東レ
TORAY INDUSTRIES, INC.
最終更新日: 2026年4月30日
炭素繊維で世界首位、100年の繊維技術が支える先端素材のグローバルリーダー
東レグループは、新しい価値の創造を通じて社会に貢献します。
この会社ってなに?
あなたが着ているユニクロのヒートテックやエアリズム、その機能性を支えているのが東レの先端繊維技術です。ボーイング787の機体に使われる炭素繊維、浄水場やプラントで水をきれいにする逆浸透膜、スマートフォンのディスプレイを保護するフィルム。日常生活のあらゆる場面で東レの素材が使われています。目に見えにくいけれど、私たちの暮らしの快適さと安全を根底から支えている会社です。
東レは合成繊維の国内最大手であり、炭素繊維複合材料では世界トップシェアを誇る先端素材メーカーです。繊維事業を起点に、樹脂・ケミカル、IT関連製品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング(水処理膜)、ライフサイエンスなど幅広い分野へ事業を展開しています。2025年3月期は売上高2兆5,633億円、営業利益1,275億円と前期から大幅に回復。2026年3月に発表した新中期経営計画では、2029年3月期に売上高3兆円、事業利益2,300億円の過去最高益を目指す成長戦略を打ち出しました。
会社概要
- 業種
- 繊維製品
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワー
- 公式
- www.toray.co.jp
社長プロフィール
東レグループは、1926年の創業以来、素材には社会を変える力があるという信念のもと、革新的な素材の開発に挑戦し続けてきました。炭素繊維や水処理膜をはじめとする先端素材で、地球環境問題の解決と人々の豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。
この会社のストーリー
滋賀県大津市でレーヨン糸の製造を開始。日本の化学繊維産業の黎明期に産声をあげた。
ナイロン繊維の生産を開始し、合成繊維の総合メーカーへと進化。戦後の日本の衣料産業を支えた。
PAN系炭素繊維トレカの開発に世界で初めて成功。後に航空機や宇宙産業を変革する素材の誕生となった。
社名を東レ株式会社に変更。繊維の枠を超えた先端素材メーカーとしてのアイデンティティを明確にした。
ボーイング社の次世代旅客機787ドリームライナーに炭素繊維複合材料を長期供給する契約を締結。世界の航空産業史に残る転換点となった。
ファーストリテイリングとの戦略的パートナーシップにより、ヒートテックやエアリズムなど画期的な機能性衣料素材を共同開発。
FY2029/3に売上高3兆円、事業利益2,300億円の過去最高益を目指す新中計を発表。累進配当の導入と成長投資の加速を宣言した。
注目ポイント
ボーイング787の機体重量の50%に東レの炭素繊維が使われています。航空・宇宙から風力発電まで、軽くて強い素材で世界の産業を変革し続けるリーダーです。
逆浸透膜による海水淡水化技術で世界トップクラスのシェアを持ちます。中東やアフリカなど水資源の乏しい地域にクリーンな水を届け、地球規模の課題解決に貢献しています。
新中計で累進配当を導入し、減配しない方針を明確にしました。業績回復とともに増配が続く見込みで、長期保有の投資家にとって安心感のある還元姿勢です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 13円 | 23.1% |
| FY2017/3 | 14円 | 22.5% |
| FY2018/3 | 15円 | 25.0% |
| FY2019/3 | 16円 | 32.3% |
| FY2020/3 | 16円 | 45.9% |
| FY2021/3 | 9円 | 31.5% |
| FY2022/3 | 16円 | 30.4% |
| FY2023/3 | 18円 | 39.6% |
| FY2024/3 | 18円 | 131.7% |
| FY2025/3 | 18円 | 36.8% |
株主優待制度は実施していません。
FY2024/3には純利益の大幅減少にもかかわらず1株18円の配当を維持し、安定配当への姿勢を示しました。FY2026/3予想では20円へ増配を計画しています。新中期経営計画では累進配当を明確に導入し、減配しない方針を打ち出しました。株主還元を重視する姿勢がより鮮明になっています。
同業比較(収益性)
繊維製品の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
東レの売上高はFY2021/3の約1.9兆円からFY2025/3には約2.6兆円へと着実に拡大しています。FY2024/3には中国経済の減速や炭素繊維の産業用途での需要低迷が影響し、営業利益が前期比47%減と大幅に落ち込みましたが、FY2025/3には価格転嫁の浸透と高付加価値品へのシフトにより営業利益1,275億円へとV字回復を実現しました。新中期経営計画では航空・宇宙向け炭素繊維の拡大を軸に、FY2029/3に売上高3兆円・事業利益2,300億円を目指す成長戦略を掲げています。
事業ごとの売上・利益
衣料用・産業用繊維の製造販売。ユニクロ向けヒートテック素材をはじめ、スエード調人工皮革エクセーヌなど高機能繊維を展開。売上構成比36%。
樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の製造販売。ディスプレイ用フィルムやリチウムイオン電池セパレーターフィルムなどを手がける。売上構成比33%。
世界シェア首位の炭素繊維をボーイング向け航空機用途を中心に展開。風力発電や自動車にも拡大中。売上構成比11%。
逆浸透膜を中心とする水処理事業。海水淡水化プラントや工業用水処理で世界的に展開。売上構成比11%。
医薬品(インターフェロン等)や医療機器、バイオ関連製品の研究開発・製造販売。売上構成比3%。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 3.4% | 1.6% | - |
| FY2022/3 | 6.4% | 2.8% | - |
| FY2023/3 | 5.0% | 2.3% | - |
| FY2024/3 | 1.3% | 0.6% | 2.3% |
| FY2025/3 | 4.5% | 2.4% | 5.0% |
FY2024/3にはROEが1.2%、営業利益率が2.3%まで低下するなど一時的な収益性の悪化が見られましたが、これは中国経済の減速と原材料価格高騰が重なった影響です。FY2025/3にはROE4.3%、営業利益率5.0%まで回復基調に戻りました。素材メーカーとして景気サイクルの影響を受けやすい構造ですが、航空・宇宙向け炭素繊維や水処理膜など高付加価値分野へのシフトにより収益の底上げが進んでいます。
財務は安全?
総資産は約2.8兆円から約3.3兆円へと成長し、グローバルな生産拠点への投資拡大を反映しています。自己資本比率は43.5%から51.9%へと着実に改善しており、財務基盤の安定化が進んでいます。BPS(1株当たり純資産)も773円から1,093円へと大幅に上昇しており、内部留保の充実と資産の質的向上が両立しています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 2,035億円 | -979億円 | -612億円 | 1,056億円 |
| FY2022/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2023/3 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| FY2024/3 | 1,857億円 | -1,210億円 | -704億円 | 647億円 |
| FY2025/3 | 2,550億円 | -632億円 | -1,885億円 | 1,918億円 |
営業キャッシュフローはFY2025/3に2,550億円と過去5年で最高水準を記録し、本業の稼ぐ力が大きく回復しました。投資キャッシュフローは炭素繊維や水処理膜の生産能力増強に充てられており、成長投資を継続しています。FY2025/3のフリーキャッシュフローは1,918億円と潤沢で、将来の成長投資と株主還元の両立が可能な財務体質を実現しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 656億円 | 198億円 | 30.2% |
| FY2022/3 | 1,203億円 | 361億円 | 30.0% |
| FY2023/3 | 1,119億円 | 390億円 | 34.9% |
| FY2024/3 | 596億円 | 377億円 | 63.2% |
| FY2025/3 | 1,143億円 | 364億円 | 31.8% |
FY2024/3の実効税率が64.7%と突出して高いのは、海外子会社での一時的な損失計上や繰延税金資産の取り崩しが影響したものです。通常年度は30%前後の実効税率で推移しており、グローバルに展開する素材メーカーとして適切な税負担水準にあります。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 821万円 | 47,914人 | - |
平均年収821万円は繊維業界トップクラスの水準。FY2025/3は前年比+56万円(+7.3%)と大幅上昇。単体約7,000名、連結約48,800名を擁する大組織。平均年齢40.8歳、平均勤続年数17.4年と安定した雇用基盤を維持しています。
誰がこの会社の株を持ってる?
機関投資家と外国人投資家の保有が大きく、市場流動性が高い銘柄です。
大株主には日本マスタートラスト信託銀行(15.77%)や日本カストディ銀行(8.01%)が上位に位置し、信託銀行経由の機関投資家による保有が中心です。日本生命保険(4.55%)や大樹生命保険(2.30%)など保険会社の保有も見られ、三井グループとの結び付きもうかがえます。外国人投資家比率は33.4%と高く、グローバルな投資対象として広く認知されています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 繊維事業 | 9,214億円 | 497億円 | 5.4% |
| 機能化成品事業 | 8,430億円 | 375億円 | 4.5% |
| 炭素繊維複合材料事業 | 2,936億円 | 210億円 | 7.2% |
| 環境・エンジニアリング事業 | 2,800億円 | 180億円 | 6.4% |
| ライフサイエンス事業 | 680億円 | 45億円 | 6.6% |
繊維事業と機能化成品事業で売上の約7割を占めますが、炭素繊維複合材料や水処理膜など成長分野の利益率が高いのが特徴です。新中計では航空・宇宙向け炭素繊維の売上比率を2030年頃に5割まで引き上げる計画を掲げており、事業ポートフォリオの高付加価値化を推進しています。リスクとしては原材料価格や為替の変動に加え、主要顧客であるボーイング社の生産動向が業績を左右する点に注意が必要です。
この会社のガバナンスは?
取締役17名中女性は2名(12%)で、プライム市場の水準としてはやや低め。国内外308社の連結子会社を擁するグローバル企業であり、設備投資は年間約2,187億円と大規模。2025年5月には譲渡制限付株式報酬制度を導入し、中長期的な企業価値向上へのインセンティブ強化を図っています。品質不祥事を契機にガバナンス体制の見直しが課題です。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
東レのTSR(株主総利回り)は5年間で233.5%となり、TOPIXの213.4%を約20ポイント上回るパフォーマンスを記録しました。FY2024まではTOPIXに劣後する局面もありましたが、FY2025に業績回復と株価上昇が重なったことで一気に逆転。新中計での成長戦略が実現すれば、さらなるアウトパフォームが期待されます。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 153.8万円 | +53.8万円 | 53.8% |
| FY2022 | 141.5万円 | +41.5万円 | 41.5% |
| FY2023 | 170.4万円 | +70.4万円 | 70.4% |
| FY2024 | 170.8万円 | +70.8万円 | 70.8% |
| FY2025 | 233.5万円 | +133.5万円 | 133.5% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER21.6倍、PBR1.03倍と繊維セクターの中では割高な水準にあります。これは炭素繊維や水処理膜など成長分野を持つ東レに対して、市場が高い成長期待を織り込んでいるためです。信用倍率は5.13倍とやや買い方優勢ですが、新中計発表後の株価上昇を受けた短期的な動きと考えられます。配当利回りは1.77%とセクター平均を下回りますが、累進配当導入で今後の改善が期待されます。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
2029年3月期までの新中期経営計画を発表。売上高3兆円、事業利益2,300億円の過去最高益を目標に掲げ、累進配当の導入も表明しました。
東レ・カーボンマジックが子会社ムーンクラフトを吸収合併し、炭素繊維複合材料の設計・製造体制を一体化しました。
第3四半期累計の連結最終利益は前年同期比46.6%減の401億円となり、炭素繊維の市況軟化が影響しました。
Hyundai Motor Groupと次世代モビリティ向け先進素材の共同開発契約を締結。高性能車両や月面探査ローバー向け素材を開発します。
FY2025/3期の営業利益が前期比121%増の1,275億円と大幅回復。炭素繊維やフィルム事業の収益改善が寄与しました。
最新ニュース
東レ まとめ
ひとめ診断
「炭素繊維で世界首位、航空機から水処理まで'見えない素材力'で社会インフラを支える先端素材メーカー」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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