北越コーポレーション
Hokuetsu Corporation
最終更新日: 2026年3月27日
紙の伝統と革新で未来を抄く、業界再編のキープレイヤー
紙の可能性を追求し、国内外の市場で価値を提供し続けることで、社会とともに持続的に成長するグローバル企業グループを目指します。
この会社ってなに?
あなたが普段手に取る雑誌や書籍のツルツルした紙、その多くを北越コーポレーションが作っているかもしれません。また、お菓子やティッシュペーパーが入っている箱、いわゆる「白板紙」も同社の主力製品です。スーパーで商品パッケージの裏側を見たときに、その紙の提供元として関わっている可能性があります。さらに、見た目も美しい高級印刷用紙も得意としており、企業のパンフレットやポスターなど、私たちの身の回りの様々な場面で同社の紙が活躍しています。
製紙業界5位の北越コーポレーションは、印刷用紙や白板紙を主力とする老舗企業です。2025年3月期決算では売上高3,057.2億円、営業利益197.27億円と増収増益を達成しましたが、海外のパルプ市況や国内の紙需要の変動が業績に影響を与えています。現在は2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進中で、収益性改善と成長投資を進めています。長年複雑な関係にあった大王製紙との資本業務提携を深化させ、生産や物流の効率化で業界全体の課題に立ち向かう姿勢が最大の注目点です。
会社概要
- 業種
- パルプ・紙
- 決算期
- 3月
- 本社
- 新潟県長岡市西蔵王3丁目5番1号
- 公式
- www.hokuetsucorp.com
社長プロフィール

当社は、厳しい事業環境を乗り越え、株主資本コストを上回るROEの達成を目標に掲げています。業界他社との連携を深化させ、生産・物流の効率化を図ることで、持続的な企業価値向上を実現し、全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。
この会社のストーリー
信濃川の豊富な水資源と水力発電を背景に、新潟県長岡市で創業。日本の製紙業の歴史に第一歩を記した。
戦後の復興期を経て、企業としての基盤を固め、東京証券取引所に株式を上場。社会的な信用を高め、成長を加速させた。
業界最大手の王子製紙(当時)から敵対的買収を仕掛けられるも、従業員や取引先と一丸となり、これを退ける。企業の独立性を守り抜いた。
経営危機に陥っていた大王製紙の創業家から株式を取得し、筆頭株主となる。業界再編の主要プレイヤーとしての地位を確立した。
従来の製紙事業の枠を超え、総合的な事業展開を目指す姿勢を明確にするため、現在の商号に変更した。
2025年度に売上高3,300億円、ROE8.0%を目標とする新中期経営計画を発表。収益力強化と企業価値向上へのコミットメントを示した。
長年の関係にあった大王製紙と生産技術や原材料調達などで業務提携。業界全体の効率化と競争力強化に向けた協業関係を構築した。
木質由来の新素材「リセル」を人工衛星の筐体に採用するなど、紙の技術を応用した新たな挑戦を開始。環境負荷の少ない製品開発で未来を切り拓く。
注目ポイント
王子製紙による敵対的買収を退け、逆に大王製紙の筆頭株主となるなど、ダイナミックな資本政策を展開。現在は大王製紙との提携を深め、業界の未来を形作るキープレイヤーです。
木質由来のセルロース複合材「ReCell®(リセル)」を開発。地球に優しいこの素材は、紙の人工衛星プロジェクトに採用されるなど、伝統的な製紙技術を未来の産業へと昇華させています。
「中期経営計画2026」ではROE8.0%という具体的な目標を掲げ、株主資本コストを上回る収益性を追求。安定配当を維持しつつ、企業価値の向上に真摯に取り組む姿勢が魅力です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 12円 | 30.2% |
| FY2017/3 | 12円 | 21.8% |
| FY2018/3 | 12円 | 21.9% |
| FY2019/3 | 12円 | 24.8% |
| FY2020/3 | 12円 | 27.6% |
| FY2021/3 | 14円 | 16.6% |
| FY2022/3 | 24円 | 19.0% |
| FY2023/3 | 18円 | 36.3% |
| FY2024/3 | 18円 | 36.0% |
| FY2025/3 | 22円 | 23.8% |
現在、株主優待制度は実施していません。
同社は安定的な配当の継続を重視しつつ、業績に応じた利益還元を目指しています。配当性向の目標を掲げながら、財務健全性に配慮した柔軟な資本政策を推進しています。現時点では株主優待は導入しておらず、配当金を通じた直接的な還元が基本方針となっています。
同業比較(収益性)
パルプ・紙の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
北越コーポレーションの売上高は3,000億円規模で安定推移していますが、海外パルプ市況の変動や紙需要の減少が収益を圧迫する要因となっています。FY2025/3には純利益が約155億円まで回復したものの、FY2026/3の予想では更なる外部環境の変化を織り込み、微減益を見込んでいます。印刷・情報用紙を主力としつつ、パルプ事業の利益貢献度が業績を大きく左右する構造となっています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 10.0% | 3.9% | - |
| FY2022/3 | 5.7% | 5.6% | - |
| FY2023/3 | 5.6% | 2.1% | - |
| FY2024/3 | 2.6% | 2.0% | 5.1% |
| FY2025/3 | 8.0% | 3.7% | 6.5% |
売上高営業利益率は、FY2022/3には市況好転により7.8%を記録しましたが、その後は5%〜6%台で推移し、効率的な利益確保が課題となっています。ROEはFY2023/3からFY2024/3にかけて3%台まで低下しましたが、直近ではコスト構造の見直し等により5.8%まで改善傾向にあります。今後は、付加価値の高い製品展開を通じ、株主資本コストを上回る8%以上のROE達成を目標としています。
財務は安全?
総資産は4,000億円超で推移しており、純資産の積み上げにより自己資本比率は63.3%と極めて強固な財務体質を構築しています。FY2024/3から有利子負債が計上されていますが、資産全体に対する比率はコントロールされており、安定した事業基盤を維持しています。潤沢な自己資本を背景に、設備投資や成長分野へのリソース配分が可能な体制を整えています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 238億円 | -196億円 | 43.6億円 | 41.9億円 |
| FY2022/3 | 202億円 | -16.5億円 | -192億円 | 185億円 |
| FY2023/3 | 17.5億円 | -128億円 | -21.0億円 | -110億円 |
| FY2024/3 | 223億円 | -155億円 | -38.0億円 | 68.3億円 |
| FY2025/3 | 409億円 | -188億円 | -191億円 | 221億円 |
営業キャッシュフローは、主力事業からの安定した収益によりFY2025/3には約409億円と大幅な黒字を確保しました。投資活動においては、既存設備の維持更新や環境対応設備への投資を継続しており、フリーキャッシュフローは市況の影響を受けつつもプラス水準を維持しています。財務活動によるキャッシュフローのマイナスは、負債の圧縮や配当を通じた株主還元を優先的に実行していることを示唆しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 97.6億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 295億円 | 83.1億円 | 28.1% |
| FY2023/3 | 115億円 | 31.5億円 | 27.4% |
| FY2024/3 | 178億円 | 93.7億円 | 52.8% |
| FY2025/3 | 188億円 | 32.3億円 | 17.2% |
法人税等の支払額は、業績変動に伴い一定の幅で推移しています。FY2024/3には一時的な税負担率の上昇が見られましたが、直近は標準的な税率水準に落ち着いています。今後も税引前利益に応じた適切な納税を行い、税引後利益の最大化を目指す方針です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 613万円 | 3,711人 | - |
平均年収は613万円となっており、製紙業界の平均と比較しても概ね標準的な水準です。業績がパルプ市況や為替の影響を受けやすい構造であるため、給与水準も原料価格や紙の需要減少といった外部環境の変動を反映する傾向があります。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は美須賀海運・大王海運・第四北越銀行。
大株主に海運会社や金融機関、事業会社が並ぶ安定志向の構成ですが、大王製紙との資本関係見直しや物言う株主(アクティビスト)の関与により、経営陣との対立が表面化しています。政策保有株の解消や資本効率の改善を求める圧力が強まっており、今後のガバナンス体制の変化に市場の注目が集まっています。
会社の公式開示情報
役員報酬
売上高の大部分を占める紙・パルプ事業を中核とし、近年は海外パルプ収益の拡大に注力しています。海外のパルプ市況の変動や紙の国内需要減少を最大のリスクと認識しており、ドローン点検などの技術導入や経営効率化によって収益力の強化を図る姿勢を強めています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は7.7%と低く、多様性の確保には改善の余地がある状況です。一方で、監査報酬に約1億円を投じ、監査体制の維持に努めています。大王製紙との資本関係見直しを経て、今後は株主からの経営監視機能がいかに機能するかが企業価値向上の鍵となります。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 通期 | 170億円 | — | 197億円 | +16.0% |
| FY2024 通期 | 110億円 | — | 153億円 | +38.8% |
| FY2023 通期 | 110億円 | — | 173億円 | +57.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 通期 | 3,100億円 | — | 3,057億円 | -1.4% |
| FY2024 通期 | 3,100億円 | — | 2,971億円 | -4.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
現行の「中期経営計画 2026」では、最終年度(2026年3月期)に売上高3,300億円、営業利益200億円を目標としています。直近実績(2025年3月期)では営業利益が197億円と目標に迫る一方、売上高は3,057億円と進捗がやや遅れています。利益面では予想を上回る達成を続けていますが、売上高の成長が計画達成の鍵となります。大王製紙との提携深化によるシナジー創出が、売上目標達成に向けた重要なドライバーとなるでしょう。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
同社のTSR(株主総利回り)は、過去5年間にわたりTOPIXを一貫してアウトパフォームしています。特にFY2024にはTSRが494.6%(TOPIXは197.3%)に達するなど、株価上昇と配当が株主価値向上に大きく貢献しました。これは、PBR1倍割れといった割安な株価水準に対する市場の再評価や、株主還元姿勢が評価された結果と考えられます。安定した配当と、今後の企業価値向上策への期待が、良好なTSRパフォーマンスを支えています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 131.7万円 | +31.7万円 | 31.7% |
| FY2022 | 181.4万円 | +81.4万円 | 81.4% |
| FY2023 | 233.4万円 | +133.4万円 | 133.4% |
| FY2024 | 494.6万円 | +394.6万円 | 394.6% |
| FY2025 | 326.2万円 | +226.2万円 | 226.2% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は0.81倍と売り残が買い残を上回っており、株価下落を見込む投資家が多い状況を示唆しています。これは将来の買い戻し需要(踏み上げ)につながる可能性もあります。PERは10.0倍と業界平均の13.6倍と比較して割安感があります。PBRが1倍を大きく下回っている点も踏まえると、市場からは成長性について厳しい評価を受けているものの、バリュー株としての側面も持ち合わせていると言えます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
大王製紙との資本関係を見直し、相互の議決権割合を20%程度とする対等な資本関係を構築。
第3四半期累計決算において、海外パルプ市場の低迷により経常利益が前年同期比41.8%減と大幅な落ち込みを記録。
主要株主である筆頭株主の異動および経営陣の配置転換を実施し、新体制での企業価値向上を図る。
最新ニュース
北越コーポレーション まとめ
ひとめ診断
「製紙業界の古豪、長年のライバル大王製紙と『呉越同舟』で生き残りを賭ける」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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