杏林製薬
KYORIN Pharmaceutical Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月28日
呼吸器領域のスペシャリストから、新薬創出で未来を拓く医薬メーカー
優れた医薬品の創出を通じて、世界の人々の健康に貢献するエクセレントカンパニーとなること。
この会社ってなに?
あなたが、またはあなたの家族が咳やぜんそく、アレルギーで病院にかかった時、処方される吸入薬や飲み薬を作っている会社かもしれません。また、ドラッグストアで「ミルトン」という赤ちゃん用の哺乳瓶消毒液を見たことはありますか?あれも杏林製薬のロングセラー製品の一つです。このように、杏林製薬は呼吸器の治療から赤ちゃんの衛生管理まで、私たちの健康を身近なところで支えています。
呼吸器・アレルギー領域を主力とする中堅医薬品メーカー。FY2025は売上高1300.9億円(前期比8.8%増)、営業利益125.67億円(同109.0%増)と大幅な増益を達成しました。しかし、FY2026は特許切れなどの影響で減収減益を見込んでおり、正念場を迎えています。現在は中期経営計画「Vision 110 Stage-2」を推進中で、M&Aやライセンス契約を通じて新薬開発パイプラインの強化と事業領域の多角化を急いでいます。
会社概要
- 業種
- 医薬品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区神田駿河台4丁目6番地
- 公式
- www.kyorin-pharm.co.jp
社長プロフィール

当社グループは、中期経営計画のもと「新薬比率の最大化」を掲げ、積極的な営業活動を展開しています。AIなどの新技術も活用した新規事業の創出に取り組み、医療ニーズに応える価値の高い新薬を世に送り出すことで、持続的な成長を目指します。
この会社のストーリー
創業者の荻原四郎が、現在の東京都新宿区に杏林化学研究所を設立。これが杏林製薬の歴史の始まりとなる。
事業の発展に伴い、杏林製薬株式会社として法人化。組織的な医薬品開発・製造体制の基盤を築く。
呼吸器領域における主力製品となる「ムコダイン」を発売し、同領域での地位を確立。現在まで続くロングセラー製品となる。
キョーリン製薬ホールディングス株式会社を設立し、持株会社体制に移行。グループ経営の効率化と専門性の強化を図る。
医療機器開発のジェイタスを買収。治療薬だけでなく、診断領域へも事業を拡大し、総合的なヘルスケア企業への一歩を踏み出す。
創業100周年に向けた新中期経営計画を策定。新薬創出と事業領域の拡大による持続的成長を目指す戦略を明確にする。
Elix社のAI創薬プラットフォーム「Elix Discovery™」を導入。最新テクノロジーを活用し、新薬開発の効率化と成功確率の向上を目指す。
スイスのノバルティス社やUAEのルナタス社など、海外企業とのライセンス契約や販売契約を積極的に締結し、グローバル展開を加速させる。
注目ポイント
ぜんそく薬などを主力に、呼吸器・アレルギー領域で長年の実績と高い専門性を持つ中堅製薬企業です。安定した事業基盤が強みです。
AI創薬ベンチャーとの提携や海外大手製薬会社とのライセンス契約など、外部の技術や知見を積極的に取り入れ、新薬開発を加速させています。
安定的な配当を継続しており、株主還元への意識が高い企業です。2025年3月期は1株あたり57円の配当を予定しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 58円 | 31.5% |
| FY2017/3 | 58円 | 58.3% |
| FY2018/3 | 58円 | 65.0% |
| FY2019/3 | 75円 | 71.6% |
| FY2020/3 | 75円 | 69.9% |
| FY2021/3 | 75円 | 70.1% |
| FY2022/3 | 52円 | 75.8% |
| FY2023/3 | 52円 | 63.1% |
| FY2024/3 | 52円 | 56.1% |
| FY2025/3 | 57円 | 36.0% |
現在、株主優待制度は実施していません。
当社は安定的な配当の継続を経営の重要課題の一つとして認識しています。業績連動性を意識しつつ、配当性向を考慮した適正な利益還元を基本方針としています。昨今は収益拡大に伴い配当水準も見直されており、株主への長期的な還元姿勢を維持しています。
同業比較(収益性)
医薬品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の売上高は、呼吸器・アレルギー領域を中心とした新薬事業の堅調な推移により、FY2021/3の約1,029億円からFY2025/3には約1,301億円へと着実に拡大しています。特にFY2025/3は主力製品の販売好調や費用効率化が寄与し、営業利益が約126億円、当期純利益が約91億円と大幅な増益を達成しました。FY2026/3期については、一過性の要因剥落などを見込み、売上高1,270億円、純利益48億円という慎重な予想を立てています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 7.0% | 3.7% | 7.0% |
| FY2022/3 | 6.0% | 2.3% | 6.2% |
| FY2023/3 | 4.6% | 2.7% | 5.2% |
| FY2024/3 | 57.7% | 3.1% | 5.2% |
| FY2025/3 | 7.7% | 4.7% | 9.7% |
収益性については、FY2021/3からFY2024/3まで営業利益率が4〜5%台で推移していましたが、FY2025/3には高収益製品の伸長により営業利益率が9.7%へと大幅に改善しました。これに伴い、ROE(自己資本利益率)も4%前後から6.7%へと向上しており、資本効率の改善傾向が見て取れます。今後も研究開発費の適正化と製品ポートフォリオの最適化を進めることで、安定した利益水準の確保を目指しています。
財務は安全?
当社の財務状態は非常に強固であり、自己資本比率は70%以上の高水準を維持しています。FY2024/3以降、事業投資や買収に伴い有利子負債が約751億円発生しましたが、潤沢な純資産(約1,363億円)を背景に高い財務健全性を堅持しています。今後も現金の安定的な運用と有利子負債のコントロールを通じて、成長投資と財務規律のバランスを維持していく方針です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 51.9億円 | -42.6億円 | -49.2億円 | 9.3億円 |
| FY2022/3 | 63.5億円 | -25.6億円 | -41.1億円 | 37.9億円 |
| FY2023/3 | 20.1億円 | -62.8億円 | -33.6億円 | -42.7億円 |
| FY2024/3 | 15.5億円 | -31.9億円 | -33.5億円 | -16.4億円 |
| FY2025/3 | 35.1億円 | -63.2億円 | 39.5億円 | -28.2億円 |
営業活動によるキャッシュフローは安定した利益創出によりプラスを維持していますが、将来の成長に向けた積極的な研究開発や設備投資が継続されているため、フリーキャッシュフローは一時的にマイナスとなる局面があります。FY2025/3にはM&Aを含む投資活動による支出が拡大した一方、財務活動により外部資金を調達することで事業基盤の強化を図りました。中長期的には創薬パイプラインの収益化を通じて、より強固なキャッシュ創出サイクルの構築を目指しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 64.5億円 | 3.2億円 | 4.9% |
| FY2022/3 | 55.7億円 | 16.4億円 | 29.4% |
| FY2023/3 | 58.3億円 | 11.0億円 | 18.9% |
| FY2024/3 | 68.2億円 | 13.5億円 | 19.7% |
| FY2025/3 | 132億円 | 41.3億円 | 31.3% |
当社の実効税率は年によって変動しており、主に繰延税金資産の取り崩しや調整事項の影響を受けています。FY2021/3は一時的な税務処理により低い水準となりましたが、FY2025/3は約31%と標準的な税負担率に戻っています。将来の予想値に関しても、通常の税率水準を前提とした計算を行っています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 883万円 | 1,998人 | - |
従業員平均年収は883万円であり、医薬品業界の中でも安定した給与水準を維持しています。長年の研究開発と製造販売を主軸とする事業特性から、専門性の高い人材を確保するために、業界内でも競争力のある賃金体系が構築されていると考えられます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主はマイカム・ルキウス・BBH FOR THE ADVISORS’ INNERCIRCLE FUND II/KOPERNIK GLO ALL-CAP FUND(常任代理人 三菱UFJ銀行決済事業部)。
杏林製薬の株主構成は、日本マスタートラスト信託銀行等の信託口が上位を占める一方で、創業家関連と見られる企業が複数名を連ねている点が特徴です。これは中堅医薬品メーカーとして安定した支配権を維持しつつ、機関投資家からの評価も一定程度受けている構造を示唆しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報によると、同社は呼吸器領域を中核とする医薬品事業を展開しており、主力製品の安定供給と研究開発への継続的な投資が経営の柱となっています。事業リスクとしては、新薬開発の成功可否や、薬価改定による収益への影響が重要な要素として挙げられます。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は9.1%と改善の余地があるものの、監査体制の強化などコーポレート・ガバナンスへの取り組みを継続しています。約2,000名規模の組織において、堅実な経営体質と透明性の高い情報開示を重視しており、中堅メーカーとしてバランスの取れた体制を維持しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,234億円 | — | 1,301億円 | +5.4% |
| FY2024 | 1,162億円 | — | 1,195億円 | +2.9% |
| FY2023 | 1,120億円 | — | 1,133億円 | +1.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 65億円 | — | 126億円 | +93.3% |
| FY2024 | 60億円 | — | 60億円 | +0.2% |
| FY2023 | 55億円 | — | 51億円 | -6.9% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画「Vision 110 Stage-2」では、FY2026目標として売上収益1,240億円、コア営業利益50億円を掲げています。直近のFY2026会社予想は売上1,270億円、営業利益61億円であり、現時点で主要な経営目標は達成見込みです。一方で、特許切れの影響による減益が課題となっており、M&Aや提携を通じた新薬パイプラインの構築が計画達成後の持続的成長の鍵を握ります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、配当と株価上昇を合わせた投資家リターンを示す指標です。過去5年間、杏林製薬のTSRは一貫して市場平均であるTOPIXを大幅に下回る「アンダーパフォーム」の状態が続いています。これは、安定配当は実施しているものの、株価が長期的に横ばいで推移しており、成長性に対する市場の評価が低いことが主な原因です。株価を押し上げるような大型新薬の上市や、資本効率を大幅に改善する経営戦略が今後の課題となります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 91.1万円 | -8.9万円 | -8.9% |
| FY2022 | 86.6万円 | -13.4万円 | -13.4% |
| FY2023 | 85.7万円 | -14.3万円 | -14.3% |
| FY2024 | 92.9万円 | -7.1万円 | -7.1% |
| FY2025 | 81.4万円 | -18.6万円 | -18.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同業他社比較では、PERは業界平均並みですが、PBRは0.71倍と純資産価値に対して株価が割安な水準にあります。これは市場が同社の将来の収益性について慎重な見方をしていることを示唆しています。信用倍率は1.26倍と拮抗しており、短期的な需給の偏りは見られません。時価総額は業界中央値よりは大きいものの、大手と比較すると中堅規模に位置します。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
ヤンセンファーマおよびUBEとの相次ぐライセンス契約・販売提携により、新薬パイプラインの強化と海外展開を加速させています。
中東9カ国における抗菌剤の販売契約を締結し、グローバル市場での収益基盤拡大を戦略的に推進しています。
キッセイ薬品およびUbieと共同で、過活動膀胱の早期受診支援プロジェクトを開始し、患者体験の向上を目指しています。
最新ニュース
杏林製薬 まとめ
ひとめ診断
「呼吸器系の老舗が、積極的なM&Aや提携で創薬パイプラインの再構築を急ぐ堅実な医薬品メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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