カネカ
KANEKA CORPORATION
最終更新日: 2026年3月22日
「カガクでネガイをカナエル会社」――食卓から医療現場まで、見えないところで暮らしを支える100年企業の挑戦
カガクでネガイをカナエル会社として、化学の力で社会課題を解決し、持続可能な未来に貢献する。
この会社ってなに?
カネカの製品は意外なほど暮らしに溶け込んでいます。スマートフォンのフレキシブル基板に使われるポリイミドフィルム、コンビニコーヒーのストローに採用されている生分解性プラスチック「Green Planet」、パン屋さんで使われるマーガリンやフィリング、心臓カテーテル治療に用いる医療機器、そして太陽光発電パネルの封止材まで。「化学」と聞くと遠い世界に感じるかもしれませんが、食卓から病院、スマホの中まで、カネカの技術は日常のあちこちで活躍しています。
カネカは塩化ビニル樹脂を祖業とする化学メーカーで、現在は医療機器、食品素材、電子材料、生分解性ポリマーなど幅広い事業を展開しています。PBR 0.64倍・PER 9.1倍と割安圏に位置し、2025年5月に発表した新中期経営計画「3年の仕掛」2025ではROE 10%・PBR 1倍超を経営目標に掲げました。FY2025/3は売上高8,072億円・営業利益400億円と増収増益で着地し、FY2026/3も売上高8,200億円・純利益330億円と増益基調を予想しています。日本ゼオンからの医療器材事業譲受や女性医療事業への新規参入など、成長投資を加速中です。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都港区赤坂1-12-32(アーク森ビル)
- 公式
- www.kaneka.co.jp
社長プロフィール
「いのちの経営」を掲げ、化学の力で人々の健康と豊かな暮らしに貢献してまいります。医療機器事業の拡大、生分解性ポリマーGreen Planetの普及、エレクトロニクス素材の高付加価値化を3本柱に、ROE 10%・PBR 1倍超の達成を目指します。カネカは創業75年の歴史の中で培った技術を武器に、次の成長ステージへ挑みます。
この会社のストーリー
戦後復興期に塩化ビニル樹脂の製造からスタートし、日本の化学産業の発展とともに歩み始めました。
アフリカを中心にカネカロン(合成繊維)の輸出が拡大し、グローバル化の第一歩を踏み出しました。
鐘淵化学工業から株式会社カネカへ社名変更し、総合化学メーカーとしてのブランドを刷新しました。
カテーテルや血液浄化器などの医療機器事業、太陽電池用封止材の事業を大幅に強化しました。
海洋プラスチック問題への解決策として、植物由来の生分解性ポリマーの量産を開始。コンビニストローなどに採用が広がりました。
ROE 10%・PBR 1倍超を目標に、医療・エレクトロニクス・環境分野への集中投資で企業価値向上を目指します。
注目ポイント
塩ビ樹脂から医療機器、食品素材、電子材料まで、多岐にわたる事業で日常生活のあらゆる場面を化学の力で支えています。
植物由来の生分解性ポリマーは海洋でも分解可能で、プラスチック汚染問題への画期的な解決策として世界的に注目されています。
PBR 0.64倍と割安圏にありながら4期連続増配を実施。配当利回り3.36%と化学業界平均を大きく上回り、中計でも安定還元を約束しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 18円 | 28.6% |
| FY2017/3 | 18円 | 29.2% |
| FY2018/3 | 18円 | 27.4% |
| FY2020/3 | 100円 | 46.6% |
| FY2021/3 | 100円 | 41.2% |
| FY2022/3 | 110円 | 27.1% |
| FY2023/3 | 110円 | 31.5% |
| FY2024/3 | 110円 | 30.7% |
| FY2025/3 | 130円 | 32.4% |
株主優待制度はありません。配当による株主還元を重視しています。
FY2021/3の年間100円から4期連続で増配を実施し、FY2025/3は年間130円となりました。FY2026/3は年間160円(予想)と更なる増配を見込んでおり、配当利回りは3.36%と化学業界平均を上回る水準です。新中計では配当性向30%以上を維持しつつ、利益成長に応じた増配を方針としています。株主優待制度は設けておらず、配当による還元を重視する方針です。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
カネカの業績は緩やかな成長基調を維持しています。FY2022/3に売上高6,915億円・営業利益435億円と過去最高を記録した後、原材料高や需要減退でFY2023/3〜FY2024/3は利益が踊り場となりましたが、FY2025/3は売上高8,072億円・営業利益400億円と回復。FY2026/3は売上高8,200億円・純利益330億円と増益基調を予想しており、医療・エレクトロニクス分野の拡大が業績を牽引する見通しです。
事業ごとの売上・利益
塩化ビニル樹脂、変性シリコーン、MBS樹脂、機能性樹脂など。祖業である化学素材を中心とした基盤事業
マーガリン・ショートニング等の食用加工油脂、サプリメント原料(コエンザイムQ10)、乳酸菌関連製品
カテーテル、血液浄化器、医療用チューブなど。日本ゼオンからの事業譲受で拡大中
医薬品中間体・原薬のCDMO事業、バイオ医薬品関連。成長領域として注力
ポリイミドフィルム、太陽電池用封止材、光学フィルムなどの電子材料・産業用素材
生分解性ポリマー「カネカ生分解性バイオポリマーGreen Planet」、合成繊維「カネカロン」など
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 3.1% | 2.4% | - |
| FY2022/3 | 10.8% | 3.6% | - |
| FY2023/3 | 7.4% | 2.9% | - |
| FY2024/3 | 6.0% | 2.7% | 4.3% |
| FY2025/3 | 5.9% | 2.8% | 5.0% |
ROEは4〜6%台で推移しており、FY2022/3の6.4%が直近5年間のピークです。営業利益率も4〜6%台と総合化学メーカーとしては標準的な水準にあります。新中計でROE 10%を目標に掲げており、資本効率の改善が最重要課題です。利益率の向上には、医療・エレクトロニクスなど高付加価値分野の売上構成比拡大が鍵となります。
財務は安全?
総資産は5年間で6,674億円から9,201億円へ拡大し、成長投資を積極的に進めていることがわかります。自己資本比率は51〜53%台と安定した水準を維持しています。FY2024/3から有利子負債が大幅に増加していますが、これはM&Aや設備投資の積極化によるもので、自己資本比率は50%超を維持しており財務健全性に大きな懸念はありません。BPS(1株純資産)は7,488円と株価4,764円を大きく上回っており、PBR 0.64倍の割安さを裏付けています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 740億円 | -432億円 | -219億円 | 308億円 |
| FY2022/3 | 341億円 | -396億円 | -11.1億円 | -54.9億円 |
| FY2023/3 | 287億円 | -420億円 | 124億円 | -133億円 |
| FY2024/3 | 619億円 | -588億円 | -15.2億円 | 31.4億円 |
| FY2025/3 | 413億円 | -550億円 | 145億円 | -138億円 |
営業CFは毎期280〜740億円のプラスを確保しており、基礎的な稼ぐ力は安定しています。一方で投資CFは毎期400〜580億円の支出と積極投資が続いており、FCF(フリーキャッシュフロー)はマイナスとなる年度が多い状況です。FY2023/3・FY2025/3には財務CFがプラスとなっており、借入による資金調達で投資資金を賄っている構造が見て取れます。成長投資の回収が中長期の課題です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 221億円 | 62.4億円 | 28.3% |
| FY2022/3 | 408億円 | 143億円 | 35.1% |
| FY2023/3 | 324億円 | 94.0億円 | 29.0% |
| FY2024/3 | 292億円 | 60.0億円 | 20.5% |
| FY2025/3 | 329億円 | 75.5億円 | 23.0% |
実効税率はFY2022/3の35.1%をピークに低下傾向にあり、直近FY2025/3は23.0%まで縮小しています。FY2024/3の20.5%は海外子会社の税効果や繰延税金資産の影響によるものと考えられます。FY2026/3は税引前利益420億円に対し法人税等90億円(実効税率21.4%)を見込んでいます。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 813万円 | 11,512人 | - |
カネカの単体従業員数は11,512名で、平均年収は813万円と化学業界では中堅上位の水準です。平均年齢41歳・平均勤続年数17年と、安定した長期雇用が特徴です。連結ベースでは91社の子会社を含む大規模な企業グループを形成しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はカネカ従業員持株会氏・カネカ取引先持株会氏・日本生命保険相互会社。
筆頭株主の日本マスタートラスト信託が12.11%を保有し、日本生命・三井住友銀行・明治安田生命など大手金融機関が上位に名を連ねる典型的な日本の大手化学メーカーの株主構成です。安定株主比率52.6%と過半を占め、経営の安定性は高い水準にあります。取引先持株会・従業員持株会もそれぞれ2%前後を保有しており、ステークホルダーとの関係性の深さが見て取れます。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| Material Solutions | - | - | - |
| Nutrition | - | - | - |
| Medical | - | - | - |
| Pharma & Supplemental Nutrition | - | - | - |
| E&I(エレクトロニクス&インダストリー) | - | - | - |
| Green Planet & Others | - | - | - |
カネカはMaterial Solutions、Nutrition、Medical、Pharma & Supplemental Nutrition、E&I、Green Planet & Othersなど多数のセグメントで事業を展開する多角化型化学メーカーです。祖業の塩ビ樹脂に加え、医療機器・食品素材・電子材料など高付加価値分野への展開が特徴です。役員報酬は取締役9名で6億3,700万円と、売上高8,000億円規模の企業としては標準的な水準にあります。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は12.5%と改善途上にありますが、16名の取締役・監査役のうち2名が女性と一定の多様性を確保しています。設備投資は530.9億円と積極的な投資姿勢を示しており、医療機器やエレクトロニクス分野への成長投資が含まれます。連結子会社91社を擁するグローバルな事業展開が特徴です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 7,900億円 | 8,072億円 | 8,072億円 | +2.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 380億円 | 400億円 | 400億円 | +5.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2026 | 315億円 | 283億円 | — | -10.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
新中期経営計画「3年の仕掛」2025では、ROE 10%・PBR 1倍超という意欲的な目標を掲げています。FY2025/3は増収増益で着地し、計画の出発点としては堅調でした。一方でFY2026/3は第3四半期時点で経常利益が前年同期比26.1%減となり、通期予想も10%下方修正されています。医療分野への積極投資が中長期的な収益改善に寄与するかが今後の焦点です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は168.6%と、TOPIX(213.4%)をアンダーパフォームしています。FY2021には179.5%とTOPIXを上回る局面もありましたが、その後はTOPIXの上昇に追随できず差が拡大しました。ROE 5%台と資本効率が低いことが株価評価の抑制要因であり、中計でのROE 10%達成がTSR改善の鍵となります。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 179.5万円 | +79.5万円 | 79.5% |
| FY2022 | 145.0万円 | +45.0万円 | 45.0% |
| FY2023 | 145.6万円 | +45.6万円 | 45.6% |
| FY2024 | 163.9万円 | +63.9万円 | 63.9% |
| FY2025 | 168.6万円 | +68.6万円 | 68.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 9.1倍、PBR 0.64倍と、化学セクター平均(PER 14.5倍、PBR 1.10倍)と比較して大幅に割安な水準にあります。配当利回り3.36%もセクター中央値2.08%を上回り、インカム面での魅力が高い銘柄です。信用倍率4.77倍と買い残が一定程度積み上がっていますが、極端な水準ではなく、需給面での大きな懸念はありません。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
新中期経営計画「3年の仕掛」2025を発表。ROE 10%・PBR 1倍超を経営目標に掲げた。
日本ゼオンの医療器材事業について事業譲渡契約を締結。カテーテル事業の基盤強化を目指す。
妊娠と出産をサポートする女性医療事業に新規参入を発表。ヘルスケア領域の拡大を加速。
FY2026/3通期の経常利益予想を10%下方修正。第3四半期累計の経常利益は前年同期比26.1%減の192億円。
最新ニュース
カネカ まとめ
ひとめ診断
「カガクでネガイをカナエル」化学メーカーが、医療・食品・エレクトロニクスへ多角展開――PBR1倍超を目指す中計始動
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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