三陽商会
SANYO SHOKAI LTD.
最終更新日: 2026年3月29日
「100年コート」に宿る品質力で、V字回復を遂げたアパレルの匠
日本のものづくりの精神を核に、時代を超えて愛されるファッションを提供し、人々の生活文化を豊かにするグローバルカンパニーを目指す。
この会社ってなに?
あなたが百貨店を訪れ、少し特別な日のためのコートやジャケットを探しているとき、その上質な一着は三陽商会が手がけているかもしれません。同社は「マッキントッシュ ロンドン」や「ポール・スチュアート」といった、流行に左右されない本格的なブランドを展開しています。特に有名なのが「100年コート」。これは「世代を超えて永く着られる本当に良いもの」というコンセプトで作られており、普段目にするアパレルの裏側で、日本の高い技術力と品質へのこだわりを追求している会社です。
三陽商会は、バーバリーとのライセンス契約終了後の長期低迷から劇的なV字回復を遂げています。2025年2月期決算では、売上高605.3億円、営業利益27.15億円を記録し、純利益は投資有価証券売却益もあり40.07億円と大幅に伸長しました。不採算事業の整理やコスト削減といった構造改革が奏功し、収益性が着実に改善。株価も底値から7倍以上に回復し、配当も前期の88円から129円へと大幅に増配しており、株主還元への意識も高まっています。
会社概要
- 業種
- 繊維製品
- 決算期
- 2月
- 本社
- 東京都新宿区四谷本塩町6-14
- 公式
- www.sanyo-shokai.co.jp
社長プロフィール

かつての主力ブランドとの契約終了による厳しい時代を経て、大規模な構造改革を断行しました。これからは選択と集中を進め、品質と価値を追求した『ほんとうにいいもの』を提供することで、お客様に永く愛されるブランドを育て、持続的な成長を目指します。
この会社のストーリー
吉原信之が織物業を営んでいた知人らと共同で、東京市京橋区(現・中央区)に株式会社三陽商会を設立。ものづくりの精神がこの時に始まる。
創業から着実な成長を遂げ、社会的な信用を高めるべく株式上場を果たす。企業として新たなステージへと歩みを進めた。
「世代を超えて永く愛されるコート」をコンセプトに、自社の技術を結集した「100年コート」の展開を開始。ものづくりへのこだわりを象徴するブランドとなる。
長年、事業の柱であった英国ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了。売上が大幅に減少し、会社は厳しい経営状況に直面する。
三井物産出身の大江氏が社長に就任。不採算ブランドの撤退や希望退職の募集など、大規模な構造改革に着手し、V字回復への道を切り拓く。
構造改革が実を結び、2023年2月期決算で営業黒字化を達成。株価も大きく回復し、市場からの再評価が進んだ。
2026年2月期からの新中期経営計画を策定。アッパーミドル層をターゲットにブランドを磨き、デジタル化や海外展開を加速させ、次なる成長を目指す。
注目ポイント
主力ブランドのライセンス終了という危機から、大規模な構造改革を経て見事に黒字転換。直近5年で株価が7倍になるなど、逆境を乗り越える強い経営力が魅力です。
「TIMELESS WORK. ほんとうにいいものをつくろう。」をミッションに掲げ、世代を超えて愛される製品を追求。確かな品質は、長期的なブランド価値の源泉です。
業績回復に伴い、配当を増配。さらに、株式分割の実施や長期保有優遇を含む株主優待制度の拡充を発表し、株主への利益還元に積極的な姿勢を見せています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 55円 | 30.8% |
| FY2024/3 | 88円 | 36.8% |
| FY2025/3 | 129円 | 36.7% |
| 権利確定月 | 2月・8月 |
三陽商会は業績回復を背景に復配を実現し、現在は配当性向35%〜40%を目標に掲げた還元強化を推進しています。経営再建が一段落したことで、安定的な利益配分へのシフトが鮮明となっており、増配傾向を維持しています。今後は持続可能な株主還元を通じて、中長期的な投資魅力の向上に努める方針です。
同業比較(収益性)
繊維製品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
三陽商会は、バーバリーブランドのライセンス契約終了やコロナ禍による打撃から経営再建に取り組み、基幹ブランドへの選択と集中や店舗改革を通じて収益基盤を再構築しました。その結果、2023年3月期には営業黒字への転換を果たし、以降も構造改革の成果と不採算部門の縮小により安定的な利益を確保する体制へと移行しています。2026年3月期には、更なるデジタル化投資と実需に合わせた値ごろ感のある商品展開により、継続的な成長と利益の積み上げを目指しています。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -14.9% | -9.4% | -23.5% |
| FY2022/3 | 1.9% | 1.3% | -2.7% |
| FY2023/3 | 5.9% | 4.0% | 3.8% |
| FY2024/3 | 6.8% | 4.7% | 5.0% |
| FY2025/3 | 10.2% | 7.0% | 4.5% |
収益性は、2021年3月期の営業赤字(約89億円)から、構造改革による販売管理費の削減と高単価ブランドの強化により、着実に改善しています。営業利益率は2024年3月期に5.0%まで回復し、効率的な生産・販売体制の構築が利益率向上に寄与しました。今後は、さらなるブランドポートフォリオの最適化を通じて、持続可能な10%以上のROE(自己資本利益率)維持を目指すフェーズにあります。
財務は安全?
同社の財務健全性は、過去の赤字局面を脱し、利益剰余金の蓄積が進んだことで自己資本比率が約69%と高い水準で安定しています。以前は無借金経営でしたが、事業投資や運転資金の確保のため有利子負債を約169億円計上しつつも、強固な資産基盤を維持しています。潤沢な自己資本を背景に、将来の成長投資や株主還元を両立できる財務体質を確立しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -56.6億円 | 158億円 | -42.8億円 | 101億円 |
| FY2022/3 | -16.4億円 | -13.6億円 | 5.3億円 | -29.9億円 |
| FY2023/3 | 42.1億円 | -10.5億円 | -9.2億円 | 31.7億円 |
| FY2024/3 | 44.2億円 | -23.4億円 | -13.9億円 | 20.8億円 |
| FY2025/3 | 26.8億円 | 16.3億円 | -38.7億円 | 43.1億円 |
営業キャッシュフローは、業績改善に伴い2023年3月期からプラスへ転換し、本業による安定的な資金獲得が定着しています。投資活動では事業ポートフォリオの整理に伴う有価証券売却益などがキャッシュの創出に貢献しており、FCF(フリーキャッシュフロー)は潤沢な状態です。この余剰資金を配当金支払い等の株主還元や、持続的成長のための成長投資へ戦略的に配分しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | -90.4億円 | 0円 | - |
| FY2022/3 | -7.3億円 | 0円 | - |
| FY2023/3 | 24.4億円 | 2.8億円 | 11.6% |
| FY2024/3 | 31.8億円 | 4.0億円 | 12.5% |
| FY2025/3 | 28.3億円 | 0円 | 0.0% |
過去の赤字期に積み上げた繰延税金資産の取り崩しや税務上の繰越欠損金の活用により、法人税等の支払いは低水準または発生しない年度が続いています。実効税率が法定税率を下回る局面が多いのは、過去の損失を補填する会計処理による一時的な要因が大きいです。今後は利益の着実な計上に伴い、将来的な税負担の適正化が進む見込みです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 551万円 | 1,149人 | - |
従業員平均年収は551万円と、アパレル業界の平均と比較しても一定の水準を維持しています。過去には構造改革に伴う希望退職の実施などが業績に影響を与えてきましたが、現在は不採算ブランドの整理やデジタル投資を軸とした収益性改善に取り組み、安定的な報酬水準の維持を目指しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 個人投資家の保有比率が高く、株主優待や配当の注目度が高い銘柄です。 主な安定株主は八木通商。
八木通商が15%を保有し筆頭株主であるほか、日本マスタートラスト信託銀行など信託口の保有比率が高く、機関投資家による保有が目立ちます。近年、アセット・バリュー・インベスターズなどのアクティビスト(物言う株主)の動向が注目されており、資本効率の改善や事業構造改革を求める動きが経営判断に影響を与えています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業は紳士服・婦人服および服飾品の製造販売が主力であり、百貨店を主要販路としています。決算においては、投資有価証券の売却益などの特別利益が業績を押し上げる要因となる一方、市場環境の変化に伴うブランド再編や販売費・一般管理費の管理が継続的な経営リスクとして開示されています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は10.0%と、多様な視点を取り入れた経営体制への移行期にあります。監査体制については7,500万円の監査報酬を投じて適切に運用されており、指名・報酬委員会の設置を通じて社外役員の知見を経営に活かすガバナンス体制の強化を図っています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 625億円 | — | 605億円 | -3.2% |
| FY2024 | 595億円 | — | 614億円 | +3.1% |
| FY2023 | 560億円 | — | 583億円 | +4.1% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 33億円 | — | 27億円 | -17.7% |
| FY2024 | 24億円 | — | 30億円 | +27.0% |
| FY2023 | 12億円 | — | 22億円 | +86.3% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
過去の経営計画は未達や取り下げもありましたが、近年の業績予想は精度が向上しています。特にFY2023、FY2024は期初予想を大幅に上回る好決算を達成しました。しかし、最新のFY2025では売上・利益ともに期初予想に届かず、成長の勢いに一服感が見られます。新中期経営計画では、安定的に30億円以上の営業利益を創出できるかが焦点となります。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
同社のTSR(株主総利回り)は、FY2023まではTOPIXを大きく下回る水準で推移していましたが、業績のV字回復と株価の急騰を背景に状況は一変しました。FY2024には199.8%を記録し、TOPIX(195.1%)を上回り、FY2025には226.1%とTOPIX(200.2%)をさらに引き離してアウトパフォームしています。これは、構造改革の成功による収益性改善と、それに伴う大幅な増配が株主に評価された結果と言えます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 55.1万円 | -44.9万円 | -44.9% |
| FY2022 | 62.0万円 | -38.0万円 | -38.0% |
| FY2023 | 108.0万円 | +8.0万円 | 8.0% |
| FY2024 | 199.8万円 | +99.8万円 | 99.8% |
| FY2025 | 226.1万円 | +126.1万円 | 126.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は1倍を割り込み、売り残が買い残を上回る「売り長」の状態で、将来の株価下落を見込む投資家が多い一方、株価上昇時の買い戻し(踏み上げ)圧力も潜在しています。業界平均と比較するとPERは割安で、PBRは平均並みです。時価総額は業界内でまだ小さいものの、配当利回りの高さが投資妙味となっています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
「S.ESSENTIALS」よりモヘヤブレンドツイルアイビーブレザーを発売し、定番品強化を図る。
投資有価証券売却により39億〜41億円の特別利益を見込むことを発表し、財務基盤を改善。
2026年2月期から2028年2月期までの中期経営計画を公表し、中長期的な収益向上方針を示す。
最新ニュース
三陽商会 まとめ
ひとめ診断
「バーバリーショックから10年、構造改革で蘇ったアパレル名門が『アッパーミドル層』攻略で完全復活を遂げつつある状態」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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