日本酸素ホールディングス
NIPPON SANSO HOLDINGS CORPORATION
最終更新日: 2026年4月30日
産業ガスで国内首位・世界4強。空気を分けて社会を支える「見えないインフラ」の巨人
産業ガスの可能性を追求し、社会と環境の持続的発展に貢献するグローバルカンパニー
この会社ってなに?
あなたが毎日使うスマートフォンの半導体チップ製造には超高純度の特殊ガスが不可欠。病院の酸素吸入、食品の鮮度保持、溶接・切断、さらにはサーモスの水筒まで――日本酸素HDは目に見えない「空気」を高度に加工し、私たちの暮らしと産業を支えるインフラ企業です。
日本酸素ホールディングスは1910年(明治43年)創業の産業ガス国内最大手です。酸素・窒素・アルゴンなどの産業ガス、半導体製造向け特殊ガス・材料、医療用ガスを世界4大陸で展開し、グローバル産業ガス市場で4強の一角を占めます。三菱ケミカルグループが発行済株式の50.59%を保有する親子上場企業です。地域別セグメントは「日本」「米国」「欧州」「アジア・オセアニア」と消費財ブランド「サーモス」の5区分。FY2025/3の売上収益は1兆3,080億円で、米国・欧州が高利益率を牽引しています。2026年4月には日本事業会社を「日本酸素」に社名変更しグローバルブランドを統一。新中計「Next Innovation 2030」では2030年3月期にコア営業利益2,500〜2,750億円(利益率17%超)を目標に掲げ、半導体材料と電子ガスの拡大を成長ドライバーに据えています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 公式
- jp.nipponsanso.com
社長プロフィール

空気の持つ無限の可能性を追求し、産業ガスのグローバルリーダーとして社会と産業の発展に貢献する。Next Innovation 2030で新たな成長ステージへ挑みます。
この会社のストーリー
東京・小山に日本酸素株式会社を設立。日本初の酸素製造を開始し、産業ガスの国産化に先鞭をつけた
鉄鋼業の急成長に伴い大型酸素プラント(オンサイト供給)を次々建設。産業ガス国内首位の地位を確立
日本酸素と大陽東洋酸素が経営統合し大陽日酸を発足。国内シェアを圧倒的に拡大
日本酸素ホールディングスを設立し純粋持株会社体制に移行。グローバル経営の加速を図る
新中計「Next Innovation 2030」始動。全世界で「NIPPON SANSO」ブランドに統一し、半導体材料と電子ガスを成長ドライバーに据え世界4強からの躍進を目指す
注目ポイント
酸素・窒素・アルゴンなどの産業ガスで国内シェア約40%と圧倒的首位。グローバルではLinde、Air Liquide、Air Productsに次ぐ世界4位。4大陸に拠点を持ち、約2万人の従業員が「空気のインフラ」を支えています
半導体製造に不可欠な特殊ガスやケミカル材料を供給。新中計では電子事業をグローバル成長ドライバーに位置づけ、つくば開発センターを核にTotal Gas Supply Solutionの展開を加速。AI・半導体需要の構造的拡大の恩恵を受けます
産業ガスはオンサイト供給(長期契約)とバルク供給の安定収益モデル。営業CFは5期連続増加で2,351億円、FCFは5年間800〜900億円台を安定確保。4期連続増配と成長投資を両立する強固な財務基盤が魅力です
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 16円 | 26.8% |
| FY2017/3 | 20円 | 24.9% |
| FY2018/3 | 23円 | 20.3% |
| FY2019/3 | 25円 | 26.2% |
| FY2020/3 | 28円 | 22.7% |
| FY2021/3 | 30円 | 23.5% |
| FY2022/3 | 34円 | 23.0% |
| FY2023/3 | 38円 | 22.5% |
| FY2024/3 | 44円 | 18.0% |
| FY2025/3 | 51円 | 22.3% |
なし
4期連続増配を実施中で、年間配当はFY2021/3の30円からFY2026/3予想54円へ+80%増加。配当性向は18〜23%と低めで増配余力は十分です。FY2026/3は前期比+3円の54円(中間27円・期末27円)を予想。株主優待はありませんが、新中計では配当性向の段階的な引き上げも示唆されており、今後の還元強化が期待されます。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上収益は5期連続増収で1兆3,080億円に到達。FY2025/3は営業利益が前期比-3.6%と減益でしたが、これは米国でのプラント修繕費増やアジアの景気減速が主因です。FY2026/3は売上微減ながら営業利益1,910億円(+15.1%)と増益予想。欧米事業の価格改定効果と電子材料の需要回復が利益を押し上げる見通しです。
事業ごとの売上・利益
産業ガス(オンサイト・バルク・パッケージ)、医療用ガス、特殊ガス。国内シェア約40%で首位。2026年4月に「日本酸素」に社名変更
Matheson Tri-Gas等を通じた産業・医療ガス、電子材料。価格改定が浸透し高利益率を実現
Nippon Gases Europeが英国・イタリア・スペイン等で展開。医療ガスや在宅医療サービスも提供
中国・東南アジア・豪州で産業・電子ガスを展開。コアガス買収で豪州基盤を拡充
真空断熱技術を活かした水筒・調理器具。世界120カ国以上で展開するB2Cブランド
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 12.0% | 3.0% | - |
| FY2022/3 | 11.2% | 3.2% | - |
| FY2023/3 | 10.8% | 3.4% | - |
| FY2024/3 | 12.9% | 4.4% | 13.7% |
| FY2025/3 | 10.4% | 4.1% | 12.7% |
営業利益率はFY2024/3に13.7%と過去最高を記録した後、FY2025/3は12.7%にやや低下。ガス価格改定の浸透と欧米事業の効率化が収益性を支えています。ROEは9〜11%で推移し、新中計ではROE 12%以上を目標に資本効率の改善を進めます。FY2026/3予想の営業利益率は14.8%(1,910億/1.29兆)と再び改善する見込みです。
財務は安全?
自己資本比率はFY2021/3の27.9%からFY2025/3の40.5%へ着実に改善。BPSも1,186円→2,265円と5年で+91%成長しています。一方で有利子負債はFY2025/3時点で約7,269億円と大きく、グローバルM&A(豪コアガス等)の資金調達を反映。総資産2.4兆円規模のうちのれん・無形資産が相当部分を占めますが、産業ガスのストック型収益が返済能力を支えています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 2,160億円 | -1,247億円 | -1,101億円 | 913億円 |
| FY2025/3 | 2,351億円 | -1,429億円 | -733億円 | 922億円 |
営業CFはFY2025/3に2,351億円と5期連続で増加し過去最高。産業ガスの長期供給契約による安定的なキャッシュ創出力が強みです。投資CFは毎期1,000〜1,400億円をプラント建設やM&Aに投下。FCFは5期連続で800〜900億円台を安定的に確保しており、借入返済と増配を両立しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 777億円 | 225億円 | 28.9% |
| FY2022/3 | 916億円 | 275億円 | 30.0% |
| FY2023/3 | 1,055億円 | 324億円 | 30.7% |
| FY2024/3 | 1,507億円 | 448億円 | 29.7% |
| FY2025/3 | 1,453億円 | 465億円 | 32.0% |
FY2026/3予想の営業利益は1,910億円。連結ベースの実効税率が39.3%と高めに見えますが、これは海外子会社の非支配持分(少数株主利益)控除後の計算によるもの。グローバル4地域で事業を展開しているため、各国の法人税率の差異やGLoBE(国際最低税率15%)ルールの影響が今後の税負担に影響します。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,032万円 | 19,754人 | - |
持株会社のため単体従業員数は100名程度と少数ですが、平均年収は1,031万円と高水準。FY2025は前年比+51万円の大幅増。連結では約19,754名を擁するグローバル企業です。平均年齢は44歳前後で安定しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
三菱ケミカルG50.6%+金融機関14.2%+大陽日酸取引先持株会3.6%。親会社主導の超安定構造
筆頭株主は親会社の三菱ケミカルグループ(50.59%)で、発行済株式の過半数を保有。信託銀行経由の機関投資家(日本マスタートラスト6.4%等)と明治安田生命(2.1%)、大陽日酸取引先持株会(3.6%)が安定株主層を形成しています。外国法人比率は21.6%で、JP MorganやState Streetなど海外カストディアンが名を連ねます。三菱ケミカルGの売却リスクが最大の不確実要因ですが、現時点で売却方針は示されていません。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 約410,000百万円 | 約47,100百万円 | 約11.5% |
| 米国 | 約360,200百万円 | 約59,800百万円 | 約16.6% |
| 欧州 | 約328,600百万円 | 約62,400百万円 | 約19.0% |
| アジア・オセアニア | 約176,500百万円 | 約15,000百万円 | 約8.5% |
| サーモス | 約32,600百万円 | 約6,300百万円 | 約19.3% |
欧州事業の利益率19.0%が最も高く、在宅医療サービスの高付加価値化が奏功しています。米国も16.6%と好調で、価格改定の浸透効果が持続。日本は国内シェア首位ながら利益率11.5%と改善余地あり。アジア・オセアニアは8.5%と最も低く、景気変動の影響を受けやすい構造です。サーモスは売上規模は小さいものの利益率19.3%と高収益で、ブランド力が強みです。
この会社のガバナンスは?
取締役13名中女性2名(15.4%)を登用し、多様な視点を取り入れた経営体制を構築しています。設備投資額は1,638.5億円とグローバル規模の大型投資を実行しつつ、監査報酬2億2,900万円の適切な監査体制を整備。平均勤続年数16年と安定した人材基盤を維持しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 1兆3,000億円 | - | 1兆3,080億円 | +0.6% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026/3 | 1,770億円 | 1,910億円 | 進行中 | +7.9% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2026年3月に策定された新中計「Next Innovation 2030」は、FY2030にコア営業利益2,500〜2,750億円(利益率17%超)を目標に掲げています。3つの柱は①産業ガス収益力強化、②電子事業のグローバル拡大、③将来の成長ドライバー創出。前中計「NS Vision 2026」を1年前倒しで達成した実績があり、経営陣の実行力は市場から高く評価されています。
株の売買状況と今後の予定
PERは21.9倍で化学業界平均14倍を大きく上回っており、グローバル産業ガス企業としてのプレミアムが乗った評価です。PBR 2.59倍も高水準ですが、安定的なキャッシュ創出力と成長投資のバランスが評価されています。信用倍率7.13倍は買い長で、新中計への期待から個人投資家の買いが集まっている状況です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
日本事業会社を「日本酸素」に社名変更。グローバルで「NIPPON SANSO」ブランドに統一
新中計「Next Innovation 2030」を策定。FY2030にコア営業利益2,500〜2,750億円を目標
FY2026/3 Q3累計は売上収益9,977億円(+2.7%)、営業利益1,461億円(+13.5%)と好調
豪コアガスグループの買収を完了。オセアニア市場の産業ガス事業基盤を強化
FY2025/3本決算。売上収益1兆3,080億円(+4.2%)、4期連続増配(1株51円)を発表
最新ニュース
日本酸素ホールディングス まとめ
ひとめ診断
産業ガスで国内首位・世界4強。三菱ケミカルG傘下でグローバル成長を加速する「空気の巨人」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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