J.フロント リテイリング(株)
J.FRONT RETAILING Co.,Ltd.
最終更新日: 2026年3月22日
大丸・松坂屋300年の伝統を、未来の「価値共創」へと進化させる
くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。百貨店の枠を超え、お客様一人ひとりの人生に寄り添う価値共創リテーラーグループを目指します。
この会社ってなに?
あなたが街なかで見かける「大丸」「松坂屋」の百貨店や、若者に人気の「パルコ」、銀座のランドマーク「GINZA SIX」を運営しているのがこの会社です。お歳暮やお中元、特別な日のプレゼント選びで大丸・松坂屋を利用したことがある方も多いのではないでしょうか。実は百貨店だけでなく、不動産開発やリユース事業にも進出し、「買い物」の概念そのものを変えようとしています。株主になると大丸・松坂屋でのお買い物が10%割引になる優待カードがもらえるのも魅力です。
J.フロント リテイリングは、大丸松坂屋百貨店とパルコを中核とする小売グループです。FY2025/2実績では売上収益4,418億円、営業利益581億円と過去最高益を達成。インバウンド需要やラグジュアリー商品の好調に加え、GINZA SIXなどデベロッパー事業の安定収益が業績を押し上げています。2024〜2026年度中期経営計画では事業利益520億円・ROE 8%以上を目標に掲げ、2024年度に事業利益目標を2年前倒しで達成。名古屋栄エリアの新商業施設「HAERA」開業やコメ兵との合弁会社設立など、百貨店の枠を超えた価値共創に挑戦しています。
会社概要
- 業種
- 小売業
- 決算期
- 2月
- 本社
- 東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス
- 公式
- www.j-front-retailing.com
社長プロフィール
私たちJ.フロント リテイリンググループは、大丸・松坂屋の300年の歴史に培われた『お客様第一』の精神を胸に、百貨店の枠を超えた価値共創リテーラーグループへの変革を推進してまいります。リアルとデジタルの融合、サステナビリティの追求を通じて、新しい幸せを提供し続けます。
この会社のストーリー
伏見で下村彦右衛門正啓が呉服店「大文字屋」を開業。「先義後利」の理念のもと、正札販売(定価制)をいち早く導入し、商いの革新者として名を馳せました。
名古屋で「いとう呉服店」として創業した松坂屋は、日本で初めて百貨店を名乗り、土足入場を許可するなど革新的な経営で庶民の支持を集めました。
大丸と松坂屋ホールディングスが経営統合し、共同持株会社として設立。老舗百貨店2社の統合は業界に大きな衝撃を与え、再編の先駆けとなりました。
銀座エリア最大の商業施設GINZA SIXを開業。従来の百貨店モデルとは異なるテナント賃料収入型のデベロッパー事業に本格参入し、ビジネスモデル変革の象徴となりました。
インバウンド需要とラグジュアリー商品の急拡大を追い風に、2024〜2026年度中期計画の事業利益目標520億円を初年度で581億円と大幅に上回りました。
名古屋栄エリアに新商業施設「HAERA」を開業予定。パルコ×大丸松坂屋のグループシナジーを活かしたラグジュアリーモールとして、次の成長の柱を確立します。
注目ポイント
1717年創業の大丸と名門・松坂屋の伝統を受け継ぎながら、GINZA SIXに代表されるデベロッパー事業やリユース事業など、百貨店の枠を超えた革新的なビジネスモデルを展開しています。
2024〜2026年度中期経営計画の事業利益目標520億円を初年度で581億円と大幅にクリア。ROEも目標8%を上回る9.8%を達成し、「言ったことを実現する」経営の信頼性が光ります。
大丸・松坂屋でのお買い物が10%割引になる優待カードは、百貨店ユーザーにとって非常に実用的。4期連続増配に加えて、この優待があることで実質利回りは数字以上の魅力があります。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 27円 | 26.9% |
| FY2017/3 | 28円 | 27.2% |
| FY2018/3 | 35円 | 32.1% |
| FY2019/3 | 35円 | 33.5% |
| FY2020/3 | 36円 | 44.3% |
| FY2021/3 | 27円 | 0.9% |
| FY2022/3 | 29円 | 175.8% |
| FY2023/3 | 31円 | 57.1% |
| FY2024/3 | 36円 | 31.6% |
| FY2025/3 | 52円 | 32.4% |
| 必要株数 | 100株以上(約24万円) |
| 金額相当 | 利用額に応じて変動 |
| 権利確定月 | 2月・8月 |
4期連続増配を続けており、FY2025/2は過去最高の年間52円配当を実施。FY2026/2は年間54円(+2円)への増配を予想しています。配当性向は約32%で配当性向40%目標に対してまだ余力があります。株主優待の大丸・松坂屋お買い物割引カード(10%OFF)は実用性が高く、百貨店利用者にとっては実質的な利回りが大きく上乗せされる点が魅力です。
同業比較(収益性)
小売業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
J.フロント リテイリングは、コロナ禍で赤字に沈んだFY2021/2から劇的なV字回復を遂げ、FY2025/2には営業利益581億円と過去最高益を更新しました。インバウンド需要の取り込みとラグジュアリー商品の販売拡大、デベロッパー事業の安定収益が牽引。FY2026/2予想では売上収益4,590億円(+3.9%)と増収を見込む一方、営業利益は500億円と投資先行で一旦減益予想ですが、名古屋栄エリアの「HAERA」開業など将来の成長投資を優先した戦略的な計画です。
事業ごとの売上・利益
大丸松坂屋百貨店15店舗。インバウンド・ラグジュアリー商品が好調で過去最高益
パルコ18店舗。渋谷PARCOなど都市型SCを中心にテナント収入が安定
GINZA SIXや神戸旧居留地25番館など高収益の不動産開発・運営事業
JFRカード(クレジットカード事業)、J.フロント建装(内装施工)等
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 2.3% | -2.3% | 4.3% |
| FY2022/3 | 4.3% | 0.5% | 4.7% |
| FY2023/3 | 2.5% | 1.5% | 4.2% |
| FY2024/3 | 5.1% | 3.7% | 4.1% |
| FY2025/3 | 3.3% | 4.8% | 4.7% |
コロナ禍のFY2021/2にはROE-7.2%・営業利益率-7.6%と大幅赤字でしたが、その後は劇的な改善を遂げています。FY2025/2にはROE 9.8%、営業利益率13.2%と、百貨店業界では突出した高収益性を実現。テナント賃料収入型へのビジネスモデル転換とインバウンド需要の取り込みが利益率改善の主因です。中期計画のROE目標8%も上回り、資本効率の面でも優等生と言えます。
財務は安全?
自己資本比率はFY2021/2の27.9%からFY2025/2には35.2%へと着実に改善。総資産は不採算資産の圧縮により1.26兆円から1.16兆円に縮小する一方、純資産は利益蓄積で増加しています。FY2024/2に有利子負債1,910億円が計上されましたが、デベロッパー事業の不動産投資に伴うもので、FY2025/2には1,871億円とやや減少。BPSも1,344円から1,597円へ成長しており、1株あたりの資産価値は着実に向上しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 907億円 | 134億円 | -727億円 | 1,041億円 |
| FY2025/3 | 858億円 | -283億円 | -740億円 | 575億円 |
営業CFは安定的にプラスを維持し、FY2024/2には906億円、FY2025/2は858億円と高水準。FY2024/2には投資CFがプラスとなりましたが、これは不動産売却益による一時的なもの。FCFは一貫してプラスで、直近5年間の累計FCFは約2,939億円に達します。財務CFはFY2022/2以降マイナスが続き、借入金返済と株主還元に充当。キャッシュ創出力は百貨店業界トップクラスです。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 88.5億円 | 375億円 | 424.0% |
| FY2022/3 | 95.0億円 | 33.1億円 | 34.9% |
| FY2023/3 | 82.8億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 87.4億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2025/3 | 99.7億円 | 0円 | 0.0% |
FY2026/2予想では税引前利益500億円に対し法人税等200億円、実効税率40.0%と標準的な水準を見込んでいます。過去にはIFRS適用に伴う一時的な税務調整が発生した期もありましたが、足元では安定した実効税率で推移しています。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 816万円 | 5,343人 | - |
連結従業員数は5,343名で、持株会社単体の従業員数は233名です。平均年収は約816万円で小売業界の中では高水準。平均年齢47.4歳、平均勤続年数16年とベテラン社員が多い構成です。なお、パルコや大丸松坂屋百貨店の従業員を含むグループ全体では約1.1万人規模となります。
誰がこの会社の株を持ってる?
安定株主が一定の割合を占めており、経営基盤は比較的安定しています。 主な安定株主はJ.フロント氏・日本生命保険相互会社。
筆頭株主の日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が14.34%を保有し、機関投資家中心の株主構成です。金融機関の保有が32.7%と高く、外国法人等も23%を占めるなどグローバルな投資家基盤を持ちます。J.フロント リテイリング共栄持株会が2.41%を保有し、従業員の持株意識も高い水準です。近年はブラックロックや三井住友トラスト等の保有比率変動が注目されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 百貨店事業 | 2,950億円 | 380億円 | 12.9% |
| SC事業 | 890億円 | 95億円 | 10.7% |
| デベロッパー事業 | 340億円 | 85億円 | 25.0% |
| その他 | 238億円 | 21億円 | 8.8% |
訴訟・係争
百貨店事業が売上の約67%を占める主力セグメントで、インバウンド需要の取り込みとラグジュアリー商品の売上拡大により高い利益率を実現。デベロッパー事業は利益率25%と最も高収益で、GINZA SIXに代表される「不動産×リテール」の融合モデルが強みです。SC事業のパルコは安定したテナント収入基盤を持ち、百貨店の業績変動を補完する役割を果たしています。
この会社のガバナンスは?
取締役・執行役等22名中女性5名(22.7%)と、小売業界では比較的高い女性登用率を実現しています。社外取締役比率も70%と高く、指名委員会等設置会社としてグローバル水準のガバナンス体制を構築。監査報酬3.87億円は連結グループの規模に見合った水準です。設備投資は154.6億円で、名古屋栄エリアの再開発やDX投資に重点配分しています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/2 | 4,215億円 | — | 4,070億円 | -3.4% |
| FY2025/2 | 4,500億円 | — | 4,418億円 | -1.8% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2024/2 | 375億円 | — | 430億円 | +14.7% |
| FY2025/2 | 520億円 | — | 581億円 | +11.7% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
2024〜2026年度中期経営計画の事業利益目標520億円を初年度のFY2025/2で581億円と2年前倒しで達成。ROEも目標8%を上回る9.8%を記録しました。営業利益の業績予想は上振れ傾向が顕著で、FY2025/2は+11.7%の上振れ着地。売上収益は若干の下振れ傾向があるものの、利益面では経営陣の保守的な見通しが結果的に好材料として機能しています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
直近5年間のTSR(株主総利回り)は185.1%で、TOPIXの200.2%をやや下回るアンダーパフォームとなっています。コロナ禍の影響が大きかったFY2021〜FY2022に大きく出遅れましたが、FY2023以降は急速にキャッチアップ。過去最高益を更新し続ける業績を背景に、今後TOPIXを上回るリターンの回復が期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 91.0万円 | -9.0万円 | -9.0% |
| FY2022 | 88.8万円 | -11.2万円 | -11.2% |
| FY2023 | 117.8万円 | +17.8万円 | 17.8% |
| FY2024 | 140.2万円 | +40.2万円 | 40.2% |
| FY2025 | 185.1万円 | +85.1万円 | 85.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
信用倍率は0.70倍と売り長の状態で、将来の買い戻し需要が株価の支えとなる可能性があります。PER20.1倍・PBR1.52倍はセクター平均をやや上回り、市場は同社の成長性を織り込んでいます。上場来高値2,796円(2026年2月)を記録した後、足元は調整局面ですが、過去最高益更新と増配継続が下値を支える展開です。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
ブランドリユース大手コメ兵と合弁会社「JFR & KOMEHYO PARTNERS」を設立。百貨店で買い取り事業を展開し、循環型ビジネスモデルを構築します。
CVCファンドを通じ宇宙往還輸送システムの実現を目指すスタートアップ「企業将来宇宙輸送システム」に出資。宇宙旅行ビジネスの検討を開始しました。
FY2025/2通期決算で営業利益581億円と過去最高を更新。インバウンドとラグジュアリー商品が牽引し、年間配当も過去最高の52円に増配しました。
2024〜2026年度中期経営計画を発表。事業利益520億円・ROE 8%以上を目標に、名古屋栄エリアへの集中投資と価値共創リテーラーへの変革を打ち出しました。
最新ニュース
J.フロント リテイリング(株) まとめ
ひとめ診断
「大丸・松坂屋を核に百貨店とデベロッパーの二刀流で稼ぐ価値共創リテーラー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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