王子ホールディングス
Oji Holdings Corporation
最終更新日: 2026年3月22日
森から届ける、暮らしの基盤。紙の先へ。
森林資源を起点とした循環型ビジネスで、持続可能な社会の実現に貢献する。
この会社ってなに?
コンビニやスーパーで受け取る紙袋や段ボール箱、Amazonの配送用段ボール、レシートに使われる感熱紙、紙おむつの素材、ティッシュやトイレットペーパーなど、私たちが日常的に手にする紙製品の多くは王子グループが製造しています。また、スマートフォンの光学フィルムや自動車部品に使われる特殊フィルムなど、目に見えないところでも暮らしを支えている会社です。
王子ホールディングスは製紙業界で国内売上高首位を誇り、段ボール原紙・パルプ・感熱紙などの紙関連事業に加え、フィルム・不織布といった機能材事業も展開するグローバル企業です。FY2025/3期は売上収益約1兆8,493億円と過去最高を更新した一方、パルプ市況の低迷や中国経済減速の影響で営業利益は677億円(前期比-6.8%)と3期連続の減益。FY2026/3期は営業利益750億円への回復を見込み、配当性向を30%から50%へ引き上げる株主還元強化策を発表しています。中期経営計画2027では2028年3月期に営業利益1,200億円・ROE8%を目標に掲げ、ポートフォリオ転換と資本効率の改善を推進中です。
会社概要
- 業種
- パルプ・紙
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区銀座4丁目7番5号
- 公式
- www.ojiholdings.co.jp
社長プロフィール
王子グループは150年以上にわたり、森林を健全に育て管理し、その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、地球環境と共生してきました。今後は紙の枠を超え、フィルム・不織布・バイオマス素材など機能材領域への転換を加速し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
この会社のストーリー
明治政府の殖産興業政策のもと、渋沢栄一が設立した抄紙会社が起源。日本の製紙産業の礎を築きました。
富士製紙・樺太工業との合併により、国内シェア80%を占める巨大企業へ。「紙の王者」の地位を確立。
GHQの財閥解体令により苫小牧製紙・十條製紙・本州製紙の3社に分割。苫小牧製紙として再スタートを切りました。
持株会社体制に移行し、グループ経営の効率化とグローバル展開を加速。段ボール・パッケージング事業を柱に海外M&Aを推進。
配当性向50%への引き上げ、自己株取得1,500億円、ROE8%目標を掲げ、機能材シフトと資本効率改善で新たな成長ステージを目指す。
注目ポイント
海外56万haの植林地を保有し、持続可能な森林経営を実践。原料の自給率向上と脱炭素社会への貢献を両立する日本随一の森林資源企業です。
段ボール原紙・加工品でアジアトップクラスのシェアを誇り、東南アジアを中心にグローバル展開を加速。EC市場の拡大が追い風です。
フィルム・不織布・光学材料など高付加価値の機能材事業を成長ドライバーに位置づけ、従来の製紙業の枠を超えた事業構造への転換を推進しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 10円 | 64.8% |
| FY2017/3 | 10円 | 24.5% |
| FY2018/3 | 10円 | 27.3% |
| FY2019/3 | 12円 | 22.8% |
| FY2020/3 | 14円 | 23.8% |
| FY2021/3 | 14円 | 27.9% |
| FY2022/3 | 14円 | 15.8% |
| FY2023/3 | 16円 | 28.1% |
| FY2024/3 | 16円 | 31.2% |
| FY2025/3 | 24円 | 50.7% |
| 必要株数 | 1000株以上(約88万円) |
| 金額相当 | 約3,000円相当 |
| 権利確定月 | 3月 |
FY2021/3〜FY2022/3は年間14円で据え置きでしたが、FY2023/3に16円へ増配、FY2025/3にはさらに24円へと大幅増配しました。FY2026/3期は配当性向50%への引き上げに伴い年間36円(予想)と増配を継続する方針です。予想配当利回りは4.11%と高配当銘柄の水準にあります。株主優待は1,000株以上の保有が必要で、最低投資額は約88万円とやや高めです。
同業比較(収益性)
パルプ・紙の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2022/3期に営業利益1,201億円とピークを迎えた後、パルプ市況の軟化や中国経済減速の影響で3期連続の減益となりました。売上高はFY2025/3に約1兆8,493億円と過去最高を更新したものの、利益面では原燃料コスト増と市況悪化が重荷に。FY2026/3期は営業利益750億円への回復を見込み、家庭紙の値上げ浸透と機能材事業の拡大が鍵となります。
事業ごとの売上・利益
段ボール原紙・加工品が主力。国内物流需要に連動。
感熱紙・特殊紙・粘着製品。海外展開を積極推進。
フィルム・不織布・光学材料。高付加価値品シフトの中核。
パルプ製造・販売、電力事業、植林事業。市況感応度が高い。
新聞用紙・印刷用紙。需要減少トレンドで構造改革中。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 9.3% | 2.5% | 3.9% |
| FY2022/3 | 6.0% | 4.3% | 2.7% |
| FY2023/3 | 6.1% | 2.5% | 2.8% |
| FY2024/3 | 5.3% | 2.1% | 2.3% |
| FY2025/3 | 8.1% | 1.8% | 2.4% |
FY2022/3期にROE10.0%・営業利益率8.2%と直近のピークを記録した後、パルプ市況の悪化を受けて収益性は低下傾向。FY2025/3期はROE4.1%・営業利益率3.7%まで落ち込み、中計2027の目標ROE8%にはまだ距離があります。装置産業ゆえの固定費比率の高さが利益率の振れ幅を大きくしており、稼働率の回復と高付加価値品シフトが収益改善の鍵です。
財務は安全?
総資産は2兆6,350億円と拡大基調にあり、自己資本比率は40%前後で安定。BPSは1,178円と株価875円を大きく上回りPBR0.74倍の割安水準です。有利子負債は約1兆9,512億円と多額ですが、これは装置産業としての設備投資需要(年間約3,263億円)を反映したものです。中計2027では資本効率の改善を重点課題に掲げ、政策保有株式の縮減や自己株取得を進める方針です。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 1,271億円 | -916億円 | 199億円 | 355億円 |
| FY2022/3 | 1,436億円 | -926億円 | -1,360億円 | 510億円 |
| FY2023/3 | 183億円 | -1,233億円 | 1,018億円 | -1,050億円 |
| FY2024/3 | 2,029億円 | -1,180億円 | -849億円 | 849億円 |
| FY2025/3 | 944億円 | -1,549億円 | 610億円 | -605億円 |
営業CFは年度による振れ幅が大きく、FY2023/3期には182億円まで急減した後、FY2024/3期に2,029億円と大幅回復。設備投資は年間1,000〜1,500億円規模で推移し、装置産業としての投資負担が重い構造です。FY2025/3期はFCFがマイナス605億円となり、投資CFの拡大(-1,549億円)と借入金の増加により財務CFでカバーしています。中長期的には営業CFの安定化が財務健全性の鍵です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 831億円 | 334億円 | 40.2% |
| FY2022/3 | 1,351億円 | 476億円 | 35.2% |
| FY2023/3 | 950億円 | 385億円 | 40.5% |
| FY2024/3 | 860億円 | 352億円 | 40.9% |
| FY2025/3 | 686億円 | 224億円 | 32.7% |
FY2021/3〜FY2024/3期は実効税率が35〜41%と比較的高水準で推移。海外子会社の多さ(200社)に伴う国際税務上の調整項目が要因です。FY2025/3期は税引前利益の減少にもかかわらず実効税率が32.7%に低下し、FY2026/3期予想では13.3%とさらに低下見込みですが、これは繰延税金資産の取崩し等の一時的な要因によるものです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 845万円 | 39,136人 | - |
平均年収845万円はパルプ・紙業界ではトップクラスの水準。連結従業員数は約39,100名を擁する大企業です。平均年齢45.1歳、平均勤続年数17.2年と離職率が低く安定した雇用基盤を維持しており、東洋経済の「離職する人が少ない大企業ランキング」でも上位に入っています。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は王子グループ従業員持株会氏・フォルティス。
信託銀行2社で約24%を保有する典型的な機関投資家中心の構成。事業法人フォルティス(5.3%)が筆頭安定株主として存在し、従業員持株会(2.3%)やみずほ銀行(1.9%)など、政策保有を含む安定株主が約半数を占めます。外国人投資家比率は18.6%と製紙業界としては比較的高く、中計2027では政策保有株式の450億円縮減を計画しています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 生活産業資材 | 約6,500億円 | 約300億円 | 4.6% |
| 産業資材 | 約4,800億円 | 約250億円 | 5.2% |
| 機能材 | 約2,600億円 | 約180億円 | 6.9% |
| 資源環境ビジネス | 約2,800億円 | 約100億円 | 3.6% |
| 印刷情報メディア | 約1,800億円 | 約-50億円 | -2.8% |
王子HDは5つの事業セグメントを展開。最大セグメントの生活産業資材(段ボール)は安定した需要基盤を持ち、産業資材(感熱紙等)は海外展開が進展。機能材(フィルム・不織布)は利益率6.9%と最も高く、成長ドライバーとして期待されています。一方、印刷情報メディア事業はペーパーレス化の影響で赤字体質にあり、中計2027ではポートフォリオ転換として機能材・生活産業資材への経営資源シフトを加速する方針です。
この会社のガバナンスは?
取締役17名中女性は3名(17.6%)で、プライム市場の平均水準に概ね合致。国内外200社の連結子会社を擁するグローバル企業です。設備投資は年間約3,263億円と大規模で、装置産業としての継続的な投資が必要不可欠。平均勤続年数17.2年と定着率が高く、中計2027では自己株取得1,500億円や政策保有株式の450億円縮減など、資本効率改善に向けたガバナンス強化策を打ち出しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2023 | 1,000億円 | — | 848億円 | -15.2% |
| FY2024 | 950億円 | 750億円 | 726億円 | -23.6% |
| FY2025 | 950億円 | 700億円 | 677億円 | -28.8% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
前中期経営計画(2022-2024年度)では営業利益1,500億円以上・ROE8%以上を掲げたものの、パルプ市況の急落や中国経済の減速により最終年度FY2024は営業利益726億円・ROE4.6%と大幅未達に終わりました。新たな中期経営計画2027では2028年3月期に営業利益1,200億円・ROE8%を目標とし、配当性向50%への引き上げ・自己株取得1,500億円といった株主還元策で市場の期待に応えています。業績予想の精度にはやや課題があり、下方修正が続いています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は122.8%と、配当込みでは投資元本を上回る成果を上げたものの、TOPIX(213.4%)を約90ポイント下回るアンダーパフォーム。パルプ市況の低迷と業績の伸び悩みが株価の重荷となりました。ただし、2026年に入り配当性向50%への引き上げや家庭紙値上げ期待で株価は30年来高値を更新しており、足元では巻き返しの兆しも見えています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 126.1万円 | +26.1万円 | 26.1% |
| FY2022 | 109.7万円 | +9.7万円 | 9.7% |
| FY2023 | 98.1万円 | -1.9万円 | -1.9% |
| FY2024 | 120.5万円 | +20.5万円 | 20.5% |
| FY2025 | 122.8万円 | +22.8万円 | 22.8% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
時価総額約8,879億円でパルプ・紙業種の圧倒的トップ。PBR0.74倍はBPSを大幅に下回る割安水準ですが、業種平均(0.50倍)と比較すれば相対的には高めの評価。信用倍率5.36倍は買い残優勢で、配当性向引き上げや株価30年来高値を背景に個人投資家の買い意欲が強い状態を示しています。高配当利回り(4.11%)が株価の下支え要因となっています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2026/3期3Q累計の経常利益が前年同期比64%減で着地。パルプ市況低迷と中国経済減速の影響が色濃く反映された。
家庭紙値上げへの期待と配当性向50%への引き上げが好感され、株価が約30年ぶりの高値圏(990.7円)を記録。
FY2026/3期の通期経常利益予想を42%下方修正。パルプ・板紙事業の不振が主因。
中期経営計画2027を発表。2028年3月期に営業利益1,200億円・ROE8%を目標とし、配当性向50%・自己株取得1,500億円の株主還元策を打ち出した。
最新ニュース
王子ホールディングス まとめ
ひとめ診断
「製紙国内首位、段ボール・パルプ・感熱紙でアジア展開を加速する森林資源の総合企業」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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