大王製紙3880
Daio Paper Corporation
まずこの会社は何者?
事業内容や経営者、企業の魅力をひと目でつかむ
ひとめ診断
この会社ってなに?
あなたが風邪をひいた時に使うティッシュペーパー『エリエール』、実は大王製紙が作っています。スーパーやドラッグストアでよく見かける、肌に優しいティッシュやふんわりしたトイレットペーパーの多くは、同社の製品です。赤ちゃんのおむつ『GOO.N(グーン)』も大王製紙のブランドで、子育て中のご家庭では毎日お世話になっているかもしれません。また、普段あなたが手に取る新聞や雑誌の紙、買い物をした時にもらう段ボールなども手掛けており、私たちの生活に欠かせない「紙」を幅広く提供している会社です。
ティッシュ「エリエール」で知られる製紙大手。2025期は売上高6,689.1億円、営業利益98.07億円を計上したものの、純損失は111.97億円と最終赤字に転落しました。2023期に原料価格高騰で巨額の赤字を出し、2024期に一度は黒字化したものの、再び厳しい経営環境に直面しています。家庭紙事業の収益性を維持しつつ、市況変動の大きい紙・板紙事業の立て直しと、筆頭株主である北越コーポレーションとの提携深化が今後の鍵となります。
会社概要
- 業種
- パルプ・紙
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区九段北三丁目2番11号
サービスの実績は?
なぜ伸びるの?
売上・利益・成長性の数字から、稼ぐ力を読み解く
稼ぐ力はどのくらい?
| 会計期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 9.0% | 2.6% | 6.6% |
| 2022/03期 | 9.2% | 2.8% | 6.1% |
| 2023/03期 | 13.6% | 3.9% | 3.3% |
| 2024/03期 | 1.8% | 0.5% | 2.1% |
| 2025/03期 | 4.4% | 1.2% | 1.5% |
| 3Q FY2026/3 | 4.2%(累計) | 1.0%(累計) | 3.7% |
収益性は、2023/03期の赤字期に営業利益率がマイナス3.3%へ悪化し、ROE(自己資本利益率)もマイナス14.2%と大きく低下しました。2024/03期以降は価格転嫁の進展により営業利益率がプラス圏へ戻り、経営効率の再構築が進んでいる段階にあります。今後、高付加価値製品へのシフトやコスト管理の徹底により、適正な収益性を安定的に確保できるかが重要な課題となっています。
儲かってるの?
| 会計期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 | EPS | YoY |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 5,629億円 | 369億円 | 221億円 | 138.7円 | - |
| 2022/03期 | 6,123億円 | 376億円 | 237億円 | 142.9円 | +8.8% |
| 2023/03期 | 6,462億円 | 214億円 | 347億円 | -209.0円 | +5.5% |
| 2024/03期 | 6,717億円 | 144億円 | 44.7億円 | 26.9円 | +3.9% |
| 2025/03期 | 6,689億円 | 98.1億円 | 112億円 | -67.3円 | -0.4% |
大王製紙の業績は、原材料価格の高騰や円安の影響により、2023/03期に営業赤字(約214億円)へ転落するなど厳しい経営環境が続きました。その後、製品価格の改定による採算改善が進んだことで、2024/03期には営業利益が約144億円まで回復しました。2025/03期は家庭紙・産業用紙の複合展開を強みとするものの、一時的な費用増や市場環境の冷え込みから純利益が赤字となりましたが、2026/03期予では220億円の営業利益を見込み、着実な業績改善を目指しています。 【3Q 2026/03期実績】売上4931億円(通期予想比74%)、営業利益181億円(同82%)、純利益88億円(同176%)。
業績の推移
売上高(青)と営業利益(緑)の年度別の伸び。バーが右肩上がりなら成長中。
同業比較(収益性)
パルプ・紙の同業他社平均と比べると…
将来どうなりそう?
公式情報・ニュース・メディアから今後を読み解く
会社の公式開示情報
役員報酬
紙・板紙事業と家庭紙・パーソナルケア事業(エリエール等)の二本柱で構成されており、衛生用紙分野での強力なブランド力が収益を支えています。一方で、原材料費の高騰や為替変動、さらにはデジタル化に伴う紙需要の減少が事業継続上の主要なリスクとして開示されています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025期 | 220億円 | — | 98億円 | -55.4% |
| 2024期 | 180億円 | — | 144億円 | -20.2% |
| 2023期 | 250億円 | — | -214億円 | 大幅未達 |
| 2022期 | 380億円 | — | 376億円 | -1.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
大王製紙は第5次中期事業計画で2026期の黒字転換を掲げていますが、直近の2025期決算は再び最終赤字となり、計画達成への道のりは極めて険しい状況です。過去数年の業績予想を振り返ると、特に2023期は期初予想250億円の営業利益に対し、結果は-214億円の大幅な未達に終わりました。市況変動の激しいパルプ・紙業界特有のリスクをコントロールできず、業績見通しの精度に大きな課題を抱えています。投資家としては、会社予想を鵜呑みにせず、保守的な視点を持つことが求められます。
最新ニュース
どんな話題が多い?
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
この会社のストーリー
創業から現在までの歩みと、代表者の姿
出来事の年表
北越コーポレーションとの資本関係を対等化し、協力を深める方針を発表。
トイレ紙の特許権を巡る日本製紙クレシアとの訴訟で勝訴が確定し、優位性を確保。
三島工場にてCNF複合樹脂の新プラントを稼働させ、環境対応素材の商用生産を開始。
社長プロフィール
安心して投資できる?
財務・透明性・株主構成・リスクを点検
財務は安全?
財務健全性は、総資産が約8,861億円規模で推移しており、自己資本比率は26.7%を維持しています。2024/03期期より有利子負債が約9,517億円規模で計上されており、負債を積極的に活用した事業投資や運転資金の確保が行われていることが特徴です。引き続き潤沢なキャッシュフローを創出し、有利子負債のコントロールと自己資本の蓄積を両立させることが、将来的な財務体質の強化に繋がります。 【3Q 2026/03期】総資産8660億円、純資産2540億円、自己資本比率24.7%、有利子負債4262億円。
お金の流れは?
| 会計期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 642億円 | 1,037億円 | 636億円 | 395億円 |
| 2022/03期 | 714億円 | 624億円 | 506億円 | 89.8億円 |
| 2023/03期 | 262億円 | 580億円 | 964億円 | 842億円 |
| 2024/03期 | 593億円 | 265億円 | 136億円 | 328億円 |
| 2025/03期 | 446億円 | 209億円 | 355億円 | 237億円 |
営業キャッシュフローは価格改定の寄与等によりプラス基調を取り戻しており、約450億円の営業キャッシュを創出する力強さを見せています。投資活動では工場の効率化や設備更新に資金を投じつつ、フリーキャッシュフローは2024/03期以降プラスへ転換しました。安定的なキャッシュ創出体制が構築されつつあり、今後はこの資金源を配当原資や有利子負債の圧縮へ有効活用する方針です。
この会社のガバナンスは?
連結子会社33社を抱える大企業体でありながら、女性役員比率は13.3%と改善傾向にあります。監査報酬に1億4,300万円を割いており、大規模なグループ全体を網羅する厳格な監視体制を構築することで、ガバナンスの透明性を担保しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 624万円 | 12,191人 | - |
従業員の平均年収は624万円で、製造業の中では標準的な水準ですが、製紙業界の収益性が原材料費やエネルギーコストに左右されやすいため、経営状況に応じた変動が見られます。長期的な安定雇用を背景に、平均勤続年数が約20年と非常に長く、定着率の高さが特徴です。
株主リターン・投資成果
リターン・配当・市場データを確認
平均よりも稼げてる?
この会社の株を持っていた場合のリターン(青)を、日本株全体の平均(TOPIX、灰)と比較。青い線が上にあれば、平均より良い成績です。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、一貫して市場平均であるTOPIXを大幅に下回る「アンダーパフォーム」が続いています。特に2024期以降はTOPIXが大きく上昇する中で、同社のTSRは低迷し、その差は拡大しています。これは、原料価格高騰による大幅な赤字計上や業績の不安定さが嫌気され、株価が長期的に低迷したことが主な要因です。株価上昇と安定配当による株主還元の強化が、喫緊の経営課題と言えます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2016/03期 | 10.5円 | 10.5% |
| 2017/03期 | 10.5円 | 12.6% |
| 2018/03期 | 10.5円 | 38.5% |
| 2019/03期 | 10.5円 | 33.1% |
| 2020/03期 | 13.5円 | 10.6% |
| 2021/03期 | 17円 | 12.3% |
| 2022/03期 | 22円 | 15.4% |
| 2023/03期 | 16円 | - |
| 2024/03期 | 16円 | 59.0% |
| 2025/03期 | 14円 | - |
| 権利確定月 | 3月 |
配当方針は安定配当を基本としつつ、業績に応じた利益還元を重視しています。直近は収益環境の変動を鑑み、株主への継続的な利益還元を維持する姿勢を示しています。今後も財務基盤を強化しながら、安定した配当水準を維持できる収益体制の構築を目指します。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| 2021期 | 131.9万円 | 31.9万円 | 31.9% |
| 2022期 | 111.6万円 | 11.6万円 | 11.6% |
| 2023期 | 74.9万円 | 25.1万円 | -25.1% |
| 2024期 | 84.8万円 | 15.2万円 | -15.2% |
| 2025期 | 62.5万円 | 37.5万円 | -37.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同社のPBRは0.73倍と業界平均並みで、資産価値から見た割安感は限定的です。一方、PERは34.7倍と業界平均を上回っており、市場は将来の業績回復をある程度織り込んでいる可能性があります。信用倍率は4.43倍と買い残が多く、将来の株価上昇を期待する投資家が多い一方で、需給面での重しとなる可能性も指摘されます。今後の決算で市場の期待に応えられるかが焦点です。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 345億円 | 124億円 | 35.9% |
| 2022/03期 | 377億円 | 140億円 | 37.1% |
| 2023/03期 | -241億円 | 0円 | - |
| 2024/03期 | 96.2億円 | 51.5億円 | 53.5% |
| 2025/03期 | 45.3億円 | 157億円 | 347.2% |
法人税等の支払いは、利益水準の変動に加え、繰延税金資産の取り崩しや調整事項の影響を大きく受けています。特に純利益が赤字となる年度や利益水準が低い年度においては、税効果会計等の影響で実効税率が著しく高まる傾向があります。今後は事業の安定成長に伴い、税負担の平準化と適切な税務コンプライアンスの維持を目指します。
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大王製紙 まとめ
「『エリエール』の安定感とは裏腹に、市況の荒波に揉まれながら黒字化を目指す製紙大手」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。