Sansan
Sansan,Inc.
最終更新日: 2026年4月30日
名刺の1枚から始まる、ビジネスの「見える化」革命――日本のDXを裏側から支えるデータカンパニー
ビジネスインフラになる
この会社ってなに?
取引先から受け取った名刺を写真に撮ってアプリに読み込む――ビジネスパーソンなら一度は使ったことがあるかもしれない名刺管理サービスの最大手がSansanです。名刺だけでなく、紙の請求書やPDFの契約書もクラウドで一元管理できるサービスを展開しており、企業の「紙仕事」をデジタル化する裏方として急成長しています。最近はAIを活用した営業支援や顧客データ統合など、名刺管理を超えた「ビジネスデータベース」の構築を推進しています。
Sansanは、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を起点に、請求書受領サービス「Bill One」、契約管理「Contract One」へと事業を拡大するSaaS企業です。FY2025/5(2025年5月期)は売上高432億円(+27.5%)、営業利益28億円(+109.5%)と高成長を維持しました。FY2026/5上半期(2Q累計)は売上高253.8億円(+26.5%)、調整後営業利益30.2億円(+265.2%)、純利益19.6億円(+512.4%)といずれも過去最高を更新。通期では売上高527〜540億円(+22〜25%)、調整後営業利益68.5〜86.4億円(+93〜143%)を見込みます。中期経営計画では売上高CAGR22〜27%、FY2027/5に調整後営業利益率18〜23%、長期で30%超を目指しています。名刺管理で培ったデータ化・名寄せ技術を武器に、AIエージェント等の新サービスも投入しSaaS×AIの成長ストーリーを描いています。
会社概要
- 業種
- 情報・通信業
- 決算期
- 5月
- 本社
- 東京都渋谷区桜丘町1-1 渋谷サクラステージ 28F
- 公式
- jp.corp-sansan.com
社長プロフィール
「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションのもと、名刺や請求書、契約書に埋もれたビジネスデータを掘り起こし、企業の成長を支えるインフラとなることを目指しています。AIの力でデータの価値をさらに高め、すべてのビジネスパーソンがデータドリブンな働き方を実現できる世界を創ります。
この会社のストーリー
三井物産出身の寺田親弘がシリコンバレーでの経験を活かし、2007年に創業。「名刺を会社の資産にする」というコンセプトで法人向けクラウド名刺管理サービスの開発を開始しました。
法人向け「Sansan」に加え、個人向け名刺管理アプリ「Eight」をリリース。ビジネスパーソンの名刺管理ニーズを個人レベルでも取り込み、ユーザー基盤を急拡大しました。
2019年6月に東証マザーズ(現グロース)に上場。公募価格4,500円に対し初値は4,760円をつけ、時価総額は1,000億円を突破。上場で調達した資金をBill Oneの開発に投資。
請求書受領サービス「Bill One」を本格展開し、インボイス制度対応の追い風もあり急成長。7月には1:4の株式分割を実施し、個人投資家の投資しやすさを向上させました。
Bill OneやContract Oneの拡大に向けた積極的な先行投資により、FY2023/5は純損失1.4億円と一時的に赤字に転落。成長加速のための「生みの苦しみ」の時期でした。
FY2024/5は売上高338億円(+32.8%)と過去最高成長率を記録。営業利益も黒字に回復し、東証プライム市場への移行を果たしました。名刺管理シェア85%超を獲得。
「Sansan AIエージェント」を発表し、名刺管理からAI活用のビジネスデータベースへと進化を宣言。非中核事業(EventHub・ログミー)の譲渡で経営資源を集中。中期計画でOP率30%超の長期目標を掲げました。
FY2026/5上半期で売上高・調整後営業利益・純利益すべて過去最高を更新。Bill One+40%、Contract One+94%と第2・第3の柱が急成長し、SaaS×AIの新たな成長ステージへ。
注目ポイント
法人向けクラウド名刺管理で市場シェア85.8%、契約件数11,000件超と圧倒的な業界首位。名刺データの名寄せ技術は18年間の蓄積があり、後発企業が容易に追いつけない競争優位を築いています。ビジネスの「出会い」のデータを押さえるポジションは唯一無二です。
請求書受領「Bill One」は前年比+40.1%、契約管理「Contract One」は+93.6%と第2・第3の成長エンジンが急拡大中。名刺→請求書→契約書と、ビジネスの入口にあるペーパーワークを次々とデジタル化し、1社あたりの利用サービス数と単価を引き上げるクロスセル戦略が奏功しています。
18年間で蓄積した膨大なビジネスデータ(名刺・請求書・契約書)を武器に、AIエージェントやデータ連携サービスなど次世代プロダクトを投入。中期計画で営業利益率30%超の長期目標を掲げ、SaaSの「利益回収期」に入りつつあります。売上高+20%超の成長を維持しながら利益率が急改善する局面は、グロース株投資の醍醐味です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2019/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2020/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 0円 | 0.0% |
株主優待制度なし
Sansanは設立以来一度も配当を実施していません。利益はすべてSaaS事業の成長投資(開発人材採用、Bill One/Contract Oneの拡大、AI技術開発)に充てる方針です。期末配当の確定日は5月末日と定めていますが、現時点で配当開始の予定はありません。高成長SaaS企業として、株主還元は事業成長による株価上昇で実現するグロース株の典型的なパターンです。
同業比較(収益性)
情報・通信業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上高は4期連続で前年比+20%超の成長を達成しています。FY2025/5は売上高432億円(+27.5%)、営業利益28億円(+109.5%)と大幅増益でしたが、特殊な税務要因(実効税率84.5%)により純利益は4.2億円に留まりました。FY2026/5上半期は売上高+26.5%、調整後営業利益+265.2%と利益成長が加速しており、通期では売上高527〜540億円(+22〜25%)、調整後営業利益68.5〜86.4億円(+93〜143%)を見込みます。Bill Oneの高成長(+40.1%)とSansan事業の堅調な契約増加(+12.1%)が牽引しています。
事業ごとの売上・利益
法人向け名刺管理「Sansan」(シェア85.8%、契約件数+12.1%)と請求書受領「Bill One」(+40.1%)が二本柱。Contract One(契約管理、+93.6%)も急成長中。名刺データの名寄せ技術を核に、営業DX・経理DXのプラットフォームとして拡大
個人向け名刺管理アプリ「Eight」。ビジネスSNS機能と副業マッチング等の新サービスで収益化を模索中。BtoB広告・イベント事業も展開
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2019/3 | -28.0% | -10.4% | -8.3% |
| FY2020/3 | 3.2% | 1.5% | 5.7% |
| FY2021/3 | 1.4% | 0.7% | 4.5% |
| FY2022/3 | 7.1% | 3.3% | 3.1% |
| FY2023/3 | -1.1% | -0.5% | 0.8% |
| FY2024/3 | 6.5% | 2.5% | 3.9% |
| FY2025/3 | 2.6% | 0.9% | 6.5% |
営業利益率はFY2022/5の3.1%からFY2025/5の6.5%まで着実に改善しています。FY2023/5はBill One等への先行投資が嵩み営業利益率0.8%・純損失に転落しましたが、FY2024/5以降は回復基調です。FY2025/5のROE2.6%は特殊な税務要因(実効税率84.5%)による低い純利益が原因で、調整後営業利益ベースでは利益率は急改善中です。FY2026/5上半期の調整後営業利益率は11.9%に到達しており、中期計画の目標(FY2027/5に18〜23%)に向けて順調に進捗しています。
財務は安全?
総資産は事業拡大に伴い4年間で262億→479億円へほぼ倍増しました。注目すべきは有利子負債ゼロの無借金経営を維持している点です。自己資本比率は45.4%→31.2%と低下傾向ですが、これはBill Oneの契約負債(前受金)やリース負債の増加が主因であり、財務の健全性に問題はありません。BPSは96.8円→118.3円と堅実に成長。現金同等物は約311億円と潤沢で、M&Aや新規投資の余力を十分に保持しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2019/3 | 10.7億円 | -22.8億円 | 31.3億円 | -12.1億円 |
| FY2020/3 | 28.2億円 | -71.9億円 | 116億円 | -43.7億円 |
| FY2021/3 | 30.1億円 | -5.5億円 | -29.0億円 | 24.6億円 |
| FY2022/3 | 31.2億円 | -10.1億円 | 9.1億円 | 21.1億円 |
| FY2023/3 | 38.5億円 | 13.6億円 | 5.2億円 | 52.1億円 |
| FY2024/3 | 54.8億円 | -31.8億円 | 14.3億円 | 23.0億円 |
| FY2025/3 | 96.5億円 | -25.5億円 | -6.5億円 | 71.0億円 |
営業CFはFY2022/5の31億円からFY2025/5の96.5億円へ3倍以上に拡大しています。SaaSモデルの特徴として、売上高の成長に伴い前受金が積み上がり、営業CFが利益を大きく上回る構造です。FY2025/5のFCF71億円は過去最高で、営業CFマージンは22.3%と高水準。投資CFのマイナスはM&A(EventHub取得等)やオフィス投資によるもので、本業のキャッシュ創出力は極めて強靭です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2019/3 | -8.9億円 | 0円 | - |
| FY2020/3 | 4.3億円 | 9,600万円 | 22.1% |
| FY2021/3 | 3.8億円 | 1.9億円 | 51.5% |
| FY2022/3 | 9.7億円 | 1.1億円 | 11.5% |
| FY2023/3 | 1.2億円 | 2.6億円 | 215.6% |
| FY2024/3 | 12.2億円 | 2.7億円 | 22.1% |
| FY2025/3 | 27.4億円 | 23.2億円 | 84.5% |
FY2025/5の実効税率84.5%が際立って高い点が特徴です。これは繰延税金資産の評価見直しや子会社関連の一時的な税務処理が影響しており、税引前利益27.4億円に対し法人税等が23.2億円発生し、純利益がわずか4.2億円に留まりました。事業の実態(営業利益28億円、FCF71億円)は好調であり、FY2026/5上半期は純利益19.6億円と正常化しています。FY2024/5の実効税率22.1%が通常水準と考えられます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| FY2025/5 | 780万円 | 2,235人 | - |
平均年収780万円は、SaaS業界の中でも高い水準であり、優秀なエンジニアや営業人材の確保・定着を重視した報酬戦略が見受けられます。平均年齢31.7歳と若い組織構成ながら、一人当たり売上高は約1,930万円と高い生産性を実現しています。臨時従業員363名を含めた実質的な労働力は約2,600名規模で、連結従業員数は約1,961名です。
誰がこの会社の株を持ってる?
創業者・寺田親弘CEOが資産管理会社CNKを通じて25.9%、個人で6.5%と合計約32.4%を安定保有。信託銀行経由の機関投資家保有も厚い一方、Greenoaks等の外国人投資家の動向には注意が必要です。
筆頭株主は(株)CNK(25.90%)で、これは創業者・代表取締役CEOの寺田親弘氏の資産管理会社です。寺田氏は個人でも6.48%を保有しており、合計約32.4%を安定保有しています。第2位のJPLLC CLIENT ASSET S-SK J(12.48%)はカストディ口座で、外国機関投資家の保有分です。第3位の日本マスタートラスト信託銀行(信託口、7.43%)は年金基金やインデックスファンドの受託分。Greenoaks Capital Partners(約6.0%)は米国のグロース投資ファンドで持分をやや縮小しています。共同創業者でCOOの富岡圭氏も取締役として株式を保有しており、創業メンバーによる安定的な経営基盤が特徴です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| Sansan / Bill One事業 | 約223.7億円(H1) | 調整後OP約31億円(H1) | 13.9% |
| Eight事業 | 約29.2億円(H1) | 非開示 | - |
Sansanの事業は「ビジネスデータベース」を軸とした2セグメント構成です。Sansan/Bill One事業がグループ売上の約88%を占め、中核のSansan(名刺管理)が安定収益を稼ぎながら、Bill One(請求書受領、+40.1%)とContract One(契約管理、+93.6%)が第2・第3の成長エンジンとして急拡大しています。Eight事業(個人向け)は売上比率約12%で収益化途上ですが、副業マッチングなど新たなマネタイズを模索中。名刺・請求書・契約書というビジネスデータの入口を押さえるプラットフォーム戦略が差別化要因です。
この会社のガバナンスは?
取締役10名中女性2名(比率20%)と、東証プライム上場企業の中でも先進的な多様性を確保しています。連結子会社7社を統括する経営体制下で、監査報酬3,700万円を投じた実効性の高い監査体制を構築。設備投資額31.5億円はプロダクト開発やデータセンター等への積極的な成長投資を反映しています。平均勤続年数3.1年はSaaSスタートアップとしては標準的な水準です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/5 | 310億円 | — | 338億円 | +9.1% |
| FY2025/5 | 407億円 | — | 432億円 | +6.1% |
| FY2026/5 | 527〜540億円 | — | H1進捗率47.5% | 計画通り |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画(FY2025〜FY2027)では売上高CAGR22〜27%、FY2027/5に調整後営業利益率18〜23%を掲げています。FY2026/5の通期ガイダンスは売上高527〜540億円、調整後営業利益68.5〜86.4億円で、2Q時点での進捗率は売上高47.5%、調整後営業利益44.1%と概ね計画通り。同社はSaaS企業として下期偏重の季節性があるため、上半期の進捗率としては適切な水準です。
株の売買状況と今後の予定
実績PER361.9倍はFY2025/5の特殊な税務要因で純利益が極端に低かったことが原因で、事業の実態を反映していません。FY2026/5予想EPS35.5円ベースでは予想PER約34倍となり、成長率20%超のSaaS企業として妥当な水準です。PBR10.28倍は業界平均の3倍以上ですが、高い売上成長率と利益率の急改善が株価に織り込まれています。信用倍率2.4倍は中立的で、需給面に大きな偏りはありません。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2026/5 2Q累計で売上高253.8億円(+26.5%)、調整後営業利益30.2億円(+265.2%)、純利益19.6億円(+512.4%)といずれも過去最高を更新。Bill Oneの新規受注額は四半期最高を記録。
社内に散在するデータを統合しAIが活用できる環境を提供する「Sansan AIエージェント」を発表。Zoom連携や商談記録の自動要約機能など3つの新ソリューションを投入し、「DX→AX(AI Transformation)」への進化を表明。
FY2026/5 1Qは調整後営業利益が前年同期比+108.0%と約2倍に成長。売上総利益率の改善と販管費率の低下が奏功。Sansan事業の契約件数は順調に拡大。
FY2025/5通期は売上高432億円(+27.5%)、営業利益28億円(+109.5%)と大幅増収増益。ただし特殊税務要因により純利益は4.2億円に留まった。中期経営計画の売上CAGR22〜27%目標に対し計画通りの進捗。
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Sansan まとめ
ひとめ診断
名刺管理の「次」へ――ビジネスデータの力でDXを加速する国内SaaS成長株
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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