日清紡ホールディングス
Nisshinbo Holdings Inc.
最終更新日: 2026年3月22日
繊維から無線・半導体へ、100年企業の大変身
モノづくりを軸に、エレクトロニクス分野を中核とした事業ポートフォリオの変革を通じて、持続的な企業価値向上を実現する。
この会社ってなに?
日清紡グループの製品は意外と身近なところに存在します。自動車に乗るとき、ブレーキパッドは日清紡グループが世界トップクラスのシェアを持つ摩擦材が使われている可能性があります。防災行政無線やダム・河川の水位監視システムなど、地域の安全を守る無線通信インフラも日清紡の得意分野です。さらに、ワイシャツやポロシャツに使われる綿100%の形態安定加工「アポロコット」も日清紡発の技術。見えないところで私たちの安全と快適さを支えているのが日清紡グループです。
日清紡ホールディングスは、繊維メーカーとして1907年に創業しながら、積極的なM&Aと事業構造改革によりエレクトロニクス企業へと変貌を遂げた持株会社です。現在は無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、精密機器、化学品、繊維、不動産の7事業を展開。FY2025/12期は売上高5,023億円(前期比+1.5%)、営業利益264億円(同+59.2%)と大幅増益を達成しました。一方、FY2026/12期は半導体事業の構造改革費用(約60億円の特別損失)を計上する見通しで、経常利益は前期比26.7%減の215億円を計画。中期経営計画2026では売上高5,800億円を目標に掲げ、無線・通信事業を核とした収益基盤の確立を進めています。
会社概要
- 業種
- 電気機器
- 決算期
- 12月
- 本社
- 東京都中央区日本橋人形町2-31-11
- 公式
- www.nisshinbo.co.jp
社長プロフィール
日清紡グループは、繊維メーカーとしての100年を超える歴史を基盤に、エレクトロニクス分野を中核とする新たな企業グループへと変革を進めています。無線・通信事業とマイクロデバイス事業を成長の柱に据え、モノづくりの力で社会インフラの発展と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
この会社のストーリー
綿紡績会社として設立。以後100年以上にわたり、時代の変化に応じて事業を変革し続ける「変身力」の原点がここにあります。
日本無線を子会社化し、無線・通信分野への本格参入。繊維メーカーからエレクトロニクス企業への大変身の第一歩を踏み出しました。
リコー電子デバイスを買収し、新日本無線と合わせてマイクロデバイス事業を確立。アナログ半導体・MEMSの技術力を獲得しました。
約370億円を投じて映像・通信ソリューション事業の日立国際電気を傘下に。無線・通信事業を一気にグループの中核へ引き上げました。
売上高5,800億円を目標に掲げ、事業ポートフォリオの最適化とコングロマリット・ディスカウント解消に向けた取り組みを本格化しています。
注目ポイント
繊維→ブレーキ→エレクトロニクスと、時代に合わせて事業構造を劇的に変革し続ける稀有な「変身力」を持つ企業。祖業の繊維は売上の4%以下まで縮小し、変革は本物です。
防災行政無線、ダム・河川の水位監視、消防・救急の指令システムなど、日本の安全を支える無線通信インフラの要。日立国際電気の加入でさらに基盤を強化しました。
環境規制が厳しくなる北米市場で他社に先駆けて銅フリー摩擦材の量産化に成功。自動車の環境対応で世界をリードするモノづくり技術を持っています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 30円 | 44.2% |
| FY2017/3 | 30円 | 133.2% |
| FY2018/3 | 30円 | 0.2% |
| FY2019/3 | 30円 | 0.2% |
| FY2020/3 | 30円 | 36.9% |
| FY2021/3 | 30円 | 20.1% |
| FY2022/3 | 34円 | 28.1% |
| FY2023/3 | 36円 | 0.2% |
| FY2024/3 | 36円 | 55.0% |
| FY2025/3 | 36円 | 40.4% |
| 必要株数 | 1000株以上(約151万円) |
| 金額相当 | 約3,000円相当 |
| 権利確定月 | 12月 |
FY2021/12の30円からFY2023/12以降は年間36円を下限とする配当方針を掲げ、FY2023/12期の最終赤字時も減配せず配当を維持。FY2026/12期もEPS64円の計画に対し36円配当(配当性向56%)を予定しています。株主優待は1,000株以上(約151万円)が必要なため、利回り面での恩恵を受けるにはまとまった投資が必要です。
同業比較(収益性)
電気機器の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2023/12期はTMD社(欧州ブレーキ事業)の減損損失等により最終赤字200億円に転落しましたが、FY2024/12期に黒字復帰。FY2025/12期は無線・通信事業の好調により営業利益264億円と前期比59.2%の大幅増益を達成しました。FY2026/12期は売上高5,110億円、最終利益100億円を計画していますが、マイクロデバイス事業の構造改革費用を織り込んだ保守的な見通しとなっています。
事業ごとの売上・利益
日本無線・日立国際電気を傘下に持つ成長の柱。防災無線・河川監視等のインフラ向け。
アナログ半導体・MEMS。新日本無線・リコー電子デバイスが中核。構造改革中。
摩擦材で世界トップクラス。銅フリー製品で環境規制対応をリード。
繊維機械・工作機械等。ニッチ市場で高収益を維持。
燃料電池用カーボンセパレータ、断熱材等の機能化学品。
シャツ地「アポロコット」等。かつての祖業だが現在は縮小。
工場跡地の再開発。利益率が高く、グループの収益を下支え。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 14.8% | 4.1% | - |
| FY2022/3 | 7.3% | 3.2% | - |
| FY2023/3 | -31.0% | -3.0% | - |
| FY2024/3 | 9.5% | 1.5% | 3.4% |
| FY2025/3 | 15.6% | 2.1% | 5.3% |
FY2023/12期はTMD社の減損損失によりROEがマイナスに転落しましたが、FY2025/12期には営業利益率5.3%、ROE4.4%まで回復。ただし、コングロマリットとしてはROEが依然として低水準であり、PBR0.82倍と解散価値を下回る評価を受けています。中期計画では資本効率の改善も課題として掲げられており、事業ポートフォリオの最適化による収益性向上が急務です。
財務は安全?
自己資本比率はFY2023/12期にTMD減損で37.3%に低下しましたが、FY2025/12期には43.0%へ回復。BPSは1,839.5円と着実に純資産を積み上げています。有利子負債はFY2024/12期の5,806億円からFY2025/12期には4,973億円へ削減。D/Eレシオ0.7倍以下を目標とする中期計画に沿って財務健全化が進んでいます。PBR0.82倍は株価がBPSを下回っている状態であり、資産価値面では割安と言えます。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 398億円 | -168億円 | -308億円 | 231億円 |
| FY2022/3 | 196億円 | -117億円 | -88.9億円 | 78.9億円 |
| FY2023/3 | 235億円 | -465億円 | 254億円 | -230億円 |
| FY2024/3 | 284億円 | -209億円 | -87.5億円 | 75.1億円 |
| FY2025/3 | 493億円 | -108億円 | -462億円 | 385億円 |
営業CFは5年間プラスを維持し、FY2025/12期には493億円と過去最高水準を記録。FY2023/12期は日立国際電気の子会社化(約370億円)により投資CFが大きくマイナスとなりFCFは赤字でしたが、FY2025/12期にはFCF384億円と大幅黒字に転換。財務CFで有利子負債の削減(462億円)も進めており、投資と財務健全化のバランスが取れた良好なキャッシュフロー構造です。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 254億円 | 5.4億円 | 2.1% |
| FY2022/3 | 204億円 | 6.6億円 | 3.2% |
| FY2023/3 | 158億円 | 358億円 | 227.0% |
| FY2024/3 | 244億円 | 141億円 | 57.9% |
| FY2025/3 | 293億円 | 154億円 | 52.5% |
FY2021/12〜FY2022/12期は繰延税金資産の取崩等により実効税率が極めて低い水準でしたが、FY2023/12期にはTMD社減損に伴う税金費用が膨らみ実効税率が227%に急騰。FY2024/12期以降は50%台で推移しており、海外子会社の税率差異や構造改革費用の影響で標準法定税率(約30%)を上回る状態が続いています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 759万円 | 17,811人 | - |
平均年収715万円は電気機器業界の中堅水準。連結従業員数は約17,800名(単体236名の持株会社体制)。平均年齢42.3歳、平均勤続年数17.3年と長期安定雇用が特徴です。なお、マイクロデバイス事業の構造改革に伴い、今後の従業員数は減少傾向が見込まれます。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主は日清紡績取引先持株会氏・日清紡グループ従業員持株会氏・富国生命保険相互会社。
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(14.9%)で、機関投資家中心の構成。帝人・四国化成HD・日本毛織など事業法人の保有が特徴的で、取引関係に基づく政策保有の側面があります。従業員持株会と取引先持株会を合わせて約2.6%と、社内外のステークホルダーの株式保有も一定程度存在。外国人比率22.4%はプライム市場の中型株としては標準的な水準です。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 無線・通信 | 約1,700億円 | 約150億円 | 8.8% |
| マイクロデバイス | 約600億円 | 約10億円 | 1.7% |
| ブレーキ | 約1,600億円 | 約50億円 | 3.1% |
| 精密機器 | 約350億円 | 約30億円 | 8.6% |
| 化学品 | 約350億円 | 約20億円 | 5.7% |
| 繊維 | 約200億円 | 約5億円 | 2.5% |
| 不動産 | 約200億円 | 約35億円 | 17.5% |
7つの事業セグメントを持つ典型的なコングロマリット。無線・通信事業が売上・利益ともに最大で成長ドライバーとして期待されています。マイクロデバイス事業は利益率が低く構造改革が急務。不動産事業は利益率17.5%と高収益ですが、工場跡地の売却が一巡すれば縮小が見込まれます。事業間のシナジーが限定的で「コングロマリット・ディスカウント」がPBR1倍割れの一因となっています。
この会社のガバナンスは?
取締役13名中女性3名(23%)はプライム市場の中型株として良好な水準。連結子会社87社を擁するグループ経営体制で、設備投資は年間279億円規模。役員報酬は6名で1億7,800万円と同規模企業比では抑制的。2025年3月には社長が石井靖二氏に交代し、新体制でエレクトロニクス企業への変革をさらに推進しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 197億円 | — | 166億円 | -15.9% |
| FY2025 | 197億円 | — | 264億円 | +34.0% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2024年2月に公表した「中期経営計画2026」では、売上高5,800億円を目標に掲げています。初年度のFY2024/12期は計画を下回りましたが、FY2025/12期は無線・通信事業の好調で営業利益が当初計画を34%上振れしました。ただし、FY2026/12期はマイクロデバイス事業の構造改革費用を織り込み、経常利益27%減の保守的な計画を発表。売上高目標の達成にはM&Aや新規事業の寄与が必要な状況です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年のTSRは102.1%とプラスリターンではあるものの、TOPIXの182.5%を大きく下回るアンダーパフォーム。FY2023/12期のTMD減損による最終赤字や、コングロマリット・ディスカウントが株価の重荷となりました。ただし、FY2025/12期に株価が急上昇した結果、直近1年ではTOPIXをアウトパフォームしており、構造改革への期待が高まっています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 74.8万円 | -25.2万円 | -25.2% |
| FY2022 | 89.5万円 | -10.5万円 | -10.5% |
| FY2023 | 102.2万円 | +2.2万円 | 2.2% |
| FY2024 | 122.1万円 | +22.1万円 | 22.1% |
| FY2025 | 102.1万円 | +2.1万円 | 2.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PBR0.82倍は電気機器業種の平均(約1.5倍)を大幅に下回っており、事業の複雑さ(コングロマリット・ディスカウント)が評価のネックとなっています。一方、PER23.6倍はやや割高で、今期減益見通しが織り込まれている面があります。配当利回り2.38%は業界平均を上回り、信用倍率1.57倍と買い残がやや優勢ですが均衡に近い需給状況です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/12期の連結営業利益は前期比59.2%増の264億円と大幅回復。一方、FY2026/12期は経常利益27%減の215億円と慎重な見通しを発表。
マイクロデバイス事業の半導体子会社で早期退職を募集。在籍者の約2割にあたる560人が対象で、約60億円の特別損失を計上予定。
無線・通信事業を中心に3子会社のR&D部門を融合。エレクトロニクス企業への変身を加速させる体制再編を実施。
日本出版販売と「City Farming事業」の業務提携契約を締結。植物工場技術を活用した新事業領域への展開を推進。
最新ニュース
日清紡ホールディングス まとめ
ひとめ診断
「繊維から無線・半導体へ、大変身を遂げたモノづくりコングロマリット」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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