日本ペイントホールディングス
NIPPON PAINT HOLDINGS CO.,LTD.
最終更新日: 2026年4月30日
「アセット・アセンブラー」で世界を塗り替える -- アジア首位の塗料メーカーが7期連続最高益の快進撃
世界中の人々の暮らしを「色」と「塗料」の力で豊かにする
この会社ってなに?
あなたの家の外壁や室内の壁を彩るペンキ。自動車のボディを美しく守る塗装。スマホの筐体に施される特殊コーティング。日本ペイントHDはこうした「塗料」で日本トップ・アジア首位・世界4位の企業です。家を建てるときもクルマを買うときも、気づかないうちに日本ペイントの技術があなたの暮らしを守っています。特にアジアでは「立邦(ニッポンペイント)」ブランドが圧倒的な知名度を誇り、中国の街中で見かけるペンキ屋さんの多くがこのブランドを扱っています。
FY2025/12は売上収益1兆7,742億円(前期比+8.3%)、営業利益2,571億円(+37.0%)、当期利益1,798億円(+41.2%)と7期連続で最高益を更新。親会社であるシンガポール・ウットラムグループの下、中国・東南アジアでの建築用塗料が圧倒的なシェアを持ち、2025年3月には米国特殊化学品メーカーAOCを買収して事業領域を拡大しました。FY2026/12は売上収益1兆9,200億円・営業利益2,830億円と8期連続の最高益を見込みます。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 12月
- 本社
- 大淀北2丁目1番2号
- 公式
- www.nipponpaint-holdings.com
社長プロフィール

株主価値の最大化(MSV)こそが当社の唯一のミッションです。M&Aを通じて世界中の優れた塗料会社を仲間に加え、相互のベストプラクティスを共有することで、グループ全体の成長を加速してまいります。
この会社のストーリー
大阪で光明社として創業。日本の近代化を支える塗料製造のパイオニアとして歩み始めました
ゴー・チェン・リャン氏率いるウットラムグループと合弁でアジア進出。約60年にわたるパートナーシップの始まりです
ウットラムとの合弁事業を完全連結化し、アジア塗料事業を一体経営へ。売上高が一気に拡大しました
ウットラムが過半数株式を取得。「アセット・アセンブラー」モデルを掲げ、M&Aで世界中の塗料会社を傘下に収める戦略を加速
米国AOCを買収し特殊化学品に進出。売上1.77兆円・当期利益1,798億円と7期連続で最高益を更新。創業145周年を迎えました
注目ポイント
中国・東南アジアで「立邦」ブランドが圧倒的なシェアを誇り、豪州「Dulux」、米国「Dunn-Edwards」など世界中のブランドを傘下に持つグローバル企業です
FY2025/12で7期連続の最高益を達成。累進配当方針で4期連続増配を続け、業績成長と株主還元を両立しています
買収した企業のオペレーションを改善し、グループ全体のベストプラクティスを共有する独自モデル。AOC買収で特殊化学品にも展開し、成長領域を拡大中です
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 5.5円 | 36.9% |
| FY2017/3 | 5.8円 | 36.5% |
| FY2018/3 | 6.2円 | 31.9% |
| FY2019/3 | 6.2円 | 39.5% |
| FY2020/3 | 6.2円 | 32.5% |
| FY2021/3 | 10円 | 34.0% |
| FY2022/3 | 11円 | 32.5% |
| FY2023/3 | 14円 | 27.8% |
| FY2024/3 | 15円 | 27.7% |
| FY2025/3 | 16円 | 20.9% |
なし(2019年12月で株主優待制度を廃止)
FY2021/12の10円から4期連続増配を続け、FY2025/12は16円、FY2026/12は17円を予想。配当方針は累進配当(原則減配なし)を掲げており、業績成長に伴い着実に増配を継続しています。配当性向は20%前後と低めですが、M&Aによる成長投資を優先する戦略です。なお2019年12月権利分をもって株主優待制度は廃止されています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2021/12は決算期変更(3月→12月)に伴う9ヵ月の変則決算のため、FY2022/12とのYoY比較は省略しています。FY2022/12以降は毎期売上・利益ともに過去最高を更新。FY2025/12は営業利益率14.5%に達し、AOC買収の初年度貢献もあり大幅増益を実現しました。FY2026/12はAOCのフル寄与と中国・東南アジアの堅調な需要を背景に、売上収益1.92兆円・8期連続の最高益を見込みます。
事業ごとの売上・利益
アジアの建築用・自動車用塗料で圧倒的シェア。「立邦」ブランドで中国市場を席巻。最大セグメント
国内の建築用・自動車用・工業用塗料。成熟市場だが高付加価値製品にシフト中
オセアニアの「Dulux」ブランドと欧州塗料事業。安定的な収益貢献
米国Dunn-Edwardsブランドと南米事業。住宅リモデル需要が底堅い
2025年3月買収。産業用コーティング原料で高シェア。初年度からEPSに大きく貢献
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 8.8% | 3.5% | - |
| FY2022/3 | 7.5% | 3.3% | - |
| FY2023/3 | 9.5% | 4.4% | - |
| FY2024/3 | 8.5% | 4.1% | 11.4% |
| FY2025/3 | 10.6% | 4.5% | 14.5% |
営業利益率は8.5%→14.5%と5年間でほぼ倍増し、収益構造の改善が顕著です。FY2025/12のROE 9.9%は、AOC買収に伴うのれん増加で総資産が膨らんだ中でも高水準を維持。FY2026/12はROE 10%台を目指す方針で、「アセット・アセンブラー」モデルによるM&A先のオペレーション改善が利益率向上のドライバーとなっています。
財務は安全?
FY2025/12はAOC買収により総資産が4兆円超に拡大し、有利子負債も1.42兆円に増加。自己資本比率は51.8%→44.9%に低下しましたが、「アセット・アセンブラー」戦略の一環として計画的なレバレッジ活用です。中期的にはネット・デット/EBITDA約2倍への引き下げを目標としています。BPSは5年間で409円→775円と約1.9倍に成長しており、利益蓄積が着実に進んでいます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 1,674億円 | -1,481億円 | -374億円 | 193億円 |
| FY2025/3 | 1,875億円 | -3,220億円 | 2,547億円 | -1,345億円 |
営業CFは5年間で674億円→1,875億円と約2.8倍に成長し、本業のキャッシュ創出力が着実に向上しています。FY2025/12はAOC買収のため投資CFが-3,220億円と大幅なマイナスとなり、買収資金を借入で調達したため財務CFは+2,547億円。FCFは一時的にマイナスですが、AOCのキャッシュ創出力が加わることでFY2026/12以降は改善が見込まれます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 865億円 | 189億円 | 21.9% |
| FY2022/3 | 1,045億円 | 251億円 | 24.0% |
| FY2023/3 | 1,615億円 | 430億円 | 26.6% |
| FY2024/3 | 1,801億円 | 542億円 | 30.1% |
| FY2025/3 | 2,506億円 | 708億円 | 28.2% |
税引前利益はFY2025/12に2,550億円と過去最高を記録。実効税率は約29%台で安定しており、グローバルに事業展開していることを踏まえると標準的な水準です。FY2026/12は年間約850億円の納税を見込みます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,045万円 | 38,481人 | - |
持株会社のため従業員数はわずか50〜54名と少数精鋭の体制です。平均年収は1,084万円と化学業界トップクラスの水準を維持しています。FY2023/12の一時的な減少は組織再編に伴うものでしたが、FY2024/12には回復。連結ベースでは約38,500人の従業員を世界30か国以上に抱えるグローバル企業です。
誰がこの会社の株を持ってる?
親会社ウットラムグループ(Nipsea 55.5%+Fraser 3.7%+UBS Untradable 3.6%)で約62.8%を保有。事業法人2.4%、日本生命・明治安田生命1.7%を加え安定株主約67%
最大の特徴はシンガポールのウットラムグループが過半数(約63%)を支配している点です。筆頭株主のNipsea International Limited(55.5%)はウットラムの100%子会社で、Fraser (HK) Limited(3.7%)やUBS AGLB Untradable Shares(3.6%)もウットラム関連の持株とみられます。EDINET上の分類では「外国法人81.2%」ですが、その大部分が親会社グループによる安定保有です。ウットラムは約60年前から日本ペイントとの合弁で協力関係を構築し、2020年に過半数株式を取得して経営支配権を確立しました。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| NIPSEA(中国・東南アジア・インド) | 約7,500億円 | 約1,200億円 | 16.0% |
| 日本 | 約2,200億円 | 約200億円 | 9.1% |
| DuluxGroup(豪州・欧州) | 約2,800億円 | 約400億円 | 14.3% |
| 米州 | 約2,700億円 | 約350億円 | 13.0% |
| AOC(特殊化学品) | 約1,500億円 | 約270億円 | 18.0% |
NIPSEAセグメント(アジア)が売上の約42%を占める最大事業です。中国の「立邦」ブランドは建築用塗料で圧倒的なシェアを持ち、東南アジア・インドでも急成長中。2025年3月に買収したAOCは営業利益率18%と高収益で、5セグメント体制への移行により事業ポートフォリオの多角化が進みました。リスク面では原材料価格、為替、中国不動産市況が主要な変動要因です。
この会社のガバナンスは?
指名委員会等設置会社として、社外取締役比率66%(9名中6名)の高い独立性を確保しています。報酬委員会は独立社外取締役のみで構成され、経営の透明性を徹底。女性役員比率は20.0%で、グローバル基準のダイバーシティを推進中です。MSV(株主価値最大化)を唯一のミッションに掲げる「エゴなき経営」が特徴です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/12 | 1兆5,500億円 | — | 1兆6,387億円 | +5.7% |
| FY2025/12 | 1兆7,200億円 | — | 1兆7,742億円 | +3.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/12 | 1,150億円 | — | 1,273億円 | +10.7% |
| FY2025/12 | 1,600億円 | — | 1,798億円 | +12.4% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2024年4月に発表した中期経営方針では、オーガニック成長として売上CAGR 8-9%・EPS CAGR 10-12%を掲げています。FY2025/12はEPS成長率+41.5%と大幅に超過達成。M&A(インオーガニック成長)では地域・事業・規模に制限を設けず、低リスク・好リターンの買収を継続的に追求する方針です。過去2年の業績予想も連続で上方修正しており、会社予想の保守性が際立ちます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年間のTSRは49.1%とTOPIX(213.2%)を大幅に下回っています。2020年のウットラムによる過半数取得前は高PER(40-80倍)で評価されていましたが、支配構造の変化に伴い「成長プレミアム」が剥落し、バリュエーション調整が株価の重荷となりました。ただし業績自体は7期連続最高益と絶好調で、EPS成長は年20%超のペース。PERの「ノーマライゼーション」が一巡すれば、業績成長が株価に素直に反映される局面が期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 155.8万円 | +55.8万円 | 55.8% |
| FY2022 | 146.8万円 | +46.8万円 | 46.8% |
| FY2023 | 151.9万円 | +51.9万円 | 51.9% |
| FY2024 | 147.4万円 | +47.4万円 | 47.4% |
| FY2025 | 149.1万円 | +49.1万円 | 49.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 11.5倍は化学業界平均(約15倍)を下回る水準で、過去の高PER(40-80倍)から大幅に修正されています。ウットラムによる買収前は「成長プレミアム」で高い倍率がついていましたが、現在はより実態に即したバリュエーションです。PBR 1.27倍は業界平均を上回るもののM&A戦略企業としては控えめ。信用倍率6.1倍と買い残が多く、個人投資家の底値圏での買い意欲が強いことを示しています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/12通期決算を発表。当期利益1,798億円(前期比+42.8%)と7期連続最高益。FY2026/12は純利益10%増の8期連続最高益を予想
好業績と円安を背景に株価が年初来高値1,352円を記録。AOC買収効果への期待も追い風
米国特殊化学品メーカーAOCの買収を完了。産業用コーティング原料で高シェアを持ち、新セグメントとして連結
FY2024/12通期は売上収益1兆6,387億円・当期利益1,273億円。6期連続最高益達成で株価急騰
円高進行と日経平均の歴史的暴落に連動し一時807円まで下落。ただし業績への影響は限定的
最新ニュース
日本ペイントホールディングス まとめ
ひとめ診断
塗料アジア首位・世界4位 -- ウットラム傘下で「アセット・アセンブラー」型M&Aを推進し7期連続最高益
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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