花王
Kao Corporation
最終更新日: 2026年4月30日
37期連続増配を誇る日本の「配当貴族」。持続可能な社会に欠かせないグローバル日用品メーカー
「未来のいのちを守る」というビジョンのもと、2027年に向けてグローバルでの存在価値を高める企業となること。
この会社ってなに?
花王は「アタック」「メリーズ」「ビオレ」「キュレル」など、私たちが毎日使う洗剤・おむつ・スキンケア製品を作っている会社です。化粧品ブランド「KANEBO」「KATE」や、企業向けの化学品事業まで幅広く手がけるグローバル日用品メーカーで、あなたの日常生活を陰で支えています。
FY2025/12は売上高1兆6,886億円(前期比+3.7%)、営業利益1,641億円(+11.9%)と増収増益を達成。中期経営計画「K27」のもと構造改革を進め、FY2026/12は営業利益1,820億円(+10.9%)と過去最高益更新を計画しています。37期連続増配(年156円)に加え、2026年7月に1:2の株式分割も発表。一方、アクティビストのOasisが保有比率12.5%で筆頭株主となり、サプライチェーンのESG問題を指摘して臨時株主総会(4月30日)を請求するなど、株主と経営陣の緊張関係も注目材料です。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都中央区日本橋茅場町1-14-10
- 公式
- www.kao.com
社長プロフィール
花王は「持続可能な社会に欠かせない企業になる」ことを基本方針に掲げています。中期経営計画「K27」のもと、投資して強くなる事業への変革と社員活力の最大化を通じて、本気で稼ぐ力を取り戻し、さらなる成長に挑みます。
この会社のストーリー
長瀬富郎が「花王石鹸」を発売。高品質な国産石鹸の製造に挑み、日本の衛生文化を切り開いた。
東京証券取引所第一部に上場し、近代的な企業体制を確立。日用品メーカーとしての基盤を築く。
カネボウ化粧品を傘下に収め、KANEBO・KATEなどの化粧品ブランドを獲得。総合日用品メーカーへと飛躍した。
コロナ禍後の需要変化と原材料価格の高騰により業績が悪化。営業利益率は3.9%まで低下する苦境に。
「本気で稼ぐ力を取り戻す」をスローガンに中期経営計画K27を策定。不採算事業の見直しとポートフォリオ改革に着手。
FY2025/12は営業利益1,641億円とV字回復を実現。36期連続増配(年154円)で「配当貴族」の看板を守り抜いた。
2026年7月に1:2の株式分割を発表。一方、Oasisが筆頭株主となりESG問題で臨時株主総会を請求。変革と対話の年に。
注目ポイント
日本一の連続増配記録を更新中。FY2023/12に利益が半減しても減配しなかった実績は、「配当貴族」として長期投資家から圧倒的な信頼を得ています。2026年7月の株式分割で個人投資家にも投資しやすくなります。
構造改革による不採算事業の整理とスキンケア・ケミカル等の高収益領域への集中投資が奏功。営業利益率は3.9%→9.7%と急回復し、FY2027/12には過去最高益(2,117億円超)の更新を目指しています。
洗剤・スキンケア・おむつは景気に関係なく毎日使われる生活必需品。営業CFは毎期約2,000億円を安定創出しており、不況耐性の高いビジネスモデルが長期投資に適しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 94円 | 37.1% |
| FY2017/3 | 110円 | 36.9% |
| FY2018/3 | 120円 | 38.2% |
| FY2019/3 | 130円 | 42.4% |
| FY2020/3 | 140円 | 53.4% |
| FY2021/3 | 144円 | 62.4% |
| FY2022/3 | 148円 | 80.8% |
| FY2023/3 | 150円 | 158.9% |
| FY2024/3 | 152円 | 65.5% |
| FY2025/3 | 154円 | 59.2% |
株主優待制度は導入しておりません。
花王は37期連続増配という日本屈指の記録を持つ「配当貴族」です。FY2023/12には純利益が半減した中でも減配せず150円を維持(配当性向158.9%)したことで、どんな局面でも株主還元を守る姿勢が鮮明です。FY2026/12は年156円(前期比+2円)を予想し、利益回復に伴い配当性向も54%台と健全な水準に回帰。なお2026年7月の株式分割後は1株あたり78円(分割調整後)となります。株主優待制度はありません。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2025/12は売上高1兆6,886億円、営業利益1,641億円と3期連続の増収・2期連続の増益を達成しました。FY2023/12に営業利益が600億円台へ急落した苦境から、中計K27の構造改革と高収益事業への選択と集中が奏功しV字回復が鮮明です。FY2026/12は営業利益1,820億円と過去最高益の更新を計画。なお2026年7月に1:2の株式分割を予定しており、分割後の予想EPSは約143円となります。
事業ごとの売上・利益
アタック、ハイター等の衣料用・住居用洗剤。国内シェアトップクラスの主力事業
ビオレ、キュレル、メリーズ等のスキンケア・ヘアケア・ベビー用品。成長ドライバー
プロフェッショナル向け業務用製品、サニタリー用品
SOFINA、KANEBO、KATE等。豪Bondi Sands買収でグローバル展開を強化
油脂製品、機能材料、情報材料等のBtoB化学事業。安定収益源
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 11.6% | 6.4% | - |
| FY2022/3 | 8.9% | 5.0% | - |
| FY2023/3 | 4.5% | 2.5% | - |
| FY2024/3 | 10.5% | 5.8% | 9.0% |
| FY2025/3 | 11.3% | 6.4% | 9.7% |
FY2023/12に営業利益率3.9%まで落ち込みましたが、構造改革と高付加価値製品へのシフトにより急回復。FY2025/12はROE11.0%、営業利益率9.7%とコロナ前の水準を回復しました。中計K27ではROIC11%以上を経営目標に掲げ、資本効率を重視した経営が着実に成果を上げています。FY2026/12は営業利益率10.4%と二桁回復が視野に入ります。
財務は安全?
自己資本比率は56〜57%台で安定しており、日用品メーカーとしては極めて健全な財務体質です。FY2024/12にボンダイサンズ買収に伴い有利子負債1,329億円が発生しましたが、FY2025/12には1,050億円へ着実に圧縮。BPSは2,352円まで上昇しており、純資産の質が向上しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 2,016億円 | -459億円 | -1,046億円 | 1,557億円 |
| FY2025/3 | 1,997億円 | -698億円 | -1,751億円 | 1,299億円 |
営業CFは毎期約2,000億円を安定的に創出しており、日用品事業の強固なキャッシュ生成力を示しています。FY2025/12は財務CFで1,751億円の株主還元(配当+自社株買い)と有利子負債返済を実施しつつ、FCF約1,299億円を確保。攻守のバランスが取れたキャッシュマネジメントです。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,500億円 | 404億円 | 26.9% |
| FY2022/3 | 1,158億円 | 298億円 | 25.7% |
| FY2023/3 | 638億円 | 200億円 | 31.3% |
| FY2024/3 | 1,510億円 | 433億円 | 28.6% |
| FY2025/3 | 1,698億円 | 498億円 | 29.3% |
花王の実効税率は約29〜30%と国際標準水準で推移しています。海外売上比率が約40%に達しており、各国の税制や外国税額控除の影響を考慮した税務管理を行っています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 865万円 | 31,514人 | - |
平均年収は約810〜825万円で化学業界では上位水準です。構造改革に伴い単体従業員数はFY2022の8,403名からFY2025の約7,700名へと約700名減少しましたが、これは早期退職優遇制度やグループ再編の影響です。平均年齢は40歳前後で安定しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
大手信託銀行経由の機関投資家が上位を占め、創業家や事業法人の安定保有が少ない典型的な大型株。アクティビストのOasisが約12.5%を保有し筆頭株主となったことで、浮動株比率が高い構造が注目されています。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口、18.45%)で、年金基金やインデックスファンドの受託分です。第2位は日本カストディ銀行(信託口、7.04%)。注目すべきはアクティビスト(物言う株主)のOasis Management(合計約12.5%)が実質的な筆頭株主となっている点です。OasisはOasis Opportunities Fund(1.52%)とOasis Japan Strategic Fund(1.28%)等を通じて保有し、サプライチェーンのESG問題を指摘し臨時株主総会を請求しています。日本生命(1.48%)等の政策保有株主はわずかで、創業家持ち分がなく機関投資家が中心の株主構成のため、アクティビスト活動の影響を受けやすい特徴があります。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| ハイジーン&リビングケア | 約4,800億円 | 非開示 | 非開示 |
| ヘルス&ビューティケア | 約4,200億円 | 非開示 | 非開示 |
| ライフケア | 約1,300億円 | 非開示 | 非開示 |
| 化粧品 | 約2,700億円 | 非開示 | 非開示 |
| ケミカル | 約3,900億円 | 非開示 | 非開示 |
研究開発費
花王は5つの事業セグメントで構成され、ハイジーン&リビングケアとケミカルが安定収益の二本柱です。研究開発費は約600億円(売上比3.6%)と業界トップクラスの水準を維持。事業リスクとしてはOasisによるアクティビスト活動とサプライチェーンのESG問題が最大の注目点で、臨時株主総会(4月30日)の結果次第では経営方針に影響が出る可能性があります。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率が35.7%と非常に高く、ダイバーシティ経営を強力に推進している点が特徴です。監査体制も強化されており、透明性の高い情報開示とガバナンス評価の向上に取り組んでいます。企業規模が極めて大きいため、効率的な経営体制とリスク管理の両立が常に求められています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/12 | 1兆6,500億円 | 1兆6,800億円 | 1兆6,886億円 | +2.3% |
| FY2024/12 | 1兆5,800億円 | 1兆5,400億円 | 1兆5,300億円 | -3.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025/12 | 1,500億円 | 1,600億円 | 1,641億円 | +9.4% |
| FY2024/12 | 1,200億円 | 1,150億円 | 1,162億円 | -3.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画「K27」ではROIC11%以上・過去最高益(2,117億円超)の更新を目標に掲げています。FY2025/12は当初予想を上回る1,641億円の営業利益を達成し、2期連続で上方修正実績を残しました。FY2026/12は1,820億円と更なる増益を計画しており、K27達成に向けた利益回復は順調です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
花王の5年間のTSR(株主総利回り)は87.9%と、TOPIX(213.2%)を大きくアンダーパフォームしています。FY2023/12の業績悪化で株価が大幅下落したことが主因です。ただしFY2024/12以降は構造改革の効果で回復基調にあり、中計K27の達成とともにTSRの改善が期待されます。37期連続増配による配当がTSRの下支えとなっている点は見逃せません。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021/12 | 77.3万円 | -22.7万円 | -22.7% |
| FY2022/12 | 69.6万円 | -30.4万円 | -30.4% |
| FY2023/12 | 78.3万円 | -21.7万円 | -21.7% |
| FY2024/12 | 87.6万円 | -12.4万円 | -12.4% |
| FY2025/12 | 87.9万円 | -12.1万円 | -12.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER21.4倍は化学セクター平均(15倍)を上回りますが、37期連続増配のディフェンシブ性と構造改革による利益回復期待がプレミアムの根拠です。信用倍率3.72倍と買い残がやや優勢。2026年7月の株式2分割により投資単位が半減し、個人投資家の参入増加が期待されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
アクティビストのOasisが請求した臨時株主総会を4月30日に開催予定。「花王のサプライチェーンで森林破壊や人権侵害につながる調達が行われている」との主張に対し、花王は反対の姿勢を表明。
香港の投資ファンドOasisが追加取得で議決権比率12.52%の筆頭株主に。公開書簡で花王のESG対応を批判し、サプライチェーンの独立調査を要求。経営陣との緊張関係が高まっている。
FY2025/12は売上高1兆6,886億円(+3.7%)、営業利益1,641億円(+11.9%)と増収増益を達成。37期連続増配(年156円)と2026年7月の1:2株式分割を同時に発表。
1-9月期(3Q累計)の最終利益が前年同期比19%増で着地。スキンケア事業が好調で、通期見通しに対する高い進捗率を示した。
最新ニュース
花王 まとめ
ひとめ診断
37期連続増配の「配当貴族」。K27改革で利益回復が加速、2026年7月に株式2分割を予定
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
同じ業種の企業
「化学」に分類される他の企業
高速道路の防音壁から公園のベンチまで、日本の『当たり前の景色』を創り続ける、社会インフラの静かなる巨人
塩化ビニルと半導体シリコンウエハで世界首位 -- 営業利益率29%・自己資本比率83%の超優良化学メーカー
旧昭和電工が半導体材料の雄へ脱皮――後工程革命の中核企業として時価総額2兆円に到達
産業ガス国内2位、M&Aで事業多角化を推進してきたが不適切会計の発覚で信頼回復が最大課題
スマホやタブレットの『キレイな画面』を支える、ニッチトップの高機能フィルム技術者集団
『びっくりするほど良い商品』を武器に高収益を誇ったD2Cの雄が、成長の壁をM&Aで乗り越えようと模索している
『白』の化学で世界を支え、農薬事業を成長エンジンにPBR1倍超えを目指す老舗メーカー
合成ゴム・高機能樹脂の世界的メーカー、4期連続増配で株主還元を強化