川崎汽船
Kawasaki Kisen Kaisha,Ltd.
最終更新日: 2026年3月20日
進取の気性で海を渡る -- 100年企業が挑む脱炭素輸送の最前線
海運業を主軸とする総合物流企業グループとして、人々の豊かな暮らしに貢献する。
この会社ってなに?
あなたがネット通販で買った商品や、ガソリンスタンドで給油する燃料、自動車ディーラーに並ぶ新車は、川崎汽船グループの船で海を渡って届いています。コンテナ船・自動車船・エネルギー輸送船など約400隻で世界の物流を支える『海の道』の担い手です。
川崎汽船は日本郵船・商船三井と並ぶ国内海運大手3社の一角で、コンテナ船事業(ONE)と自動車船を収益の柱としています。FY2025/3期は売上高1兆479億円・純利益3,054億円と高水準を維持しました。FY2026/3期は海運市況の正常化を見込み減収減益予想ですが、中計期間中の株主還元8,000億円以上を掲げ、来期配当は1株120円(基礎40円+追加80円)への増配を発表。米アクティビスト・エリオットが筆頭株主として経営に影響を及ぼす異色の株主構成も注目点です。液化CO2輸送船の世界初運航や洋上風力発電支援など、脱炭素分野への挑戦も加速しています。
会社概要
- 業種
- 海運業
- 決算期
- 3月
- 本社
- 東京都千代田区内幸町二丁目1番1号 飯野ビルディング
- 公式
- www.kline.co.jp
社長プロフィール
低炭素・脱炭素社会の実現に貢献する事業領域への挑戦を事業機会と捉え、成長戦略として推進します。安全かつ最適なサービスを提供し、社会の持続的な発展と企業価値の向上に努めてまいります。
この会社のストーリー
第一次世界大戦後の海運好況期に、川崎造船所(現・川崎重工業)の船舶部から独立する形で設立。『進取の気性』をDNAとして海運事業をスタートさせました。
東京証券取引所に株式を上場。戦後の復興期に海運ネットワークを再構築し、日本の経済成長を物流面から支えました。
日本の自動車輸出の急増を見越し、業界に先駆けて日本初の自動車専用船を就航。この先見性が現在の自動車船事業の礎となりました。
日本郵船・商船三井とコンテナ船事業を統合し、世界第6位のコンテナ船社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」を設立。業界再編を主導しました。
コンテナ船市況の歴史的高騰で純利益6,949億円を記録。その潤沢な資金を背景に、脱炭素を成長戦略の中核に据える新中期経営計画をスタートさせました。
日本の海運会社として初めて液化CO2輸送船を保有・運航開始。CCS(CO2回収・貯留)事業への参画で脱炭素の最前線に立っています。
洋上風力発電支援船事業の拡充、次世代最適運航支援サービスの開発着手など、海運の未来を切り拓く挑戦を加速させています。
注目ポイント
1919年創業から一貫して『業界初』に挑み続ける海運大手。日本初の自動車専用船、世界初の液化CO2輸送船など、常に新しい海運の形を切り拓いています。
中期経営計画で掲げた8,000億円以上の株主還元を着実に実行中。来期は1株120円への増配を発表し、エリオットの要求にも応える積極的な還元姿勢が光ります。
液化CO2輸送によるCCS事業参画、LNG燃料自動車船、洋上風力発電支援船など、環境課題の解決を新たな収益機会に変える戦略を推進しています。
サービスの実績は?
ひとめ診断
配当・優待はもらえる?
| 期 | 1株配当 | 配当性向 |
|---|---|---|
| FY2016/3 | 5円 | - |
| FY2017/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2018/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2019/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2020/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2021/3 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 88.2円 | 8.7% |
| FY2024/3 | 250円 | 172.1% |
| FY2025/3 | 100円 | 21.7% |
現在、株主優待制度は導入されていません。
川崎汽船は中計期間(FY2022〜FY2026)で8,000億円以上の株主還元を掲げ、配当と自社株買いの両面で積極姿勢を示しています。FY2026/3期は基礎配当40円に追加配当80円を加え年間120円(前期比+20円増配)。株式分割(2023年10月 1:3分割)前のFY2022は1株600円と高額配当を実施。エリオットの株主還元要求も背景にあり、市況悪化局面でも還元水準の維持が期待されます。
同業比較(収益性)
海運業の同業他社平均と比べると…
業績推移
儲かってるの?
FY2022-FY2023はコンテナ船市況の歴史的高騰によりONE社からの持分法利益が急拡大し、純利益6,000億円超を連続計上しました。FY2024は運賃正常化で純利益1,048億円に減少しましたが、FY2025は自動車船好調と中東情勢による運賃上昇で3,054億円に回復。FY2026予想は市況正常化を前提に売上高9,500億円・純利益1,000億円と保守的な見通しですが、中計で掲げた8,000億円以上の株主還元は堅持する方針です。 【3Q FY2026/3実績】売上7677億円(通期予想比81%)、営業利益687億円(同86%)、純利益1026億円(同103%)。
事業ごとの売上・利益
日本郵船・商船三井との合弁ONE社からの持分法利益が最大の収益源。コンテナ運賃市況に大きく連動し、業績のボラティリティが高い。
電力炭船・鉄鉱石船などを運航。長期契約と市況連動型の混合で安定収益を確保。
日本初の自動車専用船を就航させた歴史を持つ主力事業。世界的なEV輸送需要の増加が追い風。
LNG船、油槽船、洋上風力発電支援船、液化CO2輸送船など。脱炭素関連の成長分野。
稼ぐ力はどのくらい?
| 期 | ROE | ROA | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 34.4% | 11.2% | - |
| FY2022/3 | 98.8% | 50.4% | - |
| FY2023/3 | 54.9% | 38.3% | - |
| FY2024/3 | 6.4% | 4.9% | 8.8% |
| FY2025/3 | 18.5% | 14.1% | 9.8% |
| 3Q FY2026/3 | 7.5%(累計) | 4.6%(累計) | 9.0% |
FY2022-FY2023はONE社からの持分法利益により ROE 40〜65%という異常な高水準を記録しました。営業利益率は本業ベースで8〜10%に改善傾向であり、自営事業の収益力向上が見て取れます。FY2024はONE社利益の急減でROE 6.4%に低下しましたが、FY2025は18.2%と中計目標(10%以上)を大きく上回りました。営業利益率の着実な改善は、コスト管理と自動車船・エネルギー輸送事業の強化によるものです。
財務は安全?
総資産は5年間で約9,700億円から2兆2,100億円へ2倍以上に拡大しました。FY2021はコロナ禍の影響で自己資本比率22.4%と低水準でしたが、その後の記録的利益の蓄積により74.6%まで改善。FY2024以降は環境対応船への積極投資に伴い有利子負債が増加(6,141億円)していますが、自己資本の厚みにより財務健全性は十分に維持されています。 【3Q FY2026/3】総資産2.3兆円、純資産1.8兆円、自己資本比率60.7%、有利子負債2449億円。
お金の流れは?
| 期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | FCF |
|---|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 334億円 | 170億円 | -348億円 | 504億円 |
| FY2022/3 | 2,265億円 | -58.5億円 | -1,160億円 | 2,206億円 |
| FY2023/3 | 4,560億円 | -467億円 | -3,008億円 | 4,093億円 |
| FY2024/3 | 2,024億円 | -663億円 | -2,232億円 | 1,361億円 |
| FY2025/3 | 2,732億円 | -1,261億円 | -2,116億円 | 1,470億円 |
FY2023は営業CF 4,560億円・FCF 4,093億円とコンテナ船好況を背景に過去最高を記録。その後も営業CFは2,000〜2,700億円台と安定しています。投資CFはFY2025に1,261億円と拡大しており、LNG燃料自動車船や洋上風力発電支援船など環境対応船への投資が増加。財務CFは配当・自社株買いによる株主還元が主因でマイナスが続いています。
この会社のリスク
有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。
税金はいくら払ってる?
| 期 | 税引前利益 | 法人税等 | 実効税率 |
|---|---|---|---|
| FY2021/3 | 895億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2022/3 | 6,575億円 | 151億円 | 2.3% |
| FY2023/3 | 6,908億円 | 0円 | 0.0% |
| FY2024/3 | 1,327億円 | 307億円 | 23.2% |
| FY2025/3 | 3,081億円 | 27.1億円 | 0.9% |
川崎汽船の実効税率は年度により0%〜23%と大きく変動する特徴があります。海運業は国際的な事業構造を持ち、海外子会社からの受取配当金やONE社からの持分法利益には日本の法人税が課されないケースが多く、実効税率が法定税率を大幅に下回ります。FY2024のみ22.8%と突出しているのは、自営事業の国内利益比率が高まったためです。
社員の給料はどのくらい?
| 期 | 平均年収 | 従業員数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 当期 | 1,223万円 | 5,176人 | - |
平均年収1,223万円は海運業界でもトップクラスの高水準です。FY2023-FY2024は業績連動賞与の膨張で1,300万円超に達しましたが、FY2025はコンテナ運賃正常化に伴い減少。連結ベースの従業員数は5,176名で、1人当たり純利益は約5,900万円(FY2025/3)と極めて高い生産性を誇ります。平均勤続年数14年、平均年齢38.5歳と安定した人材構成です。
誰がこの会社の株を持ってる?
外国人・個人投資家の比率が高く、市場の需給が株価に反映されやすい構造です。 外国人投資家の保有比率が高く、グローバルな投資家からの評価が反映されやすい銘柄です。 主な安定株主は今治造船・みずほ銀行。
最大の特徴は米アクティビスト・エリオットの関連ファンド(ECM MF)が筆頭株主(約12%)として経営に影響を及ぼしている点です。2023年頃から大量保有が判明し、株主還元強化を求める圧力が中計の還元方針(8,000億円以上)に反映されています。海運3社で唯一、特定のアクティビスト投資家が筆頭株主という異色の株主構成であり、外国法人の保有比率が高い点も特徴です。事業パートナーとして今治造船が安定株主に入っています。
会社の公式開示情報
役員報酬
事業別の稼ぎ
| 事業名 | 売上 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| コンテナ船事業(ONE社持分法) | 持分法適用 | 約2,000億円 | - |
| ドライバルク事業 | 約2,500億円 | 約200億円 | 約8% |
| 自動車船事業 | 約3,000億円 | 約500億円 | 約17% |
| エネルギー資源輸送・その他 | 約2,000億円 | 約150億円 | 約8% |
有価証券報告書では6つの主要リスクカテゴリが開示されており、特に海運市況変動と地政学リスクが収益に直結するビジネスモデルであることが強調されています。役員報酬は取締役5名で計5億9,400万円(1人当たり約1.2億円)。セグメント別ではコンテナ船(ONE社)と自動車船が利益の両輪であり、脱炭素関連のエネルギー輸送事業を成長分野として積極投資しています。
この会社のガバナンスは?
取締役11名中女性2名(18.2%)と、海運業界としては平均的な水準です。連結子会社238社を擁するグローバルな事業体制を構築。設備投資額は1,334億円と環境対応船への大型投資が続いています。監査報酬1億5,500万円、臨時従業員519名。平均勤続年数14年と人材の定着率が高い企業です。
会社の計画は順調?
※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません
年度別の予想精度(計画を守れてる?)
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年3月期 第3四半期 | 1兆1000億円 | 1兆60億円 | 1兆60億円 | -8.5% |
| 2024年3月期 通期 | 9,000億円 | 9,400億円 | 9,480億円 | +5.3% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年3月期 第3四半期 | 1,200億円 | 1,000億円 | 1,000億円 | -16.7% |
| 年度 | 当初予想 | 修正予想 | 実績 | 乖離 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年3月期 通期 | 1,200億円 | 1,350億円 | 1,454億円 | +21.2% |
当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)
中期経営計画(FY2022〜FY2026)ではROE 10%以上、ROIC 6.0〜7.0%という資本効率を重視した目標を掲げています。FY2025/3期のROEは18.2%と目標を大幅に上回り達成。株主還元は中計期間中に累計約6,100億円を実施済みで、残りの期間で8,000億円以上の達成を確実視しています。コンテナ船市況の正常化により利益水準はピークアウトしましたが、自営事業の改善や積極的な追加還元(来期1株120円への増配)を実施し、投資家の期待に応える運営が高く評価されています。
この株を持っていたら儲かった?
この会社の株主総利回り(TSR)を、日本株全体の平均(TOPIX)と比較したグラフです。青い線が上にあるほど、平均より良い成績を出しています。
5年間のTSR(株主総利回り)は2,667.7%とTOPIX(213.4%)を大幅にアウトパフォームしています。コロナ禍以降のコンテナ運賃高騰による記録的利益と、それに伴う大規模な配当・自社株買いが株主リターンを押し上げました。海運3社の中でも株価上昇率と配当の両面で最も高い総合リターンを記録しています。
※ 配当を含まない株価ベースのリターンです。過去の実績であり、将来のリターンを保証・示唆するものではありません。
もし5年前に投資していたら?
| 年度末時点 | 評価額 | 損益 | TSR |
|---|---|---|---|
| FY2021 | 312.2万円 | +212.2万円 | 212.2% |
| FY2022 | 1061.6万円 | +961.6万円 | 961.6% |
| FY2023 | 1339.3万円 | +1239.3万円 | 1239.3% |
| FY2024 | 2556.3万円 | +2456.3万円 | 2456.3% |
| FY2025 | 2667.7万円 | +2567.7万円 | 2567.7% |
※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。
株の売買状況と今後の予定
PER 17.6倍は来期の減益予想(純利益1,000億円)を織り込んだ水準であり、海運セクター平均(8.5倍)より割高に見えますが、FY2025/3実績ベースでは約6倍と割安です。PBRは1.07倍と1倍超を回復。信用倍率2.76倍はやや買い優勢ですが、配当利回り4.31%と株主還元の厚みが下支えとなっています。
メディアでどれくらい注目されてる?
メディア露出
メディア分布
競合比較
どんな話題が多い?
最近の出来事
洋上風力発電支援強化のため、SNマリンへの出資を実施しオフショア支援事業を拡充。
第3四半期累計期間にて売上高7,677億円を達成し、中期経営計画の進捗を報告。
事業効率化に向けた簡易吸収分割を実施し、グループ体制の最適化を推進。
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川崎汽船 まとめ
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『進取の気性』を掲げる非財閥系海運大手。ONE・自動車船を両輪に、脱炭素輸送と株主還元の積極姿勢で存在感を高める
※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。