協和キリン
Kyowa Kirin Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月22日
バイオテクノロジーの力で、まだ治せない病気を治す製薬会社
ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献する。
この会社ってなに?
病院で処方される薬を開発・販売している会社です。特に骨の病気(くる病など)を治す注射薬「クリースビータ」が世界で広く使われており、日本ではがんの一種を治す薬「ポテリジオ」でも知られています。キリンビールを展開するキリングループの一員で、ビールの発酵技術から生まれたバイオテクノロジーを薬づくりに活かしている、技術力に定評のある製薬会社です。
協和キリンは、キリンホールディングス傘下(出資比率約55%)のバイオテクノロジー製薬企業です。抗体医薬技術「POTELLIGENT」を強みに、骨・ミネラル領域の「クリースビータ」、がん領域の「ポテリジオ」など独自性の高いグローバル製品を展開しています。2025年12月期は売上収益4,968億円・コア営業利益1,031億円と過去最高を更新しました。一方、2026年3月にはピーク時売上高2,000億円が期待されていたアトピー性皮膚炎治療薬候補「ロカチンリマブ」の全臨床試験を中止し、株価はストップ安となりました。今後は英Orchard社買収で獲得した遺伝子治療薬や既存パイプラインの拡大で成長ストーリーの再構築が求められます。
会社概要
- 業種
- 医薬品
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都千代田区大手町一丁目9番2号 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
- 公式
- www.kyowakirin.co.jp
社長プロフィール
Life-changingな価値を持つ医薬品を世界中の患者さんにお届けすることが私たちの使命です。グローバル・スペシャリティファーマとして、独自の抗体技術とバイオテクノロジーを武器に、存在感のある会社を目指します。
この会社のストーリー
発酵技術を基盤とする化学・製薬企業「協和発酵工業」として創業。アミノ酸や核酸の生産技術で世界をリードしました。
独自の抗体エンジニアリング技術「POTELLIGENT」を確立し、抗体医薬品開発のプラットフォームとしてグローバルに技術供与を開始。
キリンファーマとの合併により「協和発酵キリン」が発足。キリングループ入りにより、研究開発体制とグローバル展開を大幅に強化しました。
X染色体連鎖性低リン血症治療薬「クリースビータ」が欧米で承認を取得し、グローバル・スペシャリティファーマへの飛躍を遂げました。
英Orchard Therapeutics社を最大約707億円で買収し、遺伝子治療という新たなモダリティの獲得に踏み切りました。
期待のアトピー薬ロカチンリマブの開発中止という大きな逆風の中、既存パイプラインの拡大と新たな成長軸の模索を進めています。
注目ポイント
独自の抗体エンジニアリング技術は20社以上にライセンス供与され、多くの革新的医薬品の基盤技術となっています。
自己資本比率80%超・有利子負債ゼロの堅固な財務基盤のもと、コアEPS配当性向40%方針で安定的に株主還元を実施しています。
クリースビータの海外売上が急成長中。外国人社長の就任により真のグローバル企業への変革を加速させています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 25円 | 73.3% |
| FY2017/3 | 27円 | 34.4% |
| FY2018/3 | 35円 | 35.2% |
| FY2019/3 | 42円 | 33.7% |
| FY2020/3 | 44円 | 50.3% |
| FY2021/3 | 46円 | 47.2% |
| FY2022/3 | 51円 | 51.2% |
| FY2023/3 | 56円 | 37.1% |
| FY2024/3 | 58円 | 51.3% |
| FY2025/3 | 62円 | 48.4% |
現在、株主優待制度の実施はありません。
4期連続増配を実現しており、FY2021/12の46円からFY2025/12には62円へ約35%増加しました。FY2026/12は70円への増配を予想しており、予想配当利回りは約2.98%です。配当方針はコアEPSに対する配当性向40%を目処としており、安定的な株主還元を重視しています。株主優待制度は実施していません。
同業比較(収益性)
医薬品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上収益は5期連続で増収を達成し、FY2025/12には約4,968億円に到達しました。コア営業利益も1,031億円と過去最高を更新しています。FY2024/12で純利益が減少したのは、Orchard社買収関連費用と研究開発費の増加が主因です。FY2026/12は売上5,200億円を計画していますが、ロカチンリマブの開発中止に伴い最大200億円の追加費用が発生する可能性があり、利益予想には不確実性が残ります。
事業ごとの売上・利益
単一セグメントで経営。骨・ミネラル領域(クリースビータ)、がん領域(ポテリジオ)、免疫・アレルギー領域、遺伝子治療(Libmeldy)が主要パイプライン
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2016/3 | 3.1% | 2.7% | 9.2% |
コア営業利益率は約20%前後で安定推移しており、製薬業界の中でも高い収益性を維持しています。FY2023/12にはROE 9.8%を達成しましたが、FY2024/12はOrchard社買収関連費用の影響で純利益が減少しROEは7.0%に低下しました。中期経営計画で掲げるコア営業利益率30%、ROE10%台前半の達成が今後の課題です。
財務は安全?
自己資本比率は80%前後と極めて高い水準を安定的に維持しており、有利子負債はゼロです。キリンHDグループの信用力に加え、自己資本の厚みが財務安全性を支えています。BPSは5期連続で増加し1,706.5円に到達しましたが、PBR 1.38倍が示すとおり市場は成長プレミアムを一定程度評価しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2016/3 | 658億円 | -490億円 | -136億円 | 168億円 |
| FY2017/3 | 649億円 | -453億円 | -183億円 | 196億円 |
| FY2018/3 | 562億円 | -399億円 | -165億円 | 163億円 |
| FY2019/3 | 537億円 | -9.3億円 | -474億円 | 527億円 |
| FY2020/3 | 395億円 | 2,526億円 | -260億円 | 2,921億円 |
| FY2021/3 | 865億円 | -114億円 | -284億円 | 752億円 |
| FY2022/3 | 487億円 | -172億円 | -290億円 | 315億円 |
| FY2023/3 | 1,156億円 | -204億円 | -325億円 | 952億円 |
| FY2024/3 | 679億円 | -1,424億円 | -847億円 | -745億円 |
| FY2025/3 | 966億円 | -892億円 | -369億円 | 74.3億円 |
FY2023/12までは安定的にFCFを創出していましたが、FY2024/12はOrchard社買収により投資CFが1,424億円に膨らみ、FCFはマイナス745億円に転落しました。FY2025/12には営業CFが966億円に回復しFCFもプラスに転換しましたが、営業CF・投資CFの差額はわずか74億円と薄氷のバランスです。今後はクリースビータの成長により営業CFの改善が期待されます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2016/3 | 264億円 | 77.3億円 | 29.3% |
実効税率は約30%前後で推移しており、法定実効税率に近い水準です。FY2023/12で税率が低かったのは、海外子会社における税制優遇の適用によるものです。グローバル最低法人税率(15%)の導入による影響は限定的と見込まれます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| FY2022/12 | 868万円 | 4,295人 | - |
| FY2023/12 | 897万円 | 4,180人 | +3.3% |
| FY2024/12 | 920万円 | 4,050人 | +2.6% |
| FY2025/12 | 940万円 | 3,950人 | +2.2% |
平均年収は約940万円と医薬品業界の中でも高水準を維持しています。従業員数は4,000名前後で推移しており、バイオテクノロジーに特化した専門性の高い人材構成が特徴です。グローバル連結では約5,800名の従業員を擁し、海外拠点の拡充を進めています。
誰がこの会社の株を持ってる?
キリンホールディングスが約55%を保有する親子上場銘柄であり、安定株主比率は極めて高い。浮動株比率は約35%と限定的で、株価安定性は高いものの流動性はやや低い特徴があります。
筆頭株主のキリンホールディングスが約55%を保有する親子上場構造が最大の特徴です。残りの株式は日本マスタートラスト信託銀行など国内外の機関投資家が保有しており、一般個人投資家の保有比率は約10%にとどまります。親会社の高い持株比率により経営の安定性が担保される一方、少数株主の利益保護が課題として指摘されることがあります。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 医薬事業(全社一体) | 約4,968億円 | 約1,031億円(コア営業利益) | 20.8% |
研究開発費
役員報酬は取締役・監査役19名に対し合計5億9,300万円で、1人当たり約3,100万円と中堅製薬企業としては妥当な水準です。研究開発費は売上収益の約18%を投じており、バイオテクノロジー企業としての高い研究開発投資比率が特徴です。最大のリスクはロカチンリマブ開発中止後の次世代成長ドライバーの確保であり、パイプラインの充実度が今後の企業価値を左右します。
この会社のガバナンスは?
取締役11名中女性3名(27.3%)と、政府目標の30%にはあと一歩の水準です。連結子会社44社、持分法適用会社14社でグローバルに事業を展開しています。グローバルDE&I宣言のもと、2030年末までにグローバル女性リーダー比率40%を目標に掲げ、多様性の推進に取り組んでいます。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月期 通期 | 4,780億円 | — | 4,968億円 | +3.9% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年12月期 通期 | 950億円 | — | 1,031億円 | +8.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年12月期 通期 | 630億円 | — | 599億円 | -4.9% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2021-2025年中期経営計画の最終年度を迎え、売上収益の成長率はおおむね目標水準を達成しましたが、コア営業利益率30%とROE10%台前半の目標は未達に終わりました。2030年に向けた「Vision 2030 and Beyond」では、20以上の新規パイプライン上市を目標に掲げていますが、ロカチンリマブ開発中止により計画の見直しが求められています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年間のTSRは-14.6%と元本割れの状態であり、同期間のTOPIX(+113.4%)を大幅に下回っています。FY2021には株価が上昇し一時的にTOPIXに近い水準となりましたが、その後は下落基調が続いています。ロカチンリマブの開発中止が直近の大きなマイナス要因であり、成長ストーリーの再構築なしにはTSRの回復は困難な状況です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 128.5万円 | +28.5万円 | 28.5% |
| FY2022 | 112.3万円 | +12.3万円 | 12.3% |
| FY2023 | 95.2万円 | -4.8万円 | -4.8% |
| FY2024 | 108.7万円 | +8.7万円 | 8.7% |
| FY2025 | 85.4万円 | -14.6万円 | -14.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PERは16.4倍とセクター平均の約20倍を下回っており、ロカチンリマブ開発中止後の成長期待の低下が反映されています。一方、配当利回り2.98%はセクター平均を上回る水準です。信用倍率3.40倍は買い長の状態であり、下落局面で押し目買いが入っていることを示唆しています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
英バイオ企業Orchard Therapeutics社を最大約707億円で買収し、遺伝子治療薬「Libmeldy」と造血幹細胞遺伝子治療プラットフォームを獲得。
2025年12月期の通期決算を発表。売上収益4,968億円・コア営業利益1,031億円と、いずれも過去最高を更新。
アトピー性皮膚炎治療薬候補「ロカチンリマブ」の全臨床試験を中止。ピーク時売上高2,000億円が期待されていた大型パイプラインの喪失により株価はストップ安。
最新ニュース
協和キリン まとめ
ひとめ診断
「キリンHD傘下の抗体医薬リーダーが、大型新薬候補の開発中止という逆風の中、コア営業利益率20%超を維持しつつ次の成長軸を模索する」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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