エア・ウォーター
AIR WATER INC.
最終更新日: 2026年3月22日
空気と水から価値を創る、事業多角化のパイオニア
地球の恵みを、社会の望みに。かけがえのない地球の資源を活かして事業を創造する。
この会社ってなに?
あなたの暮らしにも実は深く関わっている会社です。病院で使われる医療用酸素、スーパーの冷凍食品を保存する液体窒素、飲料の炭酸ガス、さらにはポイ活アプリ「Powl」や北海道のハム・ベーコンまで、エア・ウォーターグループの製品やサービスは日常の至るところに存在しています。半導体工場への特殊ガス供給から農業・食品事業まで、「空気と水」を起点にした幅広い事業ポートフォリオが特徴です。
FY2025/3は売上収益1兆759億円、純利益490億円を計上し5期連続の増収を達成しました。しかし2026年2月に不適切な会計処理が発覚し、FY2026/3の通期業績予想は営業利益140億円・最終赤字100億円へ大幅に下方修正されています。産業ガスを原点にエネルギー・医療・食品・農業など幅広い領域へ事業を拡大してきた多角化戦略は評価される一方、前CEOのワンマン経営とガバナンスの脆弱さが今回の問題の根底にあるとされ、経営体制の刷新と内部統制の再構築が急務となっています。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府大阪市中央区南船場2丁目12番8号 エア・ウォータービル
- 公式
- www.awi.co.jp
社長プロフィール
当社グループは「地球の恵みを、社会の望みに。」をパーパスに掲げ、空気と水という地球の恵みを活かした多彩な事業を展開しています。不適切な会計処理の反省を踏まえ、ガバナンスの抜本的な改革と透明性の高い経営を実現してまいります。
この会社のストーリー
北海道において産業ガス事業をスタート。地域産業の発展を支える基盤を築きました。
大同ほくさん、共同酸素など複数社の経営統合により「エア・ウォーター」が誕生。産業ガス業界の再編を牽引しました。
農業・食品・医療・エネルギーなど異業種への進出を積極的に推進。連結子会社は100社を超える規模に成長しました。
FY2023/3に売上収益が初めて1兆円を超え、産業ガスから始まった事業が日本を代表する多角化企業へと成長しました。
「収益性の追求」をテーマに掲げた新中計を発表。事業の総点検と資本効率の向上を宣言しました。
不適切な会計処理が発覚し信頼が大きく揺らぎましたが、経営体制の刷新とガバナンス改革に着手。再出発への第一歩を踏み出しています。
注目ポイント
産業ガスを原点にエネルギー・医療・食品・農業まで展開。日常生活の至るところにグループの製品やサービスが存在する、ユニークな多角化企業です。
2000年の発足以来一度も減配せず、4期連続の増配を継続。配当利回り3.60%に加え、株主優待の自社グループ製品贈呈も魅力的です。
不適切会計という大きな試練に直面していますが、PBR 0.92倍という割安な水準はガバナンス改善後の再評価余地を示唆しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 28円 | 27.3% |
| FY2017/3 | 34円 | 29.7% |
| FY2018/3 | 38円 | 29.5% |
| FY2019/3 | 40円 | 29.6% |
| FY2020/3 | 44円 | 29.8% |
| FY2021/3 | 44円 | 36.4% |
| FY2022/3 | 56円 | 29.3% |
| FY2023/3 | 60円 | 33.9% |
| FY2024/3 | 64円 | 32.9% |
| FY2025/3 | 75円 | 35.0% |
| 必要株数 | 100株以上(約20.9万円) |
| 金額相当 | 約1,500円相当 |
| 権利確定月 | 3月 |
2000年のエア・ウォーター発足以来、減配実績はなく、4期連続増配を継続中です。FY2025/3は1株75円(前期比11円増)へ引き上げ、配当性向は35.0%と目標水準に到達しています。配当利回りは3.60%と化学セクター内でも高水準です。また株主優待として自社グループ製品を贈呈しており、優待込み利回りは約4.32%となります。ただしFY2026/3は最終赤字の見通しであり、今後の配当方針への影響が注目されます。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
売上収益はM&Aと既存事業の拡大により5期連続で増収を達成し、FY2025/3には1兆759億円に到達しました。営業利益も752億円と着実に成長してきましたが、FY2026/3は不適切な会計処理の発覚に伴う減損処理や特別損失の計上により、営業利益は140億円へ急減、最終損益は100億円の赤字に転落する見通しです。売上収益自体は1兆1,500億円と増収基調を維持する計画ですが、収益の質的な改善が今後の焦点となります。
事業ごとの売上・利益
産業ガスの製造・供給が中核。半導体向け特殊ガスや鉄鋼・化学向け酸素・窒素を提供
LPガス・灯油等のエネルギー供給、次世代エネルギー(水素等)の開発・導入支援
医療用ガス、在宅医療サービス、歯科用品通販(歯愛メディカル)
農産物の加工・販売、ハム・ベーコン等の食品製造、飲料事業
物流、海水事業、エアゾール、電力小売、ポイ活アプリ「Powl」運営等
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 5.5% | 5.4% | - |
| FY2022/3 | 6.1% | 6.3% | - |
| FY2023/3 | 7.7% | 5.6% | - |
| FY2024/3 | 8.9% | 5.5% | 46.9% |
| FY2025/3 | 11.5% | 5.9% | 51.8% |
営業利益率は6〜7%台で安定的に推移しており、FY2025/3には7.0%と直近5期で最も高い水準を記録しました。ROEは7〜10%の範囲で推移し、FY2022/3の10.3%がピークです。M&Aによる総資産の拡大に伴いROAは3〜4%と控えめですが、新中計では営業利益率8.5%・ROE 11%を目標に掲げています。ただしFY2026/3は不適切会計による特別損失で収益指標が大幅に悪化する見通しです。
財務は安全?
総資産はM&Aによる事業拡大に伴い5年間で約35%増加し、FY2025/3には1兆2,501億円に達しました。自己資本比率は38〜41%台で安定しており、有利子負債は3,572億円ですが財務基盤は堅固です。BPSは2,256.7円で現在の株価2,085.5円を上回っており、PBR 0.92倍と解散価値を下回る水準で評価されています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 796億円 | -980億円 | 147億円 | -183億円 |
| FY2025/3 | 932億円 | -622億円 | -273億円 | 311億円 |
営業CFは安定して600〜930億円を創出しており、FY2025/3には932億円と過去最高を記録しました。FY2023/3・FY2024/3はM&A(歯愛メディカルTOB等)による投資CFの拡大でFCFがマイナスに転じましたが、FY2025/3には投資CFの縮小とともにFCFが310億円のプラスに回復しています。財務CFはFY2025/3に-273億円と、借入の返済を進めた格好です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 89.4億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 144億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 102億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 169億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 215億円 | 0円 | 0.0% |
FY2026/3は不適切会計に伴う減損処理等の影響で大幅な特別損失が見込まれるため、税引前利益・法人税等の見通しは不透明な状況です。上記はEDINETベースの当初予想であり、修正後の実効税率は特殊要因により大きく変動する可能性があります。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 795万円 | 20,836人 | - |
連結従業員数は約20,836名を擁する大企業グループであり、平均年収は795万円です。M&Aによる事業拡大に伴い従業員数は増加傾向にあります。平均年齢は43.6歳で、産業ガスを中心とした技術系人材が多い構成となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 主な安定株主はエア・ウォーターグループ持株会氏・エア・ウォーター取引先持株会氏・日本製鉄。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(12.6%)であり、機関投資家中心の株主構成です。日本製鉄が3.01%を保有する安定株主で、取引先持株会(2.62%)やグループ持株会(2.09%)も一定の比率を占めています。金融機関が43.9%と最大の保有セクターであり、外国人投資家も25.5%を占めるなど、バランスの取れた株主構成となっています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| デジタル&インダストリー | 2,730億円 | 240億円 | 8.8% |
| エネルギーソリューション | 2,650億円 | 115億円 | 4.3% |
| ヘルス&セーフティー | 2,100億円 | 180億円 | 8.6% |
| アグリ&フーズ | 1,850億円 | 85億円 | 4.6% |
| その他 | 1,430億円 | 132億円 | 9.2% |
5つの主要セグメントを展開し、産業ガスを起点に医療・食品・エネルギーなど幅広い領域で事業を多角化しています。デジタル&インダストリーが売上の約25%を占める中核事業であり、ヘルス&セーフティーは利益率が高い成長領域です。エネルギーソリューションとアグリ&フーズは利益率が低めですが安定した収益基盤を提供しています。役員報酬は取締役7名で総額5億1,200万円、不適切会計をはじめとする多岐にわたるリスク要因が開示されています。
この会社のガバナンスは?
取締役14名中女性3名(21.0%)を登用していますが、不適切会計の発覚により取締役会の監督機能の実効性が問われています。取締役会議長に千歳氏を選任し、監督責任の強化を図っています。監査報酬は4億1,800万円と規模に見合った水準であり、連結子会社136社・臨時従業員6,400名を擁する大グループの統治体制の再構築が急務です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1兆500億円 | — | 1兆759億円 | +2.5% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 730億円 | — | 752億円 | +3.1% |
| FY2026 | 840億円 | 140億円 | — | -83.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026 | 530億円 | -100億円 | — | - |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
前中計「terrAWell30」では売上収益1兆円の目標を達成し、M&Aによる事業拡大は一定の成果を上げました。しかし新中計「terrAWell30 2nd stage」の初年度であるFY2026/3に不適切会計が発覚し、業績予想は大幅に下方修正。営業利益率8.5%やROE 11%といった目標の達成には、まずガバナンスの再構築と事業の総点検が不可欠な状況です。2030年度の長期目標(営業利益率10%以上、ROE 12%以上)の実現可能性についても慎重に見極める必要があります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は147.2%と、TOPIXの213.4%を大幅に下回るアンダーパフォームとなっています。FY2024にはTSRが176.2%まで回復しましたが、FY2025に不適切会計の発覚で株価が急落し、147.2%へ低下しました。中長期的な株主価値の毀損が顕著であり、信頼回復と持続的な業績改善が不可欠です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 133.5万円 | +33.5万円 | 33.5% |
| FY2022 | 122.5万円 | +22.5万円 | 22.5% |
| FY2023 | 122.5万円 | +22.5万円 | 22.5% |
| FY2024 | 176.2万円 | +76.2万円 | 76.2% |
| FY2025 | 147.2万円 | +47.2万円 | 47.2% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は3.46倍と買い長の状況です。不適切会計の発覚後、信用買い残が増加しており、値ごろ感からの個人投資家の逆張り買いが推定されます。PER 9.0倍・PBR 0.92倍と業種平均(PER 15倍・PBR 1.2倍)を大幅に下回る水準にありますが、これは不祥事に伴うディスカウントが反映されたものです。配当利回り3.60%は業種平均の2.5%を上回っており、減配リスクが顕在化しなければ利回り面での魅力は高いといえます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
リョーサンと次世代エネルギーの導入サポート拡大に向けた業務提携を発表し、カーボンニュートラル社会の実現に向けてGX・DXの観点から連携を強化しました。
不適切な会計処理が発覚し、特別調査委員会を設置。FY2026/3の業績予想を大幅に下方修正し、最終赤字100億円の見通しを発表しました。前CEOのパワハラ問題も同時に報じられました。
持分法適用関連会社の歯愛メディカルに対しTOBを実施し、子会社化を決定。ニッセンや白鳩を傘下に持つ歯愛メディカルの通販事業を取り込み、事業多角化を加速しました。
新中期経営計画「terrAWell30 2nd stage」(2025〜2027年度)を発表。収益性の追求へシフトし、FY2027に営業利益率8.5%・ROE 11%・ROIC 7%を目標に掲げました。
最新ニュース
エア・ウォーター まとめ
ひとめ診断
産業ガス国内2位、M&Aで事業多角化を推進してきたが不適切会計の発覚で信頼回復が最大課題
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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