artience
artience Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月28日
アートとサイエンスの融合で、世界に美しい解を届ける化学メーカー
先端技術で先駆の価値を届け、世界中のすべての生活者の心豊かな暮らしに貢献する。
この会社ってなに?
あなたが毎日手にする食品のパッケージや雑誌、その鮮やかな印刷の裏側でartienceのインキ技術が活躍しています。実はそれだけでなく、あなたが使っているスマートフォンのディスプレイを美しく見せるための材料や、これから普及が進む電気自動車(EV)のバッテリー性能を高めるための重要な素材も開発している会社です。普段は目に見えないけれど、私たちの生活をよりカラフルで便利にするための「縁の下の力持ち」のような存在と言えるでしょう。
旧・東洋インキSCホールディングスとして知られる化学素材メーカー。FY2025は売上高3,499.8億円、営業利益207.65億円と、前年度比でほぼ横ばいながらも高水準の利益を維持しました。2024年に「artience」へ社名を変更し、従来の印刷インキ事業に加え、EV向けリチウムイオン電池用分散体や半導体関連材料など、高付加価値分野へのシフトを加速させています。中期経営計画「artience2027」では、最終年度の2026年度に営業利益230億円を目指しており、事業ポートフォリオ変革の進捗が株価の鍵を握ります。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都中央区京橋2丁目2-1 京橋エドグラン
- 公式
- www.artiencegroup.com
社長プロフィール

私たちは120年以上の歴史で培ったサイエンスの力に、人の心を動かすアートの力を融合させ、世界が抱える課題に対し感性に響く価値を提供していきます。artienceという新しい社名の下、イノベーションを通じて人々の心豊かな未来の実現に貢献することを目指します。
この会社のストーリー
創業者・小林鎌太郎が個人経営の「小林インキ店」を開業。印刷用インキの製造・販売を開始し、日本の近代化と共に歩み始める。
個人経営から株式会社へ改組。本格的なインキメーカーとして事業を拡大し、技術革新の礎を築く。
東京証券取引所市場第二部に上場(後に第一部に指定替え)。社会的な信用を高め、さらなる成長への基盤を固める。
東洋インキSCホールディングス株式会社を設立し、持株会社制へ移行。グループ経営の効率化と事業領域の拡大を加速させる。
「art(アート)」と「science(サイエンス)」を融合させた新社名へ変更。感性に響く価値を創造する企業への変革を宣言。
マテリアル分野に特化したグローバルなイノベーション拠点「Incubation CANVAS TOKYO」を開設し、業界全体の共創を促進する。
新たな経営計画をスタートし、サステナビリティ貢献製品の拡大やグローバル展開の強化を通じて、持続的な成長を目指す。
注目ポイント
1896年の創業以来、印刷インキを基盤に事業を多角化。2024年には「artience」へ社名を変更し、アートとサイエンスの融合で新たな価値創造に挑む変革力を持つ企業です。
EV電池材料や環境調和型製品など、持続可能な社会の実現に貢献する事業に注力。サステナビリティ貢献製品の売上高比率80%(2030年度目標)を掲げています。
安定配当を基本方針とし、株主への利益還元を重視しています。1年以上継続保有の株主を対象としたカタログギフトの株主優待制度も魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 15.5円 | 37.9% |
| FY2017/3 | 16円 | 44.8% |
| FY2019/3 | 90円 | 61.8% |
| FY2020/3 | 90円 | 87.3% |
| FY2021/3 | 90円 | 53.1% |
| FY2022/3 | 90円 | 52.5% |
| FY2023/3 | 90円 | 49.0% |
| FY2024/3 | 100円 | 28.4% |
| FY2025/3 | 100円 | 47.5% |
| 権利確定月 | 6月 |
配当方針は安定した配当の維持を基本としつつ、業績に応じた利益還元を強化する方針です。配当性向は年度により変動しますが、着実に株主還元を重視する姿勢が見て取れます。今後も持続的な成長投資と並行しながら、株主への長期的な還元拡大が期待されます。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
artienceの売上高は3,000億円規模で安定推移しており、2024年3月期には営業利益が約204億円へと大幅に伸長しました。2025年3月期は利益水準を維持したものの、一時的な税負担増や減損処理の影響で純利益が一時的に低下しています。2026年3月期は、グローバルでの事業効率化により過去最高水準の売上3,600億円および純利益210億円の達成を目指しています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 3.3% | 1.6% | 6.6% |
| FY2022/3 | 3.1% | 2.3% | 5.7% |
| FY2023/3 | 7.6% | 2.3% | 5.6% |
| FY2024/3 | 3.8% | 2.2% | 4.4% |
| FY2025/3 | 4.1% | 3.9% | 4.5% |
同社の収益性は印刷インキ事業の成熟もあり、営業利益率は概ね4%から6%の間で推移しています。2024年3月期には利益率が5.8%まで改善しROEも6.8%に上昇しましたが、依然として資本効率の向上は経営上の大きな課題です。今後は高付加価値製品へのシフトを通じて、さらなる収益力強化を図る姿勢を強めています。
財務は安全?
財務体質は極めて強固であり、自己資本比率は50%台後半を安定して維持する高い健全性を有しています。近年は成長投資や株主還元を目的とした資金調達により有利子負債を積み増していますが、資産規模4,600億円超に対して十分な返済能力を備えています。盤石なバランスシートを背景に、研究開発投資を継続できる財務基盤を構築しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 167億円 | -133億円 | 162億円 | 34.5億円 |
| FY2022/3 | 158億円 | -176億円 | -120億円 | -18.2億円 |
| FY2023/3 | 42.6億円 | -56.5億円 | -81.0億円 | -13.8億円 |
| FY2024/3 | 235億円 | -195億円 | -26.3億円 | 40.2億円 |
| FY2025/3 | 270億円 | -102億円 | -150億円 | 168億円 |
営業キャッシュフローは堅調に推移しており、2024年3月期以降は年270億円規模の安定した稼ぐ力を確立しました。投資活動においては成長分野への設備投資を行いつつも、本業の収益改善によってフリーキャッシュフローの黒字幅を拡大させています。余剰資金は配当の拡充や自己株式の取得など、積極的な株主還元へと振り向ける余裕が生まれています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 125億円 | 65.2億円 | 52.0% |
| FY2022/3 | 154億円 | 59.5億円 | 38.5% |
| FY2023/3 | 79.1億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 129億円 | 31.4億円 | 24.4% |
| FY2025/3 | 210億円 | 24.7億円 | 11.7% |
法人税等の支払額は事業年度により大きな変動が見られますが、これは繰延税金資産の取り崩しや一時的な税務処理の影響によるものです。2025年3月期は実効税率が約50%と高水準でしたが、これは一過性の要因によるものです。通常時は法定の実効税率に準じた納税を行っており、税負担の平準化を図る経営が続いています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 786万円 | 7,897人 | - |
従業員平均年収は786万円と、化学業界の中でも比較的高い水準を維持しています。平均勤続年数が19年と長く、長年培った技術力を評価する安定した雇用環境と、着実な業績拡大が待遇面に反映されていると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はTOPPANホールディングス・日本触媒。
TOPPANホールディングスが約20.6%を保有する筆頭株主であり、安定株主としての影響力が強い構成です。信託銀行等の機関投資家が上位を占め、社員持株会や取引先持株会が存在することから、中長期的な株主還元の安定性と経営の継続性が重視されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
色材・機能材、ポリマー・塗加工、パッケージ、印刷・情報の4セグメントでグローバルに展開しており、環境調和型製品の売上構成比向上を経営の最重要課題としています。海外拠点での生産能力増強や研究拠点開設など、成長市場への積極的な投資に伴う為替や原材料価格変動のリスクを管理しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は27.3%と日本企業の中では高い水準であり、ダイバーシティ(多様性)経営を推進しています。連結子会社56社を擁する大規模グループとして、適切な監査体制とガバナンス強化を図り、持続可能な企業価値向上に取り組んでいます。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 3,700億円 | 3,500億円 | 3,500億円 | -0.01% |
| FY2024 | 3,400億円 | — | 3,511億円 | +3.3% |
| FY2023 | 3,300億円 | — | 3,221億円 | -2.4% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 220億円 | 190億円 | 208億円 | -5.6% |
| FY2024 | 145億円 | — | 204億円 | +40.8% |
| FY2023 | 110億円 | — | 134億円 | +21.6% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画「artience2027」は、最終年度である2026年度(FY2026)に営業利益230億円を目指しています。初年度のFY2024は期初予想を大幅に上回る好調な滑り出しでしたが、FY2025は売上・利益ともにほぼ横ばいとなり、進捗率はそれぞれ97.2%、90.3%とやや足踏み状態です。特に純利益の進捗が遅れており、高機能材料など成長ドライバー事業の収益性向上が目標達成の鍵となります。過去の業績予想は期中に修正されることもありますが、特に利益面で期初予想を上回る着地が多く、経営陣の慎重な見通しと実行力を示唆しています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
同社のTSR(株主総利回り)は、過去5年間(FY2021~FY2025)にわたり、一貫して市場平均であるTOPIXのパフォーマンスを下回る「アンダーパフォーム」状態が続いています。FY2025には自社TSRが135.5%と大きく改善したものの、同期間のTOPIX(182.5%)には及びませんでした。これは、従来の安定事業が市場全体の成長モメンタムに乗り切れず、株価が伸び悩んできたことを示唆しています。中期経営計画で掲げる高成長分野への事業転換が成功し、収益性が向上すれば、将来的にTSRがTOPIXを上回る可能性を秘めています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 77.4万円 | -22.6万円 | -22.6% |
| FY2022 | 78.9万円 | -21.1万円 | -21.1% |
| FY2023 | 77.6万円 | -22.4万円 | -22.4% |
| FY2024 | 112.1万円 | +12.1万円 | 12.1% |
| FY2025 | 135.5万円 | +35.5万円 | 35.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
市場評価に目を向けると、PER・PBRともに化学業界平均を大幅に下回っており、株価は割安水準にあると判断されます。特にPBRは解散価値とされる1倍を大きく割り込んでいます。これは、伝統的なインキ事業のイメージが強く、成長分野へのシフトがまだ株価に織り込まれていない可能性を示唆しています。信用倍率は2.62倍と比較的落ち着いており、需給面での過熱感は限定的です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
京橋エドグランにマテリアル特化のイノベーション拠点「Incubation CANVAS TOKYO」を開設。
インド事業におけるリキッドインキの生産能力を1.5倍に引き上げる投資を決定。
連結業績予想の差異と減損損失の計上を発表し、投資家の注目を集めた。
最新ニュース
artience まとめ
ひとめ診断
「印刷インキの巨人が『アートとサイエンス』を武器に、EV電池材料など高機能素材メーカーへの脱皮を急ぐ化学企業」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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