大日本塗料
Dai Nippon Toryo Company,Limited
最終更新日: 2026年3月28日
社会インフラを色彩と技術で支える、重防食塗料のパイオニア
次期中期経営計画では売上高1000億円、営業利益100億円を目標に掲げ、塗料事業のさらなる成長とグローバル展開を目指します。
この会社ってなに?
あなたが電車に乗って大きな鉄橋を渡るとき、その橋が何十年も安全なのは、大日本塗料の特殊なペンキがサビや塩害から守っているおかげかもしれません。同社の塗料は、東京ゲートブリッジのような巨大建造物や、ピカピカの新型特急『Laview』の車体にも使われています。また、あなたが住んでいるマンションの外壁や、毎日使うスマートフォンの部品を保護するコーティング剤など、普段は意識しないけれど、私たちの生活の安全と彩りを陰で支えている、縁の下の力持ちのような会社です。
塗料国内4位、特に橋梁などを錆から守る重防食分野で高いシェアを誇る老舗メーカー。直近の2025年3月期決算では、売上高725.1億円、営業利益47.16億円を記録。近年は神東塗料へのTOBやAGCコーテックの子会社化などM&Aを積極的に活用し、フッ素樹脂塗料など高付加価値分野へ事業ポートフォリオを転換しています。次期中期経営計画では売上高1,000億円という野心的な目標を掲げており、M&Aによるシナジー創出と既存事業の収益性改善が今後の成長の鍵となります。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府大阪市中央区南船場1-18-11 SRビル長堀
- 公式
- www.dnt.co.jp
社長プロフィール
1929年の創業以来、日本の産業や社会インフラを支える塗料メーカーとして発展してきました。特に重防食技術を強みとし、社会のニーズに応える製品を提供し続けています。これからも塗料とその周辺技術を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
この会社のストーリー
鉛粉・鉛丹・各種塗料の製造販売を目的として設立。日本の産業発展の黎明期から、社会を支える歩みを始める。
戦後の復興期において株式を公開し、企業としての信頼性を高め、さらなる成長への基盤を築く。
業務のスリム化と経営効率の向上を目指し、日塗不動産とDNTビジネスサービスを吸収合併。グループ経営体制を強化する。
風景に溶け込む先進的なデザインで話題となった西武鉄道の新特急『Laview』の外装用塗料に採用され、高い技術力を示す。
関西エリアに分散していた物流機能を集約し、最新設備を備えた物流拠点を新設。効率化と持続可能な物流体制を構築。
機能性フッ素樹脂塗料を手掛けるAGCコーテックを連結子会社化し、高付加価値製品のラインナップを強化。
住友化学系の神東塗料を子会社化するためTOBを発表。業界内での競争力を高め、事業規模の拡大を加速させる。
中期経営計画の最終年度を迎え、連結売上高800億円、営業利益80億円を目指す。積極的なM&Aと事業改革で企業価値向上を図る。
注目ポイント
橋梁やプラントなど、過酷な環境から社会インフラを守る「重防食塗料」に強みを持ちます。東京ゲートブリッジにも採用された高い技術力で、社会を足元から支えています。
配当利回りは業界でも高水準。さらに1年以上の継続保有でQUOカードがもらえる株主優待も魅力です。株主を大切にする姿勢がうかがえます。
近年、AGCコーテックの子会社化や神東塗料へのTOBなど、M&Aを積極的に展開。既存事業の強化と新たな成長領域の獲得で、未来への飛躍を目指しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 3.5円 | 14.3% |
| FY2017/3 | 4円 | 11.2% |
| FY2018/3 | 25円 | 15.9% |
| FY2019/3 | 25円 | 19.9% |
| FY2020/3 | 25円 | 19.4% |
| FY2021/3 | 25円 | 35.9% |
| FY2022/3 | 25円 | 34.8% |
| FY2023/3 | 25円 | 20.5% |
| FY2024/3 | 35円 | 21.6% |
| FY2025/3 | 49円 | 14.8% |
| 必要株数 | 100株以上(約12.4万円) |
| 金額相当 | 1,000円〜5,000円相当 |
| 権利確定月 | 3月 |
同社は株主還元を経営の重要課題と位置づけており、DOE(株主資本配当率)3%を目標とした配当政策を掲げています。業績の拡大に合わせて配当を増額させる傾向があり、株主への利益還元を強化する姿勢が鮮明です。安定的な配当と長期保有を促す優待制度により、中長期的な投資家層の拡大を目指しています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
大日本塗料は、重防食塗料における強固な技術力を背景に安定した収益を確保しており、FY2025/3には当期純利益が約94.4億円と過去最高水準に達しました。売上高は横ばいで推移してきましたが、FY2026/3期は積極的な事業拡大により過去最高となる920億円の売上高を計画しています。主力の塗料事業に加え、機能性素材分野への資源投下が今後の成長を牽引する見通しです。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 6.6% | 2.3% | - |
| FY2022/3 | 4.6% | 2.3% | - |
| FY2023/3 | 7.2% | 3.7% | - |
| FY2024/3 | 7.9% | 4.5% | 6.8% |
| FY2025/3 | 5.8% | 7.1% | 6.5% |
営業利益率はFY2021/3の4.5%からFY2024/3には6.8%まで着実に改善しており、高付加価値製品へのシフトが収益性を押し上げています。特にFY2025/3はROE(自己資本利益率)が12.4%まで大幅に向上し、資本効率を重視した経営が成果を上げていることが示されています。今後も事業ポートフォリオの最適化を進めることで、持続的な収益性向上を目指す方針です。
財務は安全?
総資産はFY2021/3の約858億円からFY2025/3には約1,333億円まで拡大し、事業拡大に伴う投資が活発化しています。有利子負債は近年増加傾向にありますが、自己資本比率は48.8%を維持しており、安定した財務健全性を確保しています。今後も強固な基盤のもと、成長投資と株主還元の両立を図る財務戦略を継続する見通しです。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 36.4億円 | -23.3億円 | 5.0億円 | 13.2億円 |
| FY2022/3 | 33.6億円 | -9.7億円 | -28.4億円 | 24.0億円 |
| FY2023/3 | 12.8億円 | -14.5億円 | -4.7億円 | -1.7億円 |
| FY2024/3 | 34.6億円 | -7.7億円 | -16.6億円 | 26.9億円 |
| FY2025/3 | 35.7億円 | -3.6億円 | -7,500万円 | 32.1億円 |
営業キャッシュフローは安定して30億円前後を創出しており、強固な本業の稼ぐ力が確認できます。投資キャッシュフローは工場の設備投資や戦略的な事業買収のために支出されていますが、安定したフリーキャッシュフロー(FCF)を維持しているため、事業運営の自律性は高いと言えます。今後は、捻出した資金を成長投資だけでなく、株主への積極的な還元へ振り向ける方針です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 32.7億円 | 13.0億円 | 39.8% |
| FY2022/3 | 34.6億円 | 14.3億円 | 41.4% |
| FY2023/3 | 43.2億円 | 8.6億円 | 19.9% |
| FY2024/3 | 53.4億円 | 7.4億円 | 13.8% |
| FY2025/3 | 52.0億円 | 0円 | 0.0% |
法人税等の支払額は、税引前利益の変動や税効果会計の適用により毎期変動しています。特に近年の税負担率の低下は、繰延税金資産の取り崩しや特有の会計処理の影響を受けています。今後、税負担は標準的な税率水準へ回帰する見込みであり、適正な納税が行われる計画です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 596万円 | 2,496人 | - |
従業員の平均年収は596万円となっており、化学業界の塗料分野における中堅メーカーとしての水準を概ね維持しています。近年は原材料価格の高騰や経営環境の変化に対応するための構造改革を進めており、業績に応じた適正な処遇維持が課題となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はDNT取引関係持株会・三菱UFJ銀行・ダイニッカ。
大日本塗料の株主構成は、日本マスタートラスト信託銀行や明治安田生命保険、三菱UFJ銀行といった金融機関・法人が上位を占めており、安定した株主構成といえます。一方で個人株主の田邊康秀氏も大株主に名を連ねており、創業家や特定の事業関係者による一定の影響力が維持されていることが読み取れます。
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報によると、主力である重防食塗料に加え、建材用・車両用塗料を多角的に展開しています。主なリスク要因として原材料価格の変動や海外事業における地政学的リスクが挙げられ、直近では中国子会社の売却などポートフォリオの入れ替えを通じた収益性改善に取り組んでいます。
この会社のガバナンスは?
ガバナンス体制においては女性役員比率が8.3%にとどまっており、多様性の確保に向けた登用が今後の重要な課題となっています。連結子会社28社を擁するグループ全体での内部統制強化を目指しており、監査報酬は7,800万円と、企業規模に応じた適切な監査体制を構築しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 740億円 | — | 725億円 | -2.0% |
| FY2024 | 750億円 | — | 719億円 | -4.1% |
| FY2023 | 708億円 | — | 729億円 | +2.9% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 43億円 | — | 47億円 | +11.0% |
| FY2024 | 50億円 | — | 49億円 | -2.0% |
| FY2023 | 33億円 | — | 39億円 | +19.6% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画「DNT-2026」は、最終年度の連結売上高800億円、営業利益80億円を目標としています。FY2025実績では売上高725.1億円(進捗率90.6%)、営業利益47.16億円(進捗率59.0%)となり、売上高は順調ですが利益目標の達成にはもう一段の成長が必要です。近年の業績予想は売上高が未達となる一方、営業利益は上振れする傾向があり、コスト管理や製品ミックス改善が進んでいることが窺えます。株主還元目標であるDOE3%も進行中であり、経営陣の株主価値向上への意識が見られます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、ほぼ一貫して市場平均であるTOPIXを下回る「アンダーパフォーム」の状態が続いています。これは、同社の株価が市場全体の成長トレンドに乗り切れず、資本効率の面で課題があったことを示唆しています。しかし、近年発表された神東塗料へのTOBなどのM&A戦略や、DOE(株主資本配当率)を目標に掲げた株主還元強化策は、この状況を打開しようとする経営陣の強い意志の表れです。これらの施策が実を結び、収益性が向上すれば、今後はTOPIXを上回るパフォーマンスも期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 117.5万円 | +17.5万円 | 17.5% |
| FY2022 | 104.9万円 | +4.9万円 | 4.9% |
| FY2023 | 116.0万円 | +16.0万円 | 16.0% |
| FY2024 | 166.4万円 | +66.4万円 | 66.4% |
| FY2025 | 166.5万円 | +66.5万円 | 66.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
市場評価はPBR0.57倍と、解散価値を大きく下回る水準に留まっており、株価の割安感は顕著です。これは化学業界平均のPBR1.1倍と比較しても低い評価です。一方で、配当利回りは3.77%と業界平均を上回り、株主還元への姿勢が評価されています。信用倍率は9.16倍とやや高く、短期的な需給の緩みを警戒する声もありますが、PBR改善に向けた会社の取り組み次第では大きな上昇余地を秘めていると言えるでしょう。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
中国子会社の売却に伴う特損計上で26年3月期の純利益を17億円へ下方修正。
住友化学傘下の神東塗料をTOBにより連結子会社化し、事業基盤の拡大を図る。
機能性フッ素樹脂塗料を手掛けるAGCコーテックを連結子会社化し、製品ラインナップを拡充。
最新ニュース
大日本塗料 まとめ
ひとめ診断
「橋や高層ビルを守る『重防食の雄』が、積極的なM&Aで高機能塗料へと変貌を遂げる業界再編の主役」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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