不二製油
FUJI OIL CO.,LTD.
最終更新日: 2026年3月22日
カカオもダシも「置き換える」。食品素材の力で世界の食を変える最後発からの挑戦者
植物性素材の力で、おいしさと健康、そしてサステナビリティを両立する食の未来を創造する。
この会社ってなに?
コンビニのチョコレート菓子、パン屋のクロワッサン、ファミレスのホイップクリーム――あなたの日常の食シーンには、不二製油の素材が数多く使われています。バレンタインのチョコレートに欠かせないカカオバター代用脂(CBE)では世界トップクラスのシェアを誇り、近年注目される大豆ミートの原料も国内シェアNo.1。「BtoB企業」のため消費者には見えにくいものの、日本の食卓を縁の下で支える「食のインフラ企業」なのです。
不二製油は植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4事業を世界16カ国で展開する食品素材メーカーです。FY2025/3は売上高6,712億円(+19.0%)と大幅増収を達成した一方、カカオ豆の国際価格急騰に伴うデリバティブ評価損や為替差損が響き、営業利益98億円(-45.7%)、純利益22億円と大幅減益となりました。しかしFY2026/3の3Q累計では事業利益が前年同期比10倍超の275億円と急回復しており、通期では純利益165億円(約7.4倍)を見込んでいます。2025年8月に発表した中期経営計画「United for Growth 2027」では、FY2028/3に事業利益450億円(FY2025/3実績の3.4倍)、ROE10%以上を目標に掲げています。
会社概要
- 業種
- 食料品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 大阪府泉佐野市住吉町1番地
- 公式
- www.fujioil.co.jp
社長プロフィール
私たちは『人と同じでは生き残れない』という創業の精神のもと、植物性素材で食の可能性を広げる挑戦を続けています。カカオバター代用脂や大豆ミート、植物性出汁など、独自の技術で食の課題解決に貢献し、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
この会社のストーリー
製油業界の最後発として大阪で創業。先発企業との差別化を図るべく、独自の油脂技術の開発に注力しました。
カカオバターの代替となるCBE(カカオバター代用脂)の開発に成功。この技術が後の世界的競争力の礎となりました。
北米最大の業務用チョコレートメーカーBlommer社を約800億円で買収。一気に世界3位のチョコレートメーカーへ飛躍しましたが、統合に苦戦する試練の始まりでもありました。
カカオ豆の国際価格が過去最高を記録する中、代替脂であるCBEの需要が急拡大。逆風を追い風に変え、事業利益は急回復を遂げました。
中計「United for Growth 2027」のもと、CBEの競争力強化と植物性食品事業の拡大で、創業以来最大の利益水準を目指します。
注目ポイント
カカオバターの代替脂(CBE)で世界トップクラスのシェア。カカオ豆の価格が高騰するほど代替脂の需要が増え、業績にプラスに働く他社にはないポジショニングが最大の強みです。
大豆たん白素材で国内シェアNo.1。植物性出汁「MIRACORE」は宗教的・文化的制約のある地域への日本食輸出を可能にする技術として注目を集めています。
伊藤忠グループが約44%を保有し安定した経営基盤を確保。新中計では事業利益3.4倍という野心的な目標を掲げ、安定性と成長性の両立を目指しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 35円 | 32.6% |
| FY2017/3 | 44円 | 31.2% |
| FY2018/3 | 48円 | 30.0% |
| FY2019/3 | 50円 | 37.1% |
| FY2020/3 | 56円 | 29.4% |
| FY2021/3 | 52円 | 40.6% |
| FY2022/3 | 52円 | 38.9% |
| FY2023/3 | 52円 | 73.0% |
| FY2024/3 | 52円 | 68.5% |
| FY2025/3 | 52円 | 200.4% |
| 必要株数 | 100株以上(約35万円) |
| 金額相当 | 約1,000円相当 |
| 権利確定月 | 3月 |
| 長期特典 | 200株以上で3,000円相当、1,000株以上で4,500円相当にグレードアップ |
不二製油は1株52円の安定配当を5年間継続しており、増減配を行わない堅実な配当方針を採っています。FY2025/3は大幅減益で配当性向が200%を超えましたが、配当を維持した点は安定配当への経営陣の姿勢を示しています。株主優待は自社関連商品(チョコレートや大豆加工食品)の詰合せで、保有株数に応じてグレードアップする仕組みです。
同業比較(収益性)
食料品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2025/3は売上高6,712億円と過去最高を更新しましたが、カカオ豆のデリバティブ評価損や為替差損が重なり営業利益は98億円(-45.7%)と大幅減益に。しかしFY2026/3はカカオ豆高騰の恩恵によるチョコレート用油脂(CBE)の需要急拡大が寄与し、純利益165億円(約7.4倍)への急回復を見込んでいます。3Q累計の進捗率は良好で、通期達成の蓋然性は高い状況です。
事業ごとの売上・利益
チョコレート用油脂(CBE)が主力。カカオバターの代替脂としてカカオ豆高騰時に需要が急拡大。パーム油・ヒマワリ油も取扱い
世界シェア3位。2019年に米Blommer社を買収しグローバル展開を加速。コンパウンドチョコレートの拡販に注力
ホイップクリーム、マーガリン等の業務用素材。発酵技術を活かしたチーズ風味素材など高付加価値品を開発中
大豆たん白素材で国内シェアNo.1。大豆ミート原料の需要拡大が追い風。植物性だし「MIRACORE」も展開
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 2.4% | 3.1% | - |
| FY2022/3 | 2.0% | 2.8% | - |
| FY2023/3 | 1.4% | 1.3% | - |
| FY2024/3 | -4.5% | 1.4% | 3.2% |
| FY2025/3 | -31.5% | 0.4% | 1.5% |
収益性はFY2025/3に大きく低下し、ROE1.0%、営業利益率1.5%と低水準にとどまりました。これはカカオ豆のデリバティブ評価損という一時的要因が主因です。FY2026/3は事業利益率の回復によりROE7.5%(予想)への改善が見込まれており、新中計では最終年度にROE10%以上を目指しています。中長期的には植物性油脂のプレミアム戦略による利益率改善が鍵を握ります。
財務は安全?
FY2025/3は総資産が前期比+1,263億円と大幅に増加し、自己資本比率は35.3%に低下しました。有利子負債は6,516億円と急増していますが、これは2019年に買収した米国Blommer社の統合深化や在庫調達拡大に伴うものです。純資産は2,145億円を維持しており、BPS2,448円に対し株価3,507円でPBR1.43倍の水準。新中計では運転資本の最適化と有利子負債の削減を掲げています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 382億円 | -174億円 | -199億円 | 208億円 |
| FY2022/3 | 35.4億円 | -188億円 | 93.9億円 | -153億円 |
| FY2023/3 | 75.9億円 | -165億円 | 98.0億円 | -88.9億円 |
| FY2024/3 | 482億円 | 88.0億円 | -500億円 | 570億円 |
| FY2025/3 | -506億円 | -217億円 | 1,149億円 | -724億円 |
キャッシュフローは年度によって大きく変動しています。FY2025/3は営業CFが-506億円と大幅なマイナスに転じましたが、これはカカオ豆在庫の積み増しや運転資本の増加が主因。財務CFの+1,149億円で資金を調達しています。一方FY2024/3は営業CF482億円、FCF570億円と健全な水準でした。新中計では運転資本の最適化によるキャッシュフロー改善を重点施策に掲げています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 176億円 | 65.5億円 | 37.3% |
| FY2022/3 | 144億円 | 28.6億円 | 19.9% |
| FY2023/3 | 96.9億円 | 35.6億円 | 36.8% |
| FY2024/3 | 168億円 | 103億円 | 61.1% |
| FY2025/3 | 53.0億円 | 30.7億円 | 58.0% |
実効税率は年度によって大きくばらつきがあります。FY2022/3の19.9%は繰延税金資産の計上が寄与した一方、FY2024/3の61.1%やFY2025/3の58.0%は海外子会社の税務調整やのれん減損に伴う税効果の限定が影響しています。グローバル展開に伴い各国の税制の違いが実効税率の変動要因となっている点に留意が必要です。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 995万円 | 5,654人 | - |
単体従業員数は1,456名、連結では約5,654名の体制です。平均年収は約995万円で食品メーカーとしては高水準。平均勤続年数15年と定着率が高く、伊藤忠グループの一員として安定した雇用環境を提供しています。BtoB事業の専門性が高い人材を長期的に育成する方針が窺えます。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は不二製油取引先持株会氏。
伊藤忠フードインベストメントが42.59%を保有する筆頭株主で、伊藤忠商事本体の1.33%と合わせると伊藤忠グループで約44%を占めます。1950年に伊藤忠商事の全額出資で設立された経緯があり、現在も親子上場の関係が継続。事業法人比率50.5%と極めて高く、安定した経営基盤が特徴です。ノルウェー政府年金基金(GPIF)も上位株主に名を連ねています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 植物性油脂 | 約2,800億円 | 約70億円 | 2.5% |
| 業務用チョコレート | 約1,600億円 | 約75億円 | 4.7% |
| 乳化・発酵素材 | 約1,200億円 | 約50億円 | 4.2% |
| 大豆加工素材 | 約500億円 | 約20億円 | 4.0% |
収益構造は4事業セグメントに分かれ、植物性油脂と業務用チョコレートの2本柱で売上の約65%を占めます。特にチョコレート用油脂(CBE)はカカオ豆価格の高騰時に代替需要が急拡大するユニークなビジネスモデルを持ち、FY2026/3の業績急回復の主因となっています。大豆加工素材は規模は小さいものの、プラントベースフードの世界的潮流を捉えた成長事業として注目されています。
この会社のガバナンスは?
取締役11名中女性は2名(18.2%)と改善傾向にあります。代表取締役社長CEOは大森達司氏。連結子会社は38社と、16カ国にまたがるグローバル体制を構築しています。設備投資は257.4億円と食品メーカーとしては大規模で、生産拠点の拡充とCBE増産体制の整備に充てられています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 6,000億円 | — | 5,641億円 | -5.9% |
| FY2025 | 6,000億円 | — | 6,712億円 | +11.9% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024 | 200億円 | — | 182億円 | -8.9% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 100億円 | — | 22億円 | -77.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
旧中期経営計画「Reborn 2024」はカカオ豆の国際価格急騰というかつてない外部環境の変化に直面し、最終年度のKPIは大幅未達に終わりました。一方、新中計「United for Growth 2027」ではCBE(カカオバター代用脂)の競争力強化を軸に事業利益450億円という野心的な目標を掲げています。初年度は3Q累計で大幅増益を達成しており、計画の実現可能性に対する市場の信頼は高まっています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
過去5年間のTSR(株主総利回り)は127.4%で、TOPIXの213.4%を約86ポイント下回るアンダーパフォームとなっています。FY2022-FY2023にかけて80%を割り込むほど低迷した時期がありましたが、足元では回復基調。カカオ豆高騰を追い風とした業績急回復と中計の意欲的な目標が評価され始めており、今後のTSR改善が期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 115.2万円 | +15.2万円 | 15.2% |
| FY2022 | 79.9万円 | -20.1万円 | -20.1% |
| FY2023 | 79.7万円 | -20.3万円 | -20.3% |
| FY2024 | 99.6万円 | -0.4万円 | -0.4% |
| FY2025 | 127.4万円 | +27.4万円 | 27.4% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER18.3倍は食料品セクター平均(19.1倍)をやや下回る水準で、割安感が出始めている状況です。PBR1.43倍もセクター平均並み。信用倍率3.91倍と買い残がやや多い状態ですが、中期経営計画の進捗が良好なため、業績回復への期待が買い残の背景にあると推察されます。時価総額は食料品セクターの中央値を上回る規模で、業種内では大型株に位置します。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
FY2025/3期の本決算を発表。売上高6,712億円(+19.0%)と大幅増収ながら、カカオ豆デリバティブ評価損や為替差損が響き純利益は22億円(-65.8%)と大幅減益。
新中期経営計画「United for Growth 2027」を発表。FY2028/3に事業利益450億円(FY2025/3実績の3.4倍)、ROE10%以上を目標に掲げ、株価は6年3カ月ぶりの高値を更新。
上期決算で最終利益が前年同期比4.3倍増益で着地。チョコレート用油脂(CBE)の需要拡大とカカオ豆高騰の恩恵が収益を押し上げた。
3Q累計で売上高5,828億円(+18.5%)、事業利益275億円(前年同期は23億円)と大幅増収増益。チョコ用油脂の販売が引き続き好調。通期純利益165億円の見通しを維持。
最新ニュース
不二製油 まとめ
ひとめ診断
植物性油脂と業務用チョコレートで世界3位、カカオ豆高騰を追い風に中計で事業利益3倍超を目指す伊藤忠系食品素材メーカー
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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