日本製紙3863
Nippon Paper Industries Co.,Ltd.
まずこの会社は何者?
事業内容や経営者、企業の魅力をひと目でつかむ
ひとめ診断
この会社ってなに?
あなたが普段お店で手に取るティッシュペーパーの「クリネックス」やトイレットペーパーの「スコッティ」。これらは日本製紙グループの製品で、私たちの暮らしに欠かせないものを作っています。また、スーパーで見る牛乳やジュースの紙パック、本や雑誌を読むときの紙の裏側でも、同社の技術が活躍しています。さらに、紙作りのノウハウを活かして、環境にやさしい新素材や再生可能エネルギー事業にも取り組んでおり、見えないところで社会のサステナビリティを支えている会社です。
国内製紙2位の日本製紙は、2023期に原材料高騰で営業赤字268.55億円と巨額損失を計上したものの、構造改革が奏功し2024期には営業利益172.66億円、純利益227.47億円とV字回復を達成しました。続く2025期も営業利益197.06億円と増益を確保しています。現在は紙事業の縮小を進める一方、成長分野であるパッケージ事業、ケミカル製品、エネルギー事業への転換を加速しており、PBR0.30倍という極端な割安水準からの資産効率改善が最大の焦点です。
会社概要
- 業種
- パルプ・紙
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ
サービスの実績は?
なぜ伸びるの?
売上・利益・成長性の数字から、稼ぐ力を読み解く
稼ぐ力はどのくらい?
| 会計期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 0.8% | 0.2% | - |
| 2022/03期 | 0.5% | 0.1% | - |
| 2023/03期 | 11.8% | 3.0% | - |
| 2024/03期 | 5.0% | 1.3% | 1.5% |
| 2025/03期 | 0.9% | 0.3% | 1.7% |
| 3Q FY2026/3 | 2.3%(累計) | 0.5%(累計) | 1.7% |
収益性は、紙パルプ業界の構造的な低迷を受け、営業利益率が低水準で推移する難しい局面が続いています。2023/03期には営業損失を記録しROEが-12.1%まで低下しましたが、事業ポートフォリオの入れ替えと徹底したコスト削減により、直近では緩やかな回復基調にあります。今後は、更なる付加価値の高い製品開発や採算性重視の経営を通じて、利益率の改善を図る方針です。
儲かってるの?
| 会計期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 | EPS | YoY |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 1.0兆円 | — | 32.0億円 | 27.7円 | - |
| 2022/03期 | 1.0兆円 | — | 19.9億円 | 17.2円 | +3.7% |
| 2023/03期 | 1.2兆円 | — | 504億円 | -436.3円 | +10.3% |
| 2024/03期 | 1.2兆円 | 173億円 | 227億円 | 197.1円 | +1.3% |
| 2025/03期 | 1.2兆円 | 197億円 | 45.4億円 | 39.3円 | +1.3% |
日本製紙は、原材料価格の高騰や洋紙需要の減少といった厳しい事業環境下で、構造改革や製品の価格改定を推進し収益改善を図っています。2023/03期には構造改革費用等により約504億円の最終赤字を計上しましたが、以降は経営体制の刷新と販売構成の見直しにより黒字転換を果たしました。2026/03期期は、安定的な成長を目指し、売上高約1兆2,050億円、営業利益340億円を見込む計画です。 【3Q 2026/03期実績】売上8895億円(通期予想比74%)、営業利益150億円(同44%)、純利益78億円(同65%)。
業績の推移
売上高(青)と営業利益(緑)の年度別の伸び。バーが右肩上がりなら成長中。
同業比較(収益性)
パルプ・紙の同業他社平均と比べると…
将来どうなりそう?
公式情報・ニュース・メディアから今後を読み解く
会社の公式開示情報
役員報酬
EDINET開示情報によると、同社は従来の洋紙事業からパッケージングや紙パックなどの成長分野への転換を急いでおり、海外M&Aによる事業拡大とポートフォリオの最適化がリスク要因かつ成長戦略の核となっています。原材料の調達や為替変動、市況の影響を強く受ける業態であり、環境対応や脱炭素への投資負担も継続的な監視ポイントです。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025期 | 1兆2,000億円 | — | 1兆1,824億円 | -1.5% |
| 2024期 | 1兆2,300億円 | — | 1兆1,673億円 | -5.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025期 | 230億円 | — | 197億円 | -14.3% |
| 2024期 | 240億円 | — | 172億円 | -28.1% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画2025では、財務体質の改善を重視し「純有利子負債7,100億円以下」「ネットD/Eレシオ1.7倍台」という目標を掲げ、これらはおおむね達成しました。しかし、本業の儲けを示す営業利益目標500億円に対し実績は197億円と大幅に未達で終了。紙事業の市況悪化や海外事業の不振が響き、収益力の回復が計画通りに進まなかったことを示しています。2030年に向けた新計画では、成長分野へのシフトをより明確に打ち出せるかが問われます。
最新ニュース
どんな話題が多い?
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
この会社のストーリー
創業から現在までの歩みと、代表者の姿
出来事の年表
ニュージーランドの針葉樹チップ事業を共同買収し、グローバルでの原料調達基盤を強化しました。
第3四半期累計で経常利益9.0%増を達成し、収益改善に向けた構造改革の成果が顕在化しています。
Hacobuの物流DXツールを導入し、物流の効率化と社会最適化に向けた取り組みを推進しました。
社長プロフィール
安心して投資できる?
財務・透明性・株主構成・リスクを点検
財務は安全?
財務健全性は、多額の有利子負債を抱えるなかで自己資本比率を約28%まで回復させており、着実な負債圧縮が進んでいます。2024/03期以降は有利子負債の適正化を経営の重要課題と位置づけ、政策保有株式の売却など資産の入れ替えも並行して実施しています。安定した財務基盤の構築に向け、今後もキャッシュ・フローを重視した経営とバランスシートの適正化に努めています。 【3Q 2026/03期】総資産1.7兆円、純資産5163億円、自己資本比率19.4%、有利子負債8331億円。
お金の流れは?
| 会計期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 842億円 | 1,829億円 | 1,137億円 | 987億円 |
| 2022/03期 | 724億円 | 612億円 | 543億円 | 111億円 |
| 2023/03期 | 658億円 | 680億円 | 69.8億円 | 21.9億円 |
| 2024/03期 | 903億円 | 220億円 | 466億円 | 683億円 |
| 2025/03期 | 728億円 | 334億円 | 183億円 | 394億円 |
営業キャッシュ・フローは事業環境の変動を受けつつも安定的に推移しており、本業による稼ぐ力を維持しています。過去には大規模な設備投資によるマイナスのフリー・キャッシュ・フローが発生した時期もありましたが、現在は投資の選別と圧縮によりキャッシュの創出力を高めています。今後は、創出したキャッシュを有利子負債の返済や株主還元、成長分野への投資へとバランス良く振り向ける循環を目指しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は15.4%であり、多様性の確保と経営の透明性向上に向けたガバナンス体制を強化しています。連結子会社54社を抱える巨大グループとして、独立社外取締役の関与を強めた諮問委員会を設置しており、大規模な設備投資や経営リスクを適切に管理する監査体制を構築しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 677万円 | 15,145人 | - |
従業員平均年収は677万円となっており、製紙業界の平均水準と比較しても安定した給与体系を維持しています。原材料価格の高騰やデジタル化による洋紙需要の減少といった厳しい業界環境下でも、高い勤続年数と熟練した技術力を支えるための処遇が継続されていることが背景にあります。
株主リターン・投資成果
リターン・配当・市場データを確認
平均よりも稼げてる?
この会社の株を持っていた場合のリターン(青)を、日本株全体の平均(TOPIX、灰)と比較。青い線が上にあれば、平均より良い成績です。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は、一貫して市場平均であるTOPIXを大幅に下回る「アンダーパフォーム」となっています。これは、2023期に巨額赤字を計上するなど業績が低迷し、株価が長期にわたり下落傾向にあったことが主な原因です。同社は復配(2024期: 10円、2025期: 10円)を再開しましたが、株価回復が追いついておらず、株主還元の強化と持続的な成長による株価上昇が喫緊の課題となっています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| 2016/03期 | 60円 | 286.4% |
| 2017/03期 | 60円 | 82.7% |
| 2018/03期 | 60円 | 88.5% |
| 2019/03期 | 30円 | - |
| 2020/03期 | 40円 | 32.5% |
| 2021/03期 | 40円 | 144.6% |
| 2022/03期 | 40円 | 232.2% |
| 2023/03期 | 0円 | 0.0% |
| 2024/03期 | 10円 | 5.1% |
| 2025/03期 | 10円 | 25.4% |
| 権利確定月 | 3月 |
配当方針は、業績に応じた利益還元を基本としつつ、財務基盤の強化を最優先に位置づけた安定的な還元を目指しています。一時的な無配を経て、足元では1株あたり年間10円の配当を継続し、収益環境の回復を見ながら還元水準の向上を図る姿勢です。今後も企業価値の向上と並行して、株主の皆様へ適切な利益還元を行う方針を継続します。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| 2021期 | 88.8万円 | 11.2万円 | -11.2% |
| 2022期 | 72.7万円 | 27.3万円 | -27.3% |
| 2023期 | 71.7万円 | 28.3万円 | -28.3% |
| 2024期 | 82.7万円 | 17.3万円 | -17.3% |
| 2025期 | 72.0万円 | 28.0万円 | -28.0% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBRが0.30倍と業界平均の0.8倍を大幅に下回っており、解散価値の3割程度の株価しか付いていない極端な割安状態です。これは市場が同社の将来の収益性や資産効率に懐疑的であることを示唆します。信用倍率は0.9倍と売り残が買い残を上回る「売り長」の状態で、将来の株価下落を見込む投資家が多い一方、株価が上昇に転じた際の踏み上げ(買い戻し)期待も内包しています。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| 2021/03期 | 123億円 | 90.8億円 | 74.0% |
| 2022/03期 | 145億円 | 125億円 | 86.3% |
| 2023/03期 | -245億円 | 0円 | - |
| 2024/03期 | 146億円 | 0円 | 0.0% |
| 2025/03期 | 155億円 | 110億円 | 70.7% |
法人税等の支払額は、税引前利益の変動や過年度の損失による税務上の繰越控除の活用状況に応じて大きく変動しています。特に2023/03期や2024/03期は損失計上等により法人税負担が低減しましたが、業績回復に伴い納税額も増加しています。実効税率が法定税率より高く見える年度があるのは、海外拠点や調整項目の影響によるもので、今後も法令に基づき適切に納付されます。
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