日本化学工業
Nippon Chemical Industrial Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月27日
130年以上の歴史を持つ無機化学のパイオニア、先端材料で未来を拓く
無機化学のコア技術を進化させ、エレクトロニクスや環境分野における課題解決を通じて、持続可能な社会の実現をリードする企業となることを目指します。
この会社ってなに?
あなたが毎日使うスマートフォンやパソコン、ゲーム機、そしてこれから普及が進む電気自動車(EV)。これらの電子機器の中には、電気を蓄えたり放出したりする「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」という、米粒よりも小さな部品が何百個、何千個も使われています。日本化学工業は、このMLCCの性能を左右する「チタン酸バリウム」という重要な素材を製造しています。普段は目にすることのない化学素材の裏側で、同社の技術があなたの快適なデジタルライフを支えているのです。
工業薬品の老舗、日本化学工業は、積層セラミックコンデンサー(MLCC)向け材料など機能製品を軸に安定成長を続けています。2025年3月期は売上高388.4億円、営業利益は前期比47.6%増の33.42億円と大幅な増益を達成しました。しかし、2026年3月期は主要顧客の需要減速を見込み、営業利益14.00億円と大幅な減益を予想しており、市況の変動が業績に与える影響が課題です。PBRは0.56倍と依然として解散価値を下回る水準であり、株主還元と成長戦略による企業価値向上が期待されます。
会社概要
- 業種
- 化学
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都江東区亀戸9丁目11番1号
- 公式
- www.nippon-chem.co.jp
社長プロフィール
当社は130年以上の歴史の中で培った無機化学技術を核に、社会の発展に貢献してきました。現在は、電子材料などの成長分野へ戦略的投資を継続し、市場の変化に対応した新製品開発を加速させています。持続的な企業価値の向上を通じて、株主様をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。
この会社のストーリー
創業者・棚橋寅五郎が東京・小松川に日本化学工業(株)を設立。日本で初めて化学肥料の製造・販売を開始し、日本の農業発展に貢献した。
戦後の復興期を経て、企業としての基盤を固め、東京証券取引所および大阪証券取引所に株式を上場。社会的な信用を高め、さらなる成長への一歩を踏み出した。
無機化学の知見を活かし、電子部品に使われるチタン酸バリウムなど、付加価値の高い機能性材料分野へ進出。事業の多角化を推進し、新たな収益の柱を構築した。
電子部品大手のTDKと、積層セラミックコンデンサー(MLCC)材料を開発する共同出資会社の設立検討を開始。技術力を活かしたオープンイノベーションを推進する。
PFAS規制に対応するフッ素フリーの帯電防止剤や、CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)向けの固体吸収剤を開発。環境問題解決への貢献を目指す。
2026年度を最終年度とする中期経営計画を発表。基盤分野の収益力強化と、成長分野への戦略的投資により、ROE6%達成を目標に掲げる。
2030年度の長期目標として、営業利益60億円、ROE8%を設定。電子材料や環境関連など、将来性のある分野での事業拡大を目指し、持続的な成長を実現していく。
注目ポイント
スマホやPCに不可欠な電子部品「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」に使われるチタン酸バリウムなどを製造。見えないところで現代社会を支える技術力が魅力です。
総還元性向4割、DOE(自己資本配当率)2%超という明確な株主還元方針を掲げています。安定した配当が期待でき、長期的な資産形成を目指す投資家にとって心強い存在です。
フッ素を使わない帯電防止剤や、CO2を回収する新素材など、環境問題の解決に繋がる製品開発に注力。社会貢献と事業成長の両立を目指すサステナブルな企業です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 5円 | 17.9% |
| FY2017/3 | 6円 | 20.6% |
| FY2019/3 | 70円 | 28.6% |
| FY2020/3 | 70円 | 33.1% |
| FY2021/3 | 70円 | 28.2% |
| FY2022/3 | 85円 | 20.0% |
| FY2023/3 | 70円 | 72.1% |
| FY2024/3 | 70円 | 38.8% |
| FY2025/3 | 92円 | 31.7% |
株主優待制度は実施していません。
配当方針として、総還元性向40%を目途にDOE(純資産配当率)2%超の基準を採用しており、資本効率を重視した株主還元策を推進しています。業績に応じた配当の安定性を確保しつつ、成長投資と還元バランスを最適化する方針です。今後も連結業績の推移に基づき、長期的かつ継続的な配当向上を目指しています。
同業比較(収益性)
化学の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
当社の業績は、無機化学品を主軸としつつも電子材料等の成長分野が牽引する構造となっており、直近のFY2025/3期は売上高約388億円、純利益約26億円を達成しました。しかし、FY2026/3期は主要製品の需要変動を見込み、純利益を約11億円と減益を予想しています。長期的には機能性材料の強化により、着実な成長を図る経営戦略をとっています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 6.1% | 3.1% | - |
| FY2022/3 | 16.8% | 5.3% | - |
| FY2023/3 | 1.8% | 1.2% | - |
| FY2024/3 | 3.7% | 2.1% | 5.9% |
| FY2025/3 | 6.1% | 3.4% | 8.6% |
収益性は、製品ミックスの改善と高付加価値品へのシフトにより、営業利益率が最大10.5%まで上昇するなど、効率化が進んでいます。ROE(自己資本利益率)は期によって変動があるものの、収益性の高い事業への投資を通じて持続可能な水準を追求しています。今後は固定費の最適化と研究開発成果の収益化が、さらなる利益率改善の鍵となります。
財務は安全?
財務健全性は極めて高く、自己資本比率が約62%と安定した水準を維持しています。FY2024/3期より有利子負債を計上していますが、潤沢な純資産を背景とした強固な資本構造を有しており、リスク耐性は十分に備わっています。無借金経営に近い健全性を維持しつつ、成長投資に必要な資金を機動的に確保する財務規律が浸透しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 52.2億円 | -35.4億円 | -10.2億円 | 16.8億円 |
| FY2022/3 | 19.8億円 | -30.8億円 | 1.2億円 | -11.1億円 |
| FY2023/3 | 14.9億円 | -28.2億円 | 1.0億円 | -13.2億円 |
| FY2024/3 | 61.5億円 | -44.1億円 | -8.7億円 | 17.4億円 |
| FY2025/3 | 63.7億円 | -50.7億円 | -24.2億円 | 13.0億円 |
営業キャッシュフローは、本業の安定的な稼ぎにより毎期プラスを維持しており、強固なキャッシュ創出能力を証明しています。投資キャッシュフローは、戦略的な設備投資や研究開発への資金投下により継続的に流出しています。フリーキャッシュフローは、投資負担をコントロールしつつ、株主還元や財務体質改善に振り向ける余裕を持った循環構造を実現しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 23.1億円 | 1.3億円 | 5.7% |
| FY2022/3 | 38.6億円 | 1.3億円 | 3.3% |
| FY2023/3 | 14.1億円 | 5.6億円 | 39.4% |
| FY2024/3 | 23.8億円 | 7.9億円 | 33.3% |
| FY2025/3 | 32.0億円 | 6.4億円 | 20.0% |
法人税等の支払額は、税引前利益の変動に応じて推移しています。過去の税率の低さは繰越欠損金の解消や税効果会計による影響が主因であり、現在は法定実効税率に準じた水準へ安定化しています。業績連動型の税負担となるため、特別損益の有無や税務上の優遇措置が当期利益に与える影響を注視する必要があります。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 690万円 | 732人 | - |
従業員平均年収は690万円と、化学業界の中堅企業としては安定した水準を維持しています。長年の歴史を持つ工業薬品メーカーとしての安定した収益基盤が、社員の待遇を支える要因となっています。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。 主な安定株主は日本化学工業取引先持株会・INTERACTIVE BROKERS LLC (常任代理人 インタラクティブ・ブローカーズ証券)。
株主構成は信託銀行や生保などの機関投資家が上位を占めており、安定的な保有傾向が見られます。また、取引先持株会や従業員持株会が一定の比率を保持していることから、経営の安定と従業員の長期的な参画意識を重視する体制がうかがえます。
会社の公式開示情報
役員報酬
無機化学品を中核に、電子材料や機能材などで事業を展開しています。電池材料市場の変化や需要動向が業績に直接影響する構造であり、今後はPFAS規制への対応といった環境変化への適応や、新製品開発による付加価値の向上がリスクと機会の両面で重要となります。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は16.6%と改善が進んでおり、取締役会での多様性確保に努めています。3,700万円の監査報酬を投じて透明性の高い監査体制を構築しており、堅実な企業規模に見合ったガバナンス体制が整備されています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 400億円 | — | 388億円 | -2.9% |
| FY2024 | 400億円 | — | 385億円 | -3.7% |
| FY2023 | 380億円 | — | 381億円 | +0.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 29億円 | — | 33億円 | +15.2% |
| FY2024 | 16億円 | — | 23億円 | +41.5% |
| FY2023 | 21億円 | — | 13億円 | -38.5% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の中期経営計画では、2026年度の営業利益目標33億円を2025年度に前倒しで達成し、収益性改善が大きく進んだことを示しました。一方で、ROE(自己資本利益率)目標6.0%に対しては5.76%(2025年度実績)とやや未達で、資本効率の向上が今後の課題です。業績予想は売上高が期初予想を下回る傾向にある一方、営業利益はコスト管理などが奏功し上振れするケースが多く見られます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、継続して市場平均であるTOPIXを下回る「アンダーパフォーム」という結果になっています。これは、同社の安定した配当にもかかわらず、株価が市場全体の成長に追いついていなかったことを示唆しています。特にPBRが1倍を大きく割り込んでいる状況は、企業が持つ純資産価値が株価に十分に反映されていないことを意味しており、市場からの成長期待が低い状態が続いていたと分析できます。今後は、進行中の中期経営計画の達成と効果的なIR活動を通じて、市場の評価を高めていくことが重要です。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 137.3万円 | +37.3万円 | 37.3% |
| FY2022 | 115.7万円 | +15.7万円 | 15.7% |
| FY2023 | 99.4万円 | -0.6万円 | -0.6% |
| FY2024 | 124.7万円 | +24.7万円 | 24.7% |
| FY2025 | 117.6万円 | +17.6万円 | 17.6% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRは0.56倍と業界平均の1.2倍を大幅に下回り、資産価値に対して株価が割安な水準です。一方でPERは23.7倍と業界平均を上回っており、減益予想の中でも将来の成長性がある程度織り込まれていると考えられます。信用倍率は9.65倍と高水準で、将来の株価下落圧力となりうる信用買い残の動向には注意が必要です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
TDKと共同でコンデンサー材料開発を行う新会社設立の検討を開始。
日本化学工業協会第57回日化協技術賞にて環境技術賞を受賞。
譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分を行い、資本効率の最適化を推進。
最新ニュース
日本化学工業 まとめ
ひとめ診断
「130年の歴史を持つ老舗化学メーカーが、スマホやEVに必須の超小型電子部品材料で世界を支える」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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