塩野義製薬
Shionogi & Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年4月30日
HIV薬で世界を変えた大阪の名門製薬が、8,800億円を投じて「感染症の先」へ。18年間の改革を率いるCEOの大勝負
新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す
この会社ってなに?
インフルエンザにかかったとき処方される「ゾフルーザ」や、コロナ治療薬「ゾコーバ」は塩野義製薬が開発した薬です。目に見えにくいですが、世界中のHIV患者が使う治療薬の多くに塩野義の技術(ドルテグラビル)が組み込まれており、そのロイヤリティ収入が同社の利益の大きな柱となっています。2026年にはALS(筋萎縮性側索硬化症)の治療薬事業も取得し、難病治療にも本格参入。あなたの家族や知人が感染症や難病の治療を受けるとき、塩野義の薬が選ばれているかもしれません。
FY2025/3期は売上収益4,383億円(前期比+6.9%)、純利益1,704億円(同+5.2%)と堅調に推移。英ViiV Healthcare経由のHIV治療薬ロイヤリティが利益の柱であり、営業利益率35%超の高収益体質を維持しています。2026年3月には、ViiV Healthcareの持分法適用会社化(3,300億円)、田辺ファーマからのALS薬エダラボン事業買収(約3,900億円)、米Apnimed睡眠障害薬子会社の完全子会社化(約1,600億円)と、計8,800億円の大型投資を矢継ぎ早に発表。無借金経営から一転、3,600億円のブリッジローンを組むなど財務戦略も大きく転換しました。FY2026/3期は売上5,300億円(同+20.9%)の大幅増収を見込み、感染症に加えて神経科学・睡眠障害への事業領域拡大が本格化します。
会社概要
- 業種
- 医薬品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府大阪市北区大深町4-20 グラングリーン大阪 北館
- 公式
- www.shionogi.com
社長プロフィール

塩野義製薬は1878年の創業以来、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という基本方針のもと歩んできました。HIV治療薬で世界に貢献する一方、コロナ禍ではゾコーバの開発で国民の健康に寄与しました。2026年3月、私たちはViiV Healthcare、エダラボン事業、Apnimedという3つの大型投資を決断しました。感染症の枠を超え、ALS(筋萎縮性側索硬化症)や睡眠障害の治療にも挑戦することで、より多くの患者さんの人生を変えていく。これが次の塩野義の姿です。
この会社のストーリー
薬の街・道修町で医薬品の卸売業として創業。武田薬品、田辺製薬と並び「道修町の御三家」と呼ばれる名門製薬会社の歴史が始まりました。
創業家以外から初の社長として就任。「売上より利益」を掲げ、研究開発に集中する経営改革を断行しました。
ViiV Healthcare(GSK・ファイザーとの合弁)を通じて、HIV治療の世界標準薬となるドルテグラビルを創出。莫大なロイヤリティ収入で高収益体質を確立しました。
パンデミックに対応し、国産初の経口コロナ治療薬を開発・緊急承認取得。売上にも貢献しましたが、パンデミック収束で需要は正常化。
JR大阪駅北側の複合施設に新本社を移転。グローバル成長を見据えた革新的なオフィス環境で、創薬イノベーションの加速を図ります。
ViiV持分法適用会社化、エダラボン事業買収、Apnimed完全子会社化と矢継ぎ早に投資。感染症一本足からの脱却を図る、創業148年の歴史で最大の経営判断です。
注目ポイント
HIV治療薬ロイヤリティを基盤に、製薬業界トップクラスの利益率を5期連続で維持。研究開発費を投じながらも高い利益水準を確保する収益モデルが最大の強みです。
ViiV Healthcare・エダラボン・Apnimedの3件に計8,800億円を投資。感染症だけでなくALS・睡眠障害にも事業領域を拡大し、次の成長エンジンを構築しています。
大型投資前まで有利子負債ゼロ、自己資本比率89%という鉄壁の財務基盤を持ち、4期連続で増配を実現。豊富なキャッシュフローが投資と株主還元の両立を支えます。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 24.5円 | 30.3% |
| FY2017/3 | 26.6円 | 27.7% |
| FY2018/3 | 29.9円 | 23.9% |
| FY2019/3 | 33.5円 | 22.2% |
| FY2020/3 | 36.7円 | 26.0% |
| FY2021/3 | 37.8円 | 29.6% |
| FY2022/3 | 40.3円 | 30.4% |
| FY2023/3 | 46.6円 | 21.7% |
| FY2024/3 | 55.3円 | 28.7% |
株主優待制度なし
FY2022/3期から4期連続の増配を実現し、FY2026/3期は年間66円(予想、株式分割後ベース)とさらなる増配を見込んでいます。配当性向は概ね28〜31%と余力を残した水準で推移しており、8,800億円の大型投資後も増配を維持できる体力があります。DOE(株主資本配当率)を重視した方針で、利益水準に左右されない安定配当を志向。利回りは約1.8%で製薬大手としては標準的。株主優待制度はありません。なお金額は2024年10月の株式分割(1→3)を反映した調整後の値です。
同業比較(収益性)
医薬品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2025/3期は売上収益4,383億円(前期比+6.9%)と微増にとどまりましたが、営業利益率は35.7%と製薬業界トップクラスの高収益体質を維持。英ViiV Healthcare経由のHIV治療薬ロイヤリティが安定的な利益の柱です。FY2023/3期にはコロナ治療薬エンシトレルビル(ゾコーバ)の売上寄与で純利益が1,850億円と過去最高を記録。FY2026/3期は売上5,300億円(+20.9%)と大幅増収を見込み、エダラボン事業買収の連結効果が加わります。なお純利益が営業利益を上回るのは、ViiV関連の持分法投資利益等の営業外収益によるものです。
事業ごとの売上・利益
ViiV Healthcare経由のHIV治療薬ロイヤリティが最大の利益源。インフルエンザ治療薬ゾフルーザ、コロナ治療薬ゾコーバも貢献
鎮痛薬や中枢神経系の医薬品を展開。2026年のエダラボン事業買収(ALS治療薬)で大幅拡大予定
その他の医療用医薬品の製造販売および受託製造事業
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 13.9% | 11.2% | - |
| FY2022/3 | 12.5% | 9.9% | - |
| FY2023/3 | 17.8% | 14.1% | - |
| FY2024/3 | 13.9% | 11.4% | 37.4% |
| FY2025/3 | 13.1% | 11.1% | 35.7% |
営業利益率は5期連続で32〜39%を維持する驚異的な高収益体質です。英ViiV Healthcare経由のHIV治療薬ロイヤリティが高マージン収益の源泉で、自社の研究開発費を差し引いても30%超の利益率を確保。ROEは12%前後で安定しており、FY2023/3期にはコロナ治療薬の寄与でROE 16.5%を記録しました。なお2026年3月の大型投資(計8,800億円)により、FY2027/3期以降は買収関連費用で一時的に利益率が変動する可能性があります。
財務は安全?
FY2025/3期末時点では自己資本比率88.7%・有利子負債ゼロという製薬大手の中でも際立つ強固な財務基盤を持っていました。しかし2026年3月に3,600億円のブリッジローンを組んでエダラボン事業買収に充当しており、FY2026/3期末(2026年3月末)の貸借対照表は大きく変わる見込みです。総資産は買収資産の連結により大幅に増加し、自己資本比率は低下しますが、安定的なキャッシュ創出力を考慮すれば財務健全性は維持される見通しです。なおBPSは2024年10月の株式分割(1→3)を反映した調整後の値です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 1,543億円 | 59.2億円 | -1,269億円 | 1,602億円 |
| FY2025/3 | 1,955億円 | -1,161億円 | -649億円 | 794億円 |
営業CFは毎期1,000〜1,950億円を安定的に創出しており、高い利益の質を示しています。FY2025/3期は営業CF 1,955億円と過去最高水準。FY2024/3期の投資CFがプラスなのは有価証券の売却益によるもの。FCFは直近5年で累計約4,800億円を蓄積し、この潤沢なキャッシュが2026年3月の8,800億円大型投資の原資となりました。今後はブリッジローン(3,600億円)の返済が財務CFに影響しますが、営業CFの水準から十分に対応可能と見られています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,430億円 | 312億円 | 21.8% |
| FY2022/3 | 1,263億円 | 121億円 | 9.6% |
| FY2023/3 | 2,203億円 | 354億円 | 16.1% |
| FY2024/3 | 1,983億円 | 363億円 | 18.3% |
| FY2025/3 | 2,008億円 | 303億円 | 15.1% |
FY2026/3期の見通しでは純利益1,800億円が営業利益1,750億円を上回るという特異な構造です。これはViiV Healthcare関連の持分法投資利益やR&D税額控除などの営業外収益・税制優遇が大きく、実質的な税負担がマイナスとなるためです。グローバルに展開する製薬企業として、各国のR&D税制優遇やロイヤリティ課税の最適化が有効に機能しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,003万円 | 4,955人 | - |
平均年収は4年間で約146万円上昇し、1,003万円と大台突破。年率+4〜6%の高い昇給率は業績拡大を反映。従業員数はFY2024で大幅減(組織再編)後に安定化。連結では4,955名を擁し、JT医薬事業統合でさらに拡大見込みです。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関(信託銀行・保険会社)が安定株主の中核。外国人投資家比率39%と高く、グローバルな資金フローの影響を受けやすい構造です。創業家やオーナーは存在せず、プロフェッショナル経営型の株主構成。
株主構成は日本マスタートラスト信託銀行(18.0%)・日本カストディ銀行(7.9%)を筆頭とする機関投資家主体の構造です。住友生命(6.5%)、SMBC信託銀行(三井住友銀行退職給付信託口、3.3%)、日本生命(2.9%)など国内保険会社・銀行系が安定株主として存在。海外勢ではステートストリート、JPモルガン等のカストディ銀行が上位に名を連ね、外国人保有比率は約39%。大株主に個人名はなく、典型的な大型製薬会社の機関投資家中心の株主構成です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 感染症領域(HIV・インフルエンザ・COVID) | 約3,500億円 | 約1,400億円 | 約40% |
| 疼痛・神経科学領域 | 約600億円 | 約80億円 | 約13% |
| その他医薬品・受託製造 | 約280億円 | 約80億円 | 約29% |
塩野義製薬は感染症領域に強みを持つグローバル製薬企業で、公式には単一セグメント(医薬品事業)として開示しています。最大の特徴は英GSK・ファイザーとの合弁であるViiV Healthcareを通じたHIV治療薬のロイヤリティ収入で、これが営業利益率35%超という驚異的な高収益体質の源泉です。2026年3月の大型投資3件で神経科学(ALS)・睡眠障害にも事業領域を大幅拡大し、感染症一本足からの脱却を図る歴史的な転換期を迎えています。
この会社のガバナンスは?
取締役11名のうち社外役員が7名を占め、社外取締役比率が約63%と高い独立性を確保しています。女性役員比率も27.3%と高水準であり、監査体制の強化とともに透明性の高いガバナンス体制を構築しています。設備投資額は122.8億円で、研究開発施設の拡充を継続しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/3 | 1,630億円 | — | 1,704億円 | +4.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026/3 | 4,550億円 | 5,300億円 | — | +16.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画STS2030 Revisionでは売上収益5,000億円・営業利益率30%以上を目標に掲げていましたが、FY2026/3期予想で売上5,300億円と早くも前倒し達成ペースです。営業利益率は35%超を安定維持。業績予想の精度も高く、FY2025/3期は初期予想を4.5%上回る実績。FY2026/3期は当初予想4,550億円から5,300億円へ16.5%の上方修正を行っており、計画達成力には定評があります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSRは139.9%で、同期間のTOPIX(213.4%)に対して約73ポイントのアンダーパフォームです。FY2022年にはコロナ治療薬への期待で145.8%まで上昇しましたが、パンデミック収束とともに株価は調整。直近のFY2025(2025年3月時点)は139.9%まで低下しました。ただし2026年に入って大型M&Aの発表とQ3好決算を受けて株価は急回復しており、TSRは改善に向かっている可能性があります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 114.0万円 | +14.0万円 | 14.0% |
| FY2022 | 145.8万円 | +45.8万円 | 45.8% |
| FY2023 | 119.1万円 | +19.1万円 | 19.1% |
| FY2024 | 155.5万円 | +55.5万円 | 55.5% |
| FY2025 | 139.9万円 | +39.9万円 | 39.9% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は1.14倍とほぼ拮抗。PER 16.8倍は医薬品セクター平均(22倍)を下回っており、8,800億円の大型投資に対する市場の慎重姿勢が反映されています。一方、PBR 2.23倍はROE 12%台を考慮すれば妥当な水準。配当利回り1.85%はセクター平均を上回り、インカム面での魅力があります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
ViiV持分法適用会社化(3,300億円)、エダラボン事業買収(約3,900億円)、Apnimed完全子会社化(約1,600億円)の3件を矢継ぎ早に発表。感染症以外の成長領域を一気に拡大。
FY2026/3期Q3累計の連結純利益は1,582億円(前年同期比+18.3%)と過去最高ペースで推移。感染症薬が好調を維持。
JR大阪駅北側の「グラングリーン大阪」に新本社オフィスを開設。グローバル成長を見据えた革新的なワークプレイスとして注目を集めた。
FY2025/3期決算を発表。売上収益4,383億円、純利益1,704億円(前期比+5.2%)と堅調に増益。FY2026/3期は売上5,300億円・大幅増収を予想。
最新ニュース
塩野義製薬 まとめ
ひとめ診断
「HIV薬ロイヤリティで高収益体質を築いた名門製薬が、8,800億円の大型投資で次の成長ステージへ挑む」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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