日本化薬
NIPPON KAYAKU CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月22日
火薬から生まれた技術で、クルマの安全も医薬品もスマホ材料も。世界のニッチを攻める総合化学メーカー
世界的すきま発想。ニッチな市場でグローバルNo.1を目指す総合化学メーカー
この会社ってなに?
あなたの車に搭載されているエアバッグの中には、日本化薬が作った「インフレータ」という瞬時にガスを発生させる装置が使われています。また、スマートフォンや液晶テレビの画面に使われる「偏光板」の材料や、がん治療に使われる抗がん剤も手掛けています。火薬の技術を起点に、自動車の安全装置から医薬品、電子材料まで、普段は名前を見ることのない'縁の下の力持ち'として私たちの暮らしを支えている会社です。
日本化薬は1916年創業の総合化学メーカーで、機能化学品(半導体用エポキシ樹脂等)、医薬(抗がん剤・バイオシミラー)、セイフティシステムズ(自動車エアバッグ用インフレータ)、アグロ(農薬)の4事業を展開しています。FY2025/3は売上高2,226億円(前年比+10.3%)、営業利益204億円と大幅な増益を達成。FY2024/3に発生した減損処理や一時費用から力強く回復しました。FY2026/3は売上高2,346億円、営業利益200億円の増収を見込み、次期中計ではROE8%以上の早期達成を掲げ、2035年にROE10%以上を目指しています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号 明治安田生命ビル
- 公式
- www.nipponkayaku.co.jp
社長プロフィール
KAYAKU Spiritのもと、世界的すきま発想で新しい価値を創造し、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。ステークホルダーの皆様の期待に応えるべく、ROE向上と事業ポートフォリオの変革に取り組みます。
この会社のストーリー
日本最初の産業用火薬を製造する「日本火薬製造」として誕生。火薬技術はのちにエアバッグ用インフレータへと発展します。
戦後、染料製造会社や製薬会社を吸収合併し「日本化薬」に社名変更。化学の総合メーカーへの道を歩み始めました。
火薬技術を活かしたエアバッグ用インフレータが世界の自動車メーカーに採用され、グローバル展開を加速しました。
子会社ポラテクノの減損損失等により営業利益が大幅減少。しかし本業の収益力は維持しており、翌期のV字回復へとつながりました。
KAYAKU Vision 2025を終え、次期中期経営計画PhaseI: Evo.Iを策定。ROE8%以上の早期達成と2035年にROE10%以上を掲げ、事業ポートフォリオの変革に挑みます。
注目ポイント
エアバッグ用インフレータで世界有数のシェアを持ち、自動車の安全を守っています。ドローン用パラシュートなど新領域にも挑戦中です。
業績悪化時も減配せず45円を維持し、V字回復後は60円へ増配。配当性向40%以上を目標に掲げる株主重視の経営です。
半導体用エポキシ樹脂、液晶用色素材料、農薬など、大企業が手を出しにくいニッチ市場で独自のポジションを確立しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 30円 | 31.2% |
| FY2017/3 | 30円 | 33.2% |
| FY2018/3 | 30円 | 33.6% |
| FY2019/3 | 30円 | 35.0% |
| FY2020/3 | 30円 | 40.4% |
| FY2021/3 | 30円 | 40.7% |
| FY2022/3 | 40円 | 39.3% |
| FY2023/3 | 45円 | 50.4% |
| FY2024/3 | 45円 | 181.5% |
| FY2025/3 | 60円 | 56.0% |
株主優待制度はありません。
年間配当金はFY2021/3の30円からFY2025/3の60円へ4期連続で増配し、5年間で2倍に増加しました。FY2024/3には業績悪化にもかかわらず45円を維持する「減配なし」の姿勢を示し、配当性向は一時的に181.5%まで上昇しました。KV25期間中の配当性向目標40%以上を上回る水準での還元が続いており、株主還元に対する強いコミットメントが窺えます。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
過去5年間で売上高は約1,734億円から2,226億円へ約28%成長しました。FY2024/3には減損損失の影響で営業利益が73億円に急落しましたが、FY2025/3には204億円へとV字回復を達成。FY2026/3も売上高2,346億円・営業利益200億円の増収を見込んでおり、セイフティシステムズと機能化学品が業績を牽引しています。
事業ごとの売上・利益
半導体封止用エポキシ樹脂で高シェア。液晶・有機EL向け色素材料、インクジェットプリンタ用色素も展開。電子材料需要の回復が追い風
抗がん剤を中心とした医療用医薬品とバイオシミラーを展開。FRONTEOとの創薬アセット共創プロジェクトも開始
自動車用エアバッグインフレータ・シートベルトガス発生装置で世界有数のシェア。ドローン用パラシュートシステムも開発中
農薬・動物薬を展開。国内農薬市場で安定した地位を占め、海外展開も推進中
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 13.3% | 4.3% | - |
| FY2022/3 | 6.9% | 5.4% | - |
| FY2023/3 | 6.8% | 4.6% | - |
| FY2024/3 | 1.6% | 1.1% | 3.6% |
| FY2025/3 | 6.3% | 4.7% | 9.2% |
FY2024/3には減損処理等の影響でROE1.5%、営業利益率3.6%に落ち込みましたが、FY2025/3にはROE6.5%、営業利益率9.2%へと力強く回復しました。次期中計ではROE8%以上の早期達成を掲げており、資本効率の改善が経営の最重要テーマとなっています。化学業界の平均ROEは7〜8%程度であり、目標達成すれば業界水準に並ぶことになります。
財務は安全?
自己資本比率はFY2021/3の77.2%からFY2025/3の71.6%へやや低下しましたが、依然として非常に高い水準を維持しています。注目すべきは有利子負債で、FY2023/3まではゼロでしたが、FY2024/3に664億円、FY2025/3に977億円と急増しています。これは成長投資やM&A資金のための借入と考えられますが、自己資本比率が70%超であることから財務健全性への懸念は限定的です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 244億円 | -176億円 | -84.0億円 | 68.0億円 |
| FY2022/3 | 231億円 | -106億円 | -111億円 | 125億円 |
| FY2023/3 | 200億円 | -152億円 | -79.5億円 | 48.8億円 |
| FY2024/3 | 232億円 | -194億円 | 38.2億円 | 38.3億円 |
| FY2025/3 | 255億円 | -273億円 | -47.6億円 | -17.8億円 |
営業CFは毎期200〜255億円と安定して創出しています。FY2025/3は投資CFが-273億円と過去最大の投資を実施し、フリーCFは-18億円と一時的にマイナスとなりました。これは設備投資266億円を含む積極的な成長投資の結果です。FY2024/3には財務CFが+38億円とプラスに転じており、借入れによる資金調達を行った痕跡が見て取れます。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 165億円 | 39.6億円 | 24.0% |
| FY2022/3 | 232億円 | 59.7億円 | 25.8% |
| FY2023/3 | 230億円 | 80.4億円 | 34.9% |
| FY2024/3 | 126億円 | 84.5億円 | 67.3% |
| FY2025/3 | 223億円 | 47.6億円 | 21.4% |
FY2024/3に実効税率が67.3%と大幅に跳ね上がったのは、子会社ポラテクノ関連の減損損失等により課税所得と会計上の利益に大きな乖離が生じたためです。FY2025/3には21.4%まで正常化し、過去5年間の通常時は24〜26%程度で推移しています。FY2026/3予想は13.0%と低めですが、税効果会計の影響を含んだ数値です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 777万円 | 5,979人 | - |
平均年収は777万円で化学業界の中では標準的な水準です。連結従業員数は約5,979名と中堅規模で、平均年齢40.9歳・平均勤続年数14.9年と長期勤続者が多い安定した組織構造が特徴です。従業員持株会(カヤベスタークラブ)が大株主上位に名を連ねており、従業員の帰属意識の高さが窺えます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主は三菱UFJ銀行・常陽銀行。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(14.6%)で、信託銀行経由の機関投資家が約21%を保有しています。英Silchester社系ファンドが合計12%超を保有するなど外国人投資家比率が高く、国際的に評価されている銘柄です。従業員持株会であるカヤベスタークラブが3.2%を保有し、従業員の経営参画意識も窺えます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 機能化学品事業 | 約550億円 | 約80億円 | 約14.5% |
| 医薬事業 | 約430億円 | 約50億円 | 約11.6% |
| セイフティシステムズ事業 | 約750億円 | 約55億円 | 約7.3% |
| アグロ事業 | 約450億円 | 約30億円 | 約6.7% |
研究開発費
機能化学品・医薬・セイフティシステムズ・アグロの4事業で多角的に展開しており、セイフティシステムズ(売上構成比約34%)が最大セグメントです。役員報酬は取締役9名に対し総額4億1,900万円。研究開発費は売上高比約5.8%で、半導体用材料やドローン用パラシュートなどの新領域にも投資しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は13.0%で改善の余地はありますが、取締役15名体制で監督機能を確保しています。連結子会社26社を擁するグループ体制で、設備投資は266億円と過去最大規模の投資を実施中です。監査報酬7,900万円は売上規模に対して適正な水準です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 2,100億円 | — | 2,018億円 | -3.9% |
| FY2025 | 2,100億円 | 2,226億円 | 2,226億円 | +6.0% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 125億円 | — | 73億円 | -41.3% |
| FY2025 | 125億円 | 204億円 | 204億円 | +63.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期事業計画「KAYAKU Vision 2025」では売上高2,300億円を目指しましたが、FY2024/3の一時的な業績悪化もあり最終年度の着地は2,226億円とわずかに未達でした。一方、配当性向40%以上の目標は56%で達成。FY2025/3には営業利益が204億円へとV字回復し、次期中計「PhaseI: Evo.I」ではROE8%以上の早期達成と2035年にROE10%以上を掲げています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は164.0%と着実にプラスリターンを生んでいますが、TOPIXの213.4%と比較するとアンダーパフォームとなっています。FY2024/3の減益局面でTOPIXとの差が開きましたが、FY2025/3のV字回復により直近では差を縮めつつあります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 110.5万円 | +10.5万円 | 10.5% |
| FY2022 | 123.7万円 | +23.7万円 | 23.7% |
| FY2023 | 131.9万円 | +31.9万円 | 31.9% |
| FY2024 | 147.3万円 | +47.3万円 | 47.3% |
| FY2025 | 164.0万円 | +64.0万円 | 64.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER15.8倍は化学セクター平均(約15倍)とほぼ同水準で、PBR1.07倍はセクター平均(約1.2倍)をやや下回っています。PBR1倍前後は依然として「割安水準」に位置しており、次期中計でROE8%以上を達成すればPBR改善の余地があります。信用倍率9.62倍と買い残が優勢で、個人投資家の上昇期待が表れています。配当利回り3.35%はセクター平均を上回る水準です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/3第3四半期決算で全事業領域が増収。通期業績見通しを上方修正。
統合報告書2025を発行。次期中期経営計画の方向性としてROE8%以上の早期達成を表明。
自己株式取得を発表。株主還元の強化姿勢を改めて示す。
FY2025/3本決算を発表。売上高2,226億円、営業利益204億円と大幅増益を達成。
最新ニュース
日本化薬 まとめ
ひとめ診断
「火薬ルーツの総合化学メーカー、ニッチ市場で世界を攻める'すきま発想'企業」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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