科研製薬
KAKEN PHARMACEUTICAL CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
ニッチ領域に強みを持つ、研究開発型の実力派製薬企業
独自の創薬力とグローバルな事業展開で、アンメットメディカルニーズに応え続ける企業となる。
この会社ってなに?
あなたが、あるいはご家族が膝の関節痛で病院にかかった時、お医者さんから注射される薬の一つが科研製薬の「アルツ」かもしれません。また、足の爪が白く厚くなる「爪水虫」の治療で処方される塗り薬「クレナフィン」も、同社の代表的な製品です。このように、科研製薬は多くの人が悩む整形外科や皮膚科の病気に対して、病院で処方される身近な薬を開発・販売しています。普段何気なく使っているお薬の裏側で、同社が私たちの健康を支えているのです。
関節機能改善剤「アルツ」や爪白癬治療剤「クレナフィン」を主力とする医薬品メーカー。FY2025は売上高940.4億円、営業利益210.34億円と大幅な増収増益を達成しました。しかし、主力品の特許切れや後発品の影響で、FY2026は営業利益52.00億円への大幅減益を予想しています。この厳しい局面を打開すべく、米Aadi Subsidiary社などの海外企業買収や創薬ベンチャーとの協業を加速させ、グローバル展開とパイプラインの拡充を急いでいます。
会社概要
- 業種
- 医薬品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都文京区本駒込二丁目28番8号
- 公式
- www.kaken.co.jp
社長プロフィール

当社は、優れた医薬品の創製と提供を通じて、一人でも多くの方々の健康で快適な生活に貢献することを使命としています。激変する事業環境に対応するため『長期経営計画2031』を策定し、グローバル展開と新たな創薬への挑戦を加速させていきます。
この会社のストーリー
日本の科学技術を牽引してきた理化学研究所(理研)の研究成果を実用化するため、株式会社科学研究所として発足。その後、科研化学となり、現在の科研製薬の礎を築いた。
企業としての基盤を固め、さらなる成長を目指して東京証券取引所市場第二部に上場。社会的な信用を高め、研究開発資金の調達力を強化した。
ヒアルロン酸を主成分とする関節機能改善剤「アルツ」を発売。整形外科領域における主力製品の一つとなり、会社の成長を大きく牽引した。
自社創製の爪真菌症治療薬「クレナフィン」を発売。外用薬という新たな選択肢を提供し、皮膚科領域で確固たる地位を築く大ヒット製品となった。
経営体制を刷新し、堀内裕之氏が新社長に就任。事業環境の大きな変化に対応するため、新たなリーダーシップのもとで変革を推進する。
2031年を見据えた長期ビジョンを発表。グローバル展開の加速と創薬力の強化を二本柱に、持続的な成長を目指す新たな経営戦略を始動させた。
米国のAadi Subsidiary社を買収し、海外での自社販売体制構築を本格化。希少疾患領域でのパイプラインを強化し、グローバル市場への挑戦を加速させている。
注目ポイント
「長期経営計画2031」を掲げ、近年は積極的に海外企業のM&Aを推進。国内市場に留まらず、世界で戦う製薬企業へと変貌を遂げる成長性に期待できます。
関節機能改善剤「アルツ」や爪白癬治療薬「クレナフィン」など、特定の領域で高いシェアを誇る製品を自社で創出。独自の研究開発力が強みです。
安定的な配当を継続しており、株主への利益還元を重視する姿勢が見られます。厳しい事業環境の中でも増配を発表するなど、投資家にとって魅力的な側面も持っています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2017/3 | 150円 | 27.9% |
| FY2018/3 | 150円 | 31.9% |
| FY2019/3 | 150円 | 33.6% |
| FY2020/3 | 150円 | 30.3% |
| FY2021/3 | 150円 | 43.2% |
| FY2022/3 | 150円 | 59.7% |
| FY2023/3 | 150円 | 103.6% |
| FY2024/3 | 150円 | 70.5% |
| FY2025/3 | 190円 | 52.0% |
現在、株主優待制度は実施していません。
科研製薬は、安定的な株主還元を重視しており、継続的な配当維持と業績に応じた増配を基本方針としています。過去には利益変動があっても一定の配当水準を維持する姿勢を示しており、高い配当利回りが特徴です。今後は収益性の改善に伴い、配当性向を意識した適正な還元が期待されます。
同業比較(収益性)
医薬品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
科研製薬は、主力製品である関節機能改善剤や爪白癬治療薬の動向が業績を大きく左右する構造です。FY2025/3には一時的な収益改善が見られたものの、FY2026/3予想では後発品の影響や市場環境の変化により売上高約880億円、営業利益52億円への大幅な減益を見込んでいます。業界全体の価格競争が激化する中、中長期的な成長に向けたパイプラインの拡充が重要課題となっています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 10.1% | 8.2% | - |
| FY2022/3 | 7.3% | 5.8% | - |
| FY2023/3 | 5.0% | 3.3% | - |
| FY2024/3 | 6.1% | 4.7% | 13.2% |
| FY2025/3 | 11.1% | 7.3% | 22.4% |
収益性は、主力製品の特許期間やジェネリック医薬品の影響を強く受け、営業利益率はFY2021/3の23.7%からFY2023/3には11.0%まで低下しました。その後、FY2025/3には22.4%まで回復しましたが、競争の激化に伴う販売費や研究開発費のコントロールが収益性を維持する上での鍵を握っています。ROE(自己資本利益率)も利益水準に連動して変動しており、効率的な資本運用と安定した利益創出の両立が求められています。
財務は安全?
同社は非常に強固な財務体質を誇り、FY2025/3時点でも自己資本比率は80%超と高い水準を維持しています。長らく無借金経営を継続してきましたが、近年の戦略的な買収や投資活動に伴い、直近では約77億円の有利子負債を計上する構成に変化しました。現預金と資産のバランスは良好で、新規事業への投資余力は十分に確保されていると言えます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 144億円 | -16.4億円 | -87.5億円 | 127億円 |
| FY2022/3 | 133億円 | -78.9億円 | -81.3億円 | 54.5億円 |
| FY2023/3 | 92.5億円 | -26.3億円 | -69.9億円 | 66.3億円 |
| FY2024/3 | 25.8億円 | -58.5億円 | -56.6億円 | -32.8億円 |
| FY2025/3 | 298億円 | -197億円 | -53.7億円 | 101億円 |
営業キャッシュフローは、主力医薬品の販売により安定的に稼ぎ出す能力を有していますが、年によって変動があります。特にFY2025/3は積極的な買収活動による投資キャッシュフローの増大が見られる一方、営業活動によるキャッシュは約298億円と高い創出力を維持しました。配当金支払いをはじめとする財務活動は継続しており、全体として手元資金を成長投資へと最適化するサイクルを形成しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 182億円 | 48.2億円 | 26.4% |
| FY2022/3 | 175億円 | 79.9億円 | 45.6% |
| FY2023/3 | 87.3億円 | 32.9億円 | 37.7% |
| FY2024/3 | 99.5億円 | 19.3億円 | 19.4% |
| FY2025/3 | 213億円 | 73.3億円 | 34.5% |
法人税等の実効税率は、事業環境の変化や繰延税金資産の影響により年度ごとに変動が見られます。FY2022/3やFY2023/3などは一時的な税負担率の上昇が発生していますが、これは会計上の利益調整や制度変更に起因するものです。概ね日本の法人税率水準に収まっており、財務上の大きな懸念点とはなっていません。今後も税引前利益の変動に応じた適切な納税が行われる見込みです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 836万円 | 1,126人 | - |
従業員平均年収は836万円と、国内の全産業平均と比較して高い水準を維持しています。医薬品業界は専門性の高い人材が求められるため給与水準が高い傾向にありますが、科研製薬においても長期勤続を前提とした安定した報酬体系が構築されています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は東レ・ゴールドマン・サックス・アンド・カンパニーレギュラーアカウント (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券)・みずほ銀行。
大株主には日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの信託口が上位を占め、機関投資家による保有が中心です。事業会社である東レ株式会社や農林中央金庫などが安定株主として名を連ねており、特定の創業家による支配色が薄い、比較的安定した株主構成となっています。
会社の公式開示情報
役員報酬
科研製薬は、関節機能改善剤や爪白癬症薬を主力とする医薬品専業メーカーです。2026年3月期の業績については、主力製品の特許切れや後発品投入に伴う競争激化により大幅な下方修正を余儀なくされました。今後は新規パイプラインの拡充や海外展開による収益性の回復が重要な経営リスク要因となっています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は8.3%と依然として低い水準にあります。監査役会設置会社として4,000万円の監査報酬を投じ、監査体制の強化を図っていますが、取締役会の多様性確保は今後の課題といえます。連結子会社4社を擁する企業規模に適したガバナンス体制を維持しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 751億円 | — | 940億円 | +25.2% |
| FY2024 | 731億円 | — | 720億円 | -1.5% |
| FY2023 | 764億円 | — | 730億円 | -4.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 74億円 | — | 210億円 | +184.2% |
| FY2024 | 76億円 | — | 95億円 | +25.2% |
| FY2023 | 150億円 | — | 80億円 | -46.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
同社は中期経営計画に代わり「長期経営計画2031」を策定しています。直近のFY2025実績は会社予想を大幅に上回る好決算でしたが、これは一時的な要因も含まれます。FY2026のガイダンスでは、主力品の特許切れ影響から売上880.0億円、営業利益52.00億円と大幅な減益を計画しており、計画達成への道のりは平坦ではありません。計画達成の鍵は、海外M&Aで獲得した新薬候補の上市や、オープンイノベーションによるパイプライン拡充の成功にかかっています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
TSR(株主総利回り)は、配当と株価変動を合わせた投資家リターンを示す指標です。FY2021からFY2025までの5年間、科研製薬のTSRは一貫して市場平均であるTOPIXをアンダーパフォーム(下回る)しています。これは、主力製品の特許切れ懸念や薬価改定が株価の長期的な低迷要因となり、増配効果を打ち消してしまったことが背景にあります。株主価値向上のためには、M&Aや新薬開発を成功させ、持続的な成長ストーリーを市場に示すことが急務です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 89.2万円 | -10.8万円 | -10.8% |
| FY2022 | 83.3万円 | -16.7万円 | -16.7% |
| FY2023 | 82.4万円 | -17.6万円 | -17.6% |
| FY2024 | 80.7万円 | -19.3万円 | -19.3% |
| FY2025 | 104.8万円 | +4.8万円 | 4.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は1.49倍と均衡しており、短期的な需給の偏りは見られません。業界平均と比較すると、PERは割高ですが、PBRは割安な水準にあります。これは、直近の利益水準は高いものの、将来の成長への期待が株価に織り込まれきっていないことを示唆します。4.47%という高い配当利回りが株価の下支え要因となっており、高配当を重視する投資家からの注目が集まっています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
26年3月期の連結経常利益予想を大幅下方修正し、投資家心理が悪化しました。
米国Aadi Subsidiary, Inc.の買収を発表し、海外事業体制の強化を図りました。
患者向け疾患啓発ウェブサイト「KAKEN Health Note」を開設しました。
最新ニュース
科研製薬 まとめ
ひとめ診断
「『関節と爪』の治療薬で知られる老舗が、特許切れの崖を海外M&Aとオープンイノベーションで乗り越えようとしている」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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