
| FY2023/3 | 7.0% | 3.5% | - |
| FY2024/3 | 6.1% | 1.2% | 1.2% |
| FY2025/3 | 8.4% | 5.1% | 6.7% |
収益性はFY2024/3期に一時的な利益の圧迫によりROEが2.1%まで低下しましたが、FY2025/3期には営業利益率が6.7%まで回復し、資本効率の向上が鮮明となりました。ROAについても5.1%まで上昇しており、グローバルな事業ポートフォリオの最適化と効率的な生産体制の構築が奏功しています。中期的には、付加価値の高いフレーバーやフレグランス素材の供給強化により、さらなる利益率改善が期待されます。
財務は安全?
財務基盤は強固であり、自己資本比率はFY2021/3期からFY2025/3期まで50%台半ばの高い水準を維持しており、経営の安定性が極めて高いことが特徴です。FY2024/3期以降、事業拡大のための投資資金として約983億円から約1,360億円へと有利子負債が増加していますが、純資産の着実な積み上がりにより健全性は保たれています。BPS(1株当たり純資産)も右肩上がりに成長しており、企業価値の増大が継続しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 137億円 | -42.8億円 | -78.6億円 | 94.6億円 |
| FY2022/3 | 116億円 | -72.6億円 | -23.6億円 | 43.1億円 |
| FY2023/3 | 58.2億円 | -32.8億円 | -20.4億円 | 25.4億円 |
| FY2024/3 | 100億円 | -68.2億円 | -4.5億円 | 31.9億円 |
| FY2025/3 | 189億円 | -91.3億円 | 68.8億円 | 98.0億円 |
営業キャッシュフローは安定してプラスを維持しており、潤沢な本業の稼ぎが継続的な成長投資を支える好循環を生み出しています。FY2025/3期は営業CFが約189億円まで拡大し、大規模な設備投資や戦略的な買収資金を自己調達で賄える高いキャッシュ創出能力を示しました。財務CFの変動は主に借入や配当を通じた資金配分によるものですが、フリーキャッシュフローは常にプラス圏を確保しており、強固な財務体質が裏付けられています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 72.8億円 | 1.3億円 | 1.7% |
| FY2022/3 | 102億円 | 12.6億円 | 12.4% |
| FY2023/3 | 79.6億円 | 5.7億円 | 7.1% |
| FY2024/3 | 47.1億円 | 20.1億円 | 42.7% |
| FY2025/3 | 153億円 | 19.9億円 | 13.0% |
法人税等の支払額は各期の税引前利益の変動に応じて推移しており、FY2024/3期に実効税率が一時的に上昇したのは、繰延税金資産の取り崩し等の会計上の要因によるものです。グローバル企業として多国籍な拠点を展開しているため、各国の税制や税額控除の影響を受けやすく、年によって税率に変動が見られます。概ね低水準で推移しており、税負担のコントロールが適切に行われていると判断されます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 863万円 | 4,154人 | - |
平均年収は863万円となっており、香料業界のリーディングカンパニーとして化学業界内でも高水準な給与体系を維持しています。長年の研究開発や専門性の高い人材確保を重視する姿勢が反映されており、安定した雇用環境が整えられています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は日本生命保険相互会社・BNP PARIBAS PARIS/2S/JASDEC FRENCH RESIDENTS(常任代理人 香港上海銀行)・三菱UFJ銀行。
日本マスタートラスト信託銀行や日本生命保険などの機関投資家が上位を占めており、安定した大口株主による保有比率が高い構成です。一方で、高砂香料従業員持株会も一定の割合を保有しており、経営への安定的な関与と長期的視野での資本管理が意識されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
売上高の大部分をフレーバー(食品・飲料向け香料)およびフレグランス(香粧品香料)事業が占めており、グローバルな市場展開による為替や原料調達価格の変動リスクを抱えています。持続的な成長に向け、海外拠点の生産効率化や付加価値の高い香料素材の開発に注力している点が特徴です。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は15.4%であり、グローバル展開を加速させる中で多様な価値観の登用を推進しています。4名が社外取締役であるなど監督機能を強化しており、連結子会社21社を擁する大規模なグループ体制において、透明性の高いガバナンス体制の構築に努めています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 1,510億円 | — | 1,624億円 | +7.6% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2022 | 50億円 | — | 88億円 | +76.2% |
| FY2023 | 50億円 | — | 59億円 | +18.9% |
| FY2024 | 40億円 | — | 23億円 | -42.1% |
| FY2025 | 40億円 | 100億円 | 153億円 | +283.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画「NGP-2」は、FY2025の業績が想定を大幅に上回ったことで、営業利益目標を1年前倒しで達成しました。これはコスト削減や価格改定に加え、医薬品中間体の需要回復が寄与した結果です。一方で、資本効率を示すROE目標の達成は最終年度の課題として残ります。過去の業績予想は保守的な傾向がありましたが、FY2025では期初予想(40億円)を最終的に3.8倍も上回る実績(153.41億円)を叩き出すなど、ポジティブなサプライズを見せています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、FY2024までは長らくTOPIXをアンダーパフォームする状況が続いていました。これは、株価がPBR1倍を割り込むなど資本市場からの評価が低迷していたことが主な要因です。しかし、FY2025にV字回復と3.4倍もの大幅増配を実施したことで、TSRは340.4%と急上昇し、TOPIX(213.4%)を劇的にアウトパフォームしました。これは、経営陣が株主還元と企業価値向上へ強くコミットした結果であり、市場がこれを高く評価したことを示しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 133.1万円 | +33.1万円 | 33.1% |
| FY2022 | 142.3万円 | +42.3万円 | 42.3% |
| FY2023 | 139.4万円 | +39.4万円 | 39.4% |
| FY2024 | 184.7万円 | +84.7万円 | 84.7% |
| FY2025 | 340.4万円 | +240.4万円 | 240.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
FY2025の一時的な利益急増により、現在の株価で計算したPERは50.8倍と割高に見えますが、来期の予想EPSに基づけば正常化する可能性があります。一方、PBRは0.82倍と依然として解散価値を下回っており、株価には割安感が残ります。信用倍率は0.90倍と売り残が買い残を上回る「売り長」の状態で、将来的な株価上昇時の買い戻し(踏み上げ)が期待される需給環境です。大幅増配により、配当利回りが非常に高い水準にあることも特徴です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
久光製薬のTOBへの応募を決定し、資産効率化に向けた動きを見せる。
化学業界の国際的なサプライチェーン団体TfSへ加入し、ESG対応を強化。
26年3月期第3四半期決算にて減収減益を報告し、市場の懸念を招く。
最新ニュース
高砂香料工業 まとめ
ひとめ診断
「食品から香水まで、日常の『香り』を支配する100年企業がV字回復と超大幅増配で株主還元に目覚めた瞬間」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
同じ業種の企業
「化学」に分類される他の企業
エンプラからエアバッグまで、累進配当と利回り4%超の高還元バリュー化学
25期連続増配のグローバル日用品メーカー、新中計で2030年売上1.5兆円を目指す
創業140年の肥料の老舗が、水処理から不動産、バイオまで手掛ける隠れた多角化企業
メタノールから半導体材料まで、世界トップシェア製品を複数持つ総合化学メーカー
自動車の『サビ止め』で世界を駆ける、創業100年目前の堅実化学メーカー
化学品・食品・半導体材料の三本柱で4期連続増配、営業利益率10%超を達成した総合化学メーカー
メラミン化粧板国内首位、インド大型買収で建装建材のグローバル展開を加速する化学メーカー
130年の歴史を持つ老舗化学メーカーが、スマホやEVに必須の超小型電子部品材料で世界を支える