飯野海運
IINO KAIUN KAISHA,LTD.
最終更新日: 2026年3月29日
120年超の航海を支える、海運と不動産の二刀流経営
100年先も社会に必要とされ、人々の暮らしを豊かにする企業グループであり続けることを目指します。
この会社ってなに?
あなたが普段ガソリンスタンドで給油したり、冬にガス暖房を使ったりするとき、その燃料である原油や天然ガスは巨大な船で世界中から運ばれてきます。飯野海運は、そうしたエネルギー資源を運ぶタンカーなどを動かしている会社の一つです。また、東京の中心地、例えば千代田区内幸町を歩いていると目にする大きなオフィスビル「飯野ビルディング」を所有し、多くの企業に貸し出しています。私たちの生活に不可欠なエネルギー輸送と、東京のビジネスシーンの裏側で、飯野海運は活躍しているのです。
飯野海運は、海運業と不動産業の二本柱で事業を展開しています。FY2025の売上高は1,418.7億円、営業利益は171.00億円と、海運市況の変動を受けながらも高水準を維持しました。FY2026は売上高1,340億円、営業利益114億円と減収減益を見込んでいますが、これは市況の正常化を織り込んだものです。収益の安定性が高い不動産事業が下支えとなり、財務基盤は強固です。
会社概要
- 業種
- 海運業
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区内幸町二丁目1番1号
- 公式
- www.iino.co.jp
社長プロフィール

海運業の市況変動を不動産事業が下支えする安定した事業基盤こそが当社の強みです。この強みを活かし、100年先も社会に必要とされる企業グループを目指し、持続的な成長と企業価値向上に努めます。
この会社のストーリー
創業者・飯野寅吉が個人商店として創業。石炭輸送を主軸に、日本の近代化を物流面から支える第一歩を踏み出しました。
事業の拡大に伴い法人化。組織的な経営体制を確立し、さらなる成長への基盤を築きました。
戦後の復興期に株式を上場。社会的な信用を獲得し、事業拡大のための資金調達手段を確保しました。
海運業の不安定さを補うため、東京・内幸町に大規模オフィスビルを建設。不動産事業が第二の収益の柱となる転機となりました。
世界的な経済危機により海運市況が悪化。多くの海運会社が苦境に陥る中、不動産事業の安定収益が会社を支えました。
旧ビルを建て替え、最新の設備と環境性能を備えたインテリジェントビルとして再出発。不動産事業の収益基盤をさらに強化しました。
脱炭素社会の実現に向けた環境投資やDX推進を掲げ、次の100年に向けた成長戦略を始動。持続可能な社会への貢献を目指します。
注目ポイント
変動の激しい海運業を、安定収益を生むオフィスビル賃貸などの不動産事業が支える盤石な経営体制が魅力です。景気の波に強い安定感が特徴です。
LNG(液化天然ガス)船やケミカル船など、特殊な技術を要するエネルギー資源の輸送に強みを持っています。世界のエネルギー需要を支える重要な役割を担っています。
風力推進補助装置の導入やバイオ燃料の活用など、環境負荷低減に積極的に取り組んでいます。また、配当や株主優待を通じた株主への利益還元にも意欲的です。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2021/3 | 22円 | 30.4% |
| FY2022/3 | 36円 | 30.4% |
| FY2023/3 | 65円 | 30.3% |
| FY2024/3 | 56円 | 30.0% |
| FY2025/3 | 58円 | 33.4% |
| 権利確定月 | 3月 |
飯野海運は、配当性向30%以上を目安とした安定的かつ持続的な利益還元を基本方針としています。業績連動型の配当でありながら、過去数年間は安定して配当を継続しており、株主還元への意識は高いです。さらに、カタログギフトなど魅力的な株主優待制度を導入することで、個人投資家層の取り込みを積極的に図っています。
同業比較(収益性)
海運業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
飯野海運の業績は、ケミカル船や大型タンカーなどの海運事業における運賃市況の恩恵と、安定した不動産事業の収益に支えられ堅調に推移しています。特にFY2023/3期には純利益が約227億円に達するなど大幅な増益を達成しました。足元では市況の沈静化により利益水準は落ち着きを見せていますが、複数の事業セグメントによるポートフォリオ経営が強みです。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 9.6% | 3.1% | 7.7% |
| FY2022/3 | 13.7% | 5.1% | 7.2% |
| FY2023/3 | 20.5% | 8.5% | 14.0% |
| FY2024/3 | 14.9% | 6.7% | 13.8% |
| FY2025/3 | 12.6% | 6.0% | 12.1% |
同社の収益性は、海運市況の変動をダイレクトに受けるため波がありますが、売上総利益率および営業利益率が10%台前半を維持するなど、効率的な運航体制と固定賃貸収入の安定性が寄与しています。特に海運市況が好調だったFY2023/3期にはROEが20.5%と高い資本効率を記録しました。近年は市況の正常化に伴い、ROEも12%から15%程度の安定的なレンジで推移しています。
財務は安全?
同社は保有する「飯野ビルディング」などの優良不動産を中核とする強固な資産基盤を有しており、自己資本比率は47.5%まで向上しています。一方で、環境対応や成長投資に向けた新造船取得のために有利子負債は増加傾向にありますが、潤沢な現預金と安定したキャッシュフローにより財務の健全性は十分に維持されています。資産の含み益が企業価値のボトムラインを支える構造となっています。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 193億円 | -230億円 | 28.9億円 | -37.1億円 |
| FY2022/3 | 158億円 | -31.1億円 | -148億円 | 127億円 |
| FY2023/3 | 353億円 | -185億円 | -132億円 | 168億円 |
| FY2024/3 | 294億円 | -220億円 | -38.7億円 | 74.4億円 |
| FY2025/3 | 307億円 | -308億円 | -83.3億円 | -5,700万円 |
営業キャッシュフローは本業の海運業が安定的に稼ぎ出しており、年間300億円前後のキャッシュを創出する安定した収益力を持っています。投資キャッシュフローは新造船建造などの成長投資によりマイナス基盤ですが、将来の収益向上に向けた戦略的な資金投下です。全体として、潤沢な営業CFを原資に、投資と株主還元のバランスを維持する健全なサイクルを形成しています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 68.1億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 94.3億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2023/3 | 207億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 218億円 | 20.6億円 | 9.4% |
| FY2025/3 | 174億円 | 0円 | 0.0% |
法人税等の支払が断続的である背景には、過去の繰越欠損金の解消や、国際税務上の調整および税務上の優遇措置などが影響している可能性があります。実効税率が長年0%に近い水準で推移していますが、これは会計上の税引前利益に対して税務上の課税所得が低く抑えられているためです。今後は適正な納税負担が発生する可能性も考慮しておく必要があります。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,287万円 | 698人 | - |
従業員の平均年収は1,287万円と、海運業界全体の高い利益水準を背景に極めて高い給与水準を維持しています。好況時に利益が拡大しやすい外航海運業の特性や、安定収益を生む不動産事業の貢献が従業員の厚遇を支えています。
誰がこの会社の株を持ってる?
金融機関・事業法人を中心に安定株主比率が高く、経営の安定性が際立ちます。 主な安定株主は飯野海運取引先持株会・東京海上日動火災保険・竹中工務店。
大株主に日本マスタートラスト信託銀行などの信託口が名を連ねており、機関投資家の保有比率が高いことが特徴です。また、飯野海運取引先持株会や東京海上日動火災保険など、長期的な関係を重視する事業法人や取引先の保有も一定数存在し、経営の安定性が図られています。
会社の公式開示情報
役員報酬
主力の海運業では原油やガスなどのエネルギー輸送を担うほか、都心一等地に保有する飯野ビル等の不動産事業が安定収益の柱として機能しています。地政学リスクや燃料価格の変動が海運業の主要なリスク要因ですが、事業の多角化により収益の安定性を確保しています。
この会社のガバナンスは?
女性役員比率は16.7%であり、多様な視点を取り入れる体制の構築が進められています。連結子会社67社を統括するグループ経営において、監査報酬4,500万円を投じて実効性の高い監査体制を整備しており、持続的な企業価値の向上とコンプライアンスの強化を両立させています。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 1,360億円 | — | 1,419億円 | +4.3% |
| FY2024 | 1,230億円 | — | 1,380億円 | +12.2% |
| FY2023 | 1,120億円 | — | 1,413億円 | +26.2% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| FY2025 | 154億円 | — | 171億円 | +11.0% |
| FY2024 | 117億円 | — | 191億円 | +62.9% |
| FY2023 | 70億円 | — | 198億円 | +183.4% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
飯野海運は、期初に保守的な業績予想を開示し、期中に上方修正を重ねる傾向が顕著です。特にFY2023、FY2024は海運市況の追い風を受け、営業利益が期初予想を2〜3倍近く上回る着地となりました。これは市況の変動を慎重に見積もっている証左であり、投資家にとってはポジティブサプライズが期待できる一方、ガイダンスの信頼性には注意が必要です。完了した中期経営計画(FY2023-2025)では、純利益やROEの目標を前倒しで達成しており、経営目標に対するコミットメントは評価できます。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
飯野海運のTSR(株主総利回り)は、FY2021からFY2025までの5年間、一貫してTOPIXを大幅にアウトパフォームしています。特に海運市況が活況を呈したFY2024には、TOPIXの216.8%に対し、自社TSRは453.2%という極めて高い数値を記録しました。これは、市況の恩恵による大幅な増益と、それに伴う積極的な配当(増配)が株価上昇と合わさって、株主に高いリターンをもたらした結果です。市況変動の影響を受けやすいものの、経営陣の株主還元姿勢がTSRを押し上げる重要な要因となっています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 178.1万円 | +78.1万円 | 78.1% |
| FY2022 | 285.2万円 | +185.2万円 | 185.2% |
| FY2023 | 363.5万円 | +263.5万円 | 263.5% |
| FY2024 | 453.2万円 | +353.2万円 | 353.2% |
| FY2025 | 398.1万円 | +298.1万円 | 298.1% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
同業他社と比較してPER・PBRともに割高な水準にあり、これは海運事業だけでなく安定収益を生む不動産事業の価値が市場から評価されていることを示唆します。信用倍率は1.41倍と拮抗しており、短期的な過熱感は限定的です。今後は、海運市況の動向に加え、不動産事業の利益成長が株価を左右する重要な要素となります。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
第3四半期決算を発表し、市場の評価を受け株価が上昇基調を維持。
スタートアップとの連携強化を決定し、新たな技術開発とサービス拡大を図る。
バイオ燃料の試験航行実施や森林由来クレジットによる温室効果ガスオフセットを推進。
最新ニュース
飯野海運 まとめ
ひとめ診断
「『海運』と『不動産』、市況に左右される二つのエンジンを回しつつ、実際は不動産事業が屋台骨のハイブリッド企業」
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。