アステラス製薬
Astellas Pharma Inc.
最終更新日: 2026年4月30日
科学の進歩を患者さんの「価値」に変える。特許の崖を新薬で越え、世界の医療を変革するグローバルファーマ
変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの「価値」に変える
この会社ってなに?
病院で処方される薬の中に、アステラス製薬の製品が含まれているかもしれません。特に泌尿器科(前立腺・膀胱)の分野では世界トップクラスのシェアを持っています。家族や知人が前立腺がんの治療を受けている場合、「イクスタンジ」という薬を使っている可能性があります。また、臓器移植後の拒絶反応を防ぐ「プログラフ」は世界中の移植患者に不可欠な薬です。目に見えにくい「新薬」というビジネスですが、人々の命と生活の質を直接支えている企業です。
FY2025/3期は売上収益1兆9,123億円(前期比+19.2%)と大幅増収を達成し、前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の世界的な売上拡大が牽引しました。FY2026/3期はさらに売上2.1兆円・純利益2,500億円(前期比約4.9倍)と7年ぶりの最高益が見込まれ、2026年2月には上場来高値を更新しています。一方、イクスタンジの米国特許が2027年に切れるため「特許の崖」が最大のリスク要因であり、膀胱がん治療薬「パドセブ」や眼科領域(Iveric Bio買収)での成長がその穴を埋められるかが中長期の焦点です。
会社概要
- 業種
- 医薬品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋本町2-5-1
- 公式
- www.astellas.com
社長プロフィール
私たちは「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変える」ことを存在意義として掲げています。2023年のIveric Bio買収で眼科領域に本格参入し、2026年3月期は7年ぶりの最高益を見込んでいます。イクスタンジの特許切れという大きな課題に対しても、パドセブをはじめとする次世代製品群と革新的なパイプラインで乗り越えてまいります。すべてのステークホルダーの皆様とともに持続的な企業価値の向上を目指します。
この会社のストーリー
日本を代表する2つの製薬会社の統合により、泌尿器・移植領域に強みを持つ新薬特化型グローバルファーマとして誕生しました。
前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の適応拡大が相次ぎ、年間売上数千億円規模のブロックバスターに成長。アステラスの収益基盤を一変させました。
米国のIveric Bio社を約8,000億円で買収し、地図状萎縮(GA)治療薬を獲得。イクスタンジ後の成長ドライバー構築に向けた大型投資でした。
Iveric Bio買収に伴う減損・統合費用が利益を圧迫し、FY2024/3期の純利益は170億円に落ち込みました。特許の崖への懸念と重なり株価も低迷。
イクスタンジとパドセブの世界的好調に支えられ、FY2026/3期は純利益2,500億円と7年ぶりの最高益を見込む。通期予想を2度上方修正し、上場来高値を更新しました。
注目ポイント
Iveric Bio買収の一時的な利益圧迫を乗り越え、FY2026/3期は純利益2,500億円と大幅増益。通期予想を2度上方修正する強い事業モメンタムが魅力です。
利益が落ち込んでも減配しない累進配当姿勢を貫き、5期連続で増配を実現。利回り約3%で安定したインカムゲインが期待できます。
眼科領域(Iveric Bio)、がん免疫療法(パドセブ)、細胞・遺伝子治療など、イクスタンジ後を見据えた成長投資を積極的に実行しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 32円 | 35.7% |
| FY2017/3 | 34円 | 32.8% |
| FY2018/3 | 36円 | 44.4% |
| FY2019/3 | 38円 | 33.0% |
| FY2020/3 | 40円 | 38.4% |
| FY2021/3 | 42円 | 64.7% |
| FY2022/3 | 50円 | 74.5% |
| FY2023/3 | 60円 | 110.6% |
| FY2024/3 | 70円 | 736.1% |
| FY2025/3 | 74円 | 261.0% |
株主優待制度なし
FY2022/3期の50円から5期連続の増配を継続中で、FY2026/3期は年間78円(予想)。利益が一時的に落ち込んだFY2024/3期でも減配せず70円を維持する「累進配当」姿勢を貫きました。FY2026/3期はEPS 139.6円に対し配当78円で配当性向は55.9%と健全な水準に回復見込み。利回りは約3.0%で製薬大手としては標準的。株主優待制度はありません。
同業比較(収益性)
医薬品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2025/3期は売上収益1兆9,123億円(前期比+19.2%)と大幅増収を達成。主力の前立腺がん治療薬イクスタンジが世界的に伸長しました。FY2024/3期にはIveric Bio買収(約58億ドル)に伴う減損・統合費用が発生し営業利益が大幅に落ち込みましたが、FY2025/3期以降は回復基調に転じています。FY2026/3期は営業利益2,400億円・純利益2,500億円と7年ぶりの最高益が見込まれ、通期予想は2度にわたり上方修正されています。なお純利益が営業利益を上回るのは、膀胱がん治療薬パドセブの特許侵害訴訟和解金320億円等の営業外収益によるものです。
事業ごとの売上・利益
イクスタンジ(前立腺がん)、パドセブ(膀胱がん)、プログラフ(臓器移植)を中心に世界70カ国以上で展開。FY2026/3期は利益率11%台に回復見込み
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 9.0% | 5.3% | - |
| FY2022/3 | 8.7% | 5.3% | - |
| FY2023/3 | 6.7% | 4.0% | - |
| FY2024/3 | 1.1% | 0.5% | 1.6% |
| FY2025/3 | 3.3% | 1.5% | 2.1% |
FY2024/3期・FY2025/3期はIveric Bio買収(約58億ドル)に伴う減損・統合費用が利益を大きく圧迫し、営業利益率は1.6%・2.1%と一時的に低迷しました。しかしFY2026/3期予想では営業利益率が約11.4%へとV字回復する見通しで、イクスタンジ・パドセブの好調と費用構造改革の効果が表れています。ROEもFY2024/3の1.1%から大幅改善が期待されます。
財務は安全?
FY2024/3期にIveric Bio買収で総資産が約1.1兆円増加し3.6兆円に膨らみ、自己資本比率は61%台から44.7%へ低下しました。FY2025/3期は総資産が3.3兆円に縮小し、自己資本比率は45.3%と安定化の兆し。製薬大手としては標準的な水準を維持しています。なお有利子負債の内訳はIFRS会計基準の開示方法により0と表示されていますが、実際には社債等の負債を保有しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 1,725億円 | -8,458億円 | 6,141億円 | -6,733億円 |
| FY2025/3 | 1,945億円 | -894億円 | -2,614億円 | 1,051億円 |
FY2024/3期はIveric Bio買収に約8,458億円の投資支出が発生し、FCFは大幅マイナスに転落。財務活動で6,141億円を調達(社債発行等)して対応しました。FY2025/3期は投資活動が正常化しFCFが1,051億円のプラスに回復。営業CFは約1,945億円と安定したキャッシュ創出力を維持しており、FY2026/3期は利益の大幅増加に伴いさらなる改善が見込まれます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,453億円 | 247億円 | 17.0% |
| FY2022/3 | 1,569億円 | 328億円 | 20.9% |
| FY2023/3 | 1,324億円 | 336億円 | 25.4% |
| FY2024/3 | 250億円 | 79.2億円 | 31.7% |
| FY2025/3 | 312億円 | 0円 | 0.0% |
FY2026/3期の税引前利益は約3,300億円と大幅な増益が見込まれています。実効税率は約24.2%で、グローバル展開する製薬企業としては標準的な水準です。海外子会社の利益構成やR&D税制優遇が実効税率の押し下げ要因となっています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,046万円 | 13,643人 | - |
平均年収は約1,050万円と製薬業界トップクラスの水準。FY2025で減少に転じたのは早期退職制度の実施による構成変化が影響しています。従業員数はFY2023の4,867名をピークに減少傾向にあり、組織のスリム化と重点領域への集中を進めています。
誰がこの会社の株を持ってる?
信託銀行・保険会社等の機関投資家が安定株主の中核。外国人投資家の比率が高く、グローバルな資金フローの影響を受けやすい構造です。創業家やオーナーは存在せず、典型的なプロフェッショナル経営型の株主構成。
株主構成は日本マスタートラスト信託銀行(19.9%)・日本カストディ銀行(8.0%)を筆頭とする機関投資家主体の構造です。ゴールドマン・サックス、ステートストリート、JPモルガンなど海外大手金融機関も上位に名を連ね、外国人投資家の保有比率は約42%と高水準。日本生命が2.85%を保有するなど、国内保険会社も安定株主として存在します。大株主に個人名はなく、プロフェッショナル経営による透明性の高いガバナンスが特徴です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 医薬品事業(全社一体) | 約1.91兆円 | 約410億円 | 約2.1% |
アステラス製薬は新薬に特化したグローバル製薬企業で、単一の医薬品事業として一体運営しています。売上の約80%が海外で、米国が最大市場です。泌尿器・移植領域に強みを持ち、近年はがん免疫療法と眼科領域に注力。2023年のIveric Bio買収(58億ドル)で眼科領域に本格参入し、イクスタンジの特許切れ後の成長ドライバーを構築中です。
この会社のガバナンスは?
取締役11名中女性5名(45.5%)と、日本の上場企業の中でもトップクラスの女性比率を誇ります。監査報酬は約2.5億円で、グローバル製薬企業としての高い透明性と内部統制を確保しています。設備投資は478億円と、製造拠点のグローバル展開やデジタル化投資を積極的に推進しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 600億円 | 410億円 | 410億円 | -31.7% |
| FY2026/3 | 1,600億円 | 2,400億円 | — | +50.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
売上収益2兆円目標はFY2026/3期に達成見込み。一方、コア営業利益率30%の長期目標に対して現在約11%と大きな乖離があります。Iveric Bio買収や研究開発費の増加が利益率を圧迫していますが、イクスタンジの特許切れ後に次世代製品が順調に立ち上がれば、中長期での利益率改善が期待されます。FY2026/3期の業績予想は2度の上方修正を経ており、足元の事業モメンタムは良好です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSRは104.3%とほぼ横ばいで、同期間のTOPIX(213.4%)に対して約109ポイントのアンダーパフォームが続いています。Iveric Bio買収に伴う一時的な利益圧迫と、イクスタンジの特許切れ懸念が株価の重しとなってきました。ただし直近1年では株価が約60%上昇しており、業績のV字回復が市場に評価されつつあります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 104.4万円 | +4.4万円 | 4.4% |
| FY2022 | 119.9万円 | +19.9万円 | 19.9% |
| FY2023 | 121.8万円 | +21.8万円 | 21.8% |
| FY2024 | 111.6万円 | +11.6万円 | 11.6% |
| FY2025 | 104.3万円 | +4.3万円 | 4.3% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は0.46倍と売り長で、上場来高値圏での空売りが積み上がっている状態です。将来の買い戻し需要は株価の下支え要因。PER 18.5倍は医薬品セクター平均(約25倍)を下回り、特許の崖リスクが織り込まれた水準と読み取れます。配当利回り3.02%はセクター平均を大きく上回り、インカム面での魅力があります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
アリヴェクシスと新規の創薬標的についての共同研究を開始。次世代パイプラインの強化に向けた布石。
FY2026/3期通期予想を再上方修正し、上場来高値2,622円を更新。7年ぶり最高益への期待が株価を押し上げた。
膀胱がん治療薬パドセブの特許侵害訴訟で2社目と和解し計320億円を受領。知財戦略の成果が顕在化。
FY2026/3期第2四半期決算を発表。イクスタンジとパドセブの好調により通期営業利益予想を1,000億円引き上げ。
FY2025/3期決算を発表。売上1.91兆円と大幅増収だが、Iveric Bio買収に伴う減損等で営業利益は410億円にとどまった。
最新ニュース
アステラス製薬 まとめ
ひとめ診断
「イクスタンジとパドセブの二本柱で7年ぶり最高益へ。特許の崖を乗り越える新薬パイプラインに注目」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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