ダイセル
Daicel Corporation
最終更新日: 2026年3月22日
累進配当で利回り4%超!エアバッグからエンプラまで世界を支える総合化学のバリュー株
化学の力で社会課題を解決し、すべてのステークホルダーに愛される企業を目指す。
この会社ってなに?
あなたの車に搭載されているエアバッグの中核部品「インフレータ」は、ダイセルが世界トップクラスのシェアを持つ製品です。また、スマートフォンのカメラレンズや液晶ディスプレイのフィルム材料、食品パッケージに使われるフィルターなど、目に見えないところで日常生活を支えています。さらに最近では化粧品原料や健康食品素材など、暮らしに身近な分野にも事業を広げている会社です。
ダイセルは1919年創業の総合化学メーカーで、エンジニアリングプラスチック(ポリプラスチックス吸収統合)、セルロース誘導体、自動車エアバッグ用インフレータ、電子材料などを幅広く展開しています。FY2025/3は売上高5,865億円(前年比+5.1%)、営業利益610億円と堅調に推移。FY2026/3は売上高6,000億円、営業利益540億円を見込み、ポリプラスチックス事業の完全統合による収益力強化を進めています。中期戦略「Accelerate 2025」では営業利益率12%超・ROE17%を目標に掲げ、累進配当方針のもと4期連続増配を実現しています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪タワーB
- 公式
- www.daicel.com
社長プロフィール
100年以上続く「価値共創によって人々を幸せにする会社」として、化学の力で社会課題を解決し、株主の皆様への還元と企業価値の向上を両立してまいります。
この会社のストーリー
大日本セルロイド株式会社として創業。日本の化学産業の草分けとして歩み始めました。
セルロイドからセルロース化学へ転換し、たばこ用フィルターや写真用フィルム材料で飛躍的な成長を遂げました。
火薬・火工品技術を応用した自動車エアバッグ用インフレータで世界トップクラスのシェアを獲得。安全分野の柱に成長しました。
合弁パートナーだったセラニーズ社から株式を取得し、エンジニアリングプラスチックの世界的企業を完全子会社化しました。
ポリプラスチックスをダイセル本体に吸収統合し、エンプラ・セルロース・セイフティの三本柱で次の100年の成長を目指します。
注目ポイント
「減配しない」累進配当方針を明確に掲げ、配当金は5年間で32円から60円へ増加。配当利回り4.44%は化学セクター屈指の高水準です。
火薬技術を活かしたエアバッグの基幹部品で高い世界シェアを持ち、自動車の安全性向上に貢献しています。
ポリプラスチックス統合後の収益改善が見込まれる中、PBR1.0倍・PER6.6倍と割安に放置されており、見直し余地が大きい銘柄です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 26円 | 22.6% |
| FY2017/3 | 30円 | 24.1% |
| FY2018/3 | 32円 | 29.7% |
| FY2019/3 | 32円 | 30.4% |
| FY2020/3 | 34円 | 219.5% |
| FY2021/3 | 32円 | 49.1% |
| FY2022/3 | 34円 | 32.6% |
| FY2023/3 | 38円 | 27.4% |
| FY2024/3 | 50円 | 25.3% |
| FY2025/3 | 60円 | 33.1% |
株主優待制度は実施していません。
4期連続増配を実現し、配当金は5年間で32円から60円へ約88%増加しました。配当利回りは4.44%と化学セクターの中でもトップクラスの水準です。累進配当方針を明確に掲げており、業績変動があっても減配しない姿勢を示しています。配当性向は25〜49%のレンジで推移しており、増配余力も十分に残されています。株主優待は実施していませんが、配当と自社株買いによる株主還元に注力しています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
過去5年間で売上高は約3,936億円から5,865億円へ約49%成長し、営業利益も317億円から610億円へほぼ倍増しました。FY2024/3にはポリプラスチックスの完全子会社化を含む事業拡大で純利益558億円の過去最高を記録。FY2026/3は売上高6,000億円・営業利益540億円を予想しており、ポリプラスチックス統合に伴う一時費用の影響で減益見込みながらも、中長期的な収益力強化を進めています。
事業ごとの売上・利益
酢酸セルロース、有機溶剤、食品包材用フィルターなど。セルロース化学をベースとした機能性素材を展開
ポリプラスチックスブランドのPOM・PBT・LCPなど高機能エンプラを供給。自動車・電子部品向けで世界的シェア
エアバッグ用インフレータ・ガス発生剤で世界トップクラス。防衛関連の火工品事業も展開
光学フィルム用TAC(トリアセチルセルロース)、電子材料用溶剤、キラルカラム(光学異性体分離)などを展開
化粧品原料(セルロース系)、健康食品素材、PharmaJet社との資本提携によるDDS(薬物送達システム)開発を推進
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 9.0% | 3.1% | - |
| FY2022/3 | 10.4% | 4.5% | - |
| FY2023/3 | 9.9% | 5.3% | - |
| FY2024/3 | 22.0% | 6.7% | 11.2% |
| FY2025/3 | 17.3% | 6.1% | 10.4% |
ROEは5年間で8.0%から13.2%へ大幅に改善し、資本効率の高い経営を実現しています。営業利益率は8〜11%のレンジで安定推移しており、化学業界の中では堅実な水準です。ROAも3.1%から6.1%へ向上し、総資産の収益性も着実に改善しています。
財務は安全?
総資産は5年間で6,404億円から8,138億円へ拡大し、自己資本比率も37.1%から44.2%へ改善しています。FY2024/3にポリプラスチックスの完全子会社化に伴い有利子負債が5,422億円に増加しましたが、FY2025/3には4,649億円へ削減しており、着実なデレバレッジが進行中です。BPSは789円から1,358円へ約72%増加しました。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 579億円 | -342億円 | -171億円 | 236億円 |
| FY2022/3 | 430億円 | -465億円 | -54.5億円 | -35.4億円 |
| FY2023/3 | 268億円 | -441億円 | 200億円 | -172億円 |
| FY2024/3 | 767億円 | -554億円 | -524億円 | 214億円 |
| FY2025/3 | 934億円 | -479億円 | -489億円 | 455億円 |
営業CFは5年間で579億円から934億円へ大幅に拡大し、キャッシュ創出力が大きく向上しました。FY2022/3〜FY2023/3は設備投資の拡大と借入返済でFCFがマイナスとなりましたが、FY2025/3にはFCF455億円と過去最高水準を記録。投資CFは年間350〜554億円の設備投資を継続しつつ、財務CFでは有利子負債の返済を進めており、堅実なキャッシュマネジメントが実践されています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 347億円 | 150億円 | 43.2% |
| FY2022/3 | 573億円 | 260億円 | 45.4% |
| FY2023/3 | 520億円 | 114億円 | 21.8% |
| FY2024/3 | 684億円 | 126億円 | 18.4% |
| FY2025/3 | 623億円 | 128億円 | 20.6% |
実効税率はFY2021/3〜FY2022/3に40%超と高水準でしたが、FY2023/3以降は繰延税金資産の取崩しや海外子会社の利益構成変化により20%前後に低下しています。FY2025/3は税引前利益623億円に対し税額128億円を納付しました。グローバル展開の拡大に伴い、今後も税率は海外事業の利益比率に影響を受ける見通しです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 859万円 | 11,178人 | - |
平均年収は859万円で化学業界の中では上位水準です。平均年齢42.2歳、連結従業員数は約11,200名と大手化学メーカーとしての規模を持ちます。ポリプラスチックスの統合により今後さらに組織規模が拡大する見通しです。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主はダイセル持株会氏・ダイセルグループ従業員持株会氏・日本生命保険(相互会社)。
信託銀行経由の機関投資家が約27%を保有し、日本生命保険(6.6%)や富士フイルムHD(3.2%)など安定株主が一定比率を占めます。外国人投資家比率は約30%と高く、バリュー投資家として知られる英Silchester社の保有が目立ちます。従業員持株会とダイセル持株会を合わせて約4.6%を保有し、従業員のエンゲージメントの高さも窺えます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| マテリアル事業 | 約1,800億円 | 約150億円 | 約8% |
| エンジニアリングプラスチック事業 | 約1,600億円 | 約200億円 | 約13% |
| セイフティ事業 | 約1,100億円 | 約120億円 | 約11% |
| スマート事業 | 約800億円 | 約100億円 | 約13% |
| メディカル・ヘルスケア事業 | 約300億円 | 約30億円 | 約10% |
研究開発費
マテリアル・エンプラ・セイフティ・スマート・メディカルの5セグメントで事業を展開しています。エンジニアリングプラスチック事業は2026年4月にポリプラスチックスを完全統合し、さらなる収益拡大が見込まれます。セイフティ事業はエアバッグ用インフレータで世界トップクラスのシェアを持つ成長ドライバーです。役員報酬は取締役6名に対し総額3億7,200万円。研究開発費は売上高比約4.3%を投下し、次世代素材やDDS技術の開発を推進しています。
この会社のガバナンスは?
取締役・監査役16名中3名が女性で、女性比率18.8%はダイバーシティの観点で改善が進んでいます。連結子会社55社をグローバルに展開し、設備投資は年間694億円と積極的な投資姿勢を維持しています。平均勤続年数は15.9年と長期雇用型の安定した組織風土を持ちます。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 6,100億円 | — | 5,581億円 | -8.5% |
| FY2025 | 6,100億円 | — | 5,865億円 | -3.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 650億円 | — | 624億円 | -4.0% |
| FY2025 | 650億円 | — | 610億円 | -6.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期戦略「Accelerate 2025」では営業利益率12.4%、ROE17.1%を最終年度目標として掲げていました。FY2025/3時点では営業利益率10.4%、ROE13.2%と目標には届いていませんが、ポリプラスチックスの完全統合や自社株買いなど構造改革は着実に進行しています。業績予想の精度はやや下方乖離が目立ちますが、累進配当方針は確実に履行されており、株主還元面での信頼性は高いと評価できます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は191.6%と、投資元本の約1.9倍に成長しています。しかしTOPIXの213.4%に対してはやや劣後しています。FY2024にはTOPIXとほぼ同水準(211%対217%)まで追い上げましたが、FY2025に株価調整が入り差が開きました。配当込みでは堅実なリターンを実現しており、累進配当のバリュー銘柄としての底堅さを示しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 112.0万円 | +12.0万円 | 12.0% |
| FY2022 | 111.9万円 | +11.9万円 | 11.9% |
| FY2023 | 139.9万円 | +39.9万円 | 39.9% |
| FY2024 | 211.4万円 | +111.4万円 | 111.4% |
| FY2025 | 191.6万円 | +91.6万円 | 91.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER6.6倍・PBR1.0倍と、化学セクター平均を大幅に下回るバリュエーション水準にあります。配当利回り4.44%はセクター平均の約1.5倍で、インカム投資家にとって魅力的な水準です。信用倍率は8.66倍と買い優勢で、割安感に着目した個人投資家の買いが集まっています。ポリプラスチックス統合後の収益改善が株価の再評価カタリストとして期待されています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
2025年度第3四半期決算を発表。売上高4,248億円(前年同期比-1.8%)、営業利益324億円(同-25.0%)と減収減益。
ポリプラスチックスの全事業を会社簡易吸収分割により4月1日付でダイセル本体に統合することを決議。
米PharmaJet社と戦略的資本提携を行い、注射針不要のジェットインジェクター技術分野への参入を発表。
最新ニュース
ダイセル まとめ
ひとめ診断
「エンプラからエアバッグまで、累進配当と利回り4%超の高還元バリュー化学」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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