三洋化成工業4471
SANYO CHEMICAL INDUSTRIES,LTD.
まずこの会社は何者?
事業内容や経営者、企業の魅力をひと目でつかむ
ひとめ診断
この会社ってなに?
あなたが毎日使うシャンプーや洗剤が、きめ細かく泡立つのはなぜだと思いますか?実はその裏側で、三洋化成工業の「界面活性剤」という見えない技術が活躍しているかもしれません。この技術は、水と油のように混ざり合わないものを混ぜ合わせる魔法のような力を持っており、化粧品の使い心地を良くしたり、プリンターのインクが紙にきれいにのるのを助けたりもします。他にも、自動車のエンジンオイルを滑らかにする添加剤など、普段は意識しないけれど私たちの快適で安全な生活を支える様々な製品に、同社の化学技術が生かされています。
三洋化成工業は、高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退という大規模な構造改革を断行中の化学メーカーです。2024期は事業撤退に伴う特別損失で最終赤字(-85.01億円)となりましたが、2025期には売上高1422.6億円、営業利益84.39億円、最終黒字41.51億円へとV字回復を果たしました。今後は収益性の高いヘルスケアやEV関連などの成長分野に経営資源を集中させ、事業ポートフォリオの転換による収益力向上を目指しています。株価はPBR0.84倍と解散価値を下回っており、構造改革の成果が市場に評価されるかが焦点となります。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の1
サービスの実績は?
なぜ伸びるの?
売上・利益・成長性の数字から、稼ぐ力を読み解く
稼ぐ力はどのくらい?
| 会計期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 5.1% | 3.7% | 8.2% |
| 2022/03期 | 4.6% | 3.4% | 7.3% |
| 2023/03期 | 3.8% | 2.8% | 4.6% |
| 2024/03期 | ▲5.9% | ▲4.2% | 3.1% |
| 2025/03期 | 3.0% | 2.2% | 5.9% |
| 3Q FY2026/3 | 10.2%(累計) | 6.9%(累計) | 7.8% |
収益性は、SAP事業の赤字や構造改革費用が長年重石となっており、2024/03期にはROEが-6.0%まで低下するなど厳しい状況にありました。現在は構造改革による不採算部門の解消で営業利益率が回復傾向にあり、経営資源を成長領域に再配分することで収益性の向上を図っています。今後は効率的な資本投下を進めることで、過去の低水準なROEからの脱却が期待されます。
儲かってるの?
| 会計期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 | EPS | 増収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 1,448億円 | 119億円 | 72.8億円 | 330.3円 | — |
| 2022/03期 | 1,625億円 | 119億円 | 67.0億円 | 303.8円 | +12.3% |
| 2023/03期 | 1,750億円 | 81.2億円 | 56.8億円 | 257.6円 | +7.7% |
| 2024/03期 | 1,595億円 | 48.9億円 | ▲85.0億円 | -385.0円 | -8.8% |
| 2025/03期 | 1,423億円 | 84.4億円 | 41.5億円 | 187.8円 | -10.8% |
三洋化成工業は、高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退や構造改革による特別損失計上の影響で、2024/03期には85億円の最終赤字を計上しました。しかし、その後は低収益事業の整理と選択と集中が進み、2025/03期には黒字転換を達成しています。今後は機能素材を中心とした成長戦略へのシフトにより、2026/03期には80億円の純利益を見込むなど、収益体質の抜本的な改善が進んでいます。 【3Q 2026/03期実績】売上966億円(通期予想比74%)、営業利益76億円(同76%)、純利益128億円(同160%)。
業績の推移
売上高(青)と営業利益(緑)の年度別の伸び。バーが右肩上がりなら成長中。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
将来どうなりそう?
公式情報・ニュース・メディアから今後を読み解く
会社の公式開示情報
役員報酬
高吸水性樹脂(SAP)事業の撤退により、200億円規模の特別損失を計上するなどの構造改革を断行しました。現在は成長事業である機能素材領域へのリソース集中を急いでおり、財務構造の健全化と利益率の向上を目指しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025期 | 80億円 | 100億円 | 84億円 | +5.5% |
| 2024期 | 100億円 | — | 49億円 | -51.1% |
| 2023期 | 125億円 | — | 84億円 | -32.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025期 | 1,450億円 | 1,300億円 | 1,423億円 | -1.9% |
| 2024期 | 1,800億円 | — | 1,595億円 | -11.4% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
進行中だった「新中期経営計画2025」は、最終年度の2025期実績が営業利益84.39億円となり、目標の150億円を大幅に下回る結果となりました。これは、市況の悪化に加え、高吸水性樹脂(SAP)事業からの撤退という大規模な事業構造改革が影響したためです。業績予想の精度も近年は低迷しており、特に利益面での下振れが目立ちます。現在は構造改革後の新たな収益基盤の構築を進めており、2026期の会社予想の達成が今後の信頼回復に向けた試金石となります。
最新ニュース
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メディア露出
メディア分布
競合比較
この会社のストーリー
創業から現在までの歩みと、代表者の姿
出来事の年表
第3四半期累計の連結最終利益が前年同期比3.5倍の128億円に到達。
高吸水性樹脂事業の撤退に伴う総額200億円規模の特別損失計上を推進。
EV向け潤滑油添加剤やPFAS不使用の半導体関連素材の事業拡大を発表。
社長プロフィール
安心して投資できる?
財務・透明性・株主構成・リスクを点検
財務は安全?
財務健全性は極めて高い水準を維持しており、自己資本比率は2025/03期時点で76.8%に達しています。過去には有利子負債がゼロの無借金経営を継続していましたが、現在は事業構造改革に伴う資金需要で若干の借入が発生しています。それでも強固な資本基盤により財務の安定性は盤石であり、新規事業投資や株主還元を支えるための余力は十分に確保されています。 【3Q 2026/03期】総資産1932億円、純資産1555億円、自己資本比率67.2%、有利子負債36億円。
お金の流れは?
| 会計期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 223億円 | ▲125億円 | ▲41.5億円 | 98.0億円 |
| 2022/03期 | 113億円 | ▲117億円 | ▲59.8億円 | ▲3.8億円 |
| 2023/03期 | 109億円 | ▲102億円 | ▲23.4億円 | 6.8億円 |
| 2024/03期 | 198億円 | ▲62.6億円 | ▲40.1億円 | 136億円 |
| 2025/03期 | 139億円 | ▲50.8億円 | ▲119億円 | 88.5億円 |
営業キャッシュフローは堅調に推移しており、本業で安定して現金を稼ぐ力を維持しています。2024/03期以降は投資支出を抑制しつつ資産売却等も行っているため、フリーキャッシュフローは高い水準でプラスを維持しています。この潤沢な手元資金を活用し、戦略的な事業構造改革と安定した株主還元を両立させている点が特徴です。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は15.4%となっており、多様性の確保に向けて一定の体制が構築されています。監査体制やガバナンスの透明性向上を重視しており、連結子会社13社を抱える企業規模に見合ったガバナンス体制を強化しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 793万円 | 1,680人 | - |
従業員平均年収は793万円と製造業として高い水準を維持しています。構造改革によるSAP事業の撤退やポートフォリオの高度化を進める中、収益性の改善に向けた組織体制の変革が給与面での持続可能性を支えています。
株主リターン・投資成果
リターン・配当・市場データを確認
平均よりも稼げてる?
この会社の株を持っていた場合のリターン(青)を、日本株全体の平均(TOPIX、灰)と比較。青い線が上にあれば、平均より良い成績です。
同社のTSR(株主総利回り)は、2022期以降、市場平均であるTOPIXを継続して下回る「アンダーパフォーム」の状態が続いています。これは、高吸水性樹脂(SAP)事業の不振や構造改革に伴う業績の低迷が株価の重しとなったことが主な要因です。株価がTOPIXの上昇に追随できなかったため、配当を含めても全体のリターンが見劣りする結果となりました。今後は、事業ポートフォリオ改革の成果を利益成長と株価上昇に繋げ、TSRを改善できるかが経営の重要課題です。
※ 配当を含む株主総利回り(TSR)ベースです。過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2016/03期 | 17円 | 27.1% |
| 2018/03期 | 110円 | 26.2% |
| 2019/03期 | 125円 | 51.5% |
| 2020/03期 | 140円 | 40.2% |
| 2021/03期 | 150円 | 45.4% |
| 2022/03期 | 170円 | 56.0% |
| 2023/03期 | 170円 | 66.0% |
| 2024/03期 | 170円 | - |
| 2025/03期 | 170円 | 90.5% |
現在、株主優待制度は実施しておりません。
三洋化成工業は、連結配当性向30%以上をメドに安定的な配当を実施することを基本方針としています。業績が一時的に変動した場合でも、株主への還元を重視して配当額を維持する姿勢が強みです。今後は収益性の改善に伴い、持続的な利益成長を通じた株主還元策の更なる深化が期待されます。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| 2021期 | 145.4万円 | 45.4万円 | 45.4% |
| 2022期 | 135.5万円 | 35.5万円 | 35.5% |
| 2023期 | 120.4万円 | 20.4万円 | 20.4% |
| 2024期 | 124.4万円 | 24.4万円 | 24.4% |
| 2025期 | 119.6万円 | 19.6万円 | 19.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は2.06倍と比較的落ち着いており、短期的な需給の偏りは大きくありません。株価指標を見ると、PBRが0.84倍と1倍を割り込んでおり、市場からは割安と評価されている可能性があります。一方で、PERは業界平均並みです。配当利回りは3.30%と業界平均を上回る水準であり、株主還元への意識がうかがえます。今後は、構造改革による利益成長が伴うことで、割安な株価指標の是正が進むかどうかが注目されます。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 120億円 | 47.2億円 | 39.3% |
| 2022/03期 | 128億円 | 60.7億円 | 47.5% |
| 2023/03期 | 99.2億円 | 42.3億円 | 42.7% |
| 2024/03期 | 81.9億円 | 167億円 | 203.8% |
| 2025/03期 | 96.7億円 | 55.2億円 | 57.1% |
法人税等の支払額は、2024/03期に特別損失の影響による税効果会計等の変動から一時的に税負担率が急上昇しました。実効税率が変動しやすい背景には、構造改革に伴う評価損や引当金の影響が含まれています。今期以降は安定した事業利益の創出が見込まれるため、税負担は通常レベルへと収束していくと予想されます。
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三洋化成工業 まとめ
「紙おむつ原料から大胆撤退、界面活性剤技術を軸にヘルスケア・EV向け素材へシフトする構造改革の真っただ中」
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