トクヤマ
Tokuyama Corporation
最終更新日: 2026年3月22日
半導体シリコンの世界大手!構造改革を乗り越え、再び成長軌道に乗った総合化学の底力
化学の力で社会課題を解決し、持続可能な未来の実現に貢献するグローバル企業を目指す。
この会社ってなに?
あなたが使っているスマートフォンやパソコンの中にある半導体チップは、トクヤマが製造する高純度シリコンから作られています。また、日本各地の道路や建物に使われるセメントも主力製品の一つです。病院で受ける血液検査の試薬にもトクヤマグループの技術が活かされており、私たちの暮らしのインフラからハイテク製品、健康診断まで幅広く支えている会社です。
トクヤマは1918年創業の総合化学メーカーで、半導体用多結晶シリコンで世界大手のポジションを確立しています。セメント・苛性ソーダ・塩ビなどの基礎化学品に加え、電子先端材料やライフサイエンス分野への事業ポートフォリオ転換を推進中です。FY2025/3は売上高3,431億円(前年比+0.3%)、営業利益300億円(同+16.9%)と増益を達成。FY2026/3は売上高3,645億円、営業利益415億円と過去最高益を見込んでいます。2025年4月にはJSRの体外診断用医薬品事業を820億円で買収し、ライフサイエンス領域の拡大に踏み出しました。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区外神田1-7-5 フロントプレイス秋葉原
- 公式
- www.tokuyama.co.jp
社長プロフィール
事業ポートフォリオの転換を加速し、電子先端材料やライフサイエンスなどの成長分野を軸に、持続的な企業価値向上を目指してまいります。株主の皆様の期待に応えるべく、収益力の強化と戦略的な成長投資を両立させてまいります。
この会社のストーリー
ソーダ工業を起点に、化学品の国産化を目指して創業しました。以来100年以上、山口県周南市に本店を構え続けています。
高純度多結晶シリコンの製造技術を磨き上げ、半導体・太陽電池向けシリコンで世界大手の地位を築きました。
太陽電池向けシリコンの海外大型投資が市況悪化で巨額損失に。2,000億円超を投じた事業を98億円で売却する苦渋の決断を下しました。
横田浩社長のもと中期経営計画2025を策定。事業ポートフォリオの転換を掲げ、電子先端材料やライフサイエンスなどの成長分野へシフトを開始しました。
JSRの体外診断用医薬品事業を820億円で買収し、ライフサイエンス領域を大幅に強化。半導体とヘルスケアの二本柱で未来を切り拓きます。
注目ポイント
半導体製造に不可欠な高純度多結晶シリコンで世界トップクラスのシェアを持ち、AI・データセンター需要の拡大から恩恵を受けます。
体外診断用医薬品事業の買収により、歯科材料に加えてライフサイエンス領域が大幅に拡大。半導体に次ぐ成長の柱を構築中です。
セメントキルンを活用した廃棄物のリサイクル処理で循環型社会に貢献。環境事業としての成長ポテンシャルも持っています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2017/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2019/3 | 50円 | 10.1% |
| FY2020/3 | 70円 | 24.4% |
| FY2021/3 | 70円 | 19.9% |
| FY2022/3 | 70円 | 18.0% |
| FY2023/3 | 70円 | 53.8% |
| FY2025/3 | 100円 | 30.8% |
株主優待制度はありません。
年間配当金はFY2021/3〜FY2023/3まで70円を維持し、FY2025/3に100円へ増配を実施しました。3期連続増配で配当性向は30.8%。FY2026/3は120円への増配が予想されており、配当利回りは3.22%に上昇する見込みです。利益成長に伴い株主還元の充実が期待されます。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
過去5年間で売上高は約3,024億円から3,431億円へ約13%成長しました。FY2023/3はエネルギーコスト高騰の影響で営業利益が143億円に落ち込みましたが、FY2024/3から回復基調に入り、FY2025/3には営業利益300億円まで持ち直しました。FY2026/3は売上高3,645億円、営業利益415億円と過去最高益を見込んでおり、半導体関連製品の需要回復とJSR医薬事業の統合効果が寄与する見通しです。
事業ごとの売上・利益
苛性ソーダ・塩ビ樹脂などの基礎化学品を製造。国内市場で安定した需要基盤を持つ
セメント・生コンクリートを製造。廃棄物のリサイクル処理で循環型社会に貢献
半導体用多結晶シリコンで世界大手。高純度薬品・放熱材料なども展開。利益率が最も高いセグメント
歯科材料や体外診断用医薬品を展開。JSR医薬事業買収により大幅に事業規模が拡大予定
イオン交換膜・プラスチックリサイクルなど環境関連事業を展開
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 16.3% | 6.3% | - |
| FY2022/3 | 14.1% | 6.5% | - |
| FY2023/3 | 0.9% | 2.0% | - |
| FY2024/3 | 6.6% | 3.9% | 7.5% |
| FY2025/3 | 16.8% | 4.9% | 8.7% |
FY2023/3にはエネルギーコスト高騰や多結晶シリコン市況の変動でROE3.9%、営業利益率4.1%まで低下しましたが、その後は着実に回復基調を辿っています。FY2025/3にはROE8.5%、営業利益率8.7%まで持ち直し、FY2026/3は営業利益率11.4%を見込むなど、収益力の改善が鮮明です。中期経営計画ではROE10%以上を目標としており、達成に向けた道筋が見えつつあります。
財務は安全?
総資産は5年間で約3,868億円から4,762億円へ拡大し、自己資本比率は50%台を安定的に維持しています。FY2024/3に有利子負債約2,084億円を計上しましたが、FY2025/3には1,963億円へ圧縮。BPS(1株純資産)は2,758円から3,636円へ約32%増加しており、1株あたりの資産価値は着実に向上しています。JSR医薬事業買収に伴い今後の有利子負債増加が見込まれますが、営業CFの改善により財務健全性は維持可能な水準です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 433億円 | -193億円 | -225億円 | 240億円 |
| FY2022/3 | 260億円 | -338億円 | 51.2億円 | -78.1億円 |
| FY2023/3 | -118億円 | -338億円 | 302億円 | -456億円 |
| FY2024/3 | 558億円 | -304億円 | -465億円 | 254億円 |
| FY2025/3 | 524億円 | -235億円 | -11.1億円 | 289億円 |
FY2023/3には営業CFがマイナス118億円と一時的に悪化しましたが、FY2024/3に558億円、FY2025/3に524億円と力強く回復しました。FY2025/3のフリーキャッシュフローは289億円と過去最高水準を記録。設備投資は年間200〜300億円規模で推移しており、半導体関連の設備増強を継続しています。財務CFではFY2023/3に借入金で資金を調達しましたが、その後は返済を進めています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 308億円 | 62.6億円 | 20.3% |
| FY2022/3 | 259億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 148億円 | 54.2億円 | 36.7% |
| FY2024/3 | 263億円 | 85.4億円 | 32.5% |
| FY2025/3 | 296億円 | 62.0億円 | 21.0% |
法人税等の支払額は年度によってばらつきがあります。FY2022/3は繰延税金資産の計上により実効税率が0%となった特殊要因がありました。FY2025/3は税引前利益296億円に対し実効税率21.0%と低水準ですが、これは税務上の調整項目によるものです。FY2026/3は通常水準の約30%に戻る見込みです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 732万円 | 5,782人 | - |
平均年収は732万円で化学業界の中では標準的な水準です。平均年齢41.4歳、従業員数5,782名と大手化学メーカーにふさわしい規模を持ち、山口県周南市の徳山製造所を中心とした安定した雇用基盤が特徴です。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はトクヤマ従業員持株会氏・日本生命保険相互会社。
筆頭株主は信託銀行経由の機関投資家で約22%を保有し、安定した株主構成です。地元・山口銀行や日本生命などの政策保有株主も一定割合を占めます。外国法人が約29%を保有しており、グローバルに評価されている銘柄です。従業員持株会が約2%を保有し、従業員の経営参画意識も見られます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 化成品 | 約800億円 | 約90億円 | 約11% |
| セメント | 約700億円 | 約50億円 | 約7% |
| 電子先端材料 | 約650億円 | 約180億円 | 約28% |
| ライフサイエンス | 約400億円 | 約60億円 | 約15% |
| 環境事業 | 約200億円 | 約20億円 | 約10% |
研究開発費
化成品・セメント・電子先端材料・ライフサイエンス・環境事業の5セグメントで多角的に展開しており、電子先端材料(営業利益率約28%)が収益の柱です。役員報酬は取締役4名に対し総額1億6,800万円で、代表取締役の横田浩社長が経営を率いています。研究開発費は売上高比約3.5%で、半導体関連材料の次世代品開発やライフサイエンス分野の強化に注力しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は18.0%と化学業界では比較的高い水準です。連結子会社50社を擁する大規模なグループ経営を展開しており、設備投資額246.8億円は半導体関連の増産投資を中心に積極的な成長投資を行っています。平均勤続年数17.0年と長期雇用が根付いた安定した組織体制です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 3,520億円 | — | 3,420億円 | -2.8% |
| FY2025 | 3,520億円 | — | 3,431億円 | -2.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 330億円 | — | 256億円 | -22.3% |
| FY2025 | 330億円 | — | 300億円 | -9.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画2025では「事業ポートフォリオの転換」を掲げ、電子先端材料・ライフサイエンス・環境分野を成長事業と位置づけました。成長事業の売上高比率は目標の50%に対し45%にとどまりましたが、JSRの医薬事業を820億円で買収するなど積極的な成長投資を実行。ROEは目標の10%に対し8.5%でしたが、PBR1倍超を意識した経営姿勢は評価できます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は152.0%とプラスリターンを記録していますが、TOPIXの213.4%に対してはアンダーパフォームです。FY2022にかけてTSRが88.8%まで落ち込んだのは、多結晶シリコン市況の悪化とエネルギーコスト高騰が要因でした。その後は回復基調にあり、JSR医薬事業買収による成長加速が今後のTSR改善に寄与することが期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 136.9万円 | +36.9万円 | 36.9% |
| FY2022 | 88.8万円 | -11.2万円 | -11.2% |
| FY2023 | 110.7万円 | +10.7万円 | 10.7% |
| FY2024 | 143.6万円 | +43.6万円 | 43.6% |
| FY2025 | 152.0万円 | +52.0万円 | 52.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER9.2倍はセクター平均の約15倍を大きく下回り、割安な水準にあります。PBR1.02倍も業界平均とほぼ同等で、過去の構造改革からの復活を市場がまだ十分に織り込んでいないとも言えます。信用倍率は38.62倍と買い残が非常に多く、中長期での上昇期待が強い一方、短期的な需給の重しになる可能性もあります。ダイヤモンド・ザイでは「過小評価されている割安株」として紹介されています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2026/3通期の経常利益予想を6%下方修正。原材料コスト上昇が影響。
FY2026/3上期の経常利益が39%増益で着地。半導体関連製品が牽引。
JSRの体外診断用医薬品事業を820億円で買収し、ライフサイエンス領域を大幅に強化。
FY2025/3決算を発表。営業利益300億円と前年比16.9%増で着地。
最新ニュース
トクヤマ まとめ
ひとめ診断
「半導体シリコン世界大手、JSR医薬事業買収で成長加速する総合化学メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
同じ業種の企業
「化学」に分類される他の企業
高配当と堅実経営で名を馳せる、訪問販売から生まれたビューティー&ヘルスケアの優等生
『溶接の火花から半導体のクリーンルームまで』、日本のものづくりを気体で支える縁の下の力持ち
『びっくりするほど良い商品』を武器に高収益を誇ったD2Cの雄が、成長の壁をM&Aで乗り越えようと模索している
『フジツボも避けて通る』技術力で、世界の物流を海面下から支える船舶塗料の巨人
自動車の発炎筒からロケット燃料、EV電池評価まで。100年の歴史を持つニッチトップ化学企業の集合体
世界シェアNo.1製品を多数持つ独創的高機能素材メーカー
基礎化学の巨人が、実は医薬品の超重要プロセスを世界レベルで支えるニッチトップ企業
世界首位のインキメーカーが機能性材料で第二の成長曲線を描く――DIC Vision 2030で売上1.2兆円・営業利益800億円を目指す