三洋化成工業
SANYO CHEMICAL INDUSTRIES,LTD.
最終更新日: 2026年3月28日
独自の技術で社会課題を解決する、パフォーマンス・ケミカルの創造企業
化学の力で、安全・安心で、環境にやさしく、心豊かな社会の実現に貢献する。
この会社ってなに?
あなたが毎日使うシャンプーや洗剤が、きめ細かく泡立つのはなぜだと思いますか?実はその裏側で、三洋化成工業の「界面活性剤」という見えない技術が活躍しているかもしれません。この技術は、水と油のように混ざり合わないものを混ぜ合わせる魔法のような力を持っており、化粧品の使い心地を良くしたり、プリンターのインクが紙にきれいにのるのを助けたりもします。他にも、自動車のエンジンオイルを滑らかにする添加剤など、普段は意識しないけれど私たちの快適で安全な生活を支える様々な製品に、同社の化学技術が生かされています。
三洋化成工業は、高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退という大規模な構造改革を断行中の化学メーカーです。FY2024は事業撤退に伴う特別損失で最終赤字(-85.01億円)となりましたが、FY2025には売上高1422.6億円、営業利益84.39億円、最終黒字41.51億円へとV字回復を果たしました。今後は収益性の高いヘルスケアやEV関連などの成長分野に経営資源を集中させ、事業ポートフォリオの転換による収益力向上を目指しています。株価はPBR0.84倍と解散価値を下回っており、構造改革の成果が市場に評価されるかが焦点となります。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の1
- 公式
- www.sanyo-chemical.co.jp
社長プロフィール
当社は独自の「パフォーマンス・ケミカル(機能化学品)」を追求し、社会が直面する課題解決に貢献してきました。現在は、高吸水性樹脂事業からの撤退など大胆な事業構造改革を進め、カーボンニュートラルやQOL向上に貢献する成長分野へ経営資源を集中させています。これからもユニークな技術で世界の人々の暮らしを豊かにする企業を目指します。
この会社のストーリー
京都市にて「三洋油脂工業株式会社」として設立。繊維加工に用いられる界面活性剤の製造から事業をスタートさせた。
現社名「三洋化成工業株式会社」に変更。これを機に、ウレタンフォーム原料などへ事業を多角化し、成長の基盤を築いた。
企業としての信頼性を高め、さらなる発展を目指して株式を上場。社会的な公器としての歩みを開始した。
世界で初めて高吸水性樹脂(SAP)の商業生産を開始。紙おむつなどに使用され、長年にわたり当社の主力事業の一つとして成長した。
ロート製薬やファーマフーズなど、異業種企業との資本業務提携を積極的に推進。ヘルスケア分野など新たな成長領域の開拓を加速させる。
長年の主力であった高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退を決定。収益構造を改善し、成長分野への経営資源集中を鮮明にした。
「新中期経営計画2025」を推進。事業ポートフォリオの高度化を図り、持続的な企業価値向上を目指す。
注目ポイント
長年の主力事業だった高吸水性樹脂(SAP)から撤退を決定。収益性を重視し、成長が見込める領域へ経営資源を集中させる大胆な構造改革を断行中です。
ロート製薬やファーマフーズ、スタートアップ企業など外部との連携を積極的に推進。スキンケアや医療分野など、化学の技術を活かした新たな価値創造に挑戦しています。
連結配当性向30%以上を基本方針とし、安定的な配当を実施しています。事業構造改革を進めながらも、株主への利益還元を重視する姿勢が魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 17円 | 27.1% |
| FY2018/3 | 110円 | 26.2% |
| FY2019/3 | 125円 | 51.5% |
| FY2020/3 | 140円 | 40.2% |
| FY2021/3 | 150円 | 45.4% |
| FY2022/3 | 170円 | 56.0% |
| FY2023/3 | 170円 | 66.0% |
| FY2024/3 | 170円 | 0.6% |
| FY2025/3 | 170円 | 90.5% |
現在、株主優待制度は実施しておりません。
三洋化成工業は、連結配当性向30%以上をメドに安定的な配当を実施することを基本方針としています。業績が一時的に変動した場合でも、株主への還元を重視して配当額を維持する姿勢が強みです。今後は収益性の改善に伴い、持続的な利益成長を通じた株主還元策の更なる深化が期待されます。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
三洋化成工業は、高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退や構造改革による特別損失計上の影響で、FY2024/3には85億円の最終赤字を計上しました。しかし、その後は低収益事業の整理と選択と集中が進み、FY2025/3には黒字転換を達成しています。今後は機能素材を中心とした成長戦略へのシフトにより、FY2026/3には80億円の純利益を見込むなど、収益体質の抜本的な改善が進んでいます。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 4.5% | 3.7% | 8.2% |
| FY2022/3 | 5.2% | 3.3% | 7.3% |
| FY2023/3 | 4.8% | 2.8% | 4.6% |
| FY2024/3 | -6.4% | -4.1% | 3.1% |
| FY2025/3 | 2.4% | 2.4% | 5.9% |
収益性は、SAP事業の赤字や構造改革費用が長年重石となっており、FY2024/3にはROEが-6.0%まで低下するなど厳しい状況にありました。現在は構造改革による不採算部門の解消で営業利益率が回復傾向にあり、経営資源を成長領域に再配分することで収益性の向上を図っています。今後は効率的な資本投下を進めることで、過去の低水準なROEからの脱却が期待されます。
財務は安全?
財務健全性は極めて高い水準を維持しており、自己資本比率はFY2025/3時点で76.8%に達しています。過去には有利子負債がゼロの無借金経営を継続していましたが、現在は事業構造改革に伴う資金需要で若干の借入が発生しています。それでも強固な資本基盤により財務の安定性は盤石であり、新規事業投資や株主還元を支えるための余力は十分に確保されています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 223億円 | -125億円 | -41.5億円 | 98.0億円 |
| FY2022/3 | 113億円 | -117億円 | -59.8億円 | -3.8億円 |
| FY2023/3 | 109億円 | -102億円 | -23.4億円 | 6.8億円 |
| FY2024/3 | 198億円 | -62.6億円 | -40.1億円 | 136億円 |
| FY2025/3 | 139億円 | -50.8億円 | -119億円 | 88.5億円 |
営業キャッシュフローは堅調に推移しており、本業で安定して現金を稼ぐ力を維持しています。FY2024/3以降は投資支出を抑制しつつ資産売却等も行っているため、フリーキャッシュフローは高い水準でプラスを維持しています。この潤沢な手元資金を活用し、戦略的な事業構造改革と安定した株主還元を両立させている点が特徴です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 120億円 | 47.2億円 | 39.3% |
| FY2022/3 | 128億円 | 60.7億円 | 47.5% |
| FY2023/3 | 99.2億円 | 42.3億円 | 42.7% |
| FY2024/3 | 81.9億円 | 167億円 | 203.8% |
| FY2025/3 | 96.7億円 | 55.2億円 | 57.1% |
法人税等の支払額は、FY2024/3に特別損失の影響による税効果会計等の変動から一時的に税負担率が急上昇しました。実効税率が変動しやすい背景には、構造改革に伴う評価損や引当金の影響が含まれています。今期以降は安定した事業利益の創出が見込まれるため、税負担は通常レベルへと収束していくと予想されます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 793万円 | 1,680人 | - |
従業員平均年収は793万円と製造業として高い水準を維持しています。構造改革によるSAP事業の撤退やポートフォリオの高度化を進める中、収益性の改善に向けた組織体制の変革が給与面での持続可能性を支えています。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は豊田通商・東レ・ENEOSホールディングス。
株主構成は豊田通商(19.24%)や東レ(17.18%)といった事業法人による安定株主の割合が高い点が特徴です。信託銀行や大手企業が上位を占めており、安定した経営基盤を維持する一方で、流動性を確保する経営体制となっています。
会社の公式開示情報
役員報酬
高吸水性樹脂(SAP)事業の撤退により、200億円規模の特別損失を計上するなどの構造改革を断行しました。現在は成長事業である機能素材領域へのリソース集中を急いでおり、財務構造の健全化と利益率の向上を目指しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は15.4%となっており、多様性の確保に向けて一定の体制が構築されています。監査体制やガバナンスの透明性向上を重視しており、連結子会社13社を抱える企業規模に見合ったガバナンス体制を強化しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 80億円 | 100億円 | 84億円 | +5.5% |
| FY2024 | 100億円 | — | 49億円 | -51.1% |
| FY2023 | 125億円 | — | 84億円 | -32.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,450億円 | 1,300億円 | 1,423億円 | -1.9% |
| FY2024 | 1,800億円 | — | 1,595億円 | -11.4% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
進行中だった「新中期経営計画2025」は、最終年度のFY2025実績が営業利益84.39億円となり、目標の150億円を大幅に下回る結果となりました。これは、市況の悪化に加え、高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退という大規模な事業構造改革が影響したためです。業績予想の精度も近年は低迷しており、特に利益面での下振れが目立ちます。現在は構造改革後の新たな収益基盤の構築を進めており、FY2026の会社予想の達成が今後の信頼回復に向けた試金石となります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
同社のTSR(株主総利回り)は、FY2022以降、市場平均であるTOPIXを継続して下回る「アンダーパフォーム」の状態が続いています。これは、高吸水性樹脂(SAP)事業の不振や構造改革に伴う業績の低迷が株価の重しとなったことが主な要因です。株価がTOPIXの上昇に追随できなかったため、配当を含めても全体のリターンが見劣りする結果となりました。今後は、事業ポートフォリオ改革の成果を利益成長と株価上昇に繋げ、TSRを改善できるかが経営の重要課題です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 145.4万円 | +45.4万円 | 45.4% |
| FY2022 | 135.5万円 | +35.5万円 | 35.5% |
| FY2023 | 120.4万円 | +20.4万円 | 20.4% |
| FY2024 | 124.4万円 | +24.4万円 | 24.4% |
| FY2025 | 119.6万円 | +19.6万円 | 19.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は2.06倍と比較的落ち着いており、短期的な需給の偏りは大きくありません。株価指標を見ると、PBRが0.84倍と1倍を割り込んでおり、市場からは割安と評価されている可能性があります。一方で、PERは業界平均並みです。配当利回りは3.30%と業界平均を上回る水準であり、株主還元への意識がうかがえます。今後は、構造改革による利益成長が伴うことで、割安な株価指標の是正が進むかどうかが注目されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
第3四半期累計の連結最終利益が前年同期比3.5倍の128億円に到達。
高吸水性樹脂事業の撤退に伴う総額200億円規模の特別損失計上を推進。
EV向け潤滑油添加剤やPFAS不使用の半導体関連素材の事業拡大を発表。
最新ニュース
三洋化成工業 まとめ
ひとめ診断
「紙おむつ原料から大胆撤退、界面活性剤技術を軸にヘルスケア・EV向け素材へシフトする構造改革の真っただ中」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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