JUMP

川崎汽船9107

Kawasaki Kisen Kaisha, Ltd.

プライムUpdated 2026/06/02
01 / 5 sections

まずこの会社は何者?

事業内容や経営者、企業の魅力をひと目でつかむ

ひとめ診断

業績
普通
営業益 前年比↓
配当
少なめ
1株 120円
安全性
安定
自己資本比率 76.9%
稼ぐ力
普通
ROE 7.4%
話題性
普通
ポジ 44%

この会社ってなに?

自宅で灯すガスやガソリン、輸入車を運んでいるのは、川崎汽船かもしれません。ドライバルク船(鉄鉱石・石炭・電力炭)・LNG船・LPG船・原油タンカー・自動車専用船・コンテナ船(合弁ONE)・物流と、海運大手三社の一角として世界の資源・エネルギー・完成車輸送を支える総合海運企業です。LNG輸送・電力炭船は日本のエネルギー安全保障の根幹に、自動車専用船は日本の輸出産業に直結し、私たちの暮らしや産業競争力の血流を担っています。海運大手三社のなかでも自己資本比率76.9%と最も健全で、有利子負債2,360億円と相対的にコンパクトな身軽さが特徴です。売上1兆183億円・連結子会社238社のグローバル海運グループとして、基礎配当40円+追加配当80円のハイブリッド配当と自社株買い(2026/5発表、上限1,300億円)で積極株主還元を継続します。

川崎汽船は、ドライバルク(バルカー・鉄鋼原料・石炭等)・エネルギー資源(LNG船・LPG船・電力炭船・原油タンカー・FPSO/海洋事業)・製品物流(自動車専用船・コンテナ船(合弁ONE経由)・物流・近海/内航)の3セグメントを軸に世界の貿易を支える海運大手三社の一角です。2026/03期は売上高1兆183億円(△2.8%)・営業利益841億円(△18.2%)・経常利益1,091億円(△64.6%)・親会社株主に帰属する当期純利益1,329億円(△56.5%)と大幅減益で着地しました。海運業は営業利益(数百〜千億円規模)と経常利益(数千億〜1兆円規模)に大きな乖離がある業界構造で、ONE(Ocean Network Express、日本郵船・商船三井・川崎汽船3社のコンテナ事業合弁)からの持分法による投資利益が経常利益で大量に計上されます。2025/03期はコンテナ運賃高止まりでONE分配を含む連結持分法投資利益が2,020億円と膨らみましたが、2026/03期は連結持分法投資利益 前期2,020億円→当期227億円(うちONE社分150億円)へ急減し、利益水準は構造的な正常化過程にあります。自己資本比率76.9%・有利子負債2,360億円はONE特需期に積み上げた純資産で海運大手三社のなかで最も健全な財務体質です。EPS・BPS・配当はすべて2022年10月1日(1:3)と2024年4月1日(1:3)に実施した2回の株式分割の累積調整後ベースで表記しています(2022/03期はpre-両分割値(J-Quants raw)に÷9、2023/03期はpre-2024分割値に÷3の手動分割調整を適用、2024/03期以降はas-reported)。2027/03期は売上+0.2%・営業利益△1.4%・純利益△28.6%とONE分配の更なる減少を織り込んだ慎重な減益計画です。配当は基礎配当40円+追加配当80円のハイブリッド型で2027/3期も年間120円を予定し、自己株式取得を含む積極株主還元方針を継続します(2026年5月29日には最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いを発表)。

海運業プライム市場

注目ポイント

海運主要業態を網羅する大手三社の一角

ドライバルク船・LNG船・LPG船・電力炭船・原油タンカー(VLCC)・自動車専用船・コンテナ船(合弁ONE経由)・物流・FPSO等の主要業態を網羅する海運大手三社の一角。連結子会社238社のグローバル海運グループとして世界の貿易の血流を支えています。

海運大手三社中で最も健全な財務体質

自己資本比率76.9%(日本郵船 59.1%・商船三井 48.2%)と海運大手三社中で最も健全。有利子負債2,360億円も最もコンパクト(日本郵船 9,466億円・商船三井 2兆2,681億円)です。ONE特需期に積み上げた純資産で、海運業のシクリカル変動局面でも安定基盤を確保しています。

ハイブリッド配当+1,300億円自社株買いの積極還元

配当方針は基礎配当40円+追加配当80円のハイブリッド型(業績連動部分と安定部分の組み合わせ)。2027/03期も年間120円を維持する予定。さらに2026年5月29日に最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いを発表し、規律ある株主還元を実践しています。

会社概要

業種
海運業
決算期
3月
本社
東京都千代田区内幸町二丁目1番1号 飯野ビルディング
公式
www.kline.co.jp

サービスの実績は?

10,183億円
連結売上高
2026/03期実績
△2.8% YoY
841億円
営業利益
2026/03期実績
△18.2% YoY
1,091億円
経常利益
ONE特需剥落で△64.6%
238
連結子会社数
海運中核のグループ会社
02 / 5 sections

なぜ伸びるの?

売上・利益・成長性の数字から、稼ぐ力を読み解く

事業ごとの売上・利益

ドライバルクセグメント
2,927億円28.7%)
エネルギー資源セグメント
1,006億円9.9%)
製品物流セグメント
6,164億円60.5%)
その他
84億円0.8%)
ドライバルクセグメント2,927億円
利益: 109億円利益率: 3.7%

バルクキャリア(鉄鉱石・石炭・ボーキサイト等のばら積み貨物船)。大型船市況は鉄鉱石・ボーキサイトの堅調な荷動きで底堅く推移、中・小型船市況は上半期に石炭輸送需要低迷で軟化したものの2026年初めから持ち直し。市況エクスポージャー管理と運航コスト削減で対応したものの、前期比で減収減益。(2026/03期通期実績・短信セグメント情報ベース)

エネルギー資源セグメント1,006億円
利益: 96億円利益率: 9.5%

LNG船・LPG船・電力炭船・大型原油船(VLCC)・ドリルシップ(海洋掘削船)・FPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)等。中長期傭船契約のもとで順調に稼働し底堅い収益に貢献。為替影響等により前期比で減収となるも、前期に生じた一過性要因の解消等によりセグメント損益+96.9%増益(49億→96億)。3セグメント中唯一の増益。(2026/03期通期実績・短信セグメント情報ベース)

製品物流セグメント6,164億円
利益: 908億円利益率: 14.7%

自動車専用船(米国向け追加関税影響と中東情勢悪化で運航コスト上昇)・物流事業(国内物流・国際物流・完成車物流)・近海/内航事業(フェリー輸送・定期船・不定期船)・コンテナ船事業(ONE合弁経由)。ONE社の業績は前期比で減収減益となり、製品物流セグメント損益は前期2,936億→当期908億円へ△69.0%急減(コンテナ運賃下落と新造船大量竣工による供給過剰が主因)。製品物流はONE分配を含むため経常利益への寄与が極めて大きい。(2026/03期通期実績・短信セグメント情報ベース)

その他84億円
利益: 22億円利益率: 26.0%

船舶管理業・旅行代理店業・不動産賃貸/管理業等。当期業績は前期比で減収となるも、セグメント損益は+132.7%増益(9億→22億)と好調を維持。(2026/03期通期実績・短信セグメント情報ベース)

稼ぐ力はどのくらい?

まあまあの効率です
ROE
7.4%
株主資本の利回り
ROA
5.7%
総資産の活用度
Op. Margin
8.3%
営業利益率
会計期ROEROA営業利益率
2022/03期72.6%40.8%2.3%
2023/03期45.9%33.8%8.4%
2024/03期6.6%5.0%8.8%
2025/03期18.5%13.8%9.8%
2026/03期7.4%5.7%8.3%
3Q FY2026/37.5%(累計)4.6%(累計)9.0%

2022/03期〜2023/03期はコンテナ運賃急騰によるONE超過利益でROE72.6%・45.9%という驚異的な収益性を示しましたが、これはコンテナバブルによる一過性の超過利益です。2024/03期はコンテナ市況の正常化でROE6.6%へ急落、2025/03期はコンテナ運賃高止まりとONE分配の再上昇でROE18.5%へ持ち直し、2026/03期はONE分配急減(連結持分法投資利益 前期2,020億→当期227億・うちONE社分150億)で再びROE7.4%へ正常化しました。海運業は外部市況・為替変動の影響が大きく、年度間の振れ幅が陸運・電力等の他のインフラ業種と比べて極めて大きいのが特徴です。営業利益率はONE合弁を持分法で計上するため、経常利益率や純利益率と比較して相対的に低めに出る業界構造があります(2026/03期 営業利益率8.3%)。

儲かってるの?

まあまあです
会計期売上高営業利益当期純利益EPS増収率
2022/03期7,570億円177億円6,424億円765.3円
2023/03期9,426億円789億円6,949億円857.0円+24.5%
2024/03期9,623億円848億円1,048億円145.2円+2.1%
2025/03期1.0兆円1,029億円3,054億円460.1円+8.9%
2026/03期1.0兆円842億円1,330億円210.42円-2.8%

2026/03期は売上高1兆183億円(△2.8%)・営業利益841億円(△18.2%)・経常利益1,091億円(△64.6%)・親会社株主に帰属する当期純利益1,329億円(△56.5%)と大幅減益で着地しました。海運業は営業利益と経常利益に大きな乖離がある業界構造で、ONE(コンテナ事業合弁)からの持分法による投資利益が経常利益で大量に計上されます。2023/03期〜2024/03期はコンテナ運賃急騰によるONE超過利益でROE45〜73%という驚異的な収益性を示しましたが、これはコンテナバブルによる一過性の現象です。2025/03期はコンテナ運賃高止まりでONE分配を含む連結持分法投資利益が2,020億円と膨らみましたが、2026/03期は連結持分法投資利益 前期2,020億円→当期227億円(うちONE社分150億円)へ急減し、利益水準は構造的な正常化過程にあります。EPSはすべて2022年10月1日(1:3)と2024年4月1日(1:3)に実施した2回の株式分割の累積調整後ベースで表記しています(J-Quants開示値は÷9(2022期)・÷3(2023期)の手動分割調整を適用)。2027/03期は売上+0.2%とほぼ横ばい・営業利益△1.4%・経常利益△8.3%・純利益△28.6%とONE分配の更なる減少を織り込んだ慎重な減益計画です。

業績の推移

売上高(青)と営業利益(緑)の年度別の伸び。バーが右肩上がりなら成長中。

同業比較(収益性)

海運業の同業他社平均と比べると…

ROE下回る
この会社
7.4%
業界平均
10.0%
営業利益率下回る
この会社
8.3%
業界平均
8.3%
自己資本比率上回る
この会社
76.9%
業界平均
45.3%
03 / 7 sections

将来どうなりそう?

公式情報・ニュース・メディアから今後を読み解く

会社の公式開示情報

役員報酬

5億9,400万円
5名の合計

事業別の稼ぎ

事業名売上利益利益率
ドライバルクセグメント2,927億円109億円3.7%
エネルギー資源セグメント1,006億円96億円9.5%
製品物流セグメント6,164億円908億円14.7%
その他84億円22億円26.0%

川崎汽船は4つの報告セグメント(ドライバルク・エネルギー資源・製品物流・その他)で構成され、2026/03期は製品物流(ONE分配急減)がセグメント損益を△69.0%急減させ、ドライバルクは小幅減益、エネルギー資源は前期一過性要因解消で増益、その他も増益という構図です。リスク要因としてはコンテナ市況・ONE分配の変動性、為替(2026/03期は△1.6%円高)、燃料・地政学(2027/03期予想は燃料油US$697と保守的)、IMO脱炭素規制への投資負担、IBD 2,360億円のコンパクトな財務、アクティビスト系株主の存在が主要論点となります。海運業は外部市況・為替・地政学の影響を強く受ける外需依存型産業であり、利益の年度間変動が極めて大きい点を念頭に置いた投資判断が求められます。

会社の計画は順調?

A
総合評価
期初予想を全項目大幅上振れ着地。特に純利益は+33.0%と大幅な好結果。

※ 会社が公表した計画に対する達成度の評価であり、投資についての評価・推奨ではありません

2026/03期は2025年5月7日に開示した期初予想(売上9,500億・営業利益800億・純利益1,000億・EPS158.31円)に対し、売上+7.2%・営業利益+5.2%・純利益+33.0%・EPS210.42円と全項目で大幅上振れ着地しました。純利益が上振れた主因は固定資産売却益187億円や法人税等調整額の戻入(繰延税金資産計上による法人税等合計△40億円のプラス影響)等の特別利益・税効果要因です。一方で経常利益は前期△64.6%とONE分配急減の影響が大きく、海運業のシクリカルな利益変動の典型を示しました。2027/03期は2026年4月開始のため現時点は期初前で、進捗評価は次回開示以降に反映されます。
FY2027/3 通期業績予想
2027/03期
売上高(FY2027/3 通期予想): 目標 1兆200億円(+0.2% YoY) 期初前
期首実績待ち
営業利益(FY2027/3 通期予想): 目標 830億円(△1.4% YoY) 期初前
期首実績待ち
経常利益(FY2027/3 通期予想): 目標 1,000億円(△8.3% YoY) 期初前
期首実績待ち
親会社株主に帰属する当期純利益(FY2027/3 通期予想): 目標 950億円(△28.6% YoY) 期初前
期首実績待ち

年度別の予想精度(計画を守れてる?)

売上高
年度当初予想修正予想実績乖離
2026/03期9,500億円1兆183億円+7.2%
営業利益
年度当初予想修正予想実績乖離
2026/03期800億円841億円+5.2%
親会社株主に帰属する当期純利益
年度当初予想修正予想実績乖離
2026/03期1,000億円1,329億円+33.0%

当初予想 = 期初に会社が発表した数字 / 乖離 = 予想と実績のズレ(+なら上振れ)

2026/03期は期初予想を全項目で大幅に上振れ着地しました。海運業は外部市況・為替・地政学リスクの影響を強く受け、計画通りの着地が難しい構造的特性があります。2027/03期は売上ほぼ横ばい(+0.2%)・営業利益△1.4%・純利益△28.6%のONE分配の更なる減少を織り込んだ慎重な減益計画ですが、配当方針は「基礎配当40円+追加配当80円」のハイブリッド型を継続し、自己株式取得を含む積極株主還元を実施する方針です。2026年5月29日には最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いを発表し、業績下振れ局面でも安定的な株主還元を継続する姿勢を示しています。

最新ニュース

ポジティブ
川崎汽船、最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いを発表。エフィッシモ等から取得想定
5/29 · 日経電子版
ネガティブ
川崎汽船、2026/03期本決算で経常利益が前期比△64.6%。ONE分配を含む持分法投資利益が2,020億→227億円へ急減
5/8 · 日経電子版
ポジティブ
川崎汽船、2026/03期配当を年間120円(基礎40+追加80・中間60+期末60)で実施。期初予想を全項目大幅上振れ着地
5/8 · 株探
中立
川崎汽船、2027/03期は売上+0.2%横ばい予想も営業利益△1.4%・純利益△28.6%とONE分配減で減益見通し
5/8 · 日経電子版
中立
川崎汽船、世界で唯一運航する液化CO2(LCO2)運搬船を横浜港で公開。CCS事業の輸送インフラを担う
2025/12/17 · 日経電子版

どんな話題が多い?

業績・決算34%
ONE・コンテナ市況22%
自社株買い・株主還元18%
脱炭素・LNG/LCO2船16%
その他10%

メディアでどれくらい注目されてる?

報道のトーンは「中立
報道件数(30日)
298
前月比 +5%
メディア数
58
日本経済新聞, 株探, Yahoo!ファイナンス, PR TIMES, 東洋経済オンライン
業界内ランキング
上位 10%
海運業 14社中 3位
報道のトーン
44%
好意的
40%
中立
16%
否定的

メディア露出

メディア分布

競合比較

04 / 3 sections

この会社のストーリー

創業から現在までの歩みと、代表者の姿

創業ストーリー

1919
川崎汽船創業

1919年4月5日に川崎造船所(現川崎重工業)の海運部門が独立し、川崎汽船株式会社として神戸で創立。瀬戸内海・極東航路を起点に日本の海運業の黎明期を担いました。

1964
海運集約

1964年の海運業集約政策のもと、飯野汽船を吸収合併し基幹海運会社の一角として再出発。戦後復興期の日本の輸出入を支える役割を担いました。

1980-90年代
自動車船・LNG船で総合海運企業へ

自動車専用船事業・LNG船事業を本格化し、原油タンカー・コンテナ船とあわせて総合海運企業として体制を整えました。日本の自動車・エネルギー輸出入の血流を担う基幹海運会社として成長。

2017
ONE設立で世界規模のコンテナ事業に再編

日本郵船・商船三井とともにコンテナ船事業を統合し、Ocean Network Express(ONE)をシンガポールに設立(2017年7月)。2018年4月の事業開始以降、ONE社からの持分法投資利益が経常利益の主軸となる収益構造へ転換しました。

2022
コンテナバブルと1:3株式分割

コロナ禍によるサプライチェーン混乱でコンテナ運賃が急騰し、ONE社からの分配で過去最高益(純利益6,424億円・2023/03期)を記録。2022年10月1日に普通株式1:3株式分割を実施し、個人投資家層を拡大しました。

2024
2回目の1:3株式分割

2024年4月1日に普通株式1:3株式分割を実施(川崎汽船独自・累積1:9)。投資単位をさらに引き下げて個人投資家層を拡大しました。本ページのEPS・BPS・配当はすべて2回の分割の累積調整後ベースで表記しています。

2025
五十嵐社長就任・LCO2船公開

2025年4月1日付で五十嵐 武宣が代表執行役社長に就任。同年12月17日には世界で唯一運航する液化CO2(LCO2)運搬船を横浜港で公開し、CCS(CO2回収・貯留)事業の輸送インフラを担う脱炭素対応の先端を示しました。

2026
1,300億円の大規模自社株買い

2026年5月29日に最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いを発表(立会外取引)。基礎配当40円+追加配当80円のハイブリッド配当に加えた総還元志向を強調し、海運大手三社中で最もコンパクトなBSの強みを株主還元に振り向ける戦略を鮮明化しました。

2026-
脱炭素・洋上風力・LCO2への進化

ONE分配の正常化局面で、エネルギー資源(LNG/LPG/電力炭/原油タンカー/FPSO)・洋上風力関連事業(ケイライン・ウインド・サービスKWSの完全子会社化)・LCO2船等の脱炭素対応事業の総合ポートフォリオで、長期視点での企業価値向上を継続します。

出来事の年表

2026年5月自社株買い

最大1,300億円・4,442万9,000株(発行済株式数の6.96%)を上限とする自社株買いを発表(5/29)。立会外取引による取得で、エフィッシモ等のアクティビスト保有分の取得が想定されています。基礎配当40円+追加配当80円のハイブリッド配当に加えた総還元志向を強調しました。

2026年5月決算

2026/03期本決算を発表(5/8)。売上高1兆183億円(△2.8%)・営業利益841億円(△18.2%)・経常利益1,091億円(△64.6%)・親会社株主に帰属する当期純利益1,329億円(△56.5%)と大幅減益で着地。連結持分法投資利益が前期2,020億円→当期227億円(うちONE社分150億円)へ急減したことが経常利益急減の主因です。配当は年間120円(基礎40+追加80・中間60+期末60)を実施しました。

2025年3月経営体制

五十嵐 武宣が代表執行役社長に就任(2025年4月1日付)。当社は指名委員会等設置会社のため「代表取締役」ではなく「代表執行役社長」となります。同日付で役員報酬制度の改定も発表し、月例報酬・短期業績連動報酬(金銭)・中長期業績連動報酬(株式)の構成へ刷新しました。

2024年3月株式分割

普通株式1株を3株に分割(2024年4月1日、基準日2024年3月31日)。2022年10月1日(1:3分割)に続き、川崎汽船独自の2回目の株式分割を実施し、投資単位をさらに引き下げて個人投資家層を拡大しました。本ページのEPS・BPS・配当はすべて2回の分割(累積1:9)の調整後ベースで表記しています。

2022年10月株式分割

普通株式1株を3株に分割(2022年10月1日、基準日2022年9月30日)。日本郵船・商船三井と同日実施。コンテナ運賃急騰によるONE分配で過去最高益を更新し、投資単位を引き下げて個人投資家層を拡大しました。

2017年7月事業統合

日本郵船・商船三井とともに3社のコンテナ船事業を統合し、Ocean Network Express(ONE)をシンガポールに設立(2017年7月)。2018年4月の事業開始以降、ONE社からの持分法投資利益が経常利益の主軸となる収益構造へ転換しました。

社長プロフィール

五十嵐 武宣
代表執行役社長
規律ある株主還元
川崎汽船は、ドライバルク船・LNG船・LPG船・電力炭船・原油タンカー・自動車専用船・コンテナ船(合弁ONE)・物流と海運の主要業態を網羅する海運大手三社の一角です。海運業はONEの合弁効果と外部市況の変動を受けやすい産業ですが、当社は自己資本比率76.9%・有利子負債2,360億円という海運大手三社中で最も健全な財務体質を基盤に、最適資本構成を常に意識した規律ある経営を続けています。配当方針は基礎配当40円+追加配当80円のハイブリッド型に加え、2026年5月29日に最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いを発表し、自己株式取得を含む積極株主還元を継続します。2026/03期はONE分配急減で経常利益が前期比△64.6%と大幅減益となりましたが、長期視点での企業価値向上に向けた投資と還元を両立し、株主の皆様の信頼にお応えしてまいります。
05 / 6 sections

安心して投資できる?

財務・透明性・株主構成・リスクを点検

財務は安全?

財務は安定しています
自己資本比率76.9%
0%20% (注意ライン)35% (安全ライン)100%
Interest-bearing Debt
2,360億円
借金(有利子負債)
Net Assets
1.8兆円
会社の純資産

総資産は2.34兆円規模で、自己資本比率は2022/03期 56.2%→2026/03期 76.9%へ大幅改善し、海運大手三社のなかで最も健全な財務体質となっています(日本郵船 59.1%・商船三井 48.2%)。これはONE特需期(2022/03期〜2024/03期)に積み上げた純利益が利益剰余金に厚く積み上がった結果です。ただし会社のIRでは76.9%(オフバランス込みで59〜61%)を「過剰資本」と認識しており、短期間で自己資本比率を50%前後まで引き下げる資本適正化方針を公表しています。2026年5月29日発表の最大1,300億円・6.96%上限の自社株買いはこの資本適正化政策の一環で、中期経営計画の株主還元総額を8,000億円以上→8,800億円以上に引き上げる位置付けです。有利子負債(社債+借入金)は2,360億円で前期2,953億円から△20.0%減少し、海運大手三社のなかで最もコンパクトです(日本郵船 9,466億円・商船三井 2兆2,681億円)。長期借入金の返済を継続している局面ですが、コンテナ事業はONEの合弁で連結対象外のため、競合のように脱炭素対応コンテナ船投資による有利子負債急増が起きにくい構造です。なお「無借金」「実質無借金」等の表現は使用しません(IBD 2,360億円が存在)。BPSは2022年10月1日(1:3)と2024年4月1日(1:3)の2回の株式分割の累積調整後ベース(2022/03期は÷9、2023/03期は÷3の手動分割調整を適用、2024/03期以降はas-reported)で表記しています。

お金の流れは?

健全なお金の流れです
Operating CF
+2,648億円
本業で稼いだお金
Investing CF
-351億円
投資に使ったお金
Financing CF
-1,248億円
借入・返済など
Free CF
+2,297億円
手元に残ったお金
会計期営業CF投資CF財務CFFCF
2022/03期2,265億円▲58.5億円▲1,160億円2,206億円
2023/03期4,560億円▲467億円▲3,008億円4,093億円
2024/03期2,031億円▲669億円▲2,237億円1,362億円
2025/03期2,732億円▲1,261億円▲2,116億円1,470億円
2026/03期2,648億円▲351億円▲1,248億円2,297億円

2023/03期はコンテナ運賃急騰によるONE分配の大量回収で営業CF4,560億円と過去最高水準を記録し、これを配当・自己株式取得・有利子負債返済に充当した結果、財務CFは△3,007億円となりました。2024/03期以降は営業CFが2,000〜2,700億円規模で正常化しています。2026/03期は営業CF2,647億円・投資CF△351億円でFCFは2,296億円を確保。投資CFが前期△1,261億円から△351億円へ縮小したのは前期に集中した船舶取得が一服したためです。財務CFは△1,247億円で、長期借入金の返済(△624億円→△1,058億円規模・当期は返済加速)と配当金支払い等で前期△2,116億円から絞り込まれています。海運大手三社のなかで最もコンパクトなBS規模のため、CF水準も他社(日本郵船・商船三井)と比較して相対的に小さい点に留意が必要です。

この会社のガバナンスは?

役員構成(取締役 11名)
女性 2名(18.2% 男性 9
18%
82%
監査報酬
1億5,500万円
連結子会社数
238
設備投資額
1334.4億円
平均勤続年数(従業員)
14
臨時従業員数
519

取締役11名中女性2名(18.2%)と、海運業界としては平均的な水準です。連結子会社238社を擁するグローバルな事業体制を構築。設備投資額は1,334億円と環境対応船への大型投資が続いています。監査報酬1億5,500万円、臨時従業員519名。平均勤続年数14年と人材の定着率が高い企業です。

誰がこの会社の株を持ってる?

安定株主33%
浮動株67%
所有者別内訳(有価証券報告書)
金融機関24.9%
事業法人等8%
外国法人等49.5%
個人その他15.1%
証券会社2.5%

アクティビスト系(イーシーエム・エムエフ12.21%)が筆頭株主の分散保有型。海外機関投資家・PB口座(外国法人等比率49.5%)が上位に多数並び、海運大手三社のなかで突出して外国人持株比率が高い構成。今治造船2.65%・みずほ銀行1.98%等の事業会社・メインバンクで一部安定株主層を形成。創業者・支配株主は存在しない。

イーシーエム エムエフ (常任代理人 立花証券株式会社)(77,947,000株)12.21%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)(63,752,000株)9.99%
エムエルアイ フオー セグリゲーテイツド ピービー クライアント (常任代理人 BOFA証券株式会社)(50,862,000株)7.97%
CGML PB CLIENT ACCOUNT/COLLATERAL (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ)(42,375,000株)6.64%
J.P. MORGAN SECURITIES PLC FOR AND ON BEHALF OF ITS CLIENTS JPMSP RE CLIENT ASSETS-SEGR ACCT (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ)(31,796,000株)4.98%
ゴールドマン・サックス・インターナショナル (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)(23,820,000株)3.73%
サンテラ(ケイマン)リミテッド アズ トラスティ オブ イーシーエム マスター ファンド (常任代理人 ゴールドマン・サックス証券株式会社)(19,716,000株)3.09%
株式会社日本カストディ銀行(信託口)(19,394,000株)3.03%
今治造船株式会社(16,956,000株)2.65%
株式会社みずほ銀行(12,694,000株)1.98%

川崎汽船の株主構成は創業者・支配株主が存在しない分散保有型で、近年は旧村上ファンド系のアクティビスト「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が複数の保管口座(イーシーエム エムエフ12.21%・エムエルアイ フォー セグリゲーテッド7.97%・サンテラ等)で分散保有する形で発行済株式の約4割弱を実質保有している点が海運大手三社のなかでも特徴的です。日本マスタートラスト信託銀行(信託口)9.99%・日本カストディ銀行(信託口)3.03%等の信託銀行に加え、CGML PB CLIENT ACCOUNT 6.64%、J.P. MORGAN SECURITIES PLC 4.98%、ゴールドマン・サックス・インターナショナル3.73%等の海外機関投資家・PB口座が上位に多数並ぶ独特な構成です。外国法人等比率は49.5%と海運大手三社のなかで突出して高い水準にあります。事業会社の今治造船2.65%、政策保有のメインバンクみずほ銀行1.98%が安定株主層を形成しています。2026年5月29日発表の最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いは、エフィッシモのほか損保ジャパン・東京海上日動・川崎重工業・農林中央金庫から各社の持分割合に相当する数量を取得する方針で、2027年3月期までの5年中期経営計画における株主還元総額を8,000億円以上→8,800億円以上に引き上げる資本適正化の一環と位置付けられています。2025年3月末時点・第157期有価証券報告書。

この会社のリスク

有価証券報告書に記載されている主なリスク要因です。投資判断の参考にしてください。

1コンテナ市況・ONE分配急変リスク。ONE(合弁)からの持分法投資利益を通じた経常利益への直接影響が極めて大きく、2026/03期は連結持分法投資利益が前期2,020億円→当期227億円(うちONE社分150億円)へ△88.8%急減し、経常利益が前期比△64.6%と大幅減益となった実績。コンテナ運賃の変動は川崎汽船の収益見通しに対する最大の不確実性要因。
2為替リスク。海運業の運賃・コストはドル建てが中心で、円高は減益要因。2026/03期の為替レート(12ヶ月平均)は150.23円/US$と前期152.73円/US$から△1.6%の円高方向。2027/03期予想は通期150.82円/US$。海外子会社の換算差額や外貨建て有利子負債の為替評価損益も影響。
3燃料価格・地政学リスク。2026/03期の燃料油価格(12ヶ月平均)はUS$528/MTで前期US$610から△13.4%下落も、2027/03期予想はUS$697(+32.0%上昇)と保守的設定。紅海航行制約・スエズ運河迂回(喜望峰ルート)・米国の通商政策と追加関税影響・中東情勢の緊迫は運航コスト・運航日数の双方に影響。
4海難・船舶事故・IMO脱炭素規制(SOx/NOx/CO2)。低硫黄燃料・LNG/アンモニア燃料船等への投資負担が重く、規制強化スケジュールに合わせた船隊整備が必要。世界で唯一運航する液化CO2(LCO2)運搬船など脱炭素対応船投資も継続。船隊規模拡大に伴う海難・座礁等の事故リスクも継続。
5巨額設備投資・有利子負債(IBD 2,360億円)。海運大手三社のなかで最もコンパクトなBSではあるものの、新造船・LNG/アンモニア燃料船への投資負担は継続。2027/03期の燃料油価格US$697前提のように、外部環境次第で投資判断・収益見通しが大きく変動するリスク。
6競合再編・M&Aリスク。海運大手三社の競合関係(ONE合弁内での利害調整含む)、欧米船社との競合激化、洋上風力関連事業(ケイライン・ウインド・サービスKWSの完全子会社化等)の事業ポートフォリオ再構築リスク、アクティビスト系株主(イーシーエム・エムエフ12.21%等)からの株主提案・経営介入リスク。

社員の給料はどのくらい?

平均年収
1,223万円
従業員数
5,176
平均年齢
38.5歳
平均年収従業員数前年比
当期1,223万円5,176-

平均年収1,223万円は海運業界でもトップクラスの高水準です。2023期-2024期は業績連動賞与の膨張で1,300万円超に達しましたが、2025期はコンテナ運賃正常化に伴い減少。連結ベースの従業員数は5,176名で、1人当たり純利益は約5,900万円(2025/03期)と極めて高い生産性を誇ります。平均勤続年数14年、平均年齢38.5歳と安定した人材構成です。

06 / 4 sections

株主リターン・投資成果

リターン・配当・市場データを確認

平均よりも稼げてる?

この会社の株を持っていた場合のリターン(青)を、日本株全体の平均(TOPIX、灰)と比較。青い線が上にあれば、平均より良い成績です。

過去5年間のTSRは290.0%とTOPIX(213.4%)をアウトパフォームしました。コロナ禍の2022/03期でコンテナ運賃急騰によるONE分配で株価が急騰し、その後の配当・株式分割(2022年10月1:3、2024年3月1:3の累積1:9)による積極還元が長期リターンを支えました。一方、2024/03期以降はコンテナ市況の正常化でONE分配が変動局面に入り、株価も調整局面となっています。海運株は典型的なシクリカル銘柄であり、市況サイクルの転換点を捉えた投資判断が重要となります。

※ 配当を含む株主総利回り(TSR)ベースです。過去の実績であり、将来のリターンを保証するものではありません。

配当・優待はもらえる?

しっかりもらえます
1株配当(最新期)
120
方針: 最適資本構成を常に意識し、資本効率と財務の健全性を確保したうえで、規律を緩めることなく企業価値向上に必要な投資を促進し、キャッシュ・フローを踏まえて自己株式取得を含む株主還元を積極的に進める(短信原文)。FY2026/3期からは基礎配当40円+追加配当80円のハイブリッド型を採用し、業績連動部分(追加配当)と安定部分(基礎配当)を組み合わせる方式へ移行。
1株配当配当性向
2022/03期66.78.7%
2024/03期83.357.4%
2025/03期10021.7%
2026/03期12057.0%
2027/03期(予想)12079.8%
株主優待
なし

株主優待制度はありません(hasBenefit:false)。

配当はすべて2022年10月1日(1:3)と2024年4月1日(1:3)に実施した2回の株式分割の累積調整後ベース(J-Quants開示値は÷9(2022期)・÷3(2023期)の手動分割調整を適用)で表記しています。2022/03期はコンテナ運賃急騰によるONE分配で分割前1株600円→2回分割後66.7円(÷9)に相当する高水準還元を実施しました。2023/03期はJ-Quantsの配当データが欠損しているため表示を省略しています。2024/03期は分割前250円→1:3分割後83.3円、2025/03期は年間100円(中間50+期末50、post-split)を実施。2026/03期は年間120円(基礎配当40円+追加配当80円、中間60+期末60)のハイブリッド型を実施しました。2027/03期予想配当は同じ120円(基礎40+追加80、中間60+期末60)。日本郵船の「下限年間200円」、商船三井の「Phase 2固定配当」とは異なる「基礎+追加」のハイブリッド方式で、業績連動部分(追加配当)と安定部分(基礎配当)を組み合わせている点が特徴です。配当に加え2026年5月29日には最大1,300億円・発行済株式数の6.96%上限の自社株買いを発表しており、配当性向の数字以上に総還元志向が強い銘柄です。

もし5年前に投資していたら?

+
2021期初めに100万円を投資した場合
100万円が 290.0万円 になりました (190.0万円)
+190.0%
年度末時点評価額損益TSR
2021期160.0万円60.0万円60.0%
2022期440.0万円340.0万円340.0%
2023期400.0万円300.0万円300.0%
2024期330.0万円230.0万円230.0%
2025期290.0万円190.0万円190.0%

※ 有価証券報告書記載のTSR(株主総利回り)に基づく仮定の計算です。配当再投資を含みます。将来のリターンを保証するものではありません。

税金はいくら払ってる?

税引前利益法人税等実効税率
2026/03期1,325億円-39.6億円△3.0%

海運業はトン税制(外航海運所得課税の特例)等の適用により実効税率が法定実効税率より低めに出る構造があります。さらに税引前利益(法人税等控除前当期純利益)と経常利益が大きく乖離するため(特別損益・持分法損益・船舶売却損益等の影響)、年度間の比較も難しい点に留意が必要です。表示は税引前利益・法人税等が短信本表で検証できる2026/03期のみとし、過去年度は推定の信頼性が低いため掲載しません。2026/03期は法人税、住民税及び事業税96億円+法人税等調整額△136億円=法人税等合計△40億円(マイナス=税効果による利益増要因)となり、実効税率は△3.0%です。これは繰延税金資産の積み増し・トン税制適用・特別利益(固定資産売却益187億円等)の税効果等が複合的に効いた結果で、海運業特有の税負担の低さを示しています。

07 / 3 sections

もっと知る

まとめと、関連情報・似た会社へ

川崎汽船 まとめ

業績
普通
営業益 前年比↓
配当
少なめ
1株 120円
安全性
安定
自己資本比率 76.9%
稼ぐ力
普通
ROE 7.4%
話題性
普通
ポジ 44%

ドライバルク・LNG/原油タンカー・自動車専用船・コンテナ船(合弁ONE)・物流まで擁し、自己資本比率76.9%と海運大手三社中で最も健全な財務体質を誇る海運大手三社の一角

※ 本ページの情報は投資助言ではありません。掲載データは正確性を保証するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。

DISCLAIMER

本ページの情報は、公開されたメディア報道の定量分析およびEDINET等の公的開示情報をもとに作成しています。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。報道件数・センチメント分析はAIによる自動分類であり、完全な正確性を保証するものではありません。記事の著作権は各メディアに帰属します。

最終更新: 2026/06/14 / データ提供: OSHIKABU