第一三共
DAIICHI SANKYO COMPANY, LIMITED
最終更新日: 2026年4月30日
がん治療の最前線で世界を変える。ADC「エンハーツ」を武器に、日本発のグローバル製薬企業へ
世界中の人びとの健康で豊かな生活に貢献する
この会社ってなに?
病院で使われるがん治療薬を作っている会社です。特に「エンハーツ」という抗がん剤は乳がん・肺がん・胃がんなどに効果があり、世界中で多くの患者さんの命を支えています。また「ロキソニン」や「トランサミン」など身近なOTC医薬品も第一三共グループの製品です。がん治療という社会的意義の大きな分野で急成長しており、配当も4年連続増配中。がん領域での新薬開発パイプラインが豊富で、中長期の成長ポテンシャルが高い銘柄です。
第一三共は2005年に三共と第一製薬が統合して誕生した国内製薬大手です。主力の抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」がアストラゼネカとの提携のもと世界的にヒットし、FY2025/3は売上収益1兆8,863億円(+17.8%)・営業利益3,319億円と過去最高を大幅更新しました。FY2026/3も売上収益2兆1,000億円・営業利益3,350億円の増収増益を見込み、3Q累計では売上1兆5,336億円(+12.1%)と順調に進捗。海外売上比率は69%に達し、グローバル製薬企業への変貌を遂げつつあります。米メルクとも最大220億ドルのADC提携契約を締結しており、オンコロジー(がん領域)のリーディングカンパニーを目指しています。
会社概要
- 業種
- 医薬品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋本町三丁目5番1号
- 公式
- www.daiichisankyo.co.jp
社長プロフィール

私たちは「世界中の人びとの健康で豊かな生活に貢献する」という企業理念のもと、ADC(抗体薬物複合体)技術を核にがん治療の革新に挑んでいます。エンハーツに続く次世代ADCのパイプラインを充実させ、がん以外の疾患領域にもADC技術を応用することで、さらなる成長を実現してまいります。株主の皆さまには、配当の着実な増額と自社株買いを通じて、利益成長に見合った還元を継続してまいります。
この会社のストーリー
1899年創業の三共と1915年創業の第一製薬が経営統合し、国内有数の製薬企業として第一三共が誕生。循環器・感染症領域を主力に事業を展開しました。
従来の循環器・感染症中心の事業構造から、がん領域への戦略的シフトを決断。ADC(抗体薬物複合体)技術の研究開発に経営資源を集中投下しました。
ADC「エンハーツ」の全世界での共同開発・販売に関しアストラゼネカと提携。最大約7,400億円の契約で、グローバル展開への道が開かれました。
米メルクとADC3剤の共同開発・販売で提携し、一時金を含む最大220億ドル(約3.3兆円)の契約を締結。日本の製薬企業として過去最大規模の提携となりました。
FY2025/3に売上収益1.89兆円を達成し、FY2026/3には2兆円の大台に到達見込み。次世代ADCパイプラインの充実と海外売上比率69%のグローバル体制で、さらなる成長を目指します。
注目ポイント
抗体薬物複合体(ADC)技術で世界をリードし、乳がん・肺がん・胃がん治療に革命をもたらしています。AstraZeneca・メルクとの大型提携により、グローバルな事業基盤を確立しました。
売上収益は5年で約2倍(9,625億→1兆8,863億円)、営業利益は約5倍(638億→3,319億円)に急成長。海外売上比率69%のグローバル製薬企業に変貌を遂げました。
年間配当は27円→78円予想と約3倍に成長。配当性向はまだ48%台と余裕があり、利益成長に伴うさらなる増配が期待できます。自社株買いも実施し、株主還元を強化しています。
メルクとの最大220億ドル(約3.3兆円)のADC提携は、第一三共のADC技術が世界最高水準であることの証明です。この提携による一時金・マイルストーン収入は中長期の業績を支えます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 26円 | 58.6% |
| FY2017/3 | 26円 | 87.9% |
| FY2018/3 | 26円 | 76.6% |
| FY2019/3 | 26円 | 48.5% |
| FY2020/3 | 26円 | 35.1% |
| FY2022/3 | 27円 | 77.3% |
| FY2023/3 | 30円 | 52.7% |
| FY2024/3 | 50円 | 47.8% |
| FY2025/3 | 60円 | 38.5% |
なし
FY2025/3の年間配当は60円(前期比+10円)で4年連続の増配。FY2026/3は78円(+18円、+30%増配)を予想しており、エンハーツの収益貢献による利益成長に連動した大幅増配が続いています。配当性向はFY2025/3で38.5%、FY2026/3予想でも51.3%と余裕があります。5年前の27円から約3倍に成長しており、今後も利益成長に伴う増配の余地は十分にあります。株主優待制度はありません。
同業比較(収益性)
医薬品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上収益は5年間で約2倍に急成長し、FY2025/3は1兆8,863億円・営業利益3,319億円と過去最高を大幅更新しました。主力ADC「エンハーツ」のグローバル売上拡大が成長を牽引し、営業利益率はFY2021/3の6.6%からFY2025/3は17.6%へ大幅に改善。FY2026/3は売上2兆1,000億円(+11.3%)と過去最高更新の見込みで、3Q累計の売上進捗率は73%と順調です。ただし営業利益は3Q累計で前年同期比5.9%減と、研究開発費やADC拡販費の増加が利益の伸びを抑制しており、通期営業利益は3,350億円(+0.9%)の微増予想にとどまっています。
事業ごとの売上・利益
売上の95%を占める主力事業。ADC「エンハーツ」が乳がん・肺がん・胃がんで世界的に売上拡大中。アストラゼネカとの提携で海外展開を加速し、メルクとも最大220億ドルのADC契約を締結
「ロキソニン」「トランサミン」等のOTC医薬品を展開する第一三共ヘルスケアが担当。セルフメディケーション需要の拡大に対応し安定的な収益基盤を形成
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.9% | 3.6% | - |
| FY2022/3 | 5.1% | 3.0% | - |
| FY2023/3 | 7.8% | 4.4% | - |
| FY2024/3 | 12.8% | 5.8% | 13.2% |
| FY2025/3 | 17.9% | 8.6% | 17.6% |
収益性は5年間で劇的に改善しました。営業利益率はFY2021/3の6.6%からFY2025/3の17.6%へと約3倍に上昇し、ROEも6.0%から18.2%へ大幅に向上。エンハーツを中心とするADC製品群のグローバル展開により、高付加価値の抗がん剤が収益構造を根本から変革しています。ただしFY2026/3 3Q累計では営業利益が前年同期比5.9%減となり、研究開発費の増加が収益性を一時的に圧迫している点には留意が必要です。
財務は安全?
FY2024/3に総資産が約1兆円増加(2.5兆→3.5兆円)しました。これはメルクとのADC提携契約に伴う一時金の受領や契約資産の計上が主因です。自己資本比率は61%から47%に低下しましたが、有利子負債は約1,000億円と限定的であり、実質的な財務健全性は維持されています。BPSはFY2024/3に880円まで増加しましたが、FY2025/3は自社株買い・配当増に伴い870円とやや減少しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 5,993億円 | -2,826億円 | -1,236億円 | 3,166億円 |
| FY2025/3 | 538億円 | 3,342億円 | -3,778億円 | 3,880億円 |
キャッシュフローは年度ごとに変動が大きい点が特徴です。FY2024/3は営業CF 5,993億円と突出しましたが、これはメルク提携の一時金受領が含まれています。FY2025/3は営業CF 538億円に縮小した一方、投資CFが+3,342億円のプラスとなっており、有価証券の売却等による資金回収が行われました。財務CFは-3,778億円と大幅なマイナスで、自社株買いや配当支払いによる積極的な株主還元が反映されています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 741億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 735億円 | 65.4億円 | 8.9% |
| FY2023/3 | 1,269億円 | 177億円 | 13.9% |
| FY2024/3 | 2,372億円 | 365億円 | 15.4% |
| FY2025/3 | 3,556億円 | 599億円 | 16.8% |
実効税率は20%前後と日本企業としては低めの水準で推移しています。研究開発税制の適用や海外子会社からの配当益金不算入制度の活用が主因です。FY2026/3予想の14.3%はさらに低い見込みですが、これは海外での利益計上比率の上昇や税制優遇の拡大を反映しています。年間の法人税等は約500〜740億円規模であり、国内有数の納税企業です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,114万円 | 19,765人 | - |
平均年収は1,100万円前後で国内製薬企業トップクラスの水準を維持。FY2025は従業員数が435名増加し、エンハーツの事業拡大に伴う積極的な人材採用が進んでいます。平均年齢は46歳と、大手製薬企業として安定した組織構造を有しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関37.4%(信託銀行経由の機関投資家が中心)と事業法人2.1%が安定株主層。外国法人46.1%・個人12%が浮動株を構成。大手製薬のためオーナー色はなく、機関投資家主導の構成。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(17.69%)、次いで日本カストディ銀行(7.55%)と、信託銀行経由の国内外機関投資家が上位を占めます。State Street Bank、JP Morgan Chase Bankなど海外カストディアンが多数ランクインし、外国法人比率は46.1%と非常に高い水準です。日本生命保険(4.59%)やみずほ信託銀行の退職給付信託(1.34%)など政策保有株主も存在しますが、全体としてはグローバルな機関投資家が株主構成の中心であり、エンハーツの成長期待が海外マネーを呼び込んでいます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 医療用医薬品事業 | 約1兆7,920億円 | 約3,150億円 | 約17.6% |
| ヘルスケア事業 | 約940億円 | 約170億円 | 約18% |
売上の約95%を医療用医薬品が占める一本足打法型のポートフォリオですが、ADC技術という独自の強みにより高い参入障壁を構築しています。アストラゼネカとの「エンハーツ」共同開発・販売契約、メルクとの次世代ADC提携契約により海外売上比率は69%に達し、国内製薬企業の中でもグローバル化が最も進んでいます。ヘルスケア事業はOTC医薬品の安定収益を提供し、事業ポートフォリオの下支え役を果たしています。
この会社のガバナンスは?
取締役15名中女性4名(比率26.6%)とダイバーシティ推進が着実に進展しています。監査報酬3億1,300万円の規模からもガバナンスへの投資姿勢が読み取れ、グローバル製薬企業に相応しい厳格な監視体制を構築。平均勤続年数20.3年と人材の定着率が高く、設備投資は1,138億円とADC製造拠点への積極投資が続いています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 1兆5,000億円 | — | 1兆6,017億円 | +6.8% |
| FY2025/3 | 1兆7,500億円 | — | 1兆8,863億円 | +7.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/3 | 2,300億円 | — | 2,116億円 | -8.0% |
| FY2025/3 | 2,300億円 | — | 3,319億円 | +44.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
第5期中計は主要KPIを軒並み前倒し達成する圧倒的な成果を収めました。がん事業売上は当初目標6,000億円に対し9,000億円超を見込み、海外売上比率も69%と目標を大きく上回っています。売上収益は2期連続で期初予想を6〜8%上回って着地する保守的傾向。FY2025/3はメルク提携の一時金も加わり営業利益が予想比+44.3%。2026年4月8日に新CEO奥澤氏のもと第6期中計「2035ビジョン」を発表予定で、ADCパイプラインのさらなる拡充と新たな成長ステージへの移行が注目されます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は149.5%で、TOPIX(213.4%)を約64ポイント下回るアンダーパフォームとなっています。FY2023/3にはTSR198.0%とTOPIXを上回る局面もありましたが、2024年後半からの株価急落で大きく後退。業績は過去最高を更新し続けているにもかかわらず株価が低迷している背景には、ADC競争激化への懸念や、高値からの利益確定売りが影響しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 131.2万円 | +31.2万円 | 31.2% |
| FY2022/3 | 110.3万円 | +10.3万円 | 10.3% |
| FY2023/3 | 198.0万円 | +98.0万円 | 98.0% |
| FY2024/3 | 198.2万円 | +98.2万円 | 98.2% |
| FY2025/3 | 149.5万円 | +49.5万円 | 49.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER17.8倍は医薬品セクター平均(25〜30倍)と比べて割安な水準です。2024年後半からの株価下落(52週高値4,178円→現在2,864円)により、高成長銘柄としてはバリュエーションが圧縮されています。PBR3.29倍はセクター平均的で、ROE18%の高収益力を反映。配当利回り2.72%は医薬品セクターでは高めの水準です。信用倍率55.88倍と買い残が厚く、個人投資家の買い意欲が強い一方で需給面では上値の重石となる可能性があります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
米シージェンとの抗がん剤技術に関する特許係争が終結。法的リスクが解消し、ADC事業の安定的な推進が可能に。
FY2026/3 3Q累計で売上収益1兆5,336億円(+12.1%)、純利益2,174億円(+4.2%)。エンハーツの海外売上が成長を牽引。
完全子会社の第一三共ビジネスアソシエを吸収合併。業務プロセスの集約・効率化を推進。
FY2026/3 2Q累計でも増収増益を継続。通期見通しを据え置きつつ、エンハーツのグローバル展開が順調に進捗。
発行済株式の約2%に相当する自己株式取得枠を設定。株主還元の強化姿勢を示す。
最新ニュース
第一三共 まとめ
ひとめ診断
ADC抗がん剤「エンハーツ」で世界を席巻する国内製薬大手。AstraZenecaとの提携で海外売上比率69%、営業利益率17%超へ急成長
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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