JUMP

エムスリー2413

M3, Inc.

プライムUpdated 2026/07/09
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どんな会社?

事業内容や経営者、企業の魅力をひと目でつかむ

ひとめ診断

業績
好調
営業益 前年比↑(FY2026/3は売上3,514億円と過去最高。ただし過去最高は売上のみで、営業利益735億円・純利益491億円はコロナ特需のFY2022ピークに未回復。)
配当
少なめ
1株 22円(FY2026/3は22円へ増配(性向30.3%)だがFY24→25は据置で連続増配ではない。FY2027予は未定だが総額200億円の自己株取得で還元。)
安全性
安定
自己資本比率 64.0%(FY2026/3末時点)(自己資本比率64.0%と高水準だが、大型M&Aで有利子負債は0円(FY2022)から331億円へ増え実質無借金ではない。現金1,562億円で財務は安定。)
稼ぐ力
高い
ROE 12.5%(FY2026/3実績)(ROEは有報公式で12.5%と前期11.1%から改善したが、コロナ特需FY2022の27.9%から低下。営業利益率もM&Aで45.7→20.9%へ希薄化。)
話題性
普通
ポジ 38%(業績は増収増益で利益は会社の期初予想を上回ったが、コロナ特需一巡後の成長鈍化懸念で株価は2021年高値から下落し、事業の堅調さと市場評価の乖離が続く。)

この会社ってなに?

病院で先生が向かう電子カルテ、あなたが飲む新薬の情報を医師に届ける仕組み、勤め先の福利厚生サービス——その裏側に、エムスリーがいるかもしれません。エムスリーは、国内の医師の大半にあたる35万人以上が使う医療サイト「m3.com」を軸に、製薬会社の情報提供、治験、医師の転職、電子カルテやAI、患者さんのケアまで、医療のあらゆる場面をデジタルで支えています。普段その名前を目にすることは少なくても、より良い医療を、より効率的に届けるための土台をつくっている会社です。

エムスリーは、国内医師の大半にあたる35万人以上が使う医療従事者専門サイト『m3.com』を基盤に、製薬企業のマーケティング支援、治験支援、医師・薬剤師の人材紹介、電子カルテ・医療AI、患者サポートなどを国内外で展開する医療プラットフォーマーです。世界では700万人超の医師ネットワークを持ちます。2026/03期は、エラン(患者サポート)やイーウェル(福利厚生)の子会社化も寄与し売上収益3,514億円(前期比23.3%増)と過去最高を更新しました。ただし過去最高は売上収益のみで、営業利益735億円はコロナ特需の2022期ピーク951億円に届かず、親会社帰属利益491億円・EPS72.5円も2022期を下回ります。M&Aで規模を追う一方、営業利益率は45.7%(2022期)→20.9%へ低下。『増収でも利益は最高益に未回復』が、株価を2021年比-77.5%(TOPIXは+102%)と切り下げた背景です。筆頭株主はソニーグループ(34.5%)。

サービス業プライム市場

注目ポイント

国内医師の大半を押さえる圧倒的な会員基盤

医療従事者専門サイト「m3.com」の国内医師会員は35万人以上、世界では700万人超の医師ネットワークを持ちます。他社が容易に真似できないこの基盤が、製薬マーケティング支援など高収益事業の源泉です。

製薬・治験・人材・医療DX・患者ケアの多角展開とM&A

7つのセグメントで医療周辺を幅広くカバーし、エラン・イーウェル等のM&Aで領域を拡大。売上収益は2026期に3,514億円と過去最高を更新しました。ただし規模拡大に伴い営業利益率は低下しており、増収に見合う利益成長の回復が課題です。

ソニーグループを筆頭株主とする基盤と、株価の再評価余地

筆頭株主はソニーグループ(34.5%)で、創業者の谷村CEOも2.9%を保有します。自己資本比率64%と財務は健全(ただし近年はM&Aで有利子負債が増加)。コロナ特需一巡で株価は2021年比-77.5%と大きく下落しており、成長期待の再構築が投資判断の焦点です。

会社概要

業種
サービス業
決算期
3月
公式
corporate.m3.com

サービスの実績は?

3,514億円
売上収益(2026/03期)
前期比+23.3%・過去最高を更新
エラン・イーウェル買収も寄与
735億円
営業利益(2026/03期)
前期比+16.8%だが2022期ピーク951億円に未回復
営業利益率は45.7%→20.9%へ低下
35万人
国内医師会員数(m3.com)
日本の医師の大半が登録・世界では700万人超
圧倒的な会員基盤
12.5%
ROE(2026/03期)
前期11.1%から改善・2022期は27.9%
自己資本比率64.0%
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なぜ伸びるの?

売上・利益・成長性の数字から、稼ぐ力を読み解く

事業ごとの売上・利益

メディカルプラットフォーム
1,078億円30.3%)
エビデンスソリューション
245億円6.9%)
キャリアソリューション
228億円6.4%)
サイトソリューション
544億円15.3%)
ペイシェントソリューション
569億円16.0%)
海外
869億円24.4%)
その他エマージング事業群
22億円0.6%)
メディカルプラットフォーム1,078億円
利益: 359億円利益率: 33.3%

「m3.com」上の「MR君」等の製薬マーケティング支援、電子カルテ・医療AI、開業医向け支援等。売上最大セグメントで前期比+17.8%。イーウェル(2025年4月)の子会社化も寄与したが、医療機関支援で減損を計上し利益は+5.3%にとどまった。

エビデンスソリューション245億円
利益: 51億円利益率: 20.9%

臨床開発を支援するCRO・SMO・PRO事業。コロナ関連治験の減少影響が縮小し、相対的に収益性の高い案件が寄与して増収(+1.1%)かつ利益率が改善(利益+17.8%)

キャリアソリューション228億円
利益: 59億円利益率: 26.0%

エムスリーキャリアによる医師・薬剤師向けの求人求職支援。求人求職サービスが堅調に推移し、売上+9.0%・利益+4.8%。

サイトソリューション544億円
利益: 58億円利益率: 10.6%

医療機関の運営支援、ホスピス・訪問看護等。ノアコンツェル(2024年10月)子会社化や不動産売却益14億円が寄与し売上+15.5%・利益+6.3%。利益率は相対的に低め

ペイシェントソリューション569億円
利益: 27億円利益率: 4.7%

入院患者・介護施設利用者向けのCS(ケア・サポート)セット等。エラン(2024年10月TOB)子会社化で新設され、前期比+159.5%と急拡大。ただし利益率は低い。

海外869億円
利益: 149億円利益率: 17.1%

世界700万人超の医師基盤を活かしたグローバル調査・製薬支援、欧州VIDAL、北米治験等。米ワクチン関連の政策影響で減収要因もあったが欧州・買収で増収(+7.9%)、北米治験・英キャリアの減損計上で利益は横ばい(+1.0%)。

その他エマージング事業群22億円
利益: 49億円利益率:

AskDoctorsや教育事業等の新規事業群。関連会社株式の売却益41億円を計上した一時要因で利益が売上を上回り、利益は+386.5%となった(利益率は実態を表さない)。

稼ぐ力はどのくらい?

効率よく稼いでいます

FY2026/3実績

ROE
12.5%
株主資本の利回り
ROA
8.1%
総資産の活用度
Op. Margin
20.9%
営業利益率
会計期ROEROA営業利益率
2022/03期27.9%18.5%45.7%
2023/03期17.5%13.1%31.2%
2024/03期13.8%10.2%27.0%
2025/03期11.1%7.5%22.1%
2026/03期12.5%8.1%20.9%

ROEは有価証券報告書「主要な経営指標の推移」の公式値(期中平均自己資本ベース)を採用しています。コロナ特需に沸いた2022/03期の27.9%をピークに低下しましたが、2026/03期は12.5%と前期(11.1%)から改善しました。一方、営業利益率は2022/03期の45.7%から20.9%へ大きく低下しています。これはM&Aで売上規模を拡大する過程で、相対的に利益率の低いセグメント(ペイシェント・サイト等)や、のれん・無形資産の償却負担が増えたためです。稼ぐ力自体は高いものの、規模拡大に伴う利益率の希薄化が収益性の論点です。

儲かってるの?

順調に稼いでいます
会計期売上高営業利益当期純利益EPS増収率
2022/03期2,082億円951億円638億円94.1円
2023/03期2,308億円720億円490億円72.2円+10.9%
2024/03期2,389億円644億円453億円66.7円+3.5%
2025/03期2,849億円630億円405億円59.6円+19.3%
2026/03期3,514億円735億円491億円72.5円+23.3%

2026/03期は売上収益3,514億円(前期比23.3%増)と過去最高を更新しました。株式会社エラン(患者サポート)や株式会社イーウェル(福利厚生)の子会社化に加え、製薬マーケティング支援や医療DX支援が寄与しました。ただし過去最高は売上収益のみで、営業利益735億円(同16.8%増)はコロナ特需で膨らんだ2022/03期のピーク951億円に届かず、親会社所有者帰属の当期利益491億円・EPS72.5円も2022/03期(638億円・94.06円)を下回ります。M&Aで規模を追う一方、低採算事業や償却負担で営業利益率は45.7%(2022期)から20.9%へ低下しました。なお売上収益は会社の期初予想3,600億円に対しては-2.4%の未達です。2027/03期は売上収益4,000億円(+13.8%)・営業利益800億円(+8.8%)・親会社帰属当期利益530億円(+7.9%)を会社は見込みます(配当予想は未定)。(IFRS。当期利益は親会社所有者帰属ベース。2022期〜2024の営業利益は有報「主要な経営指標の推移」)

業績の推移

売上高(青)と営業利益(緑)の年度別の伸び。バーが右肩上がりなら成長中。

同業比較(収益性)

サービス業の同業他社平均と比べると…(自社は直近の年次実績で比較)

ROE(自社 FY2026/3上回る
この会社
12.5%
業界平均
11.1%
営業利益率(自社 FY2026/3上回る
この会社
20.9%
業界平均
9.6%
自己資本比率(自社 FY2026/3末上回る
この会社
64.0%
業界平均
53.5%
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将来どうなりそう?

公式情報・ニュース・メディアから今後を読み解く

会社の公式開示情報

役員報酬

3億5,000万円
5名の合計

事業別の稼ぎ

事業名売上利益利益率
メディカルプラットフォーム1,078億円359億円33.3%
エビデンスソリューション245億円51億円20.9%
キャリアソリューション228億円59億円26.0%
サイトソリューション544億円58億円10.6%
ペイシェントソリューション569億円27億円4.7%
海外869億円149億円17.1%
その他エマージング事業群22億円49億円

報告セグメントは7つです。売上・利益とも最大はメディカルプラットフォーム(売上1,078億円・利益359億円)で、製薬マーケティング支援や医療DXが柱。次いで海外(869億円)が世界700万医師の基盤を活かして稼ぎます。ペイシェントソリューション(569億円)はエランの子会社化で前期比+159.5%と急拡大しました。一方、サイト(544億円)やペイシェント(569億円)は利益率が相対的に低く、M&Aによる規模拡大が全社の営業利益率低下の一因です。「その他エマージング」は関連会社株式の売却益で利益が膨らんでいます。

会社の計画は順調?

B
総合評価
M&Aによる増収は力強いが、2026期は売上が自社の期初予想を下回り、利益もコロナ特需の2022期ピークに未回復。市場は成長鈍化を織り込む。

※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません

エムスリーは事業環境の変化が速いことを理由に、複数年の中期経営計画は公表しておらず、単年度の通期業績ガイダンスで運営している。2026/03期は営業利益が期初予想700億円を上回り(735億円)、親会社帰属当期利益も会社予想450億円を上回った(491億円)一方、売上収益は期初予想3,600億円に対し3,514億円と-2.4%の未達だった。2027/03期は売上4,000億円・営業利益800億円・親会社帰属当期利益530億円の増収増益を見込むが、配当予想は未定としている。
FY2026/3 通期業績ガイダンス(達成度)
2026/03期(2025年5月公表・期中据置)
売上収益: 目標 3,600億円(+26.4%) 未達 (実績3,514億円(+23.3%))
98%
営業利益: 目標 700億円(+11.2%) 達成 (実績735億円(+16.8%))
105%
FY2027/3 通期業績ガイダンス(進行中)
2027/03期(2026年5月1日公表)
売上収益: 目標 4,000億円(+13.8%) 進行中 (期初・進行中)
営業利益: 目標 800億円(+8.8%) 進行中 (期初・進行中)
親会社帰属当期利益: 目標 530億円(+7.9%) 進行中 (期初・進行中)

年度別の予想精度(計画を守れてる?)

売上収益
年度当初予想修正予想実績乖離
2026/03期3,600億円3,514億円-2.4%
営業利益
年度当初予想修正予想実績乖離
2026/03期700億円735億円+5.1%
親会社帰属当期利益
年度当初予想修正予想実績乖離
2026/03期450億円491億円+9.1%

当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)

エムスリーは変化の速い事業環境を理由に複数年の中期経営計画を公表しておらず、単年度の通期ガイダンスで運営しています。2026/03期は営業利益は期初予想700億円を上回った(735億円)一方、売上収益は期初予想3,600億円を-2.4%下回りました(3,514億円)。M&Aで売上規模は着実に拡大するものの、当初の高い成長目標には届きませんでした(もっとも営業利益・親会社帰属当期利益は会社予想を上回りました)。2027/03期は売上4,000億円・営業利益800億円・親会社帰属当期利益530億円の増収増益見通しですが、配当予想は「未定」としています。

最新ニュース

中立
2026期は営業利益・純利益とも会社計画を超過、売上は計画を小幅未達 成長鈍化への警戒は残る
5/2 · 報道
ポジティブ
自己株式取得を決議 200億円・2,000万株(発行済の3.00%)を上限、取得期間2026年5月〜2027年4月
5/1 · 適時開示
中立
2027/03期予想を開示 売上4,000億円(+13.8%)・営業利益800億円、配当予想は未定
5/1 · 適時開示
中立
2026/03期本決算 売上収益3,514億円と過去最高(+23.3%)、営業利益735億円(+16.8%)
5/1 · 適時開示

どんな話題が多い?

決算・業績34%
M&A・買収(エラン/イーウェル)22%
医療DX・AI・m3.com18%
株価・市場評価16%
業界・その他10%

メディアでどれくらい注目されてる?

報道のトーンは「中立
報道件数(30日)
418
前月比 +22.5%
メディア数
86
日本経済新聞, 日経ビジネス, 東洋経済, ダイヤモンド, 株探
業界内ランキング
上位 5%
サービス業 480社中 22位
報道のトーン
38%
好意的
42%
中立
20%
否定的

メディア露出

メディア分布

競合比較

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この会社のストーリー

創業から現在までの歩みと、代表者の姿

創業ストーリー

2000
エムスリー創業

マッキンゼー出身の谷村格氏が、インターネットで医療を変えることを目指してソネット・エムスリーを設立。医療従事者向けサイト「m3.com」の運営を開始しました。

2004
東証マザーズ上場

製薬企業向けのデジタルマーケティング支援が急拡大し、創業からわずか約4年で株式上場を果たしました。

2020
コロナ特需と株価ピーク

コロナ禍で製薬のデジタルマーケティング需要が急増。営業利益は2022期に951億円のピークを付け、株価も史上最高値圏まで上昇しました。

2022
特需一巡・成長鈍化

コロナ特需が一巡して利益成長が鈍化。高かった株価マルチプルが切り下がり、株価は大きく調整する局面に入りました。

2024
大型M&Aで領域拡大

エラン(患者サポート)やイーウェル(福利厚生)を子会社化し、事業領域を拡大。売上は過去最高を更新する一方、利益率と財務レバレッジは変化しました。

現在
医療DX・AI・グローバルで再成長へ

電子カルテ・医療AI・グローバル調査を軸に、増収に見合う利益成長の回復と、成長期待の再構築を目指しています。

出来事の年表

2026年7月市場評価

2021年のコロナ高値圏(2021期末7,239円)から大きく水準を切り下げた局面が続く。直近5年の配当込みリターンは-77.5%とTOPIX(+102%)を大幅にアンダーパフォーム。業績は堅調だが、成長期待の剥落を映した株価水準にある。

2026年5月本決算

2026/03期本決算を発表(5月1日)。売上収益3,514億円(+23.3%)と過去最高だが、営業利益735億円は2022期ピーク951億円に未回復。売上収益は会社の期初予想3,600億円を小幅下回った(営業利益・純利益は会社予想を超過)。2027期予想は売上4,000億円・営業利益800億円、配当予想は未定。同日、総額200億円・発行済株式の3.00%(2,000万株)を上限とする自己株式取得も決議(東証の資本コスト重視要請も背景)。

2025年4月M&A

福利厚生サービスの株式会社イーウェルを子会社化。健康維持を狙う「ホワイト・ジャック・プロジェクト」の一環で、メディカルプラットフォームに寄与。M&Aによる領域拡大を継続している。

2024年10月M&A

患者サポートの株式会社エランをTOBで子会社化し、新セグメント「ペイシェントソリューション」を新設。買収資金の調達で有利子負債が増加した。

代表者プロフィール

谷村 格
代表取締役 兼 CEO
マッキンゼー出身。データとテクノロジーで医療課題に挑むビジョナリー
私たちは『インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を一人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと』をミッションに掲げてきました。医師35万人の会員基盤とテクノロジー、そしてグローバルなネットワークを掛け合わせ、製薬・医療機関・患者のあらゆる場面で医療の変革を進めます。M&Aも活用しながら事業領域を広げ、世界の医療に貢献し続けます。
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安心して投資できる?

財務・透明性・株主構成・リスクを点検

財務は安全?

財務は安定しています
自己資本比率FY2026/3末時点)64.0%
0%30% (注意ライン)50% (安全ライン)100%

※ 有利子負債・純資産はいずれもFY2026/3末時点

Interest-bearing Debt
331億円
借金(有利子負債)
Net Assets
4,082億円
会社の純資産

自己資本比率は64.0%(2026/03期)と高水準を保っていますが、かつての70%超からは低下しています。これはエラン・イーウェル等の大型M&Aに伴い、有利子負債が2022/03期の実質ゼロから2024/03期に185億円、2026/03期には331億円へ増加し、総資産も6,374億円へ膨らんだためです。実質無借金ではない点に留意が必要です。もっとも現金及び現金同等物1,562億円を抱え、財務基盤は安定しています。BPS(1株純資産)は611.63円(2026/03期)で、これに対するPBRは約3.1倍です。

お金の流れは?

健全なお金の流れです
Operating CF
+703億円
本業で稼いだお金
Investing CF
-159億円
投資に使ったお金
Financing CF
-355億円
借入・返済など
Free CF
+544億円
手元に残ったお金
会計期営業CF投資CF財務CFFCF
2022/03期521億円▲234億円▲164億円287億円
2023/03期571億円▲219億円▲228億円352億円
2024/03期583億円▲395億円94.3億円188億円
2025/03期517億円▲391億円▲272億円126億円
2026/03期703億円▲159億円▲355億円544億円

本業で安定的にキャッシュを稼ぐ体質で、2026/03期の営業キャッシュ・フローは703億円(前期517億円)と拡大しました。投資CFは前期(エラン子会社化等で-391億円)から-159億円へ縮小し、フリー・キャッシュ・フローは544億円と大きく改善しました。財務CFは配当の支払や借入返済等で-355億円。近年はM&Aの活発化で投資CFが振れやすく、2024/03期は買収資金を借入で賄ったため財務CFがプラス(+94億円)となりました。(2022期〜2024のCFは億円単位の概算値)

この会社のガバナンスは?

役員構成(取締役 10名)
女性 4名(40.0% 男性 6
40%
60%
監査報酬
1億3,900万円
設備投資額
128.6億円
臨時従業員数
1426

代表者は代表取締役 兼 CEO の谷村格氏で、マッキンゼー出身の創業者です。エムスリーは監査等委員会設置会社で、取締役会は取締役10名(うち女性4名・女性比率40.0%)で構成されます。監査法人(PwC Japan有限責任監査法人)への監査報酬は1億3,900万円。役員報酬は取締役5名に対し総額3億5,000万円です。谷村CEOは現金報酬を抑える一方、発行済株式の2.9%(約1,950万株)を保有し、株主と利害を共有しています。

誰がこの会社の株を持ってる?

安定株主60.9%
浮動株39.1%
所有者別内訳(有価証券報告書)
金融機関23.2%
事業法人等34.8%
外国法人等29.7%
個人その他11.1%
証券会社1.1%

金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 事業法人の持合い比率が高く、安定した株主構成が特徴です。 主な安定株主は谷村氏・ソニーグループ。

ソニーグループ株式会社(230,458,000株)34.5%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)(97,441,000株)14.6%
株式会社日本カストディ銀行(信託口)(56,752,000株)8.5%
谷村 格(19,505,000株)2.9%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 みずほ銀行)(17,313,000株)2.6%
NORTHERN TRUST CO.(AVFC) SUB A/C AMERICAN CLIENTS(常任代理人 香港上海銀行)(15,644,000株)2.3%
CITIBANK, N.A.-NY, AS DEPOSITARY BANK FOR DEPOSITARY SHARE HOLDERS(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ)(13,400,000株)2%
OASIS JAPAN STRATEGIC FUND Y LTD.(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ)(8,463,000株)1.3%
OASIS JAPAN STRATEGIC FUND LTD.(常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ)(7,607,000株)1.1%
JP MORGAN CHASE BANK 385781(常任代理人 みずほ銀行)(6,738,000株)1%

筆頭株主はソニーグループ(34.5%)で、エムスリーはソニーグループの持分法適用関連会社です。ソネット(旧ソニーコミュニケーションネットワーク)との協業で2000年に設立された経緯があり、ソニーグループが安定株主の中核となっています。信託銀行(日本マスタートラスト14.6%・日本カストディ8.5%)は機関投資家の受け皿で、創業者で代表取締役兼CEOの谷村格氏も2.9%(約1,950万株)を保有します。上位にはオアシスなど外国系ファンドも並び、外国人比率は高めです。ソニーという強固な安定株主を持ちつつ、浮動株には海外機関投資家が多い構成です。

この会社のリスク

有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。

1のれん・無形資産等の非流動資産に係る減損リスク(大型M&Aを積極化しており、買収先の業績次第で減損損失が発生する可能性)
2医療制度改革・薬価改定など公的医療政策の変更による、製薬企業の販促費・研究開発費への影響
3個人情報・医療情報を含む大量のデータの管理と情報セキュリティに関するリスク
4海外事業(米国・欧州・アジア)における為替変動・規制・政策転換(米国のワクチン関連政策等)の影響
5医師会員基盤や主力サービスを取り巻く競争環境の変化

社員の給料はどのくらい?

平均年収
976万円
従業員数
750
平均年齢
34.8歳
平均年収従業員数前年比
2026/03期976万円750+4.9%

提出会社(単体)の平均年間給与は約976万円(9,759千円・前年比+4.9%)、平均年齢34.8歳・平均勤続4年6ヶ月です(2026/03期・有価証券報告書「従業員の状況」ベース)。エンジニアや企画人材を中心とした少数精鋭で、提出会社(単体)の従業員数は750名。一方、連結従業員数はM&Aを背景に前期の15,360名から17,010名へ拡大しました(買収前は約1万名規模)。表の給与・年齢・勤続の各数値は提出会社(単体)ベースで、17,010名は連結ベースです。

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株主リターン・投資成果

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平均よりも稼げてる?

この会社の株を持っていた場合のリターン(青)を、日本株全体の平均(TOPIX、灰)と比較。青い線が上にあれば、平均より良い成績です。

過去5年間(2021年3月末を100)の配当込みTSR(株主総利回り)は22.5(-77.5%)で、同期間のTOPIX(202.2・+102%)を大幅にアンダーパフォームしました。コロナ特需で株価が史上最高値圏(2021期末7,239円)まで買われた反動で、特需一巡後は成長鈍化懸念から高いマルチプル(PER)が切り下がり、2026期末(1,606円)まで水準を下げたためです。業績は増収増益を続けているものの、株式市場の評価は厳しい状態が続いています。(TSR・TOPIXは有価証券報告書「主要な経営指標の推移」の株主総利回り〈配当込み・会社公式値〉。3月決算のため各年3月末基準で、2026期末以降の株価回復は本チャートに未反映)

※ 配当を含む株主総利回り(TSR)ベースです。過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。

配当・優待はもらえる?

少しもらえます
1株配当(最新期)
22
方針: 配当は業績に応じた利益還元を基本とし、成長投資(M&A含む)とのバランスで決定。FY2026/3は1株22円(配当性向30.3%)。FY2027/3の配当予想は『未定』で、今後の資金需要動向とキャッシュ・フローの状況を勘案して決定する方針。
1株配当配当性向
2022/03期1617.0%
2023/03期1926.3%
2024/03期2131.5%
2025/03期2135.2%
2026/03期2230.3%
株主優待
なし

株主優待制度はありません(配当による還元が中心です)。

1株当たり年間配当は2026/03期が22円(前期21円から増配、配当性向30.3%)です。長期的には増配基調ですが、2024期→2025期は21円で据え置いた年もあり連続増配ではありません。2027/03期の配当予想は「未定」ですが、2026年5月1日に総額200億円・発行済株式の3.00%(2,000万株)を上限とする自己株式取得を決議しており、配当に自己株買いを加えた株主還元を進めています(2026期も約200億円の自己株式取得を実施済み。2023年東証の資本コスト重視要請も背景)。株式分割は当該期間になく、株主優待制度もありません。(表の利回りは現在株価ベース)

もし5年前に投資していたら?

2022期初めに100万円を投資した場合
100万円が 22.5万円 になりました (-77.5万円)
-77.5%
年度末時点評価額損益TSR
2022期59.2万円▲40.8万円-40.8%
2023期44.1万円▲55.9万円-55.9%
2024期29.0万円▲71.0万円-71.0%
2025期23.5万円▲76.5万円-76.5%
2026期22.5万円▲77.5万円-77.5%

※ 株価と配当をもとに配当込みで試算したTSR(株主総利回り)です。配当は再投資すると仮定しています。直近期は有価証券報告書が未提出のため株価から試算しています。将来のリターンを保証するものではありません。

税金はいくら払ってる?

税引前利益法人税等実効税率
2025/03期648億円204億円31.6%
2026/03期763億円222億円29.1%

税負担は税引前当期利益と法人所得税費用の実額から算定しています。2026/03期は税引前当期利益763億円に対し法人所得税費用222億円で、実効税率は29.1%でした(前期31.6%)。法人所得税費用は「税引前当期利益−当期利益(非支配株主持分を含む)」で求めており、親会社帰属利益ではなく全体の当期利益を分子に用いています。IFRS適用企業のため損益計算書に経常利益はなく、営業利益に金融損益等を加減した税引前利益を分母としています。

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エムスリー まとめ

業績
好調
営業益 前年比↑(FY2026/3は売上3,514億円と過去最高。ただし過去最高は売上のみで、営業利益735億円・純利益491億円はコロナ特需のFY2022ピークに未回復。)
配当
少なめ
1株 22円(FY2026/3は22円へ増配(性向30.3%)だがFY24→25は据置で連続増配ではない。FY2027予は未定だが総額200億円の自己株取得で還元。)
安全性
安定
自己資本比率 64.0%(FY2026/3末時点)(自己資本比率64.0%と高水準だが、大型M&Aで有利子負債は0円(FY2022)から331億円へ増え実質無借金ではない。現金1,562億円で財務は安定。)
稼ぐ力
高い
ROE 12.5%(FY2026/3実績)(ROEは有報公式で12.5%と前期11.1%から改善したが、コロナ特需FY2022の27.9%から低下。営業利益率もM&Aで45.7→20.9%へ希薄化。)
話題性
普通
ポジ 38%(業績は増収増益で利益は会社の期初予想を上回ったが、コロナ特需一巡後の成長鈍化懸念で株価は2021年高値から下落し、事業の堅調さと市場評価の乖離が続く。)

医師35万人が使う『m3.com』を核とする医療プラットフォーマー。2026期は売上収益3,514億円と過去最高だが、営業利益はコロナ特需の2022期ピークに未回復。株価は2021年比-77.5%と成長期待の剥落が続く

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最終更新: 2026/07/18 / データ提供: OSHIKABU